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2010年12月15日 (水)

斉明天皇物語 3

 63歳になったたから姫が、なぜ前例のない2度目の天皇即位に踏み切ったのかはわからない。中大兄は27歳、皇太子のままである。ほかに有馬皇子という、孝徳の息子もいる。しかし、たから姫は、中大兄に建王という孫が生まれ溺愛していたので、ここに皇位を継がせたいという思いがあったのかも知れない。

 たから姫は早速飛鳥に帰り、推古女帝ゆかりの地・小墾田に瓦葺の豪壮な新宮を建てようとするが、それを支える巨木が見つからず断念する。それには屈せず、飛鳥東方に連なる山並みの最高峰・多武峰に観楼を建て石垣をめぐらせ、石積みの施設(2000年に発掘された亀型石など)やそれを運搬するための運河を掘るなど、膨大な建設工事に励んだ。

 労働者動員は10万余に上ったが、満足にできたものがない。『書紀』は、「狂心(たぶれこころ)」などという、世論の不評を遠慮なく載せている。このほか、斉明紀で多いのは、朝鮮3国を中心とする外交記事、阿倍比羅夫の蝦夷遠征、有馬皇子謀殺、それに白村江の敗戦を招いた朝鮮出兵である。

 有馬皇子謀殺は、うつ病気味だった有馬が紀州白浜温泉で療養したところ、すっかり快癒し、叔母・たから姫に報告した報告から話が始まる。その頃、たから姫は愛してやまなかった幼い建王が病没し悲嘆にくれていた。

 有馬の話を聞いて喜んだたから姫は、早速自分も行って見ることにした。たから姫一家がそろって都を空けている留守に、蘇我赤兄の謀略で有馬の謀反計画なるものができあがる。その赤兄の軍勢に有馬は逮捕され、白浜へ連行、尋問を受けたのち帰路で処刑された。このあたりのことは『万葉集』にも多く読み込まれているので有名だ。

 ここでたから姫の心が癒されたとは思えないが、比羅夫の3度にわたる蝦夷遠征で、秋田、青森、北海道南部などが自治領らしくなり、奄美諸島などの朝貢も定着した。その反面、首都飛鳥は、なんとなく不安な空気が漂っていた。朝鮮半島をめぐる緊張である。

国挙る百姓(おおみたから)、故無くして兵(つわもの)を持ちて、道に往還(かよ)ふ。国の老言へらく、百済国、所を失ふ相(しるし)かといへり

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