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2010年11月18日 (木)

痴耳(オクミミ)

 ペリーによってもたらされた(1854年)電信機は、明治8年(1875)までにほぼ全国に行きわたった。インターネットが、初めて日本の複数の大学間で接続された1984年と比べても、遜色のないスピードである。以下は、『東京新繁盛記』よりの抜粋である。

 電信ノ世界ニ於ケルヤ、開化ノ駅路ニシテ文明ノ飛脚ト謂ウ可キ也、欧米ニ新事奇談アレバ、則チ数日ヲ出デズシテ亜細亜人ノ耳ニ上ル、真ニ是霹靂、未ダ響カズシテ電光空ニ掣(ひらめ)キ、火光溌起シテ特地ニ人ヲ射ル、惰夫懶婦ト雖モ終世酣睡シテ、世界ノ大事ヲ知ラザル者ナシ、況ヤ、国内ニ事変有ルヲ聞カザルノ痴耳有ラン乎

 明治の先覚者は、いち早く先端技術を取り入れ、またたくまに東洋初の先進国入りを果たした。現今を明治維新になぞらえる政治家や評論家は山ほどいる。新情報化時代の到来は、まさに明治維新とそっくり、といっていいだろう。

 しかし、政治家は果たして「終世酣睡シテ、世界ノ大事ヲ知ラザル、惰夫懶婦」でないといいきれるだろうか。今聞いたニュースによると、仙石官房長官が自衛隊を「暴力装置」といったことに対し、自民党の世耕議員が抗議、長官は「実力装置」といい直して陳謝したという。

 武器や強制力を持つ軍隊や警察などを「暴力装置」と定義したのは、マックス・ウエーバーで、以後、戦争や平和を論ずる場合、用語として広く世界に通用する言葉だ。仙石長官は、世耕委員の無知を指摘してもいいのだが、そこは「柳腰」の長官だけあって、審議の障害にしないよう陳謝訂正した。

 塾頭は、国会で繰り返されるこういった次元の低い泥仕合を見るにつれ、世界に対して「痴耳」の議員が揃っているとしか思えない。明治維新は、どうやら口先だけのことに過ぎなかったようだ。

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コメント

えらい学者さんの学説ならなんでも良いでは困りますね。

日本の自衛隊の大変な災害活動をご存じないと見える。

「暴力とは法的道義的に不当な力の行使を指すのであり、
その意味で日本の自衛隊が設立以来、
自他の国民に対して(援助こそすれ)
「暴力」を行使した事実はまったくない」

自分の頭で考えることがいかに大切なことかを
知ると良いですね。

マックスウエーバーの本来の意味を
語学に堪能な人が訳すと「戦闘装置」となり
左が訳して「暴力装置」となる。

原文をお読みになることをお薦め。

投稿: yuuki | 2010年11月18日 (木) 19時35分

原文など読む能力も読んだこともありません。しかし、その言葉は自衛隊を指した言葉ではなく、概念として日本で広く使われてきたことは知っています。

右とか左とか、そんな次元の話でなく、暴力団と並列に置いて考える方が偏っていると考えます。

投稿: ましま | 2010年11月18日 (木) 20時39分

>武器や強制力を持つ軍隊や警察などを「暴力装置」と定義したのは、マックス・ウエーバーで、以後、戦争や平和を論ずる場合、用語として広く世界に通用する言葉だ。

世界に通用していないでしょう。
警察まで?
あなたも、そう思ってるんですか。
日本の警察が暴力装置だと。

そりゃ、中国の軍隊が日本人から見て、暴力装置というのなら分かります。
でも、自分の国の軍隊を暴力装置などと呼びますか。
しかも、国会議員が。

なんで、日本をめちゃくちゃにする仙石の肩持つのか不思議でしょうがない。

投稿: makoto | 2010年11月19日 (金) 02時19分

 仙石発言を糾弾する方の根本的間違いは、ウエーバーが使った意味が、自国ドイツをはじめ相手国を含め、国家間の軋轢を外交交渉ではなく「暴力」で解決するための「装置」、つまり相手方を制圧するため武力を持っている組織を普通名詞として使ったことに始まります。

 日本語への翻訳がいい、悪いは別として、国際関係や戦争責任を研究する際、日本でも普通に使っていました。自衛隊とか、中国とか特定した使い方をする言葉ではありません。

 もし、納得できないようなら、そういった関係の研究書などをあさってみてください。仙石さんは、中国の反日勢力などに対抗できる技能や見識を持った人材だと思っています。

投稿: ましま | 2010年11月19日 (金) 08時07分

批判している国会議員が『日夜、国を守っている自衛隊員に対して失礼な。絶対に許せない』と息巻いているとか。
何ともはや。
今の日本の右傾化も極まれりで、溜め息しか出ませんが
一切の批判を封じて軍部を独走させ日本を戦争に引きずり込んだ美濃部達吉の天皇機関説に対する反応とそっくりですよ。
そのような考え方が国を滅ぼしたのですから、亡国のやからで、
自分達がどれ程無知で恥ずかしい発言をしているかの自覚が無いのでしょう。

投稿: 宗純 | 2010年11月19日 (金) 12時31分

>仙石発言を糾弾する方の根本的間違いは、ウエーバーが使った意味が、自国ドイツをはじめ相手国を含め、国家間の軋轢を外交交渉ではなく「暴力」で解決するための「装置」、つまり相手方を制圧するため武力を持っている組織を普通名詞として使ったことに始まります。

あの千石の発言を糾弾するのに、ウエーバーが使った意味など関係ありませんよ。
今この時代に、自分の国を守るためにいる軍隊を指して、「暴力装置」と言った事が異常であり、それを糾弾しているのです。
だいたいあなた、原文を読んだことも無く、それについては、上の方にウエーバーの本来の意味する所を教えられているじゃないですか。
しかし、教えてもらっているにもかかわらず、「原文など読む能力も読んだこともありません。」などと、逃げ、そして、

>しかし、その言葉は自衛隊を指した言葉ではなく、概念として日本で広く使われてきたことは知っています。

千石は、自衛隊のことを暴力装置と言ったから批判されているのです。
軍隊のことを概念的に言ったのではありません。

>日本語への翻訳がいい、悪いは別として、国際関係や戦争責任を研究する際、日本でも普通に使っていました。自衛隊とか、中国とか特定した使い方をする言葉ではありません。

もう一度書きます。
千石が自衛隊を特定して、暴力装置と言ったから批判されているんですよ。
世の軍隊のことを、旧日本軍のことを暴力装置と言ったのではありません。

>仙石さんは、中国の反日勢力などに対抗できる技能や見識を持った人材だと思っています。

中国様には逆らいません。っていう売国政治家でしょう。

投稿: makoto | 2010年11月19日 (金) 17時42分

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