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2010年11月23日 (火)

NATOとロシア

----(国名は過去のエントリーからの再録)----
    |■EUだけに加盟している国
   | アイルランド オーストリア スエーデン 
   E フィンランド キプロス マルタ
| U■EUとNATOの双方に加盟している国
N  27 フランス ドイツ イギリス イタリア 
A  カ オランダ ルクセンブルク デンマーク 
T  国 ハンガリー エストニア ラトビア ベルギー
O  | ポルトガル チェコ ギリシア スペイン 
28 | ボーランド スロバキア リトアニア
カ  | ブルガリア スロベニア ルーマニア
国  ■NATOだけに加盟している国
|   アメリカ カナダ トルコ ノルウェー 
|   アイスランド クロアチア アルバニア
-----------------------------------

 11月20日、ポルトガル・リスボンでNATO(北大西洋条約機構)の首脳会議が開かれた。決定事項のポイントは2つある。ひとつは、アフガンでの戦闘任務を14年末までに終えるという「出口戦略」の策定で、これには日本の代表も加わった。

 もう一つは、ロシアとの協力強化だ。アフガンは、帝政ロシア当時から植民地化で英国と衝突したり、近くは、ソ連軍撤退でソ連崩壊の引き金になるなど、ロシアにとって因縁浅からぬ地だ。ここの復興に向けてNATOと緊密な協力をする。

 さらに、オバマ出現前、あれほどもめた北欧のMD(ミサイル防衛システム)配備だが、今度は欧州の安全の目指して双方の連携をはかることになった。NATOは、いうまでもなく第2次世界大戦後、ソ連東欧の共産圏に対抗する米欧の集団防衛機構として発足したものだ。

 その条約5条にある「締結国は欧州又は北米の一締結国以上に対する武力攻撃を全調印国への攻撃と見做すことに合意し、」云々は、そのまま、日米安保条約第5条が当てはまり、アメリカの戦後防共戦略の両翼をなすものであった。

 両者の大きな違いは、日米が2国間の条約であるのに対し、NATOは多国間条約であるが米欧同盟とも言われるように実際は、抜きんでた軍事力を持つアメリカ対ヨーロッパ西側諸国間の条約といっていい。

 冷戦崩壊後は、アメリカを「世界の警察官」に押し上げる役割を果たしたが、今度はロシアまで加えて「世界の警察官」をNATOプラスに肩代わりさせようとしているように見える。これは、日米同盟にロシアを加えようというのと同じで、日本の右翼諸君は目をむくだろう、「ありえない!」と。

 しかし、これは今に始まったことではない。20年前には、コソボ紛争を中心に、ベルギー南部にあるNATOの欧州連合軍総司令部で、ロシアや旧共産圏北欧諸国の司令官が欧米の軍人と机をならべてバルカン半島作戦を指揮していたのだ。

 ロシアと地続きのヨーロッパ諸国が戦火を交えた歴史は数えきれないほど多い。それだけに「戦争と平和」に対する、言い方は変だがお互いに「経験豊富」なのだ。日中、日ロに見られるような過剰反応の繰り返しだけでは、正常な国交が開けず、お互いにマイナスになるというのも常識になっている。

 こういった中で、欧州で核兵器を中心に軍縮が急速に進むことが考えられる。日本外交が現在の体たらくでは、完全に世界の新しい潮流に取り残されることを憂慮しなければならない。NATO・ロシアの新体制でひとつ気がかりなのは、対イラン・シフトやイスラムとの文明摩擦が顕在化するのではないか、ということである。

 そこで、注目されるのは中国やトルコ、インドなどの存在である。この3国はいずれも国内のイスラム勢力を無視できない。宗教や領土問題でしがらみのない日本だけが、双方に公正な印象をもって迎えられる国になり得るのだ。よほど足場を固めてかからないと、「国際社会において、名誉ある地位を占めたい」という「日本国憲法」の理想は、雲散霧消することになりかねない。

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