南北砲撃戦と護憲派
このブログは、「護憲派」に分類されているらしい。しかし、塾頭はそれにやや抵抗を感じているものの、「9条の会」賛同人に名をつらねた経緯があるので、否定するわけにはいかない。昨日、朝鮮南北境界線近くにある延坪島(ヨンビョンド)が北から砲撃を受け、民間人を含め死傷者もでた。
この事件で、護憲派や沖縄からの米軍基地縮小促進派は、間違いなく旗色が悪くなった。その責任は、本家護憲派の社共と、それと軌を一にするいわゆる「平和勢力」にあると思う。こういった事態に日本はどう対応するか、これまで何も指針がなかったことによる。
天安艦沈没事件で、北の仕業とすることに「まさか」と思い、北の否定を信じている人もすくなくなかった。しかし今度は、否定しきれるものではないし、国際法上も容認されるはずがない。やはり北には、暴発や先走りも含めて「まさか」があり得る、そう思わなければならないのだ。
それならばどうすればいいか。前から言っていることだが、核アレルギーを脱し、核の研究は大いにやるべし、いざとなればすぐ核兵器が作れるいわゆる「寸止め」体制にする、それでこそ世界の核軍縮に発言力を増すこともできるのだ。
北が、今回の大砲の代わりに中距離弾道ミサイルを日本に向けてきたらどうするか、200発あるとされるが、不発弾や命中精度が悪いとされるだけに、無差別攻撃となりかえってこわい。これはMD迎撃だけでは防げないだろう。核と同様、発射基地をたたく精度の高い武器も研究すべきだ。
そういったことを、戦後の半世紀、アメリカに頼りっきりになっていた。左も右も、「自ら国を守る」という意識が低いのだ。塾頭は、日韓併合までの、朝鮮の「事大主義」(力の強い勢力に仕える)が、ついに亡国の不幸を招いたという史実がいつも頭にある。
その頃の日本はそうではなかったが、世界に背を向けて大陸侵略に向かったため、敗戦というダメージを受けた。そして生まれた平和憲法である。それに守られて、以来一人の外国人の命も奪っていないし、攻撃を受けたこともない。
日米安保条約本文はうまくできている。地位協定や防衛指針など不公平な取り決めや運用を改めれば当分は、継続されるべきものだと思う。結論をいうと、日本の安全を守るのは、国民の国を守るという強い意志と、外国を侵略したり不当な軍事干渉をしないという憲法の意図を、厳格に守るというこのふたつである。
これまでも何度か書いてきたが、塾頭の「改憲案」を最後につけくわえておこう。なお、自衛隊の規範は、別に仮称「自衛組織基本法」で定めておけば、海保や警察などと同様、憲法に書かなくてもいい、という考え。
日本国憲法 第2章 戦争放棄 第9条に追加
③公務員は、法律に定めがある場合をのぞき、武器を携行し、または利用して外国または日本国領土以外の地域で行動してはならない。
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コメント
この南北砲撃戦では日本よりも余程韓国国内の方が冷静なようです。
大統領府は『国際社会にこの問題が不当だとの共感が形成されるなら、安保理で協議されるだろう。』
『韓国政府が提案するるという状況では無い。』としています。
日本国内の報道とは大違いですよ。
日本では『北が砲撃、民間人が死傷』なのですが、記事内容を読むと南北での砲撃戦であり、海兵隊基地への砲弾がそれて民間人居住地にも着弾したもので、死んだ民間人2人も基地の工事をしていて不運にも巻き込まれたもの。
他のアジア諸国の政府は『双方に最大限の自制を促す』とするのが主流で、日本の様に即座に韓国軍全面支持は韓国軍の戦時の指揮権を持っているアメリカぐらいですね。
今回のような紛争では、日本政府のような一方的な支持は火に油を注ぐに似た行為で褒められたことではない。
今回の事件では、『海兵隊基地があるから守られている』は大間違いで、『海兵隊基地があるから攻撃される』の方が正しいでしょう。
大昔からの軍事常識ではこのような紛争地に実戦部隊を配備するのは挑発行為の最たるもので、
独ソ戦開戦直後に日本軍が行った関東軍特種演習をソ連は『戦争行為である』と捉えて『日ソ中立条約破棄』の口実にしているのです。
投稿: 宗純 | 2010年11月26日 (金) 09時33分
コメントありがとうございました。
韓国人が冷静なのは、楽観的だからではなく、日本人の何倍も危機感をもっているからだと思います。その中でどういう対処をしたらいいかの判断も慎重に選択しなければなりません。
挑発的をいうなら、北が世界一でしょう。それに対して日本は軽く見ていますが韓国人は単なるこけおどしではなく、真剣に受け止めているはずです。
北と米韓が戦えば、北が簡単に負けると思っている高見の見物的な日本の反応が残念です。あまり解説にはでてきませんが、核開発も米国との直接交渉も、南北統一の際に高く売りつけようとの魂胆だと思います。
投稿: ましま | 2010年11月26日 (金) 10時56分
『日本人の何倍も危機感をもっているからだ』はまったく同意見です。
日本人の内でも沖縄戦の経験者やその親族、経験者からと直接聞いた人では考え方が違っているでしょう。
日本は地上戦は65年前の沖縄だけですが韓国は57年前で全土が経験している。
空爆だけだった『本土』は矢張り戦争の本当の恐ろしさを知っているとは言いかねるでしょう。
ベトナム戦争では、地上戦の南ベトナムと北爆だけだった北ベトナムでは損害や悲惨さは比較にならない位に大きく違う。
『挑発的をいうなら、北が世界一』は、日本では常識であるのですが世界から見ればそうではありません。
日本の常識とは大違いで、何処の国も例外なく、いちばん危険な国のナンバー1は断トツでイスラエルですよ。
二番目は調べる国により違いがあるがおおむね困ったことにイラクやアフガン戦争を始めたアメリカですよ。
イランや北朝鮮はその次です。
それに良く考えてみれば『北朝鮮が一番危険』が常識になったのは実はこの10年ほどのことであり、それ以前には日本人にとっての北朝鮮など全く眼中に無かったのです。
それが今では大違いで、今では『北朝鮮』を言わない人は日本では誰も居ないといっても良いくらいになっていますが、
この不思議ですが、最近の10数年で日本が大きく変わったのです。
なぜなら北朝鮮ですがあの国は朝鮮戦争の時から全く変わっていない。
あの国は半世紀前の、元のままで時間が止まっているのです。拉致事件も30年前に起きた事件ですよ。
大きく日本が変わってしまったのです。
投稿: 宗純 | 2010年11月27日 (土) 10時25分
「挑発的」は「朝鮮的(朝鮮的・笑)」に訂正します。
投稿: ましま | 2010年11月27日 (土) 13時23分