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2010年10月 9日 (土)

ノーベル平和賞+相撲・NHK癒着

 当塾では、尖閣列島沖漁船衝突事件発生以来、ほとんど毎回といっていいほどこの問題をを取り上げてきた。「中国とはどういう国なんだろう」と考える日が多くなったわけだが、その中で「なるほどな」と思った論述を、竹内実京大名誉教授の古い図書の中から見つけた。

 それは、9月24日にエントリーした「日中関係構築の好機」に載せたが、再度引用させていただく。

 帝王とは、つぎのような存在でしかない。
  1 帝王は、誰でも打倒することができる。
  2 誰でも帝王を打倒した者は、帝王になることができる。
(中略)

 中国においては、政治とは帝王のことであり、帝王とは政治のことであった。帝王以外に、ほとんど政治などというものはないといって、過言ではない。権力が、帝王――予一人(われいちにん)と自称する人間に集中したからであろうし、宗族という大家族の家が、政治世界の原型となっているため、家父長が拡大したものが帝王にほかならないためであるのかも知れない。

 政治の世界に、極端に個人の権謀術数が渦まくのも、そもそも政治の世界のなりたちが、帝王という個人の裁量下にあるからではないだろうか。――とすれば、帝王に対する前述の命題は、政治の命題であり、したがって。革命の命題となる。中国における革命が、易姓革命となるのは、帝王の入れ替えが革命であるからにちがいなく、なぜそういうことになるかは、帝王のほかに政治がないからである。

 つまり、現代の帝王は、胡錦濤でも温家宝でもない、゛中国共産党゛であるということである。帝王が法律なので、人権尊重や言論の自由も憲法の解釈も帝王次第だ。ノーベル平和賞に輝いた劉暁波氏は、そういった帝王に果敢に立ち向かった人である。

 今回の受賞で世界の中国を見る目が厳しくなり、帝王も苦境に立たされるかも知れないが、そう簡単に革命に至るとは考えられない。過去の主な王朝は、2~300年も続いている。その一方、初めて中国を統一した秦は80年ほどで崩壊した例もある。

 要は、民衆次第なのである。日本のマスコミでは、盛んに不満分子の存在や活動を報道し、また中国政府かそれを恐れているかを伝えるが、民衆内に格差はあるものの、史上例を見ない経済成長を果たし、生活が豊かになって世界の富強国となったという実感をどう見るかにかかる。

 中国共産党は、党内の保守派を抑えながら解放の実をあげていく、という苦悶の政策を今後も続けるであろう。民衆は、「衣食足りて礼節を知る」とばかり、革命から遠ざかるのか、「衣食足りて人権を知る」になって、天安門事件の再来になるのかを問われれば、どうも前者の方になりそうだと思われるのである。

 さて、もうひとつテーマにあげた本日の大ニュース、NHK記者の相撲協会家宅捜査事前漏えい問題であるが、あまり詳述するいとまがなくなった。これは、前々回の記事「打落水狗」に書いた、NHKと相撲協会の怪しい関係が、「やっぱり」と思わせるものになったことである。

 朝日新聞によると、記者が協会幹部にメールしたのが、NHKの相撲中継中止発表の3時間後だったという。NHKトップが捜査情報を知っていたとはあえて言わないが、「NHKと日本相撲協会との関係は、単なる取材する側とされる側にとどまらず、中継などを通じてNHK自体が大相撲の興業にかかわるという当事者同士でもある」(音好宏・上智大教授、毎日新聞10/9)と位置づけられる間柄だ。

 中継中止決定が、相撲不祥事のNHK波及を防止するためだった、という当塾の観測は、当たらずとも遠からずではなかったかと思う。

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