« 小沢国会説明の意義? | トップページ | 「共同体」のはなし 1 »

2010年10月22日 (金)

尖閣共同開発を袖にする愚

 すこし前に、尖閣諸島沖で起きた漁船衝突事件を日中間の大地震にたとえ、一進一退をくりかえす両国関係を、その余震と表現した。普通の余震は本震のあったあと、次第に揺れが小さくなり、やがて消滅する。

 この余震はなかなか厄介で、そう簡単に収まりそうがない。報道によると、「中国が今月中旬、沖縄県・尖閣諸島周辺の海底資源に関する共同開発に応じるよう日本側に求めいていたことが21日、分かった。日本側は即刻拒否した」(10/22毎日新聞)という。

 また、前原外相がたびたび露骨な強硬論を発言することに、中国側は不快感を持っているようだ。どっちともどっちだが、これは自然現象ではないのだから、相互に譲り合い、取り返しのつかない被害が生じないよう100年の計を立てなくてはならない。

 民主党は、マニフェストに「東アジア共同体」をうたっており、歴代首相をはじめ外相もそれに触れてきた。しかし、その緒に就いたと思われる業績は何もない。最近はむしろ逆の方向を向いているのではないかと思わせることが多い。

 前置きが長くなったが、尖閣諸島沖のことに話をもどそう。冒頭に触れた報道ではよくわからないが、釣魚島という島そのものと、領海つまり国境の線引きをどこにするかということ、それに共同開発をするかどうかという3つの問題はそれぞれ別個の問題であるということを、どれだけの人が認識しているだろうか。

 まず、領土であるが、本塾はカテゴリ「東アジア共同体」をさかのぼってもらえばわかるとおり、釣魚島が日本の施政下にある固有の領土とする点は、どんな右派系の人より自信をもっているつもりである。

 ここが、問題視され始めたのは、海底の資源開発が脚光を浴びた時以来であることはよく知られている。領土の存在は別として、資源開発の権利をいう場合、大陸棚(陸地から連続してもっとも深くなるところまで)説と、二国間の陸地からの等距離を境界とする説がある。

 中国や韓国は前者の説をとり、日本は後者の説による。2説併存しており決まりはないが、どちらかというと大国の支持がある前者の方が有利(国連海洋法会議)になっているようだ。したがって双方の説が重複する地域では、共同開発という現実的な解決方法が採用される。

 現に、出油はしなかったが、昭和54年(1979)から61年までの7年間、日韓石油共同開発が行われた。実はこの時も弱腰とか譲りすぎという意見がでていた。結局得られる利益、失う損害を考えて最善の道を選んだといえる。

 したがって、中国の提案を即刻拒否、という表現は誰がしたのかわからないが、交渉次第では日本にとって有利な方法もありうるわけで、国粋主義的でヒステリックな反応としか言いようがない。

 この問題は、1978年に当時中国の副首相だった鄧小平氏が言った尖閣諸島領有権棚上げ論は、資源問題に関する限り正解であり、日本は「問答無用」ではなく、この点をつめて話し合いに応ずるべきであった。拉致問題同様、日本はせっかく開けかけた交渉窓口をまた閉じようとしている。

|

« 小沢国会説明の意義? | トップページ | 「共同体」のはなし 1 »

東アジア共同体」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/37343832

この記事へのトラックバック一覧です: 尖閣共同開発を袖にする愚:

» 民主党政権の評価はこれからだ。 [ジャッカルの目]
 私自身は、「政権交代」を待望していた物の、民主党については、自民党のあまりの腐敗と経年劣化に対する「よりまし」な選択と言う程度で、民主党を積極的に支持する理由は無かった。  他方、政権交代後1年以上が経っても、自民党への忠誠を誓い、民主党政権への言い…... [続きを読む]

受信: 2010年10月23日 (土) 06時39分

« 小沢国会説明の意義? | トップページ | 「共同体」のはなし 1 »