« 「共同体」のはなし 1 | トップページ | 菅内閣打倒!はあるか »

2010年10月25日 (月)

「共同体」のはなし 2

 「東アジア共同体」を口にする人、あるいは批判する人、一体何をどう考えてものを言っているのかわかりません。EUの中にいる、いわゆるEU市民でさえラビリンス(labyrinth=迷宮)と言ってるようなのて、日本人にとって無理なのかも知れません。

 しかし、それを生み出した萌芽の時代から、これまで発展させてきた根本理念は、ゆるぎないものがあると思います。残念ながら、それを解説・強調する論説はすくなく、経済面に傾きがちなので、前回の予告通り、共同体が生まれ出るまでを、年表的に書いて見ました。なお、カテゴリの最初の方の記事と重複する点はお許しください。

1308年 「欧州は統合し団結しよう」と提案した法学者がいた。しかし、これはトルコ軍侵攻を防ぐ軍事同盟案だから外してもよさそう。

1801年 『永遠の平和のために』を書いた哲学者カントの弟子、F・ゲンツが欧州統合の3原則を提案した。このことはあとに関連があるので覚えておいてほしい。
 ①諸国家を統合して、諸政府間の区別を無くす。
 ②他国の利益侵害を許さない一つの憲法を諸国家が共同で持つ。
 ③諸国家が共同して「超国家性」を持つ国家機関を設け、諸国家間の紛争を平和的に解決する。

1847年 文豪・ヴィクトル・ユーゴーが「欧州合衆国」の創設を提言した。共産党宣言の出る前の年、アメリカはまだ独立していない。

1923年 第一次世界大戦を終えて、オーストラリアのクローデンホーフ・カレルギー伯(母は日本人・青山光子)が『パン・ヨーロッパ』を著し、欧州の統合を呼びかけた。(鳩山由紀夫の祖父・一郎が彼の著書から「友愛」の精神を知り感銘を受けている)

1929年 ヴェルサイユ体制構築に力を尽くしたランスのA・ブリアン外相が「欧州経済統合構想」を国際連盟の枠内で行うことを提案したものの、英・独・伊は冷淡な反応。

1946年 第二次世界大戦で首相だった英・ウィンストン・チャーチルがチューリッヒ大学で講演、カレルギー伯の理念を継承。翌年、翌々年にかけて「欧州議員同盟」をはじめ期成同盟など各地の汎欧州運動が活発化、1948年に19か国1000人を集めてハーグ決議を採択。

1951年4月18日 初の「超国家性」を持つ、CECA(欧州石炭鉄鋼共同体)条約をパリで調印。
 この条約の提案は、1950年5月フランスのロバート・シューマン外相により行われた。彼の発言の要旨は次の通りである。なお、大西健夫早大教授は、『EU統合の系譜』で、この提案をゲンツ3原則(前述)の「現代的表現」と位置付けた。

 欧州統合は一日にして成るものではなく、まず事実上の連帯を構築することが必要であって、このような欧州統合を果たすためには100年に及んだフランスとドイツの抗争に終止符を打つことが求められている。

 フランス政府は、フランスとドイツの石炭・鉄鋼の生産全体を「共同最高機関」の下に置くよう提案する。この機関は、欧州の他の諸国の参加のために解放されている。

 戦争経験のあるものならだれでも知っているが、石炭と鉄鋼は武器生産に不可欠で、一国の経済を左右した。仏・独国境地帯は鉄鋼や石炭の産地であり紛争の原因を作っていた。また、隣接するルクセンブルグにも石炭があり、ベネルックス3国もこの条約に参加した。

  CECA100か条の前文

 古来の敵対に代えるに、諸国の本質的利害関係の融合を以てし、経済共同体の設立により、多年、血なまぐさい対立によって離間していた諸国民の前に、一層広く深い共同体の最初の礎石を据え、かつ将来の共通の運命を方向付けることのできる制度の基礎を築くことを決定して、欧州石炭鉄鋼共同体を創設することを決定……

参考文献:小屋修一『欧州連合論』、庄司克弘『欧州連合』、バンジャマン・アンジェル/ジャック・ラフィト『ヨーロッパ統合――歴史的大実験の展望』、その他

|

« 「共同体」のはなし 1 | トップページ | 菅内閣打倒!はあるか »

東アジア共同体」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/37380660

この記事へのトラックバック一覧です: 「共同体」のはなし 2:

» ★極悪非道の特捜検察と戦う小沢一郎の大義! [ようこそイサオプロダクトワールドへisao-pw]
★極悪非道の特捜検察と戦う小沢一郎の大義!既得権益利権集団の手段を選ばぬ小沢一郎 [続きを読む]

受信: 2010年10月25日 (月) 18時49分

» 小沢氏は、国会招致に応じるべきだ。 [ジャッカルの目]
 今日は別に小沢氏支持云々を語るつもりは無い。純粋に、早く景気刺激のための補正予算を成立させ、その後更なる施策を打っていくためには、小沢氏は、自ら進んで、国会招致(政治倫理審査会、証人喚問)に応じることを表明するべきだ。  検察審査会の決定によって強制…... [続きを読む]

受信: 2010年10月26日 (火) 05時34分

« 「共同体」のはなし 1 | トップページ | 菅内閣打倒!はあるか »