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2010年10月24日 (日)

「共同体」のはなし 1

 当塾では「東アジア共同体」というカテゴリを設けています。この言葉には定義がありません。かつて「それは、戦時中の大東亜共栄圏と同じじゃないか」という書き込みをいただいたことがあります。「反戦塾」ですから、同じであるわけがありません。

 戦前からあったのは、特定の盟主国があり、「ここに共通の利益を追求する容れ物があります。さあ、みんな入りましょう」という、経済ブロック主義という試みでした。しかしこれは失敗に終わりました。

 「東アジア共同体」というのは、民主党のマニフェストにあり、自民党政権時代から言葉としては使われています。しかし、政治家の話をマスコミで見ていると、「ASEAN(東南アジア諸国連合)で日中どちらが主導権をとるか」とか、ASEANプラス2とか3、あるいはオーストラリア、アメリカまで入れて、などと、「容れ物が先きにありき」の経済ブロック的な発想が強いように思えます。

 EUが念頭にあるのは確かでしょうが、EUの最初のスタートは欧州石炭鉄鋼共同体です。そのような容れ物や共通通貨・ユーローなどを、最初から想定していたわけではありません。スタートと発展の「理念」は、あくまでも「ヨーロッパの恒久平和の構築」で、結果として今のEUに至ったのです。

 当塾のいう「共同体」は、あくまでも「平和の道具」としての欧州モデルの実現です。アジアは「ヨーロッパと違って一体感がないから不可能」という考えは逆で、種々の対立を抱えているからこそ、それを解決するために必要だと言えましょう。

 それからもうひとつ。それがお互いの利益にかなうと見れば、国家主権の一部を共同体に移譲するという厳しい決断が必要な点と、加盟各国の独自性は完全に保証される、というようなシステムそのものをもっとくわしく知る必要があるのではないでしょうか。

 いずれにしても、そういったものが一朝一夕でできるはずがありません。ヨーロッパの長い戦乱の歴史と、加盟各国民の英知と情熱によって練り上げられてきたもので、今なお試行錯誤が続いており、将来に向けて厳しい試練が続いているということです。

 以上の通り、「仲良しクラブ」とは違うのです。南シナ海資源共同開発、自然環境保護事業、南北朝鮮と日本による非核地帯宣言、そういったものが「共同体」のきっかけになる、これは「反戦塾」の夢物語でしょうか。次回は、改めて欧州石炭鉄鋼共同体の誕生までを眺めてみたいと思います。

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