« 「戦中・戦後」断片④ | トップページ | 金正日訪中を評価する韓国 »

2010年9月 1日 (水)

期待外れの両候補

  民主党代表選が告示され、小沢・菅両候補の政策が会見の席で発表された。両者の主張はこれまでも散発的に伝えられたものの範囲を超えるものではなく、違いがあるにしても決定的な争点になるような発表はなかった。

 つまり程度の差なのである。小沢は「国民主導」「政治主導」という言葉を繰り返し、菅政策が「官僚主導」と言いたかったらしいが、菅自身にその意識がないので軽く受け流された。消費税は、小沢も経費を切り詰めた後の問題として、触れざるを得なかった。

 反戦塾としての最大のテーマは、外交、安保で具体的には普天間基地移転問題である。これは、双方とも自らは発言をせず、質問に答えるかたちとなった。双方の答えが、「日米合意をスタートに置いて、米国・沖縄住民に納得のできる案を模索しなければならない」という模範解答で、具体案はない。

 「日米合意を白紙にもどすなどのことはできない」という菅発言に対して、小沢が「そのようなことは言っていない」と抗議するなど、小沢支持者の中には、威勢のいいタンカを聞きたかった向きがいただろうが、期待外れになったのではないか。

 国家間の約束は重い。また、外交問題には様々な駆引きがあり、軽率な発言で相互の信頼を台なしにすることもある。かといって、沖縄住民の意思に反して過重な基地負担を強制するわけにはいかない。

 この点、菅発言にも前向きな姿勢が見られなかった。就任間もない頃、鳩山首相が国連演説などで、友愛精神、東アジア共同体、架け橋などの言葉を使って新たな日本の役割を説いた。あの高揚感はどこにもなく、まったく貧相である。

 鳩山は、「学べば学ぶにつけ」という幼稚な一言で変節し、自民党の防衛族に言わせれば旧合意案よりはるかに後退した案にまで後退せざるを得なくした。菅はこれを「苦渋の決断」といい、彼本人は「直接これにかかわっていなかった」と弁解がましいことを言っている。

 また、日米同盟のあり方を「大きな理念に立って」と、合意案の保留・凍結の余地をのこすような発言をしているが、11月の沖縄知事選やオバマ来日の日程はすぐやってくる。アメリカに急にそんな話を持ち出せば、うまくいくものもぶち壊しになる。

 瀬踏みの意味で、選挙戦発言の中にある方向を示しておくこともできたはずだ。また、党内にいる県外・国外移転を主張する勢力約100人の票にも期待が持てる。それすらもできないということは、やはり、菅の器量の限界を示すものだろうか。

 沖縄県民の希望を入れ、かつアメリカの信頼をつなぎとめるという大役に、親米派の前原現国交相を副総理級の外務大臣に起用するなど、思い切った施政ができれば、国民も再任支持のしがいがある。しかし、どうやらそらだのみのようだ。

|

« 「戦中・戦後」断片④ | トップページ | 金正日訪中を評価する韓国 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

王様の耳はロバの耳さんとこの記事の中の言葉ですが、、

>『一方菅氏ですが:民主党が政権交代して首相をだした方の主張と思えません。これは彼に替わって谷垣氏が喋っても山口氏が語ってもそれで通ってしまいそうです』<

これ以上に上手く菅直人首相を表現した言葉は無いでしょう。なるほど!と納得。
共同記者会見での菅直人ですが、気になったのは瞬きの回数が多すぎるのですよ。菅首相を見ていると、あの軽すぎる発言を連発した鳩山由紀夫が大人物に見えるから不思議。
小沢に対する金権疑惑で謹慎して3ヶ月で復活するのは納得いかないとの意見もあるが、千人程度のインチキ臭い新聞社の世論調査ではなく、日本の全有権者が参加した1ヶ月前の参議院選挙で示された『菅内閣は駄目だ』の世論の無視は腹立たしい。
枝野幹事長や仙石官房長官など誰一人も責任を取らないでは無責任にも程が有るし、国民世論を無視していることになるでしょう。

投稿: 宗純 | 2010年9月 2日 (木) 16時42分

コメントありがとうございました。

反論ではありませんが異論を申し上げます。

1.瞬きなら東京都知事の方が派手で上手だと思いますが、私は、肉体的な外見、くせで批評することをなるべく避けるようにしています。

2.新聞の世論調査は、一定の調査方法の中で行うという条件下でかなり正確だと思います。各社の数字は別として傾向はほぼ一致します。サンプル数の1000以上というのは、統計学的な誤差の許容範囲を見たものでしょう。記事の中でもたまに使うことがあります。

3.菅人事は、鳩山からバトンタッチされ、代表選までわずかな残存期間を最小限の異動におさえるという方針だったのでしょう。実質的に、一心同体でなくてはならない官房長官を変えただけ(赤松農相は自発的辞任)で、仙石氏は閣内からのよこすべり、幹事長を閣僚から起用ということで、鳩山体制をひきつぐ暫定人事だっと思っています。

投稿: ましま | 2010年9月 3日 (金) 09時59分

石原慎太郎が人気があるのは数々も暴言などでも一言も反省せずに男らしさ(根性)を演出して人気を得ているのですが、・・・
あれ、間違いなくニセモノですね。
『そう、ありたい』と本人が考えて一生懸命に『男らしさ』演技しているのですよ。
多分本当の石原慎太郎はとんでもなく気が小さいのですよ。
昔に青島 幸男に自民党入りして青嵐会加入したことに関して、言動不一致を注意されたら一言も反論出来ずに下を向いて慎太郎が『しゅんたろう』になっていたのを見たときは大笑いしました。
瞬きの多さは精神的な極度の緊張を表していますが、菅直人ですが、あの共同記者会見のようなことは今までなかったのです。

1ヶ月前の参議院選挙とは、安倍晋三首相の時の3年前の大敗とまったく同じ構造ですよ。
前の首相の遺産の衆院300議席と自分の言動が原因しての参院大敗のねじれ国会なのですから。
それなら3年前の論調と同じで無いと辻褄が合わないのですよ。
ところが大違いであるのです。
鳩山由紀夫は枝野幹事長に参院敗戦の責任を取らせて詰め腹を切らせて決着する算段であったようですが、誰かがこの敗北責任を取らないと話は収まらないでしょう。

投稿: 逝きし世の面影 | 2010年9月 3日 (金) 12時03分

なにか故あって?--逝きし世の面影さま→宗純さま→逝きし世の面影さま。

枝野幹事長更迭案は、8/5付でいちはやく当塾が提案しています(笑)。

投稿: ましま | 2010年9月 3日 (金) 14時17分

失礼しました。
PCが幾ら登録しても覚えてくれないので困っています。手書きしていたら先祖がえりしたようです。

『枝野幹事長更迭案』ですが、・・・
不思議なことに菅直人は最後まで絶対に飲まなかったようです。
ましまさんや鳩山由紀夫前首相でなくても、誰でも解決方としては一番正解であると思うのですが、それなら何故菅直人が突っぱねたかの原因を考えると、これはこれで興味深いですね。
何故、最悪の結果が予想されるのに拒否したのか。?
ましまさんは如何、思われますか。?

投稿: 宗純 | 2010年9月 3日 (金) 17時33分

簡単なことだと思います。

小沢支配の密室協議を拒否する意味で鳩山と同じ轍をふまないよう決然と拒否して見せました。4人会談を断りさしの会談にしたのは双方の以心伝心がきかなかったせいでしょう。

脱小沢はマスコミの造語で、ガチンコ勝負も実はなれあいで決めたことかもしれません。小沢が勝った場合はわかりませんが、菅が勝った場合は、枝野更迭ありうると思います。

いすがれにしてもしんどい話です。リベラルの会が自主投票にしたというのも意味深な話で、党内でも先が読めないということでしょう。両人の責任重大です。

投稿: ましま | 2010年9月 3日 (金) 20時34分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/36489772

この記事へのトラックバック一覧です: 期待外れの両候補:

» 菅直人対小沢一郎 究極の選択 [逝きし世の面影]
『小沢一郎を支持するとは、世も末』 護憲左派の身で我ながら、とうとう小沢支持の論調の記事を書く世の中が来るとは、『情け無い』『世の中は変わった』と感慨にふけっています。 小沢一郎ですが、これはもう間違いなく大悪党で大実力者なのです。 小沢がいなければ、日本国は今のような世の中にはなっていないのですよ。 小泉純一郎が郵政解散できたのも反対派に刺客が送れたのも総選挙で大勝出来たのも、その後に皇室とも姻戚関係にある平沼赳夫以外の民営反対派だったはずの議員が小泉首相や武部幹事長に股くぐりの屈辱的な全面屈... [続きを読む]

受信: 2010年9月 2日 (木) 08時05分

» 民衆代表選 共同会見 [王様の耳はロバの耳]
菅氏「首相を選ぶ選挙」=小沢氏「政治主導実現する」―民主代... [続きを読む]

受信: 2010年9月 2日 (木) 09時15分

» 両雄激突〜政権交代から1年〜 [虎哲徒然日記]
「歴史的」な政権交代から1年が経過した。 1年のあいだに、政治は、世の中は変わったことを実感できたであろうか? ほとんどそんなことはなく、迷走が続いただけに過ぎなかったのではないだろうか。 閉塞感は一向に打破されることもなく、失望が折り重なっていく。そし....... [続きを読む]

受信: 2010年9月 2日 (木) 09時54分

» 小沢首相待望論になぜ自信が持てるのだろう [飯大蔵の言いたい事]
 私は小沢待望者ではない。その政治的資質について否定的な見解を持っている。最近書いているものは至近の行動からして今首相を目指すのは矛盾しすぎていると言っている。  だが同時に管首相の言行を支持しているわけではない。ただ、就任からの日が浅すぎるため、変なことを言ってもそれが実現していないために評価を保留しているに過ぎない。... [続きを読む]

受信: 2010年9月 2日 (木) 21時51分

« 「戦中・戦後」断片④ | トップページ | 金正日訪中を評価する韓国 »