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2010年9月 2日 (木)

金正日訪中を評価する韓国

 韓国は。天安艦沈没事件を北朝鮮の仕業と結論付け、国連による制裁を働きかけた。さらに、日本海と黄海で米国と合同軍事訓練を行い、対決色を強めてきた。日本はいちはやく米韓の立場を全面支持し、沖縄の軍事基地を重視する理由づけにも使った。

 その中で金正日は、異例の今年2度目の訪中をした。今度は北京でなく、吉林、長春など東北部、旧満州の心臓部にあたる地区を巡回した。胡錦濤は長春まで出張して歓待し、より一層の経済開放を条件に援助を約束したらしい。

 これを、韓国の李 明博大統領が高く評価した。日本ではあまり報道されておらず、ご存知ない方も多いと思うので、1日付の毎日新聞のベタ記事を紹介する。

  【ソウル西脇真一】韓国の李明博(イミョンバク)大統領は31日、北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記による今年2回目の訪中について「肯定的に評価する。中国式の経済発展を目にする機会が多く、北朝鮮の経済によい影響を与えるだろう。中国の役割も肯定的にみる」と述べた。

 李大統領が今回の訪中について言及するのは初めて。韓国では、哨戒艦沈没事件後の対北朝鮮強硬政策を緩めていくかが焦点となっている。

 もし、日本で同じことを菅総理が言ったなら、中井 洽拉致問題担当大臣あたりが猛反発しただろう。「国連の決定もあり各国が制裁を強化している国へ援助を増やすなどもってのほかだ。中国にも厳重に抗議すべきだ」などと言って――。

 しかし韓国は違うのである。軍艦を沈められ、明日にでも戦争とおどかされ、核やミサイルをひけらかす。しかし日本人の持つ感情とは違うのだ。朝鮮戦争で国土が2度3度の攻防による戦火にさらされ、戦中・戦後を通じて拉致や家族分散の憂き目にあっている人の数は、日本の比ではない。
 
  韓国の新聞は、さすがに揃って大統領発言を載せている。しかし、日本なら当然起こりうる非難の声は聞こえない。これが、韓国なのだ。同じ民族が分断され、中国とも境を接している。理由は何であれ、飢えに苦しみ、社会が混乱し、怒涛のような難民が押し寄せるようなことだけは、避けなければならないと思っている。

 金王朝が世襲であろうと、人権抑圧の独裁体制であろうと、生活水準が向上して格差を縮め、穏健な形で南北の融和が段階的に進められるという秩序が保たれた方がいい。もちろん、そんなうまくいくとは考えていないだろうが。

 しかし、その点では、中国・韓国の利益が一致するのだ。日米韓の緊密な同盟関係だけに依存するのではなく、東アジアに真の安定をもたらす方策をもっと真剣に考えなくてはならない。それがないから、韓国・朝鮮の信頼関係をかち取れないのだ。

 韓国の『中央日報』は、社説でこのところ衰弱が目立つ金正日が、父・金日成が育ち、抗日拠点でもあった同地区を一巡するセンチメンタル・ジャーニに思いを寄せる記事まで書いている。北朝鮮寄りではない右派の新聞でさえそうである。その心情をどれだけの人が理解できるであろうか。

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