« 外交・安保は論点整理を | トップページ | 「戦中・戦後」断片⑤ »

2010年9月 4日 (土)

金正日の偉業とは?

 まず下の引用文をお読みいただきたい。

 北はジレンマに陥っている。変化しなければならないのに、そうすれば体制が滅びてしまうかもしれない、だからといってじっとしてはいられないという状況だ。彼らは〝統制された変化〟を志向し始めている。清津、元山などの港湾都市に中国の例にならった経済特区を作る動きがある。二、三年後には相当な変化を見せるはずだ。

 これは、現在ではない。今から20年前の5月9日付毎日新聞に載った、韓国大統領補佐役金学俊氏がインタビューに答えた内容だ。このころは金日成が存命しており、息子・正日とともに「父子体制」と呼ばれていた。つまり、現在同様、金王朝の王権移譲期にあたる。

 すでにソ連圏の崩壊は始まっており、金学俊氏は後段で「ルーマニアのような民衆蜂起が北で起きるのはむずかしい。そのような事態が南北関係に有利でとも思わない。我々が望むのは北で秩序ある変化が起きることだ」と指摘している。これも本塾が前々回に述べた「金正日訪中を評価する韓国」の内容と全く変わりがない。

 この、正日の代に相当する20年間、功績といえるものがあっただろうか。比較する資料がないのでわからないが、国民の生活が当時より悪化こそすれ向上したとは到底思えない。建国の父・日成の伝説的偉業に比べ、ゼロかマイナスといっていいのではないか。

 強いて挙げれば、核実験とミサイル発射だ。これが国民になにをもたらしたか。国際的非難と、制裁包囲網である。生活苦、経済混乱など、世界水準からの立ち遅れはやはりこれに起因する。到底初代と並び称されるような国民の洗脳は不可能だ。当然、3代目に権威をつなぐことは至難の業といえよう。

 ここに、やたら「北朝鮮の脅威」を唱え、国政に反映させようとする国がある。これが、和平の代償に利用され、正日の功績に数えられるようになるとすれば、その愚かさはたとえようがない。二代目・正日同様、20年間の世界の変化に目を閉ざしたままの思考がそこにあるといわざるを得ない。

 

|

« 外交・安保は論点整理を | トップページ | 「戦中・戦後」断片⑤ »

東アジア共同体」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/36533672

この記事へのトラックバック一覧です: 金正日の偉業とは?:

« 外交・安保は論点整理を | トップページ | 「戦中・戦後」断片⑤ »