« クラスター爆弾禁止条約発効 | トップページ | 暑苦しい夏 »

2010年8月 3日 (火)

アフガン苦戦のツケは日本へ

 NATO(北大西洋条約機構)の一員オランダ軍1700人の大部分が、今月から治安悪化が続くアフガン南部より撤退を開始した。国際治安支援部隊(ISAF)の撤退の流れはじわりと広がっており、約2800人を派遣しているカナダは2011年に撤退させる計画。米国に次いで2番目に多い約9500人を派遣している英国も15年までに撤退させたい考えだ。

 同地域最多の米軍は、ISAFの3分の2にあたる約7万8000人で、オバマ公約により来年7月から撤退を開始することになっているが、その見通しは立っていない。米兵死者は6月60人、7月63人と、すでに開戦以来1000人をこえ、増派以来治安はむしろ悪化している。

 オランダ軍も過去4年間で死者24名、負傷者140名をだしている。 オランダの前政権は、労働党がNATOによる派兵延長の要請を拒否したことで崩壊するというおまけまでついている。本命の敵、アルカイダやタリバン過激派は隣国パキスタン国境地帯に潜んでおり、アメリカは無人機爆撃で民間人の犠牲者をだしいる。このため、友好国パキスタンの国民のうち60%がアメリカを敵視しているという調査がある(ピュー・リサーチセンター)。

 このところ、米国の焦りは相当表面化している。軍内部の強硬派であるアフガン現地指令官の更迭や国内右派の突き上げ、それに当然出てくる米国民の厭戦気分、パレスチナ和平に向けたオバマ外交の限界など、アメリカを取り巻く国際環境は悪化し続け、威信の低下はぬぐい去れなくなっている。

 前々回「アメリカ人の性格」でも書いたが、ことに盟友イギリスの離反による精神的な孤立感は、想像するに余りある。そこで狙い打ちにされたのが、時ならぬ東アジアの緊張で、アフガンの迷路から太平洋艦隊の大演習に関心をそらす重要な役割をはたしている。金正日や潜水艦をひけらかす中国は、この面での功績者といわなければならない。

 2日の衆院予算委員会は、自民党・石破議員が菅首相に沖縄と抑止力の問題を取り上げ、防衛論争を深化させるように論戦を挑んだ。文民統制を堅持するため政治家による議論のレベルを高めるという、同氏の主張は大賛成である。しかし、菅首相の答弁も、アメリカの呪縛から一歩も抜け出そうという気構えがなく、石破ペースで終わった。

 ことに、沖縄普天間基地の移転問題は、10数年前からの懸案であるにもかかわらず、直近の作られた緊張で県外・国外を否定する論理は、小学生でもわかる詭弁であろう。石破論理に正面から反対の論陣を張れる政治家はいない。社・共にいてしかるべきだが無理だろう。たとえいても、政治を動かす力にならなければ無意味である。

 これからも、沖縄基地の実質拡張や、「思いやり予算」、米国製武器整備などを居丈高に要求してくるだろう。「日本を守ってもらっている」という迷妄から目覚めない限り、日本は唯々として従うしかない。またアメリカも防衛予算縮減の折り、それを利用しない手はない。オランダ労働党ような国益最優先の存在が日本にできるのはいつの日になるのか。

(以上、時事ドットコム、毎日新聞、 ポートフォリオ・ベルギーニュース等を参照)

|

« クラスター爆弾禁止条約発効 | トップページ | 暑苦しい夏 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

イラク戦争に突入する頃、ネオコンの主張は「中東に民主主義を」でした。つまり、独裁者サダムフセインを打倒して、イラクにアメリカの民主主義を定着させ、そして中東の王制国家を共和制に変えようとする狙いがありました。結果は完全な失敗に終りました。現在のオバマ政権は、影響力を残して撤退のタイミングを探しているだけです。
今後は、核開発問題でイランへの経済制裁を強めることで中東への影響力を残そうと模索しています。そんなアメリカの愚かな政策に日本政府も積極的に同調しています。いづれはイランとの石油取引をストップすることを迫られるようになります。そうなれば我々の暮らしも影響が起きます。

中東地域との関係は、どうしてブラジル等の資源国と同じように扱えないのでしょうか。その根幹はやはり宗教に対する理解不足があります。「文明間の対話」というのが10年程前に言われました。国連は未だに対話への道を探ろうとしていません。
戦争を回避するのも、核兵器を全廃するのも、殺傷兵器を削減するのも、すべては対立を回避して対話へのテーブルに歩む政治家の絶対的な責任によるものです。経済を理由にするにしても「強い国」などというスローガンが選挙ポスターに堂々と表記される日本。この国の政治家もまた認識不足が甚だしいと痛感しました。今は植民地から搾取して国力を強めるような時代ではないのです。世界が平等に発展するような思想を政治家が持っていただきたいものです。

イラク戦争・アフガン戦争で犠牲になった人々のことを思えば、世界の政治家が他国の文化や文明を理解する努力をすることと、安保理常任理事国などという国連の政治利用を排除して、対立から対話へという新たなシステムが模索されることを願うばかりです。

投稿: ていわ | 2010年8月 4日 (水) 10時21分

日本・イランは「宗教に対する無理解」の問題ではなさそうです。もちろん宗教に対する無関心さについては、世界有数の国柄で、ユダヤ、ムスリム、キリストなどとの関係や歴史的経緯についても、没交渉です。

だからこそ、一方に組みしてはいけないのです。無理に割り込む必要はありません。消極的のようですが、国連とは別に、「お役に立つことがあれば」という立場でいいのではないでしょうか。頼まれれば平和への協力・貢献をケチってはなりません。 

投稿: ましま | 2010年8月 4日 (水) 13時28分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/36008567

この記事へのトラックバック一覧です: アフガン苦戦のツケは日本へ:

» 「野党にいた方が楽だった・・・」と思ってももう遅い! [ちょっと一言]
 孤島(?)生活を余儀なくされていた間は新聞とテレビしか情報源が無く、よく目にしたのが金賢姫の来日だ。トップニュースだしワイドショーでも盛ん [続きを読む]

受信: 2010年8月 4日 (水) 12時50分

« クラスター爆弾禁止条約発効 | トップページ | 暑苦しい夏 »