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2010年8月26日 (木)

小沢氏の代表選出馬

 塾頭は、ダーミーを立てるにしても本人が……というのは「ない」と踏んでいたがはずれた。もうひとつはずれたのは、菅氏が小沢氏に気遣うのをやめ、あえて正面から対決する姿勢をとって、晴ればれとした顔をしていることだ。

 これは、一見支離滅裂の党内意見を、はっきりした意見をかかげて論争するのならば、かつてないことで歓迎しなければならない。ぜひそうあって欲しいものだ。しかし、幅広い支持を得るためには、せいぜい去年の衆院選マニフェストの原理・原則に立ち返るか、それにある程度の修正を加えるかの差にしかならない可能性がある。

 むつかしいのは、日米同盟の見直しと普天間基地移転である。辺野古移転を白紙に戻し、基地の危険性除去プログラムを優先的に再検討するなど、言えるとすれば小沢氏しかいないだろう。菅氏が言うとすれば、鳩山、北澤、岡田など日米合意当時の閣僚の共同責任をクリヤーしなければならない。

 11月の沖縄県知事選やオバマ来日をにらんで菅氏が合意凍結を宣言すれば、小沢氏にとって肝心な争点を失うことになる。これは、旧社会党系、リベラルの会や、新人にも多い基地沖縄県外移転促進派など約100人の票の行方にも関係があり、勝敗を占う重要なキーポイントになる。

 この転換が日米関係悪化に直結するとして、岡田・前原両閣僚などが反発するにしろ、小沢支持に回ることまで考えられない。消費税問題は、参院選敗北の原因としてマスコミが喧伝したが、大きな争点にはならないだろう。

 その他の経済政策も、どちらが短期・中長期にわけた具体的政策が提示できるかといった程度で、そんなに大きな違いがあるとも思えない。官僚制度改革、地方自治についても同様である。もとの自民党政治に戻すというなら別だが、結局は外交・防衛政策と現下の不況対策に目が向くことになる。

 冒頭に述べたが、いまだに小沢氏自身が代表選に自らうって出たのか腑に落ちないのである。マスコミは盛んに国会議員の票読み、何々グループが何人、反小沢派か小沢派かなどに焦点を当てているが、今度の代表選は党の地方組織からポイントは少ないもののサポーターまで投票する。

 当然、より民意を意識した選挙になる。政治とカネの問題、塾頭は、国政を左右するほどのことではないと思っているが、小・鳩双方にかかわり、鳩山の普天間基地問題の変節もあって自ら政治権力を投げだしたばかりである。そして、党は菅氏を代表に選んだ。

 そのほとぼりのさめない中で、小・鳩協力のもとで小沢氏が菅首相を打倒するという。自民党の言うように、景気の二番底が憂慮されている時、政治が不安定になることは直ちに国益を損なうことになる。菅首相の人気は落ちたが国民は続投を支持している。

 そのような中、自民党の派閥の締め付けのような習慣のない民主党議員は、論功行賞に期待もかけられず、より民意に近い投票行動をとるだろう。そうすれば小沢氏に勝ち目はない。かつて小沢氏は首相になったらすぐ解散して民意を問うと公言したことがあるが、そんなことをすれば間違いなく議員数を減らす。

 さらに、小沢氏が勝ったとして得意分野の、水面下の連立構想を持ったとしても、かつて散々煮え湯をのまされた谷垣・自民が応ずるわけがなく、公明も世論の動向を見て足下を見るだろう。みんなの党で、渡辺首相では党内がまとまらない。

 それならば、脱小沢の菅氏に負けて党を飛び出すというのはどうだろう。負け馬に乗る議員はいない。行動を共にするのはせいぜい30人程度か、小沢氏の得票数そのままが脱党要員ではない。小沢自由党の自民連立離脱て保守党が袂を分かった故事がある。かつての小沢手法が通用すると考えるのは時代錯誤である。

 テレビから、「このままでは、党内での求心力を失うしいう追いつめられた思いがあったのではないか」という解説者の声が聞こえてきた。あせって自滅の道をたどるようなやわな小沢氏ではない。しかし、首相から呼びかけがあっても、無視して会わないとか、和解に人事の条件を出すなどの闇将軍ぶりが、結局首相の小沢離れを決定的にし、墓穴を掘る結果を招いたのではないか。再びいう。小沢氏に勝ち目はないだろう。

 なお、鳩山は小沢応援に切りかえたことについて、由民合併を自らの責任で実現したからという、国民に見えない不確かな理由をあげて合理化しているが、「ああ、これが彼の限界なのだ」と妙に納得できた。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

鳩山氏が総理を辞職したところで小沢氏も菅氏も役割を終えたと思っていました。通常なら民主党は世代交替となるのが政治のエネルギーなのですが......。世間では妖怪ブームが話題になっていますが、菅対小沢の妖怪対決は全く不毛だと思います。

投稿: ていわ | 2010年8月27日 (金) 09時05分

ていわ さま こんにちは

妖怪、たしかにそうですね。ただそれぞれがかなり違った妖怪で、仕分けをしてみるのも悪くありません。

まず、小沢。これは第一級の妖怪です。しかし、これまであまり人を脅かしたり、想像を絶する化け方をしすぎたので、もう人に飽きられてしまいました。

つまり、「ああ、またか」と、底を見られてしまったのです。まあ底が割れればいいおじちゃんなんですがね。

 菅は四国で空海の霊場をまわっているうちに、化けることを覚えました。このところ「いわしの干物」に化けていました。目などはそっくりです。

 近々、面目一新の化け方を披露するはずです。これが喝采を浴びればいいが、失敗すすれば「ハイそれまでよ」で、選手交代でしょう。

 鳩山、あれは妖怪ではなくたぬきの赤ちゃんです。下駄に化けてみたものの、しっぽがついたままだったりして。

投稿: ましま | 2010年8月27日 (金) 10時21分

世論調査が投票するわけでもないので、小沢氏の圧勝でしょう。
どうして菅氏が勝つ予想になるのか?分かりません。
参議院選で応援していた候補者が菅首相の唐突な消費税増税発言で落選して、怒り心頭に達しているサポーターも多いでしょう。
私は5対1程度の差で、小沢氏圧勝と思います。
テレビ・新聞・検察・官僚は残念ながら投票できません。

投稿: scotti | 2010年8月28日 (土) 02時33分

塾頭!
鳩山さんは鼠男で、小沢さんは油揚げをお供えしておけば大人しくなる狐で、菅さんはいつも尻尾が見えている狸です。妖怪ですから現世で暴れないように弔ってやるしかないです。いずれにしても総理大臣の器ではありません。

投稿: ていわ | 2010年8月28日 (土) 10時45分

scotti さま

選挙は水ものですから、プロでも正解はありません。特に今回は五里霧中です。

判断の分かれ目として、2つあげておきましょう。ひとつは旧自民党時代のような、組織票、派閥締め付けなどが有効に働くがどうか。もう一つは、議員の投票行動を決定する要因です。

最初にあげたことは、労組、医師会、農民票など、どの候補、党がいいのかわからないような場合、かつては有効に働きました。ご承知のとおり、民主党はグループと称し二股かけた議員もいるなか、無記名投票で誰が誰に投票するか不明確です。

そして、議員が最も恐れるのは、不意の解散です。それを回避するため、また万一解散になったら誰に投票するのが選挙で有利になるか、を考えるでしょう。浮動票の行方が気がかりです。

 以上、マスコミの分析、票読み通りになるとは考えにくい理由です。

投稿: ましま | 2010年8月30日 (月) 10時43分

ていわ さま

妖怪でない政治家などいますかねえ。

いたら、それこそ本当の妖怪だ(笑)。

投稿: ましま | 2010年8月30日 (月) 10時48分

前回の世論調査では鳩山は劣勢で岡田が上でしたが、首相になったら歴史的な高支持率でしたよ。余りあてになりません
今度はもっと異常で、
ネットでの調査では8割が小沢支持で新聞の調査では正反対の菅8割支持。
そして問題の次回総選挙ですが、誰がやっても現有300議席は無理であるのですから3年後の衆参同日選の確率が一番高いでしょう。
菅と小沢の争いですが、外交では違いが小さいが経済では大きく違います。
あの参議院選挙の敗北原因の消費税10%発言ですが、財務省の財政均衡路線の財務官僚の言い分そのもので、あれは恐山のイタコや沖縄のユタと同じ現象で喋っているのは菅直人ですが、財務官僚の生霊が乗り移って菅首相の口を借りて語っているのです。
日本国に独自の『狐つき』や『犬神つき』などの異様な憑依現象ですよ。

投稿: 宗純 | 2010年8月30日 (月) 15時49分

宗純 さま
 政治とカネの問題の内実が、リクルートや佐川急便など性格が異なることや消費税増税への理解など、思ったより国民は冷静な目を持っているように思えます。

 ここが、菅陣営のねらい目で、消費税など経済政策は小沢陣営と決定的対立に持ち込まず、小沢権力志向をそぐことを目的にするでしょう。

 そうすると、普天間など行きづまり現象のある、外交防衛が最大争点になる可能性があるのですが、小沢陣営は、鳩山変節を応援隊に引き込んだため日米合意攻撃がしにくなり、当時主役でなかった菅陣営が、攻勢に出るひとつのチャンスではないか、と思います。

  

投稿: ましま | 2010年8月30日 (月) 22時47分

再びいう。小沢氏に勝ち目はないだろう。

特に今回は五里霧中です。

この二つの言葉矛盾していませんか?

投稿: scotti | 2010年8月31日 (火) 00時38分

scotti さま
矛盾はありません。

「五里霧中」は、複数のプロの予測(ちなみに私はプロでない)を評したものであることは、文意のうえで明白です。仮に私の見解だとしても「正解はない」と「だろう」という推測の間に矛盾は生じません。

今日のニュースでは、小沢さんが立候補をとりやめるとのことですが、私は、マスコミの世論調査で民意が圧倒的に菅有利と報じていることに原因の一端を見ます。

投稿: ましま | 2010年8月31日 (火) 08時34分

どう見ても小沢さん圧勝と思います。
きっと、世論調詐とかも信用出来ないでしょう。
テレビ・新聞の嘘がバレルと思っています。
立候補とりやめもテレビ・新聞の捏造記事ですよ。

投稿: scotti | 2010年8月31日 (火) 22時33分

菅さん小沢さんのどちらが勝っても、今の政治も経済も改善されることはないでしょう。代表選挙でいかなる念仏を唱えても、誰もありがたがらないです。
90年代の政治が動いた時、私は菅さんも小沢さんの秘書や取り巻きとコンタクトをしていました。お互いが似ているのは極めて恣意的な行動が多く組織的な対応が全くできないということです。周囲の関係者の皆さまの心労を察します。メディアにとっては美味しいキャラですね。ご苦労様。

投稿: ていわ | 2010年9月 1日 (水) 21時39分

scotti さま
ていわ さま

なぜか菅氏の身近にいたひと、身内だった(たとえば田中秀征氏など)に、政治家としての資質を云々する人が多いですね。

小沢さんも一心同体のようにふるまっていた(たとえば藤井元財務相なと)人が急に袂を分かつ。両方とも政治家を長く続けていますが、民主党はどうしてそんな人を何度も代表に選ぶのでしょうか。不思議です。

投稿: ましま | 2010年9月 2日 (木) 08時50分

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