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2010年8月23日 (月)

「にほんご」を取り戻せ

 今朝、新聞を見ていて一瞬ギョッとした。「男性の次女が……した。」と書いてある。記事の途中であるが、自宅放火事件報道である。次女が男性であるわけがなく、男性はその家の戸主を指していることはすぐにわかったが、新聞でも放送でも、冒頭から順を追って見聞きするとは限らない。

 プライバシー優先で、犯罪などに関係する報道は、固有名詞を使うかわりに「男性」とか「女性」を使うようになった。この報道の主人公は「次女」である。それを、報道の基本である「いつ」「どこで」を冒頭にもってくるため、「どこで」の家を特定するため持主の「男性」が先に来たのだ。

 そして、その男性と妻も負傷しているとある。本来なら、どこどこで女子中学生が自宅に放火した。中にいた両親は負傷した、と書くべきだろう。どうして、ことさら性別を表す「男性」を代名詞に使わなくてはならないのか。どうして、戸主を性別で特定する必要があるのか。

 同性婚を認めているアメリカの州のようになれば、やたらに「妻」などの字を使えない。それに「次女」などと、家族構成を想像させるような書き方にも疑問が残る。「屁理屈をいう」と嫌われそうだが、江戸時代の瓦版や明治の新聞ならこう書いただろう。

 「○○にある某(なにがし)氏の家で、○歳の娘が自宅に放火した。そのため某氏と配偶者(つれあい)は、傷を負った……」と。カッコ内は振りがなであるが、今ではほとんど死語と化している。かつては、誰にでもすぐにわかる美しい会話のための日本語があった。

 超大手企業が、競って「J○○と」味気のない社名に変えている。「にほんご」の貧困化は目を覆わんばかりだ。 
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コメント

日本語を守るといえば、ゴーんの日産や三木谷 浩史の楽天に続きユニクロが社内の公用語を英語に統一するそうですが、これ等の動きを如何思われますか。?
三木谷 浩史社長は日本人社員に対しても英語で訓示するそうですが、
これは私見ですが植民地根性以外の何ものでも無いと思います。
この人物は、本当に大事な真意が日本人である社員みんなに伝える為には曖昧表現の多い日本語より主語述語関係のはっきりして断定表現の英語が良いと本当に思っているらしいのですよ。
25年前の日航機123便の垂直尾翼を失った機長との会話は管制官の機転で日本の空の公用語である英語から日本語に切り替えられたが、この事実をゴーんや三木谷はどう思っているのでしょうか。

投稿: 逝きし世の面影 | 2010年8月24日 (火) 10時40分

逝きし世の面影さま
コメントありがとうございました。

ゴーンは無国籍者の助っ人だからまだしも、三木谷は、プロ野球の買収、民放の買収とかく人より一歩遅れ。

マスコミ好みの話題は作るが、成功したようにも思えない。日本の株主総会でも英語を使ったのではありませんか。

海外展開する企業の経営者にも批判的な意見がある。人心の機微を軽視し、アングロサクソン第一主義は時代遅れ(営業にどこか1か国語のマスターを義務付ける会社はある)で、失敗するのではないですか。

投稿: ましま | 2010年8月24日 (火) 14時08分

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