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2010年8月21日 (土)

「戦中・戦後」断片①

 当塾では「戦中・戦後」というカテゴリを設けて、随時無原則に記事を書いてきた。口の重かった従軍経験のある人、あるいは沖縄戦体験者・原爆被災者などの証言が増えたが、国民の日常については誤解だらけで、特に高名な(戦後生まれの)歴史専門家にそれが多い。

 あまり肩ひじ張ると書けなくなるので、記憶違いや不正確な出典、独断などその他いろいろな点にはご勘弁をいたたけるシリーズということにしたい。続くかどうかもわからないが、そんな趣旨で、もし経験などコメントくださる方があれば、それも本文に移すなど虫のいいことも考えている。

昭和18年(1943)編(塾頭小6)

[戦況]・2月1日に日本軍がガダルカナル島の撤退を開始。これが太平洋における戦局の主導権がアメリカに移る。4月18日には海軍のカリスマ的存在であった山本五十六司令長官の搭乗機がソロモン島付近で撃墜され、戦死。

 ・その後、北太平洋の飛び石列島、アッツ島の守備隊玉砕(全員戦死)、同じくキスカ島からの撤退、南方のマキン・タラワ両島守備隊の玉砕と続く。陸軍省が「撃ちてし止まむ」のポスター5万枚を配布。国民の戦争参加意識をあおるが手遅れ。

[人的資源]・この言葉が市民権を得たのは、日中戦争の長期化で危機的な様相を呈してきた昭和13年である。「国家総動員法」が議会に上程され、その第一条に「本法ニ於テ国家総動員トハ戦時ニ際シ国防目的達成ノ為国ノ全力ヲ最モ有効ニ発揮セシムル様人的及ビ物的資源ヲ運用スルを謂フ」とあり、人をマテリアルとして扱うようになった。

 ・日韓併合以来、朝鮮人には兵役が課せられていなかったが、8月から兵役法改正施行される。兵隊が足りなくなっちたのだ。台湾は昭和20年度実施を決める。
 ・勤労動員令で、学徒は学業を中止、軍需生産・農業支援等に動員、完全実施に移ったのは翌年度以降か。塾頭が進学した中学も20年には軍需物資(軍装品など)が疎開をかねて教室に山積みされ、登校しても講堂と雨天体操場しか使えなかった。

 ・9月23日、政府は一般事務補助・外交員・受付・車掌など17職種の男子就業を禁止、25歳未満の未婚女子による勤労挺身隊を動員。
 ・10月21日には、よく映像として使われる徴兵猶予の特典を取り上げられた学徒7万人の壮行会が、雨の神宮外苑で行われた。12月24日からは、徴兵適齢年齢を1歳引き下げ、19歳とする。
 
[流行歌]・「“世の中は星にいかりに闇に顔 官に尾を振るボテやくざ 馬鹿者のみが行列に立つ”という歌が流行している。」(清沢洌『暗黒日記』所載) 注:星=陸軍、いかり=海軍、闇=公定価格外で物資を融通するやみ商人。

・♪金鵄上がって15銭 栄えある光30銭 
 それより高い鵬翼は 苦くてからくて40銭
 ああ一億の金はない(紀元2600年替歌) 

 注:金鵄、光、鵬翼(新発売)はたばこの銘柄。金鵄は、戦前戦後「ゴールデンバット」と呼称した大衆銘柄。敵性語追放で「金鵄」になった。

 ついでに敵性語追放に協調したマスコミは、NHK=ニュース→報道、毎日新聞=『サンデー毎日』→『週刊毎日』、『エコノミスト』→『経済毎日』、講談社=『キング』→『富士』。スポーツ界では、野球のセーフ→「よし」、アウト→「ひけ」、ダフルプレー→併殺など。ラグビー→闘球など。

・♪影か柳か勘太郎さんか (「伊那の勘太郎」以下2番)
 ♪菊は栄える葵は枯れる 桑を摘む頃逢おうじゃないか

 注;2番出だしの「菊」は天皇、「葵」は軍部を指し、敗戦を予兆したものという俗説があるが、俗説は俗説。本当らしく聞こえるところがミソ。戦後爆発的に流行した。

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私は昭和19年4月に津田塾専門学校の外国語科に入りました。元々は津田英学塾といったのですが、何しろ(敵性語を勉強するのですから)それでは存続がむずかしくなったため、19年度から理科を新設し、専門学校とあらため、英文科も外国語科と変えられたのです。この時には、すでに文部省の通達で外国人(敵国人)教師は辞めさせられていました。  〔当時の文部省通達〕 昭和18年6月25日  学徒戦時動員態勢確立要綱決定 本土防衛のため学生の軍事教練と勤労動員が法制化される。 昭和19年1月28日  緊急学徒勤労動員方... [続きを読む]

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