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2010年7月30日 (金)

アメリカ人の性格

 アメリカと同じアングロサクソンということで唇歯の間柄であったイギリスが、このところ「世界規模のパートナーではなく、大西洋をはさんだ……」と、距離を置き始めた。イラク戦争につきあわされ、厭戦気分蔓延の中で、アフガンからも期限をまたずに撤退したいという気分になっている。

 それでは、代わりに「太平洋の担当は日本に」ということだろうか、アメリカは、このところ急に対中国抑止論や、ソマリアを含むインド洋での無料給油再開を言いはじめた。「普天間移転は当初案変更は認めず」とか、「グァムの整備が整わず海兵隊移転はおくれる」、「日本は○○億ドルも防衛費を節約できている。思いやり予算を増額すべし」など、米国防省あたりの傍若無人きわまりない声が聞こえてくる。

 一体、アメリカ人の性格はどうなっているんだろうか。日本の官僚や政治家はアメリカに恐れを抱いているというが、日米同盟は、これから果たして対等の立場で見直すことができるものだろうか。アメリカ人の性格について50年前の分析資料を眺め、そこからの変化と今後を考えてみたい。

1.人種をもとにした民族の観点

 最初の移民の波 第1は、イングランド人つまりアングロサクソン。17、18世紀から独立に至るまで続く。彼らは祖国において求められなかった自由を新世界に求めた。この清教徒たちは、今日なおアメリカの精神的中心をなしている。

 第2の移民は、ドイツ、アイルランド系の北欧人。19世紀後半(1840~1880)で勤勉な農民たちで非貴族的。カトリック系の流入となる。駄々っ子の性質、だらしなさ、だぼら、人を煽動する傾向があり、アメリカの大衆迎合政治を特徴づける。19世紀末には、この1、2が合体してアメリカ独自の性格がつくられる。

 そこに、ユダヤ的の、いつも追われている気持ちや深刻な道徳不安がこれに加味される。リンカーン、マーク・トウェーン、エマソン、ホイットマン、エマソンなどアメリカ的偉人も輩出した。

 第3の波は、19世紀の終わりから第一次世界大戦に至るまで(1883~1914)にうち寄せたスラヴ、ラテン系のほかに、ポーランドその他の東欧の人々、それに中国人や日本人など黄色人種で、人種のルツボといわれるようになり、黒人とともに皮膚の色で象徴される生物学的差と文化的背景の違いで、同化されない人たちを内包するようになる。

 以上の分類は、1960年発行の宮城音弥『性格』所載のシーグフリード説であるが、さらにひとつ追加しなければならなくなった。それは、最近目立つようになったヒスパニックと称される人たちである。もともとスペイン語を話す人たちという意もあるが、スペイン人は入らない。メキシコをはじめ中南米諸国からの移住者で、人種というより、黒人やインディオまで含み、貧困階層をなしている。

 彼らは、人口増加率が高く、やがてはアメリカの人口の3分の1を占めるようになるといわれ、オバマ大統領出現もヒスパニック系の支持を得たことによるとされている。それらの人たちが、やがて第4の移民と位置づけられ、アメリカ人の性格に加わるかも知れない。

2.地理的観点

 ひき続き前掲書からの引用で見る。

 アメリカの自然は、とほうもなく大きいし、人口密度も少ない。ヨーロッパの国家主義と社会主義革命すなわち、領土の分割や征服を試みようとする動きおよび富の分配といった運動はアメリカにはみられない。また、あまりにも早く自然を支配してしまったために、自然にうち勝つ自信をもち、自然の法則にしたがうのを拒否する。

 伝統のない広大な大陸で、困ったことはまったくなかった。もし、仕事に失敗すれば、「西部」に向かえばよかった。アメリカ人は個人的成功は既存のワクのなかで可能だと信じていた。(中略)過去にとらわれず、つねに未来を眺めているアメリカ人は、多くの事柄をきわめて単純に考える傾きがある。

 アメリカ人が土地に執着せず、父祖伝来の地という観念のないこと、農民だった者が、労働者になり、さらに事務員や先生になるといった根無し草的性格をもつことは、すべて、以上のような自然的条件と長い歴史をもたないことからきていると考えることができる。

3.近代化と単一化

 アメリカ的性格は、その後機械主義、規格化、大量生産によって、大きな影響をうけた。今日のアメリカは機械化され、生活水準のすばらしく高い事務員国となってしまった。昔の自由主義、個人主義的な国ではなくて、何もかも同一化、規格化、単純化された。

 「合衆国民は共通した生活態度をもち、服をきるにも、歩くにも、話を聞くにも、電話をかけるにも、待つにも、同じやり方をする」こと、「どこへ行っても同じホテル、同じレストラン、同じ列車、同じ料理、同じ新聞雑誌、同じ思想……一言にしていえば、たんに同一の物質的構造のみならず、同一の社会的構造、同一の精神的構造をさえもっている。」ことが認められる。

4.階層による区別

 アメリカの指導階級――階級というより、閉ざされたカストだとシーグフリードはいう――は、創意と能率、人間に対する信頼、サービスの精神、自己優越の意識と低い者に対して道徳的責任を負う態度をもっているが、これは、アングロサクソンという人種的の性質である。

 大衆層には、新教徒の公共心が欠けているが、従順で受身的な規律感が具っている。彼らは万人のみとめた思想に、そのまま従うし、教育の力を信じているが、それはカンヅメを買うように買いうるレディメイドの学問である。

 以上見てくると、この50年間で冷戦終結、アメリカ一国主義、9.11事件の発生、黒人大統領の出現、多極化時代等の外部環境の変化とともに、既述したヒスパニックの顕在化などがあり、特に上記3.と4.には、多様化、格差の拡大というような変化を認めないわけにはいかない。

 しかし、アメリカ人の性格としては、そう大きく変わっていないと思うのだがどうだろう。オバマの「チェンジ」があっても、それほど大きくは動かなかった。性格は変わらなくても、発想を変える柔軟性は、島国の日本よりありそうだ。これからは、むしろ日本人の性格を変えてゆく必要の方があるのではないか。

【参考記事】

http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2014/12/post-0943.html
「モンロー主義」
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2014/12/post-f850.html
「国連とアメリカ」

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コメント

キリスト教やイスラームは一神教ですから神が絶対という考えで、日本や朝鮮半島や中国は儒教的な文化ですから、神ではなく君主に対してつつましく従うという文化になるのではないでしょうか。

日本の場合、戦前は天皇が君主でしたが戦後はアメリカが君主になったということです。これは官僚とか政治家の性格というよりは、日本人のハートに定着している無意識の儒教精神がそうさせているのではないでしょうか。

対等な日米関係といってはみても、君主には絶対に逆らわないとアメリカは理解しています。次なる君主が登場するまでは...

投稿: ていわ | 2010年7月31日 (土) 20時55分

ていわ さま
 一神教の自己主張が強いのはわかりますね。自分の存在は神が作り給うたものでかから。わからないのは、イスラム圏では日本など異教徒=敵であるはずが、パキスタンでは選民の民・キリスト教が支配するアメリカを敵と見る人60%、イランはもとより、エジプト、トルコなどもアメリカに対する信頼度最低というのは、宗教ばかりでない、という気がします。

投稿: ましま | 2010年8月 1日 (日) 06時51分

同じアングロサクソンでも英米では大きく違い、他人に干渉されることを嫌う個人主義の徹底したイギリス人とその正反対で親切心から干渉してくるアメリカ人の例として日本人大学教授が自宅と職場の大学まで運動の為に徒歩で通ったらイギリスでは何も問題は無かったのですが、アメリカでは車にのった見知らぬ人が親切にも毎回『車に乗れ』と熱心に誘ってくる。
毎回毎回断るのが面倒なので、とうとう徒歩通勤を諦めたそうです。
私も何十年も前ですが、フェアバンクスのアラスカ鉄道の駅に深夜についてしまい始発までの6時間ほどを駅で仮眠しようとしたら見知らぬアメリカ人が車を指差し家が近くだから泊まっていけと親切にも誘われる。
此方が始発に間に合わないからと断ると朝になったら駅まで送ってやると熱心に誘われて、この親切心を何とか断るのに苦労した経験があるます。
直ぐ側に違う国がひしめきあう欧州では他人には干渉しないのがルールなのですがアメリカ人は近くに違う国とはメキシコぐらいなので欧州ルールは生まれなかったのでしょうが、今のアメリカですが、この親切心が最悪の形で現れたのでしょうね。

投稿: 逝きし世の面影 | 2010年8月 1日 (日) 16時34分

昔はそうでなかった「隣の人が生きていようが死んでいようが無関心」の日本人と、お節介に過ぎて世界中から嫌われているアメリカ人。
グローバルスタンダードというのは、究極のお節介なのですかねえ。

投稿: ましま | 2010年8月 1日 (日) 21時30分

 数百年の歴史しかない米国などにヘコヘコする筋合いなど最初から無い!!直ちに国交を断絶し、鎖国体制を敷き直す事を視野に入れるべきです!!歴史の古さならば、二千年以上もの伝統を持つ日本のほうが勝るなり!!!(と言っても、中国・インドの半分程度ではあるが…)

投稿: 白田川 一 | 2011年1月25日 (火) 22時54分

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