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2010年7月 2日 (金)

戦時不穏歌謡

 以下「思想旬報」昭和19年第3号(4.30)警保局保安課、『近代市民生活誌』よりの引用です。

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一、不穏歌謡の流布状況(其の一)
 大東亜戦争勃発以後に於ける不穏歌謡の流布状況を概観するに、開戦第一年に於いては緒戦の大戦果並に一般国民の緊張等により一部の工場労務者間に徴用問題を主題とする不謹慎なる歌謡流布せられたる他著しく不穏内容なものは殆んど発見せられざりしが、其の後戦局の不振並に生活の窮屈化等に伴ひ昨春頃より軍事並に生活物資の窮迫化等を主題とする反軍的乃至厭戦的歌謡乃至は不敬内容のもの漸次流布せらるゝに至り、而も其の流布範囲に於ても当初は主として青壮年工場労務者方面に口吟まれつゝありたるが其の後漸次一般青壮年方面に伝播し、最近に至りては国民学校児童等の間に無意識的に之等不穏歌謡を口吟む者を生ずるに至り、時局下民心の動向の一面を現はすものとして治安上注意を要するところなり。
之等不穏歌謡中主として軍事関係のものを摘録すれば次の如し

    ○
一城焼けた 二城焼けた 三城焼けた 四城焼けた
五城焼けた 六城焼けた 七城焼けた 宮城焼けた

    ○
一、腰の軍刀にすがりつき 連れて行きませ
  ソロモンへ 連れて行くのは安けれと
  女乗せない輸送船 オヤホントニホントニ
  ソウナノヨ
二、大佐中佐はじゞくさい と云うて大尉にや妻がある
  可愛い少尉にや金がない 女泣かせの予備学生
  オヤホントニホントニ  ソウナノヨ
三、辛い辛いよ軍隊は  金の茶碗に金の箸
  仏様ではあるまいし 一膳飯とは情ない
  オヤホントニホントニ  ソウナノヨ

    ○
  厭でござんす兵隊は 十日十日の月給も
  僅か一円五十三銭  ○○代にもなりません

    ○
一、粋な角帽や制服を 見るも雄々しい軍服に
  見上る彼の娘が目に涙 知らずや海軍予備学生
二、君に忠義 親に孝 今ぢや御国の楯と散る
  勇む姿の荒鷲に  熱い情の一しづく
三、腰の軍刀にすがりつき 連れて行きやんせ
  ニユーギニヤ 連れて行くのは安けれど
  女は乗せない戦車隊
四、女は乗せない戦車隊 長い黒髪断ち切つて
  粋な兵隊さんに身を替し 主のお側に参りたい
五、貴方散る花若桜  妾しや吹く風春の風
  散つた貴方を胸に秘め 附いて行きたいどこまでも
六、粋な姿に一目惚れ 夜毎夜毎に頬に露
  一人待つ身のやるせなさつれない別れのホトヽギス
七、北の護りの固いのは 困苦欠乏の果て越へて
  アツツ桜の花と咲く 若い血潮が守るのだ
八、大佐中佐は爺くさい 少佐大尉にや妻がある
  可愛い少尉にや金がない 女泣かせの予備学生

    ○
一、多くの人に送られて 人の嫌がる軍隊に
  行くこの身の哀れさよ 可愛い好ちやんと泣き別れ
二、行く先は高田の六七で 其の名も高き機関銃
  嫌な古兵になぐられて 泣く泣く送る日の長さ

    ○
  主が召されて門出の後は 独り淋しい蚊帳の中
  我が子思ひのかげ膳すへた雑煮の冷へた淋しさよ

    ○
  僕は軍人大嫌ひ 今に小さくなつたなら
  お母さんに抱かつて乳呑んで 
  一銭もらつて飴買へる

    ○
一、昨日生れた豚の子が 蜂にさゝれて名誉の戦死
  豚の遺骨は何時帰る 明日帰る帰る
  豚の母さん淋しかろ
二、豚の遺骨が今帰る 豚の母さん丸髷結つて
  豚の遺骨を背負つて行く 並んで行く行く
  豚の母さん元気よく
三、豚の村葬始まつた 豚の母さん涙がポロポロ
  豚の遺骨が三つ並んだ 並んだ
  豚の母さん悲しかろ  

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コメント

水木しげるの自伝的作品の『総員玉砕せよ』をNHKでドラマ化したときの放送中、二度目の玉砕のために行軍する時に全員で『私は♪何でこのような♪ 辛い務めをせにゃならぬ♪ 』と女郎の歌をみんなで歌う場面が一番印象的でした。
わたしゃくるわに咲いた花  昼はしおれて夜に咲く
夜ごと夜ごとのあだ枕  私は何でこのような 辛い務めをせにゃならぬ
これも是非無い  親のため

好きなお客の来た時は  上る階段いそいそと
開けるふすまは夢のよう  取り持つ仲居さん親のよう
私は何でこのような 辛い務めをせにゃならぬ
これも是非無い  親のため

嫌なお客が来た時は  上る階段針の山
開けるふすまは火の扉  取り持つ仲居さん鬼のよう
私は何でこのような  辛い務めをせにゃならぬ
これも是非無い  親のため

唄はさのさかどどいつか  うたの文句じゃないけれど
お金も着物もいらないわ  元の娘に戻りたい
私は何でこのような  辛い務めをせにゃならぬ
これも是非無い  親のため

これも是非無い "国"のため

そういえば立川 談志の発言に『男では最後の死ぬ前、これで最後というときに女のオマンコを見て死にたいと思う奴がいるが、その逆に女で死ぬ前に男のチンポコ見たいと思うものは一人もいない』というのがありました。

投稿: 逝きし世の面影 | 2010年7月 4日 (日) 14時40分

戦時中はなぜかまっ昼間から宴会がよくありました。仕出屋、そば屋の2階とか集会所とか、歓楽街でないところでも。

大声の合唱が外に漏れ、それとはなく子どもも覚えてしまいます。鬱憤晴らしかやけっぱちか、特高の刑事がどこかの隅で歌詞を書き取っている姿を想像するとなんとなく滑稽。

しかし日本の官僚は仕事に忠実ですなあ。

投稿: ましま | 2010年7月 4日 (日) 16時34分

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「ミセス・ロビンソン」はサイモンとガーファンクルがコンサートのオープニングで必ず歌う,言ってみれば彼らの「テーマソング」である.アメリカ映画「卒業」(1967年)の中でも使われた.このアップテンポで軽快な歌の中にアメリカの大きなトップシークレットが隠されているという話をあなたはどこかで聞いたことがあるだろうか?この歌の歌詞を100%理解すれば,この歌と2010年参院選がどう結び付くのかという疑問にも答えを見出すことができるだろう. Mrs. Robinson by Simon and Gar... [続きを読む]

受信: 2010年7月 3日 (土) 21時21分

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