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2010年7月15日 (木)

血迷ったか?田中秀征

 配信されたメールマガジンに、評論家・田中秀征氏によるダイヤモンド・オンライン記事があった。要旨は、

①参院選で「ねじれ国会」再現を予告してきた。
②自民党政権では行政の多くを官僚組織が担っていたが、民主党には、“政治主導”で政権を担当する見識も力量も備わってなかった、つまり政権担当能力が欠如しているのにその自覚がなかった。

 とした上、ねじれ国会を前にして、どうすればよいのかについて次の3条件あげる。

(1)参院選の結果は、実質的に菅直人政権への不信任を意味している。これは否定できない。したがって、ねじれを是正したり、混乱を回避するために、最も望ましいのは、直ちに衆議院の解散・総選挙を実施すること。もし、総選挙で民主党が勝てば、参議院で少数派であっても“直近”の民意に立脚して政権運営がより容易になる。

(2)それができなければ、内閣総辞職によってけじめをつけること。これでも世論は大方納得するだろう。ただ、改造人事ではとても政権運営のための求心力は生まれない。

(3)(1)、(2)を避けるなら、最小限、菅首相の消費税10%発言を全面的に撤回し、首相自ら国民に対して混乱を招いたことを陳謝すべきだろう。

 党の責任がいきなり菅首相の責任に転嫁される。そして野党でも建前論に過ぎない解散・総選挙が最善だとする。それは「総選挙で民主党が勝てば、参議院で少数派であっても“直近”の民意に立脚して政権運営がより容易になる」ということだけである。

 田中氏は、民主党が勝つことを前提にしているようだが、参院選で直近の民意を問うたばかりなのに巨費を使って1年足らず前に選んだばかりの衆議院議員をまた選び直すというのか。国民が望んでいるのは「政権がころころ変わるのはもうたくさんだ。落ち着いた政治をやってくれ」ということだ。

 (1)と(3)では、菅氏の続投もあり得るわけだが、田中氏の真意はそうでないだろう。まだ読んでないが『週刊現代』の広告では、「かつての同志、田中氏は『菅さんに総理の資質なし、辞任すべし』とズバリ」と対談記事の紹介をしている。

 総理の首をすげかえることになれば、国民の気持ちもさることながら、国際的に今度こそ外交上の信頼を一挙に失墜させ、国の安全にも経済にも回復しがたい打撃となり、国力低下は避けられない。「政権担当能力がない」というが、菅さんも田中さんもともに閣僚経験のある人である。また、さきがけ当時の同志がこぞって選出したばかりの総理である。

 その前に、田中氏が「菅氏にその資質なし」という警告をしたということは聞いたことがない。田中さんは民主党応援団だと思っていたが、およそ国政に携わった経験のあるプロの議論とは思えない。民主党系の人は、さきがけや松下政経塾出身者などを中心に、同志の出世をねたむ傾向があるという。そうでないとすれば、あまりにも雑だ。

 その点、同じダイヤモンド・オンラインに掲載された上杉隆氏の記事、「ねじれもまた民意」の方が見応えがある。同氏は、2007年の夏の参院選から一貫して「ねじれ国会」歓迎派であると自称し、ねじれ現象は決して特異な状況ではなく、参院のチェック機能が機能し、よりよい結果を生んだ歴史を例示している。

 そしてさらに、機能不全のジャーナリズムに代わり、政府・行政の不正をあぶり出す効果があるとし、大新聞の牙城となっていた記者クラブ解体に勢力を注いできた上杉氏ならではの主張も盛り込む。要は「ねじれ」が悪いのではなく、本来期待されている参院議の良識より、党利党略を優先する議員のありかたこそ、批判されるべき対象だということである。

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» 盛り上がらなかった参議院選挙と日本共産党結党以来の危機 [逝きし世の面影]
日本の共産党の歴史は、1920年(大正9年)に共産党を名乗った日本最初の思想結社『暁民共産党』が首都の少数の知識人によって結成され、1921年には東京での陸軍大演習に党名入りの反戦ビラを配るなど反戦活動を行うも即座に治安警察法によって弾圧され壊滅する。 88年前の今日、1922年7月15日に日本共産党として当事の進歩的知識層の一部により正式結成され、現在結党以来一世紀近くが経過しているが、今結党以来の危機的な局面に直面しているのかもしれない。 7月11日参議院選挙で前回440万票を356万票に大... [続きを読む]

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