« バル菅政治家脱却を | トップページ | スタジオ入り »

2010年7月 5日 (月)

シリアスな世論のこわさ

 毎週、いやそれ以上の頻度で繰り返されるようになった世論調査。内閣支持率の乱高下、相撲界の賭博事件に対する極端な反応、いろいろあるが、これらはすべてマスコミの「何々は許すことのできない悪」という印象操作によるものと断定できる。

 何故ならば、それぞれの事件・事案の中味を十分検討したり議論する過程を経ず、またそういった時間的余裕のないまま調査が行われている。そしてその設問の多くはイエス・ノーの二元論だ。その結果が錦の御旗となって直ちに社会的、政治的な決着を着けようとする風潮に、これまで経験したことのない「こわさ」を感じる。

 たとえば、「政治とカネの問題は悪」、何が悪なのかほとんど説明がない。言えることは、秘書の不始末に政治家が責任を取らないことだけで、小沢氏の場合その秘書が無罪になる可能性もあるのに、極悪非道の張本人であるかのようにイメージづけられる。

 たしかに小沢氏はかつて自民党田中派に属し、政治利権をいかに資金集めに生かすがで辣腕を振るった先輩のもとにいた。そのDNAをひきずっているとしても、先輩が侵した犯罪が政治生命を奪った事実から厳しい教訓を得ているはずだ。「不正の金は一切受け取っていません」というのが、真実でないという証明は全くない。しかし、マスコミと世論調査は「政治とカネ=悪」で、鳩山・小沢コンビの政権を葬った。

 発足後V字回復した菅内閣がこのところ2桁台の急落ぶりだという各社調査の報告が盛んに続く。その原因を首相の「消費税発言だ」としているが、消費税アップの賛否は拮抗しており、自民党も主張しているのにそれが現れず、反対の社共が伸びたということもないのて断定しかねているようだ。

 もし消費税のせいだとすると、中味の検討なしに「消費税=悪」のイメージが視聴者に埋め込まれ、その線で答えておくのが正義であるかのような回答者の心理が働いたのであろう。組織も金もないみんなの党が、伝統のある公明・共産・社民のはるか上に位置するのも、利権にあぐらをかく官僚は悪、それにしぼって攻撃的な渡辺代表は善、というイメージが支えている。

 それが極端に現れているのが、相撲界の賭博と暴力団の問題である。相撲界の情報通としてよくTVに登場する元NHK記者が、人ごとのように協会を非難しているのを聞くのは憤慨に堪えない。すこし前まで、相撲、芸能界はもとより、政界、警察に至るまで暴力団とある部分でギブ・アンド・テイクの関係があったことは誰でも知っている。また、賭け麻雀、ゴルフのにぎり、花札など一切やったことがないなど、どれだけ自信を持って言えた人がいるだろう。

 今回の事件がよくないことに異論はないが、これで名古屋場所中止をほのめかしたり相撲界全体の存続を云々する、悪の巣窟のようなイメージがどうして急にできあがったのか、不思議でならない。マスコミは世論に反応したというだろう。しかし、マスコミ抜きで世論が即座に自然発生するわけはないのである。

 世論調査の設問は、ちょうどニタク問題の○×方式に似ている。正解はどちらでしょうか、なら悪とされる方を選ばない心理が働く。こうしてマスコミが作り出すシリアスな世論というのは、時により戦争の引き金にもなりかねない。活字文化の衰退がこれに輪をかける。となれば、ネットの一角で蟷螂の斧を振るうしか手がないということになるのか。

|

« バル菅政治家脱却を | トップページ | スタジオ入り »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

相撲界の賭博事件ですが、いけないことだったとはいえ、もっと穏便に、謹慎させる、罰金などで済ませられなかったのか、不思議です。
違法賭博については、いちばん悪いのは胴元でしょう。力士は、相撲界の外のことには疎かったのかもしれませんしね。
地方興行では、暴力団につながりのある人が関わってくることはあるでしょうが、それも興行の世界では昔からあることなので、これまで特にトラブルがなかったのなら、ここで急に問題視するのが不自然に見えます。
暴力団の資金源というなら、覚醒剤とか、大勢に害をもたらしていることが他にあって、そちらを先に取り締まってもらいたいです。

投稿: nessko | 2010年7月 6日 (火) 12時52分

nessco さま、こんにちは。
やくざ(暴力団)というのは江戸時代から合法・違法すれすれのところで生きてきました。

職にあぶれた無宿の青少年を取り込んだり、祭や興業の秩序維持に関与したり、凶悪犯逮捕に協力したり、すれすれの犯罪性を自覚しているだけに、NPOのような仕事で、官だけではカバーできない面を受け持っていました。

しかし、当然守るべき掟が守られず「悪」だけが突出して社会に害毒を及ぼす存在になったからには、その存在は許されません。

頭に来るのは、そういった実態を承知しながら、タブー視して警鐘をならさなかった協会出入りの記者、取締り当局、政官財界幹部たちで、いま頃になって正義漢ぶって相撲界いじめに精出しているみっともない奴らです。annoy
  

投稿: ましま | 2010年7月 6日 (火) 13時48分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/35649559

この記事へのトラックバック一覧です: シリアスな世論のこわさ:

» 盛り上がらない選挙と与党過半数割れの可能性の有無 [逝きし世の面影]
『前代未聞の選挙戦』 参議院選挙が盛り上がっていない。当たり前である。 最大政党(与党民主党)と元与党で最大野党の自民党の違いが分からない。 選挙直前に雨後の竹の子のように次々と駆け込みで出来た保守新党と2大政党との違いとは『名前だけ』の体たらくである。 これでは『新党の名前』が泣く粗製乱造の御粗末な出来上がり。 本来なら最も明確な違いを示して対決軸となるべき日本共産党など護憲左派は、今や一ケタ台の弱小勢力で、目の前の政権構想とは縁遠い。 去年、『変革』を掲げて政権を奪取した民主党であるが、公約... [続きを読む]

受信: 2010年7月 6日 (火) 08時28分

» 出来事デキゴト [出来事デキゴト]
毎日の出来事を紹介します。 [続きを読む]

受信: 2010年7月 7日 (水) 00時22分

» マスゴミの勝利宣言はもう聞きたくない [飯大蔵の言いたい事]
 民主党の議席数が伸びないと開票0%の段階から各局は一致して報道する。そのあげく、管代表の責任論を嬉しそうに幹事長に聞く。これがマスゴミの勝利宣言なのだろうか? [続きを読む]

受信: 2010年7月11日 (日) 23時32分

« バル菅政治家脱却を | トップページ | スタジオ入り »