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2010年6月22日 (火)

大東亜戦争の遠因

 この原因を尋ねれば、遠く第一次世界大戦后の平和条約の内容に伏在している。日本の主張した人種平等案は列国の容認する処とならず、黄白の差別感は依然残存し加州移民拒否の如きは日本国民を憤慨させるに充分なものである。又青島還附を強いられたこと亦然りである。

 かヽる国民的憤慨を背景として一度、軍が立ち上がった時に、之を抑へることは容易な業ではない。
(『昭和天皇独白録』文藝春秋←寺崎英成資料)

 塾頭は、諸資料から見て昭和天皇が平和指向を持っていたことに疑いを持っていない。ことに終戦時、一億玉砕への道を歩もうとした陸軍などをおさえ、国民に直接放送で呼びかけて不毛の混乱をさけ得た功績は高く評価できる。

 しかし、旧帝国憲法で、「第十一条 天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス」「第十三条 天皇ハ戦ヲ宣シ和ヲ講シ及ビ諸般ノ条約ヲ締結ス」とあり、これを第五十五条の「国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責ニ任ス」という条項の下に持ってきて、「戦争責任なし」とするわけにはいかない。

 天皇が「之を抑へることは容易な業ではない」といっているのは、「抑えたかった」の裏返しであろう。しかし、終戦時には「日本国民の憤慨」をなだめることに成功しているから、容易な業ではないが、不可能だったとは言っていない。

 北朝鮮の拉致問題は、政治的に振り回された感が強いが、中国で起きた5年前の反日デモなどとともに「日本国民の憤慨」に仕立て上げようとした向きがなかったとは言えない。また、最近では韓国の天安艦事件などを不安要因として早速安保に政治利用している。

 それに、自衛隊にいた佐藤正久隊長や田母神空幕長などのような手合いが、先走りして軍事行動を起こしたりすると、政権はどうしてもそれをかばう方向に動きがちになる。それをビチッと抑えることのできるのは、文民であり最高指揮官である総理大臣しかなく、明治憲法より疑念ははるかにすくない。

 鳩山前首相と菅首相では、現憲法に照らしてどちらがビチッと抑えることができる人材か、残念ながら塾頭にはよくわからない。 

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コメント

この記事の大昔の出来事に非常に近い話が、今ワシントンで起こっているようです。
米軍最高司令官であるアメリカ大統領を駐アフガン駐留米軍のマクリスタル司令官が名指しで批判して、ホワイトハウスに呼びつけられ謝罪か更迭されるか。いずれにしても只事ではない。
それにしてもアフガンで『2012年に撤退する為に、今は増派する』とのオバマの決定には最初から大きな矛盾を抱えていた。
オバマ民主党政権ですが、日本の民主党が軍事や外交のトップ(官僚)を前政権からそのまま引継ぎ言いなりになっているようにブッシュ共和党政権時代のゲーツ国防長官を引き続き軍のトップに据えたのが大失敗だったようです。
これでは日本の民主党が辺野古を止めれないのと同じ理由でアフガン戦争を止めれないでしょう。

投稿: 逝きし世の面影 | 2010年6月23日 (水) 09時27分

逝きし世の面影 さま
コメントありがとうございます。

日本も鳩山の共同正犯、北沢・岡田を首にしなかった。まあ彼らには、8月末までに沖縄も米軍も納得しそうなアクロバット的な案を作る義務があるので、お手並み拝見かと思ったら、菅さん自身も相当怪しい。

日米同盟深化にアクセルをふかしていますが、日米同盟沈下にアクセルがかかっているのに、戦争やは気がついていないらしい。

投稿: ましま | 2010年6月23日 (水) 11時57分

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