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2010年6月18日 (金)

吹き飛ばない閉塞感

 公表された民主党のマニフェストには、冒頭に「長期にわたってわが国を覆っている閉塞感、将来への漠然とした不安があった」と書いてあります。そして「日本の閉塞感は政策が招いたもの。だから、政策で吹き飛ばすことができます」と結んでいます。

 さあ、皆さん。このマニフェストを読んで閉塞感が吹き飛んだように感じた人はいますか?。「反戦塾」を管理する立場からは、外交・安全保障の項目が最重点です。衆院選の時のマニフェストと較べて見ましょう。はっきり言って後退はあっても、将来に明るい展望を示すものはありません。

 前回の政策集にはあった「専守防衛」という言葉は見あたらず、「米軍再編や日米軍事基地のあり方についても見直しの方向で臨む」が「普天間基地移設問題に関しては、日米合意に基づいて、沖縄の負担軽減に全力を尽くします」と変わりました。

 「東アジア共同体」という言葉は前回どおり残っています。私は鳩山さんが「友愛」と言う言葉とセットで「共同体」を考えているとばかり思っていました。それは、ヨーロッパから戦争をなくしたEUスタート時の画期的構想だったからです。その限りでは「閉塞感」を吹き飛ばすものでした。

 それは、フランスとドイツの最も深刻な戦争の火種として残った国境の確定や石炭・鉄鋼産業の抗争を解消するため、国家主権の一部を「共同体」に移譲してお互いに共通の利益を追求するというところから始まっているのです。もし、こういった方向が確立できたら日米安保のあり方にも大きく影響したでしょう。

 したがって、日・中・韓・アジア諸国などを包括した「経済ブロック」とは全く違うものです。経済ブロックは、第2次大戦前に盛んにおこなわれ、大東亜共栄圏などをはじめ、すでに失敗した時代遅れの方策です。しかし、立案者は、どうも自由貿易協定(FTA)などを中心にした経済ブロックしか頭にないようです。

 「北東アジア地域の非核化」という言葉も残っています。これは、日・韓・北朝鮮の「非核兵器地帯宣言」を目指す民主党の平岡秀夫議員らの活動・構想がペースになっています。日本が北朝鮮の核の脅威にさらされているように思う人がほとんどでしょうが、実際は北や韓国の方がより深刻に考えているはずです。

 したがって、これが実現すれば3国にとって計り知れない利益が生じます。しかしこれには、お互いの信頼関係が築かれなくてはならないのに、実際には、天安艦沈没事件などの緊張を強調して米軍基地の抑止力をいうなど、これとは全く逆方向の施策に走っています。

 普天間移転先の地元の理解・賛成は全く見通しがありません。菅総理は、沖縄県知事の埋め立て認可権限を無効にする特別立法などは考えない、などと言っていますが、これも全く五里霧中です。これでは、「閉塞感」から開放され一挙に吹き飛ぶことなど、言う方が無理な話です。

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受信: 2010年6月18日 (金) 21時33分

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受信: 2010年6月18日 (金) 22時30分

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