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2010年6月21日 (月)

言論封殺の真犯人

 映画「ザ・コーヴ」問題というのがある。相撲界の野球賭博問題が新聞一面トップをにぎわすことがあっても、TVを含めほとんど表だって報道されることがないので、ご存じない方も多いだろう。以前問題になった、中国人監督による映画「YASUKUNI」の上映妨害事件と同じである。

 同じ事が2度繰りかえされることに、言論の自由が脅かされる危機感を痛切に感じるが、今日になってようやく「毎日」に「上映中止を憂慮する」という社説が掲げられた。すべてチェックしきれていないかも知れないが、大手紙では始めてである。

 塾頭もこの映画は見ていないが、報じられたところからその概略を説明しておこう。
 作品は、アメリカの環境保護団体がイルカ保護活動の一環として作成、「大きな秘密を隠す小さな町」というもったいぶったナレーションで始まる。和歌山県の太地町が舞台で、漁民の協力が得られないことから隠し撮り手法を駆使している。

 ラストシーンは、入江に追い込まれた多数のイルカが殺され、海が真っ赤な血で染まる。他の魚介類捕獲の減少を防ぐという説明はなくとも、「鯨肉として販売」など根拠不明の悪意に満ちた説明はつく。これが、3月にアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した。

 この映画は今月26日以降、東京、大阪など全国26館が決まっていた。ところが、これを「反日的だ」とする某民間団体が、そのうちの1館に街頭抗議活動を行う、とホームページで予告、その他の予定館にも外宣活動をかけるなど圧力が加わり、続々と上映中止を決めている。

 映画館だけではない。明治大学と立教大学も計画を中止した。このうち明治大学の資産管理課は、理由を▽上映中止の映画館が出ている▽抗議は寄せられていないが不測の事態も考えられる▽授業や教授陣らの研究に支障をきたす恐れがあると判断したという。

 そして毎日新聞の別面では、同大での上映と出演者の講演会を企画した生方卓准教授(社会思想史)が「憲法で表現の自由は保障されている。しかし、大学は違った立場から判断したのだろう」と述べたと伝えた。言論に敏感であるべき新聞が社説に取り上げるのは当然である。

 ではあるが「憂慮する」ではまだ弱い。2度有ることは3度ある。戦前、言論が封殺されて言った過程を忘れてはならない。右翼の攻撃に端を発した京大の滝川事件は、教授・学生の激しい抵抗にもかかわらず切り崩しにあって瓦解した。今回は、大学はもとより教授や学生に抵抗のあとすら見られない。

 敢えて言おう。今回の上映中止騒ぎの第一の戦犯は、言論が生命であるべき大学である。次いで同様の使命を負うマスコミであるが、今後の発展を期待しておこう。そして第2は、街宣の音の暴力や脅迫を阻止すべき官憲の怠慢である。

 右翼が街宣を言論の手段として合法化していることは知っている。しかし映画館の中まで響かせる音量は営業妨害以外の何ものでもない。言論の手段が言論を妨害することは自由の権利を無視するものだ。韓国が北に向けて大音量のスピーカーを設けただけで戦争触発状態になるではないか。

 警察は、現行犯逮捕しかできない。それが、むしろ街宣車を守っているようで、市民から信用されていないということも大きい。次は3、4がなくて5番目が街宣右翼と、民族差別に手を貸すいわゆる「環境保護団体」だ。日本政府は、相手国がアメリカ、イギリス、オーストラリアであっても、日本民族の持っている価値観を正々堂々と表明すべきだ。南極捕鯨をやめることで相手国と協調を図るなど、姑息の手段はやめにして欲しい。

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