« 『経済学教科書』 | トップページ | 荷風ゆかりの石碑 »

2010年6月14日 (月)

菅総理の及び腰

 読売新聞の世論調査が、菅内閣発足直後の8~9日の64%から、12~13のわずか4日間で59%と5ポイントも下がった。政党支持率もマイナス5ポイントである。新聞世論調査はそのまま信用しかねるものがあるが、このマイナスはさもありなん、と思うのだ。

 それは、発足当時の期待が跳ね上がったにしては、総理の及び腰が目立つからである。施政方針演説では経済・財政・社会保障にそれぞれ「強い、強い、強い」と形容詞をつけて強調して見せたが、言葉が宙を飛ぶだけで中味がなく胸を打つものがなかった。

 当塾が注目した外交・安全保障もそうである。あらためて見直してみても鳩山内閣発足時から見て菅ならではという変化がなく、「普天間基地移設問題では先月末の日米合意を踏まえつつ、同時に閣議決定でも強調されたように、沖縄の負担軽減に尽力する覚悟です」という官僚調そのものである。

 これが、自民党時代から見てどう進歩しているのか見るために、小泉政権末期にブッシュの幕僚であるライス国務長官・ラムズフェルド国防長官と、麻生外務大臣・額賀防衛庁長官が結んだ外交文書「再編実施のための日米のロードマップ」の中味と、今回の「日米共同声明」を読み比べてみた。

 辺野古の「V字型」という文字が消えただけで、違いを探すのに苦労するほどそっくりだ。両文書とも外務省のホームページにあるので時間のある方は見ていただきたい。8月末期限の詳細プランは、「沖縄県民に相談しない」と岡田外相が明言しており、もともと現行案支持だった防衛官僚などが軸になって作るのだろうから、地元の合意どころか理解など得られるはずがない。

 これは、9月に行われる民主党代表選挙に争点として持ち込まれるか11月に予定される沖縄県知事選の結果をふまえて、沖縄の基地縮小(「負担軽減」と同意ではない)に進路を切りかえられるかどうかにかかるが、現状では期待薄で悲観的にならざるを得ない。

 それは、現実重視という菅総理のモットーにもよるが、最近の首相の及び腰発言などが期待した国民の夢をむしばんでいる面もあるだろう。たとえば、参院の議席獲得目標が過半数を割る50議席だったり、沖縄の反発を意識して公認候補を立てない方針を容認したり、また「官僚は大バカですからね」と言っていたのが、今度は「アイディアがほしい」と迎合する姿勢に転化していることなどだ。

 鳩山流の言葉の軽さには国民が愛想をつかした。それよりは、一時のリアクションはあっても、着実に国民の期待をつないでゆく手腕のある首相がいいに決まっている。それを実現できそうな政治家は、いまだにマスコミが集中攻撃の手をゆるめていない小沢一郎しかいないだろう。

 小塾は、選挙にとって代表、幹事長という役職を続けることが民主党にとって決定的にマイナスになることから辞任を期待し続けたが、彼の力量をこれ以上そぐことのマイナスも無視できないと思っている。国民の閉塞感をこれ以上継続させないためには、菅総理がバルカン政治家になるより、打たれ強い信念の政治家像をうち立てることしかない。

 

|

« 『経済学教科書』 | トップページ | 荷風ゆかりの石碑 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

現実重視というか、及び腰というか、
管総理の就任後の発言ですが、聞いていて少しも面白くないですね。
9ヶ月前の鳩山由紀夫に比べれば、各段に落ちる出来栄えです
当時は民主党閣僚の発言や国会答弁が実に興味深く面白かった。良い意味でも悪い意味でも『何を言うか』と目が離せなかった。
以前の自民党総理や閣僚と同じで、日本の優秀な官僚の書いた作文を読んでいるだけではないでしょうか。?
だから面白くも何とも無い。

投稿: 逝きし世の面影 | 2010年6月15日 (火) 09時10分

代表質問の答弁も全く面白くない。ことに普天間問題をあとから起きた朝鮮半島問題に結びつける無機質な答弁は聞くに堪えない。格調もない。
この人、本領を発揮することなどあるのでしょうか。

投稿: ましま | 2010年6月15日 (火) 17時04分

辺野古基地建設の必要性が天安沈没とは・・・トホホ

天安沈没が北の魚雷で日本国内は一致していて、最初からそれ以外の可能性をシャッターアウトしているのですが、
当事国である韓国国内は決して一致していない。
一致していないどころか選挙結果を見ると、国民世論は『北の魚雷』説よりも野党の座礁、衝突説のほうがはるかに多い。
韓国与党支持の新聞は『戦争か平和か』で韓国民は野党を選んだのが原因と主張しているが、
それなら今までの例では必ず安全保障(軍事)の与党ハンナラ党が勝って
緊張緩和、南北融和の野党が負ける。
ですから韓国でも魚雷説が支持されていない。
国連では安保理として事件に『深刻な懸念』の議長談話で南北双方を冷静(対等)に扱って魚雷説は支持されていない。
ところが日本の高須幸雄大使は『結果は明白。韓国側はすべての質問に120%答え、説得力があった。北朝鮮は、何も説明できなかった』と正反対の見解ですが、
韓国側が一次資料を何一つ出さなかった事実を知らないはずが無い。
明白な嘘(作文)ですね。
アメリカのクリントンさんも(官僚作成の)400ページの資料なるものを信じこまされたのですが、日本の管首相も官僚の作る作文を丸呑みさせられているのでしょう。
韓国側の調査報告書は全部でたったの4ページです。
手前を惜しまず自分自身で何度か読み返せば、誰にでも『何か大事な事実が隠蔽されている』と分かるはずなのですが、
多分鳩山さんも管さんも自分自身では読まずに、官僚の説明に頼ってしまったのでしょう。

投稿: 逝きし世の面影 | 2010年6月16日 (水) 11時27分

逝きし世の面影 さま
 リットン調査団のようなものは作れないのですかねえ。韓国側の調査はするけど北にも行って反論の背景を調査する。
 反対する国があればそこが怪しい。鳩山さん、気の毒にアメリカにひっかかって辺野古基地を呑まされた、と北が言っています。

投稿: ましま | 2010年6月16日 (水) 17時36分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/35252603

この記事へのトラックバック一覧です: 菅総理の及び腰:

« 『経済学教科書』 | トップページ | 荷風ゆかりの石碑 »