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2010年6月

2010年6月30日 (水)

最大の抑止力、憲法9条

 「米軍の存在が抑止力」、その言葉を考えれば考えるほどわからなくなります。自爆テロの犯人は、米軍が存在するから攻撃を自制するなどということはありません。むしろ逆に最大の攻撃目標にしています。

 台湾の独立阻止のために中国が侵攻してくるのを、米軍の存在で防いでいる、これも「はてな」ですね。中国はアメリカがいるから軍事行動をとらないのではなくて、最もいい形で平和統一するにはどうすればいいか、そのためには、台中双方にとってウイン・ウインの解決方法をさぐるという方向性はがすでにできています。犠牲の大きい戦争をするメリットは何もありません。

 北朝鮮は困った存在です。金正日の健康と権力の動揺次第で何が起こるか混沌としてきたからです。自壊、暴発、内乱、順調な世代交代、その行方をもっとも心配しているのが中国です。とりあえずは4番目の線でおさまってほしい、すべてはそれからだと思っているでしょう。

 北に鉄の統制力が維持されていればともかく、今は米軍の抑止力が北の動向を左右するような事態になっていないように思えます。ミサイル発射など最悪の事態、暴発を抑えるのは米軍の抑止力なんかでありません。中国の影響力が利くかどうかにかかっています。日米韓の連携は大切ですが、韓国は国境を接し、同じ民族の問題だということで、現在の日本政府と立場に微妙な差があることも意識しておくべきです。

 ちょっと前にグルジア紛争というのがありました。ロシアの介入に対して、アメリカが黒海に軍艦を派遣して牽制するというような事態もありました。前回の記事「アメリカは世界の警察官」的な動きですが、ロシアに対する抑止力効果をねらったともいえます。

 しかし、ロシアは自国民の安全と権益は守り通す意図があっても、アメリカの抑止力を無視して、かつて自ら放棄したソ連衛星国を奪還したいなどとは、思っていないでしょう。どうもこう考えてくると「抑止力」というのは、現実離れした架空の概念として利用されているように思えて仕方ありません。

 そもそもこれは、かつての「軍事バランス論」から生まれてきたものではないでしょうか。最初に比較の対象にしたのは、陸上兵力です。国境を接する2国間では、陸軍2万人より3万人の方が強いという計算をしました。また、第一次大戦後は海軍の軍艦のトン数が軍縮の対象になりました。

 古典的な戦争は、単純にその数で強弱を競うことになります。数のシーソーゲームが限りなく続きます。そして、その数のバランスがとれている間は戦争が起きないという論理もありました。第二次大戦後は核兵器の開発と保有数の競争です。そして、核を持つことが持たない国への抑止力となったことは否定できません。

 冷戦中は、もっぱらアメリカとソ連の核競争となりました。相手の持つ数を上回ることが至上命令です。それが遂に地球全体を廃墟にするほどの量にもなりました。最初は爆撃機で爆弾を運んだものが弾道ミサイルになり、どちらが最初の攻撃を始めても際限のない報復戦となって、最後の勝利者はいないということになりました。

 事実、広島・長崎以降は一発も使われていません。また、米ロ以外の国が使うようなことがあれば、その国は全世界を敵にして袋だたきにあうことを覚悟しなければならないということになります。核保有数で飛び抜けた米ロ2大国は、核弾頭削減の条約を結びどんどん減らしています。

 ただし、両国内には、まだ他の核保有国から見ると断然優位にあるためこれを温存し、そのハンディキャップを国際政治に生かすことを考える勢力が依然として存在します。核の傘に期待をよせる同盟国を引きつけておくメリットもその一つです。核廃絶には遠い道のりがあるわけです。

 長くなりましたが、抑止力や軍事バランスというのは、帝国主義戦争時代の発想に始まり今日まで続いて来たものです。またそれが即「国力」と解された時代もありました。しかし、陸軍兵力だけで計られていた国力は、国土面積、人口、科学技術、経済、環境そして外交能力と、あらゆる要素がからみあって決まるようになりました。

 だから、抑止力とか軍事バランスなどというのは、「もう古い」と言いたいのです。それぞれの国に必要な自衛能力は必要ですが、それがどういう形でどうあるべきかは、それぞれ自国民が選べばいいのです。日本は幸いにして島国で、安全保障上恵まれた環境にあると思います。

 憲法9条を厳守し、自国の防衛はするが、他国に出かけて軍事行動はしない、という国是は第一番の抑止力になると思います。なぜならば、日本国民に強い自衛の意志があり備えがあれば、9条の存在を無視し、大きな損害を覚悟してまで攻め込んでくる国があるでしょうか。

 日米安保条約そのものは、条文として良くできていると思います。問題は、基地問題にかかわる地位協定、集団的自衛権の解釈変更、あとで付け足された条約の精神を逸脱したガイドラインとかロードマップという協定類です。ここでは詳しく触れませんが。本当は安保条約締結50年を迎え、当初の線まで立ち戻って日米関係のありかたを考えるべきではないでしょうか。

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2010年6月29日 (火)

アメリカは世界の警察官

 アメリカは世界の警察官です。東西冷戦終了後、世界でただひとつ、飛び抜けた軍事大国になりました。最近はやや鼻息が弱くなりましたが、米国民はもとより、世界でもそれを認めています。軍事費で見ても09年は6610億ドル(ストックホルム国際平和研究所・SIPRI調べ、以下同じ)と、全世界の半分近く43%を一国で占めています。

 2位は、このところ急増している中国で1000億ドルとされていますが、アメリカの6分の1以下で、ブッシュ前政権から増え続けているアメリカには、とても追いつけるわけがありません。中国もアメリカの世界の警察官にとって変ろうなどと思ってもいないでしょう。

 ついでにいうと、フランスの639億ドル、イギリスが583億ドル、ロシアの推定533億ドル、日本は510億ドルで、年によって順位が変わり得る第3位グループといえましょう。アメリカに守ってもらっている国にしては、決して少なくない日本の水準です。

 このようにアメリカは、世界の警察官としてイラク、アフガン、パキスタンとひとりで頑張っくれています。アフガンはNATOに手伝ってもらっていたのですが、参加国は早く抜けたくてうずうずしています。日本は、インド洋の給油から頃を見計らって「1抜けた」を実現しました。

 アメリカのアフガンの戦死者は1000人を越え、世界同時不況に原油流出など不測の出費かふえる中、世界の警察官を続けることに飽き飽きしていると普通は思うでしょう。しかし、そんなことを考えるアメリカ人は「腰抜け」であり、「愛国者」ではありません。

 アメリカ国民は、この世界の警察官を誇りに思っています。開拓魂、多民族の団結、そして自由と民主主義を世界に普及させるため、星条旗のもと命をかけるのがアメリカ人です。世界の警察官をやめるわけにいきません。膨大な軍事費は、国内軍需産業の命綱にもなっています。

 世界の先端を行くコンピュータ技術も宇宙船開発も、もとはといえば軍事開発からスタートしています。アメリカの繁栄のもとになってるようなものです。世界ナンバーワンを続けるためには、苦しくとも世界の警察官を続けるしかありません。

 そのため、軍事費負担を一部でも肩代わりしてくれる国、本当は戦場まで行って血を流すことまで協力してくれる国を「友好国」とします。議会の感謝決議など出すことなど、おやすい御用で何でもありません。だけど、深い悩みもあります。世界中に悪者がいなくなり、警察官の必要がなくなったらどうしたらいいんでしょう。

 このところ国民国家の戦争というのはすっかり影をひそめてしまいました。だから、国ではなく、テロリストを名指しして戦争をはじめたものの、国ではないので「降伏しました」といって手を挙げてくれる相手がありません。こうして遂に泥沼から抜け出せなくなってしまいました。

 これは、この先大きな教訓となると思います。ただ、警察官はなにも現行犯逮捕だけが仕事ではありません。交通違反や窃盗防止のため目を光らせていることも仕事です。その際、当然犯罪者の気持ちになって訓練を繰り返す「仮想敵国」が必要になります。

 日本と韓国は、アメリカが中国・北朝鮮の「抑止力」になってくれることを期待しています。安保ただ乗り論というのがありました。ソ連健在の頃はたしかにそういったことは理解できます。「抑止力」とは、相手をなぐろうと思うけど、相手になぐり返されるのがこわいからやめておこうという、そういう気を起こさせない力です。

 相手をなぐろうと思っていない国に対しては意味がありません。アメリカは、同盟国が折角そう思っているのだから、あえて否定せず、恩を売っておければいいわけです。アメリカの国内にもアメリカの軍事戦略がこのままでいいと思っていない人が大勢いるはずです。

 日本は、何も古い「世界の警察官」観にただつき従うだけでなく、いろいろ知恵をしぼったり助け船をだしたりできるはずです。それが菅さんが考える新しい「日米同盟の深化」なら、塾頭はその「深化」に心から賛成します。

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2010年6月28日 (月)

東京の個性喪失

 ブログのアクセス解析機能に「地域別アクセス数」というのがある。それが、正確なのかブログに地域特性があるのか塾頭の知るところではないが、小ブログの場合都道府県別で東京がコンスタントに27%前後を占める。人口比が10%だからいかにも過大で、「マンモス・東京」を見る気がする。

 さて、その東京。昭和中頃までは若者のあこがれの都であった。その東京にも町ごとに特徴や気風(きっぷ)を感じ取り、歌謡曲に歌い込んだ。

 東京行進曲・昭4
1番 ♪昔恋しい銀座の柳 あだな年増を誰か知る
3番 ♪いきな浅草忍び逢い
4番 ♪いっそ小田急で逃げましょうか
    変わる新宿あの武蔵野の

 東京音頭・昭7?
  花は上野
  柳は銀座
  月は隅田

 東京ラプソデー・昭11
  銀座→柳
  神田→想い出
  浅草→踊り子
  新宿→ダンサー

 ついでに里謡佃節・江戸時代
  いきな深川
  いなせな神田
  人の悪いのは麹町

【所感】
  最後から。「人の悪いのは麹町」、戦後行政区画変更までは「麹町区」に四谷から永田町、霞ヶ関まで入っていた。「人の悪いのは」江戸時代以上。一向に変わらん。angry

 全国に○○銀座がはやったように、銀座は東京を代表するしゃれた高級商店街であり、洗練された歓楽街であった。現在は、老舗からブランド店へ、さらに量販店にその座を奪われ、中国人買い物客がひしめきあう。若者のあわい恋には無縁のようだ。moneybag

 江戸時代以降「いきな」が東京をシンボライズしているようだ。戦後になっても美空ひばりの唄「東京キッド」は、「いきでおしゃれで」と表現する。しかし最近は、その言葉自体が衰退してしまった。bar

 「粋(いき)」とは、きわめて洗練された心意気と色気があることで、その反対は「野暮」である。「仇(あだ)な」、「いなせな」もやや共通した語感であるが死語になってしまった。それをくどくど解説するのは野暮になるのでやめておく。boutique

 ただ、「あだな」は女盛りの女性専用であり、「いなせな」はあとに「お兄ちゃん」が似つかわしい。現在それに相当する町があるだろうか。いずれも若者が作り出す活力がなければ生まれてこない。原宿でも、秋葉原でもいい。また、川向こうのスカイタワーあたりも候補だ。shine

 東京都庁や歌舞伎町を擁し、まとまりを欠くモンスターのような町・新宿は、すでに東京行進曲で予言されていたようだ。選挙演説中、駅前で都知事に「お前ら帰化人か!」と怒鳴られるようでは……。moon3

♪シネマ見ましょうか お茶のみましょうか
いっそ小田急(おだきゅ)で 逃げましょうか
変る新宿 あの武蔵野の
月もデパートの 屋根に出る

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2010年6月26日 (土)

候補者の反戦度

 「毎日ボートマッチ」参院選版がスタートした。選挙は政党で選ぶといっても、大政党特に民主党は、外交防衛政策で180度違う意見を持つ候補がいる。比例区では投票者の意向を結果に結びつけるのがなかなか困難なため、意見のもっとも近い小政党に投ずる方が確実になる(ただし、当選者ゼロでは死票になる)。

 それにひき換え、地方区では、1人区で所属する党を選ぶのか、個人の政見を重視するのかの選択、2人区以上で同じ党から複数候補が出る場合に、どの候補の方が自分の意見に近いかをチェックするため、「毎日ボートマッチ」はきわめて便利だ。

 当塾では、試みに「毎日」のアンケート結果の中から「反戦度」をはじきだして見ることにした。もちろん塾頭独善の評価基準で、ゼロを中心に点数の多い方がいい。評価点の理由も(…で)付け足しておいた。

評価点
1.改憲を進めるべきか 賛[0]、否[0]
 …反戦のため改憲すべてを否定するのは硬直的すぎる。
2.憲法9条改正 賛[-3]、否[4]
3.集団的自衛権の政府解釈 現状で[3]、見直し[-3]

4.日本の核武装の検討 不可[0]、視野[-2]、保有[-4]
  …核の傘や核軍縮を議論するうえで、検討・研究まで忌避するのは前向きといえない。保有は論外。 
5.日米安保条約 多国間[0]、現状維持[1]、友好条約[0]、協力強化[-2]、破棄[-2]
 …「現状維持」は、地位協定改定は別として考えた。破棄は別の戦争原因を生む。その他の新条約は夢想的

6.政府の対北朝鮮政策 妥当[-1]、圧力[-2]、対話[2]
7.靖国神社のあり方 現状維持[-1]、A級分祉[2]、非宗教法人化[2]、別施設[1]
 …戦争反省のバロメータ。神社そのものは文化遺産でA級分祇なしの首相、天皇参拝は不可という立場

8.普天間の移設先 県内辺野古[-2]、県外[1]、国外[2]
 …これから6年先のことをにらんで国外を評価
22.永住外国人への選挙権付与 賛[2]、否[-2]
 …戦争原因となる排外主義、人種差別等はマイナス要因
他.無回答は無定見と見[-1]、別回答は内容不明のため[0]
   
 以上で塾頭の地元選挙区の反戦度を見ると次のようになる。

民主A -1、4、3、0、0、-1、1、1、-1    計  +6
自民A 0、-4、-3、0、1、-2、-1、-2、-2    -13 
みんな 0、-4、-3、0、1、-2、-1、-2 -2   -13
幸福実 0、-4、-3、-2、-2、-2、-1、-2、-2   -18
自民B 0、-4、-3、0、1、-1、-1、-2、-2    -12
民主B 0、4、3、0、-1、-1、1、1、2        +10
共産  0、4、3、0、0、-2、1、2、2         +10 
改革  0、-4、-3、-1、0、-1、1、1、-2      -10
創新  0、-4、-3、-2、-2、-2、-1、-2、-2    -18

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2010年6月25日 (金)

うちなー

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 江南、いや江北?で清談雅遊のブログを主宰されている「狸便乱亭」主人の記事に、次のようなコメントを呈上した。

おはようございます。
今日ははよから、サッカー一色です。北朝鮮はサッカーを蹴球という、とどこかに書いていましたが、日本もかつてはそういっていた。

みんな遠い忘却の彼方に飛んでいきます。「うちなーぐち(沖縄言葉)」と書いて、今気がついた。「うちなーぐち」というのは、「うちらの」口という意味かと思っていたが、「ウチナー=オキナワ」ではないかと。

普天間移転も、「うちなー」も「なんくるなるさ=(なんとかなるさ)」という空気がないとはいえないようです。その諦観がまた沖縄の悲哀をかきたてます。

 「狸便乱亭」記事は、「沖縄慰霊の日」と題してあった。沖縄出身の宮里藍さんが米国ツアー今季4勝目で世界ランクの首位に立った快挙との関連から慰霊祭に触れ、次のように書かれている。

 沖縄戦から比べれば、わが村の爆撃の惨状などはその比ではあるまい。しかし、あの日(1945年6月10日)あのときの状況は町民として後世に伝えなくてはなるまいと思った。残念ながら、今では町民も殆どこの日のあったことを忘れ去っている。

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2010年6月24日 (木)

ここまで変われる「大転換」

 「《新政権で何が変わるか何を変えるか》大転換」という題で、雑誌『世界』が臨時増刊号を発行したのは去年12月1日付である。それから半年余りでこうも変わってしまった。その「こうも」は、末尾の小塾記事でたしかめてもらいたい。

 以下、引用するインタビュー記事の中味は誰あろう、北澤俊美防衛大臣である。

 国連を中心とした活動の中で、ややもすればアメリカだけが先走るという現象が非常に多く見られるのは、アメリカ自身が、実は何を引き起こしているのかあまり自覚していないのではないかと思うのです。
 「世界の警察官」と言いましたが、一刻も早く紛争を治めるのは自分たちの責任だという自覚は理解できます。その行為が逆に世界の不安を煽っているという自覚を促す役割を、日本はしなければいけない。

 おお、立派!。アメリカのいいなりどころか、お説教のひとつもしようという心意気。日本人も誇りを持てるようになったものです。

 辺野古へも行きましたが、ここはすばらしい、美しい海で、紛れもない日本の財産です。果たしてこれを埋め立てて基地に提供していいものでしょうか。

 沖縄県民は感激しました。やっとわかってくれる人に防衛大臣をやってもらえる時代が来たのだ!。

 シビリアン・コントロールについては神経質すぎるほど神経質に考えるべきであるから、このたびの中央組織改編についてはいったん立ち止まってもらいたい。
 ただ、私もびっくりしたのは、制服の先輩も現職の幹部も、田母神問題については大変な危機感と批判を持っていることです。彼の行ないは、長い間自衛隊が屈辱の中でここまで育ってきたのに、それを一瞬にしてうち砕くようなものだった、と言っていました。こうしたバランス感覚、常識のようなものをぜひ大切にしていきたいと考えています。

 ハハーン、なるほど。結局、「バランス感覚、常識のようなもの」にやられてしまったわけですね。

追記 菅直人氏、過去の発言(共産党のチラシによる)

01年7月 「(沖縄の米軍基地は)すべての基地をなくす…、まずは相当部分を占める海兵隊は即座に米国内にもらっていい。民主党が政権をとれば、しっかりと米国に提示することを約束する」(那覇市での演説)

03年7月 「米海兵隊は沖縄に必ずしも存在しなくても、日本の安全に大きな支障はない」「国内移転よりハワイなど米国領内への移転が考えやすいはずだ」

06年6月 「海兵隊は(日本を)守る部隊ではありません。地球の裏側まで飛んでいって、攻める部隊なのです」「沖縄に海兵隊がいるかいないかは、日本にとっての抑止力とあまり関係のないことなのです」(講演『マスコミ市民』7月号より)

参考エントリー

鳩山変節の裏側
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-e4f8-1.html
吹き飛ばない閉塞感
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-0a5c.html
気になる「深化」の意味
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-9af3.html
谷垣に劣る菅・安保感
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-c149.html

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2010年6月23日 (水)

谷垣に劣る菅・安保感

 頭の中味は空っぽで蹴飛ばすと大きな音を立ててどこえでも飛んでいく……、「空きかん」とは、イラ菅に変えて官僚がつけたあだ名だそうだ。官僚バッシングには批判的な小塾ではあるが、このところの新内閣主導の官僚復権の動きにはあきれかえっている。

 官僚が菅総理を与しやすしとみて、主導権を奪い返したとはとても思いたくない。また菅氏がそんなナメられた存在であってほしくはない。しかし、昨日行われた9党首討論会では、安全保障について鳩山前首相の「学べば学ぶにつけ」発言や、旧自民党政権と同じかそれ以下の発言しか聞けなかった。これも官僚主導だろうか。

 今日は沖縄慰霊の日である。菅首相が訪問するが、今後も君子豹変する可能性は甚だ薄い。菅の安保感は、空き缶程度だと言われそうだ。党首討論では、すでに明らかにしている「日米合意」尊重が繰り返された。問題は米軍抑止力や日米同盟の位置づけでである。

 菅首相は、アジアの安定・日本の安全に関して、北朝鮮や中国の脅威をあげ、日・米・韓の3国の緊密な関係維持を再三強調した。それに対して同席した谷垣自民党総裁が「中国が脅威とならない方策を考えなくてはならないのではないか」という趣旨の発言をしたのが印象深かった。右傾化公約に傾きがちの自民党ではあるが、これは正論である。

 さらに、菅安保感の中に誰にでもわかるようなすりかえが2つある。最初は、他の各党の追求や記者からの質問に、菅氏のかつての安保や基地関係の発言からみて大きな方針転換ではないか、と言われたことに対し、「東西対立はなくなったが、9.11以来の中東・アジア情勢、北の核実験・韓国艦の撃沈事件、中国の軍事費増大など、最近は緊張が高まった」とし、抑止力の重要性を説いた。

 しかし、菅氏の言説が変わったのはそんな以前からのことではなく、逆に普天間の辺野古移設を固めた時点では、韓国天安艦はまだ沈没などしていなかった。こんな論理の甘さしかないようなら、予算委員会などはとても持たなかっただろう。

 もうひとつは、海兵隊の抑止力である。そもそも沖縄になぐりこみ部隊である海兵隊を置いておく意味を問われたことから議論は始まってる。それを、「一部隊がどうのという問題ではなく、米軍の他の部隊を含めた全体で抑止力が構成されている」「最近のアジア情勢などから見て抑止力は非常に重要で、東南アジアなども日米同盟に期待している」「したがって、普天間の移転先は辺野古しかない」、こういうのを三段論法といい、問題のすりかえ以外のなにものでもない。

 そのようなあやふやな論理で、沖縄県民に「基地を一つ減らすが海を埋め立ててでももう一つ増設するから我慢しろ」とでもいうのだろうか。「アメリカのいいなり」にむしろ箔をつけた格好だ。そもそも、抑止力論そして菅首相のいう「バランス・オブ・パワー」論など、最近は世界的に見て時代遅れになってきていると思うが、それはまた稿を改めたい。

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2010年6月22日 (火)

大東亜戦争の遠因

 この原因を尋ねれば、遠く第一次世界大戦后の平和条約の内容に伏在している。日本の主張した人種平等案は列国の容認する処とならず、黄白の差別感は依然残存し加州移民拒否の如きは日本国民を憤慨させるに充分なものである。又青島還附を強いられたこと亦然りである。

 かヽる国民的憤慨を背景として一度、軍が立ち上がった時に、之を抑へることは容易な業ではない。
(『昭和天皇独白録』文藝春秋←寺崎英成資料)

 塾頭は、諸資料から見て昭和天皇が平和指向を持っていたことに疑いを持っていない。ことに終戦時、一億玉砕への道を歩もうとした陸軍などをおさえ、国民に直接放送で呼びかけて不毛の混乱をさけ得た功績は高く評価できる。

 しかし、旧帝国憲法で、「第十一条 天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス」「第十三条 天皇ハ戦ヲ宣シ和ヲ講シ及ビ諸般ノ条約ヲ締結ス」とあり、これを第五十五条の「国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責ニ任ス」という条項の下に持ってきて、「戦争責任なし」とするわけにはいかない。

 天皇が「之を抑へることは容易な業ではない」といっているのは、「抑えたかった」の裏返しであろう。しかし、終戦時には「日本国民の憤慨」をなだめることに成功しているから、容易な業ではないが、不可能だったとは言っていない。

 北朝鮮の拉致問題は、政治的に振り回された感が強いが、中国で起きた5年前の反日デモなどとともに「日本国民の憤慨」に仕立て上げようとした向きがなかったとは言えない。また、最近では韓国の天安艦事件などを不安要因として早速安保に政治利用している。

 それに、自衛隊にいた佐藤正久隊長や田母神空幕長などのような手合いが、先走りして軍事行動を起こしたりすると、政権はどうしてもそれをかばう方向に動きがちになる。それをビチッと抑えることのできるのは、文民であり最高指揮官である総理大臣しかなく、明治憲法より疑念ははるかにすくない。

 鳩山前首相と菅首相では、現憲法に照らしてどちらがビチッと抑えることができる人材か、残念ながら塾頭にはよくわからない。 

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2010年6月21日 (月)

言論封殺の真犯人

 映画「ザ・コーヴ」問題というのがある。相撲界の野球賭博問題が新聞一面トップをにぎわすことがあっても、TVを含めほとんど表だって報道されることがないので、ご存じない方も多いだろう。以前問題になった、中国人監督による映画「YASUKUNI」の上映妨害事件と同じである。

 同じ事が2度繰りかえされることに、言論の自由が脅かされる危機感を痛切に感じるが、今日になってようやく「毎日」に「上映中止を憂慮する」という社説が掲げられた。すべてチェックしきれていないかも知れないが、大手紙では始めてである。

 塾頭もこの映画は見ていないが、報じられたところからその概略を説明しておこう。
 作品は、アメリカの環境保護団体がイルカ保護活動の一環として作成、「大きな秘密を隠す小さな町」というもったいぶったナレーションで始まる。和歌山県の太地町が舞台で、漁民の協力が得られないことから隠し撮り手法を駆使している。

 ラストシーンは、入江に追い込まれた多数のイルカが殺され、海が真っ赤な血で染まる。他の魚介類捕獲の減少を防ぐという説明はなくとも、「鯨肉として販売」など根拠不明の悪意に満ちた説明はつく。これが、3月にアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した。

 この映画は今月26日以降、東京、大阪など全国26館が決まっていた。ところが、これを「反日的だ」とする某民間団体が、そのうちの1館に街頭抗議活動を行う、とホームページで予告、その他の予定館にも外宣活動をかけるなど圧力が加わり、続々と上映中止を決めている。

 映画館だけではない。明治大学と立教大学も計画を中止した。このうち明治大学の資産管理課は、理由を▽上映中止の映画館が出ている▽抗議は寄せられていないが不測の事態も考えられる▽授業や教授陣らの研究に支障をきたす恐れがあると判断したという。

 そして毎日新聞の別面では、同大での上映と出演者の講演会を企画した生方卓准教授(社会思想史)が「憲法で表現の自由は保障されている。しかし、大学は違った立場から判断したのだろう」と述べたと伝えた。言論に敏感であるべき新聞が社説に取り上げるのは当然である。

 ではあるが「憂慮する」ではまだ弱い。2度有ることは3度ある。戦前、言論が封殺されて言った過程を忘れてはならない。右翼の攻撃に端を発した京大の滝川事件は、教授・学生の激しい抵抗にもかかわらず切り崩しにあって瓦解した。今回は、大学はもとより教授や学生に抵抗のあとすら見られない。

 敢えて言おう。今回の上映中止騒ぎの第一の戦犯は、言論が生命であるべき大学である。次いで同様の使命を負うマスコミであるが、今後の発展を期待しておこう。そして第2は、街宣の音の暴力や脅迫を阻止すべき官憲の怠慢である。

 右翼が街宣を言論の手段として合法化していることは知っている。しかし映画館の中まで響かせる音量は営業妨害以外の何ものでもない。言論の手段が言論を妨害することは自由の権利を無視するものだ。韓国が北に向けて大音量のスピーカーを設けただけで戦争触発状態になるではないか。

 警察は、現行犯逮捕しかできない。それが、むしろ街宣車を守っているようで、市民から信用されていないということも大きい。次は3、4がなくて5番目が街宣右翼と、民族差別に手を貸すいわゆる「環境保護団体」だ。日本政府は、相手国がアメリカ、イギリス、オーストラリアであっても、日本民族の持っている価値観を正々堂々と表明すべきだ。南極捕鯨をやめることで相手国と協調を図るなど、姑息の手段はやめにして欲しい。

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2010年6月19日 (土)

気になる「深化」の意味

 昨日の「吹き飛ばない閉塞感」の続きです。民主党マニフェストには、外交・安全保障の項目の最初に「●総合安全保障、経済、文化などの分野における関係を強化することで、日米同盟を深化させます」と書いてあります。「総合安全保障」とは何でしょう。また唐突にでてきた「文化」とはどういう関係があるのでしょう。まさか、日本文化を同盟の深化でアメリカナイズしようということではないと思いますが……。

 「深化」という言葉は、前のマニフェストにはなかった言葉ですが、首相の所信表明演説の中にはありあります。また、首相が決まる前に発表された5月28日の「日米共同声明文」にすでに出てきます。

 SCC(日米安全保障協議委員会=岡田外相、北沢防衛相、クリントン国務長官、ゲーツ国防長官)構成員たる閣僚は、日米同盟を21世紀の新たな課題にふさわしいものとすることができるよう幅広い分野における安全保障協力を推進し、深化させていくことを決意した

 したがって「深化」は、首相の発案ではなかった可能性が強いのですが、「幅広い分野」の中に「文化」が入るとすると、安全保障に対する日本人の平和指向意識を変えさせる意味にもとれ、空恐ろしくなります。

 60年安保の時、岸首相は「日米軍事同盟だ!」という野党の追及に対して「第2条に経済協力をうたっており軍事同盟ではありません」という主旨の答弁をしたことを覚えています。以来「同盟」という言葉は、敬遠され「日米安保」で通してきましたが、小泉政権の頃から意識的に「同盟」を復活させたのではないでしょうか。

 同盟をたてにアフガンやイラクへの自衛隊の協力は「当然」、という雰囲気を作りたかったのでしょう。また、安倍内閣の頃には集団的自衛権の解釈変更とか憲法改正を強く言い出しはじめました。そのアフガンは先月末現在で米軍の死者は1000人を越えています。アフガンの民間人の死者は、最近は無人機の遠隔操作爆撃でうなぎのぼりになっており、パキスタンを含めとても何10倍ではすまないでしょう。

 アメリカの「テロとのたたかい」は、いつ果てるこなく続いています。オバマ大統領もよく使う言葉で、日本では「テロ防止」のような感覚で受け止められていますが原文は War on Terror、つまり戦争です。1978年の米軍再編、新ガイドライン以後、米軍、自衛隊の合同訓練など一体化が進んでいます。

 それを「深化」させて、即、憲法違反の「テロ戦争」に付き合わされるようではたまりません。50年続いた安保体制の中で育ち、それが当たり前のような感覚でいる強靱な官僚群がいます。内閣総理大臣の首さえすげ替えてしまいました。国民はよほど肝を据えて、場合によれば暴動を起こすぐらいの覚悟で「深化」の行く先を監視しなければなりません。 

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2010年6月18日 (金)

吹き飛ばない閉塞感

 公表された民主党のマニフェストには、冒頭に「長期にわたってわが国を覆っている閉塞感、将来への漠然とした不安があった」と書いてあります。そして「日本の閉塞感は政策が招いたもの。だから、政策で吹き飛ばすことができます」と結んでいます。

 さあ、皆さん。このマニフェストを読んで閉塞感が吹き飛んだように感じた人はいますか?。「反戦塾」を管理する立場からは、外交・安全保障の項目が最重点です。衆院選の時のマニフェストと較べて見ましょう。はっきり言って後退はあっても、将来に明るい展望を示すものはありません。

 前回の政策集にはあった「専守防衛」という言葉は見あたらず、「米軍再編や日米軍事基地のあり方についても見直しの方向で臨む」が「普天間基地移設問題に関しては、日米合意に基づいて、沖縄の負担軽減に全力を尽くします」と変わりました。

 「東アジア共同体」という言葉は前回どおり残っています。私は鳩山さんが「友愛」と言う言葉とセットで「共同体」を考えているとばかり思っていました。それは、ヨーロッパから戦争をなくしたEUスタート時の画期的構想だったからです。その限りでは「閉塞感」を吹き飛ばすものでした。

 それは、フランスとドイツの最も深刻な戦争の火種として残った国境の確定や石炭・鉄鋼産業の抗争を解消するため、国家主権の一部を「共同体」に移譲してお互いに共通の利益を追求するというところから始まっているのです。もし、こういった方向が確立できたら日米安保のあり方にも大きく影響したでしょう。

 したがって、日・中・韓・アジア諸国などを包括した「経済ブロック」とは全く違うものです。経済ブロックは、第2次大戦前に盛んにおこなわれ、大東亜共栄圏などをはじめ、すでに失敗した時代遅れの方策です。しかし、立案者は、どうも自由貿易協定(FTA)などを中心にした経済ブロックしか頭にないようです。

 「北東アジア地域の非核化」という言葉も残っています。これは、日・韓・北朝鮮の「非核兵器地帯宣言」を目指す民主党の平岡秀夫議員らの活動・構想がペースになっています。日本が北朝鮮の核の脅威にさらされているように思う人がほとんどでしょうが、実際は北や韓国の方がより深刻に考えているはずです。

 したがって、これが実現すれば3国にとって計り知れない利益が生じます。しかしこれには、お互いの信頼関係が築かれなくてはならないのに、実際には、天安艦沈没事件などの緊張を強調して米軍基地の抑止力をいうなど、これとは全く逆方向の施策に走っています。

 普天間移転先の地元の理解・賛成は全く見通しがありません。菅総理は、沖縄県知事の埋め立て認可権限を無効にする特別立法などは考えない、などと言っていますが、これも全く五里霧中です。これでは、「閉塞感」から開放され一挙に吹き飛ぶことなど、言う方が無理な話です。

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2010年6月17日 (木)

高松宮と東条英機

 十月十七日 晴
  (前略)夕刻、東條陸相に組閣御命じあり。意外にも思つたがよく考えれば、それをそのつもりで考へ居る人には自然の帰結かも知れぬ。当然とも思へることだつた。そしてうまくやつたなと云ふ感じと、これで国交調整もだめ、とうとう開戦と決まつた気持ち。(後略)

 十二月八日[続き]
  (前略)夜、一九三〇頃にボツボツ機動部隊、台湾等の既報来り、パールの戦果大成功にてよろこぶ。
 「ガム」はやりすぎる位に爆撃ス。
 「ウェーキ」も甘くいつた。
 第七駆逐艦隊ノ「ミッドエイ」砲撃も焔上させた。
 東條首相の詔勅発表直後の話は、文も話振りも上出来。(後略)

 以上は、昭和16年(1941)『高松宮日記第三巻』より。12月8日は開戦の日であるが、これより前、11月30日に参内、陛下に、海軍は戦争遂行に不安あり出来れば日米戦争を避けたい意向と言上されている。高松宮は海軍軍令部出仕で、昭和16年は中佐であった。

 次は、敗色が濃くなった昭和19年6月13日、高松宮は天皇にこう詰め寄った。(川越重男『かくて太平洋戦争は終わった』による)

 (前略)たとえば、東条内閣について、各方面でたいへん評判が悪いということもご存じありますまい。私のおります海軍でもそうです。このまま放っておけませんから東条を辞めさせ、陸軍皇道派の将軍達と海軍の連携で内閣をやらせたらどうか、と近衛などは考えております。(後略)

 近衛の側近であった細川護貞によると、高松宮は東条暗殺まで口にしたということで、議会内からも重臣の平沼騏一郎や米内光政、閣内の岸信介らへの工作が進み、またサイパンの戦局悪化も加わって木戸内大臣からも見放され、7月18日に政権を投げださざるを得なかった。

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2010年6月16日 (水)

鳩山変節の裏側

 「最低でも県外」から「辺野古周辺」に大きく舵を切った《鳩山変節》について、小塾は5月8日付エントリー「抑止力を学ぶ」で外務・防衛官僚の工作に目を向けた記事を書いた。また、どこかのコメント欄に「両省の官僚は、楽をしたいのではないか」と書いたような気もする。

 特段の根拠があって言ったわけではない。大いにあり得ると思ったまでだ。それが鳩山辞任後、続々と証言が出てきた。当初は鳩山ブレーンとして動いていた、寺島実郎氏がいう。

 日米双方の外交・防衛の実務官僚は「今までのままがいい」という固定観念と利害の呪縛に埋没し、「北朝鮮や中国の潜在脅威を考えれば、在日米軍の抑止力は重要」という認識から一歩も出ようとしないし、アジア太平洋の政治経済の構造変化を直視することもない。もし「日米で連携して中国の脅威に立ち向かう」と期待するのなら、この一年間の米中戦略軽罪対話の拡充を見るだけで、その認識がいかに空疎かを思い知らされるであろう。(10/6/4毎日)

 さらに、11日には鳩山氏本人が次のように告白した。

 鳩山前首相は11日、BS朝日の番組収録で、(中略)普天間問題では米国や外務、防衛両省が沖縄県名護市辺野古への移設にこだわったと指摘し、「国家戦略局(室)がもっとがっちりしていれば指導力を発揮できたが、そういう状況にできなかった」と自らの力不足を嘆いた。

 当時の菅副総理や小沢民主党幹事長が同問題に関与しなかったことについては、「何度も小沢幹事長に会ったが、『こちらに任せる』という話だった。菅さんはタッチしたかったと思うが、財政を扱うことも非常に大事な時期だから、こちらで引き取った」と語った。(10/6/11読売)

 菅も代表質問の答弁でこれを裏づけるような発言を繰り返している。「こちらで引き取った」というのも、勘ぐれば主導権をうばわれないよう「はずした」というのが正しいのではないか。逆に意のまま動くと楽観していた平野官房長官が逆に落とし穴を掘っていた、という見通しの甘さも禍したが、全責任が鳩山前総理にあることはいうまでもない。

 防衛官僚は、今や装備・訓練・作戦などすべての面でアメリカに取りこまれ、国内の災害派遣以外にアメリカ抜きでは自衛隊の存在価値が疑われるところまできている。辺野古現行案死守は、自衛隊の敷いたレールを取り外されない最低の要件であったのではないか。

 外務官僚も日米安保が安定した時期の経験しかない。そして、外務官僚が出世して最後にたどり着く席が駐米大使だった。防衛省と似たような土壌はあるが、最近省に昇格したばかりの部局とは違って鳩山氏がさじを投げざるを得ないような風圧を感じたはずだ。

 アメリカがそれほど痛切に感じていない「中国・北朝鮮への抑止力」や「核の傘」論を、日本防衛の最重要課題とするようアメリカに働きかけ、防衛省と共闘しそれを実現させることに成功した。普天間国外移転論者(最低でも県外といった前首相も含まれる)に、それに対抗できる論理がなく、支持する勢力もなかった。

 元外務官僚の佐藤優氏は、もっと過激に、これを官僚階級総体の利益を代表して起こした「クーデター」だと観察している。

 普天間問題について、米海兵隊が沖縄県外へ移動しても自衛隊を増強して抑止力を担保することは可能だ。しかし、外務官僚の集合的無意識がその可能性について考えることを抑圧した。外務官僚にとって、普天間問題はシンボルを巡る闘争となった。

 米海兵隊普天間飛行場の移転先を自民党政権時代の辺野古(沖縄県名護市)に戻すことによって「国家の重要事項に関しては政権交替で生まれた首相であっても官僚の決定を覆すことはできない。日本国家を支配するのは官僚である」という現実を突きつけ、官僚の政治に対する優位を目に見える形で示そうとしたのである。
(10/6/16毎日・寄稿)

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2010年6月15日 (火)

荷風ゆかりの石碑

 荷風日記・昭和22年4月26日
 (高橋俊夫『葛飾の永井荷風』より)

 晴。午後須和田村の村道を歩み国分村の丘陵に登る。林間に古寺あり。路傍の石に准四国霊場豫州国分寺写。下総国葛飾圀分邑金光明寺の文字を勒す。田畴の眺望頗る佳なり。●(日へんに甫=夕刻4時ころ)下家にかへる。

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  その石碑をたしかめに行ったが見つからず、再度トライしてやっとありかを突き止めた。無縁仏碑群の隣で大五輪塔の裏側の木蔭にあり、通りすがりからでは見えない位置になっている(写真上)。参道に面したいい場所はほとんど最近建てられた修復記念碑や、永代経供養観音像など昭和・平成の建立物で占められている。

 荷風が見つけた当時は、当然目立つ位置にあり、雄渾な筆跡に目を奪われたのだろう。しかし風化が進み、白いこけ様のものがついて今や気に留める人もない。

 正面は「准四國霊場」の5文字が筆太に彫られている。左面が「豫州國分寺写」、裏面は「下総葛飾郡圀分邑金光明寺」で荷風の記録とやや違う。右に「文化第四 丁卯歳冬十二月 富山先□法印英亮十三回忌」それ以外にもまだ文字があるが、判読不能。文化4年は203年前、アメリカ船が長崎に来航、ロシア船が択捉島を侵略した年である。

 なお、最近南側に繁茂していた照葉樹林の枝が払われ、「田畴の眺望」のかわりに、埋め尽くす住宅の屋根の波と市川駅近くに屹立する超高層ビル2棟の眺望が佳くなったのは、寺を訪れる人へのサービスになる。2010_06150006

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2010年6月14日 (月)

菅総理の及び腰

 読売新聞の世論調査が、菅内閣発足直後の8~9日の64%から、12~13のわずか4日間で59%と5ポイントも下がった。政党支持率もマイナス5ポイントである。新聞世論調査はそのまま信用しかねるものがあるが、このマイナスはさもありなん、と思うのだ。

 それは、発足当時の期待が跳ね上がったにしては、総理の及び腰が目立つからである。施政方針演説では経済・財政・社会保障にそれぞれ「強い、強い、強い」と形容詞をつけて強調して見せたが、言葉が宙を飛ぶだけで中味がなく胸を打つものがなかった。

 当塾が注目した外交・安全保障もそうである。あらためて見直してみても鳩山内閣発足時から見て菅ならではという変化がなく、「普天間基地移設問題では先月末の日米合意を踏まえつつ、同時に閣議決定でも強調されたように、沖縄の負担軽減に尽力する覚悟です」という官僚調そのものである。

 これが、自民党時代から見てどう進歩しているのか見るために、小泉政権末期にブッシュの幕僚であるライス国務長官・ラムズフェルド国防長官と、麻生外務大臣・額賀防衛庁長官が結んだ外交文書「再編実施のための日米のロードマップ」の中味と、今回の「日米共同声明」を読み比べてみた。

 辺野古の「V字型」という文字が消えただけで、違いを探すのに苦労するほどそっくりだ。両文書とも外務省のホームページにあるので時間のある方は見ていただきたい。8月末期限の詳細プランは、「沖縄県民に相談しない」と岡田外相が明言しており、もともと現行案支持だった防衛官僚などが軸になって作るのだろうから、地元の合意どころか理解など得られるはずがない。

 これは、9月に行われる民主党代表選挙に争点として持ち込まれるか11月に予定される沖縄県知事選の結果をふまえて、沖縄の基地縮小(「負担軽減」と同意ではない)に進路を切りかえられるかどうかにかかるが、現状では期待薄で悲観的にならざるを得ない。

 それは、現実重視という菅総理のモットーにもよるが、最近の首相の及び腰発言などが期待した国民の夢をむしばんでいる面もあるだろう。たとえば、参院の議席獲得目標が過半数を割る50議席だったり、沖縄の反発を意識して公認候補を立てない方針を容認したり、また「官僚は大バカですからね」と言っていたのが、今度は「アイディアがほしい」と迎合する姿勢に転化していることなどだ。

 鳩山流の言葉の軽さには国民が愛想をつかした。それよりは、一時のリアクションはあっても、着実に国民の期待をつないでゆく手腕のある首相がいいに決まっている。それを実現できそうな政治家は、いまだにマスコミが集中攻撃の手をゆるめていない小沢一郎しかいないだろう。

 小塾は、選挙にとって代表、幹事長という役職を続けることが民主党にとって決定的にマイナスになることから辞任を期待し続けたが、彼の力量をこれ以上そぐことのマイナスも無視できないと思っている。国民の閉塞感をこれ以上継続させないためには、菅総理がバルカン政治家になるより、打たれ強い信念の政治家像をうち立てることしかない。

 

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2010年6月12日 (土)

『経済学教科書』

2010_06120028  そのうち「値」がつくかも知れない。

 

 

  いまや、ソ同盟の人びとは共産主義の実現にむかってすすんでおり、アジアとヨーロッパの人民民主主義国家では社会主義が成功のうちに建設されている。また資本主義諸国と植民地・従属国の勤労者の平和と民主主義と社会主義のための闘争は、過去のどの時代にもまして高まっている。これらのことは、マルクス・レーニン主義経済学の正しさをはっきり確証するものにほかならない。(1955年2月『経済学教科書』訳者のことば、より)

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2010年6月11日 (金)

天安艦沈没は迷宮入りか

 天安艦事件発生直後、韓国政府は犯人北朝鮮説を否定するような反応を示していた。私も国家的危機を招きかねない冒険をしておきながら、金正日が平然と国をあけて訪中旅行をするはずがないと思っていた。そのうち韓国政府は、欧米のメンバーを含む調査団の結論として、北の攻撃が濃厚とする調査結果を発表した。

 魚雷の推進部を回収したが、それが北朝鮮製と見られることから、他の状況証拠とあわせ「北朝鮮による攻撃と推定するしかない」というものだった。北はこれを否定し、韓国の強硬姿勢を強く非難、それを上回る好戦的な反応を示した。

 韓国は地方選挙を控えていたため、国際緊張で与党有利の体勢をつくるいわゆる「北風が吹く」ことを期待したといわれ、北はこれに協力したような形になったが、結果はかつて太陽政策を推進した野党の方が勝利したといわれる。

 私は、李明博大統領は南北間の緊張を望んでいないと見ていたので、韓国自作自演の陰謀説には疑問を持っていた。また、米原潜とのあいだの誤射・同士討ち説は、仮説に仮説を重ねるなど話が面白すぎて信じかねる。ここへきて出てきたのが、当初政府発表不信のもとになっていた、事件発生の頃、砲撃音を聞いたという証言に対する軍部の監査報告である。

 中央日報によると「天安艦が沈没した直後、束草(ソクチョ)艦が追い討ち、発砲した標的物と関連し、束草艦は『北朝鮮の新型半潜水艇と判断される』と報告したが、海軍2艦隊司令部がこれを『鳥の群れ』に変えて上部に報告するように指示していた事実が監査院の監査結果で明らかになった」とし、関連した軍幹部など25人を懲戒処分するよう勧告したという。

 半潜水艦は、北朝鮮が韓国に工作員を潜入・脱出させる専用艦として開発した特殊のものだ。完全に潜水はできないが船体部分を水面下に沈め、電波や目視を逃れやすいようにしてある。そして海流に沿って漂流したり、浮き上がって逃げ足を早くしたりできる忍者船で、逃げ損ねた場合の自爆装備も備えているという。

 それが実際にやってきたのかどうかわからない。しかし、合同参謀議長を含む25人を処分しようというのだから、上記の理由だけでは大勢すぎる。韓国軍部になにか大きな失態があったことは間違いがなさそうだ。仮に北の仕業なら察知できなかったこと、逃亡を許したことになるし、そうでなければ通常なら起こりえない同士討ちだった可能性も残されている。

 とにかく、天安艦があっという間に46人も犠牲者を出して沈没した事実は厳存する。昔の日本海軍なら「轟沈」ものだ。犯人は突き止められなくてはならない。これについて、新たな合同調査の提案が中国からあったと「ハンギョレ」が伝える。

 それによると、かつての軍事停戦委員会という枠組みを活用し、当事者だった北とUN司令部(米国)に、中国と韓国が参加して4ヵ国が共同調査を行おうというものだ。米国がこれに同意したというが、北の「検査団」派遣を拒否した韓国も、受け入れざるを得なくなるだろう。

 しかし、それが実現したとしても結論は出ない。北は海底からどんな新証拠が出ようと、北が実行したという証拠が示せない限り攻撃は認めないだろう。たとえ北の犯行であっても、忍者隊が無事帰還したことでシラをきり通せる自信を持っている。

 そんなことで、迷宮入りすることに利益を感じるのは、北と中国はもとより、国連安保理で得られる効果が限定的で、国内世論も平和指向に傾いた韓国、中東・アフガンで手一杯のアメリカである。その中でひとり制裁強化を叫ぶのは、日本だけになりかねない。結局、問題解決や拉致被害者救済をするには6カ国協議にしか道筋がないということになると、それを狭める外交は全く意味をなさなくなるということだ。

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2010年6月10日 (木)

右翼の立ち位置

 前回のエントリーは「米高官の露骨な干渉」だった。いつも不思議に思うのだが、こういったことに右翼が抗議せず沈黙していることだ。数多い中には抗議する意見もあるのだろうが聞こえてこない。鈴木邦夫という、新右翼として名を売った戦前からの系譜をひく本格的な論客がいる。彼の著書『右翼は言論の敵か』の中で、反安保闘争について、野村秋介、葦津珍彦など当時右翼の大物とされていた人たちが「安保反対」だったことを紹介し、次のようにいっている。

 右翼本来のものだった「反米ナショナリズム」を左翼にとられ、右翼は「反共親米」という立場をとった。この時代、左翼が民族運動を代行したともいえる。この「負債」はのちまで響き、三島由紀夫の決起にもつながる。

 ところで、菅内閣が発足したことについて、石原慎太郎都知事はいちはやく「極左」といい、麻生元首相は講演の中で「本格的左翼政権が今日スタートする」と声を高めた。また、自民の谷垣禎一総裁は「左翼的な色彩の政権」とコメントしたという。「何が左翼的?」と聞かれて、「漠然たる印象」と頼りなさそうに答えたそうだ。

 彼らの立ち位置が計れて面白い。菅内閣を左翼という計算はどこから出てきたのか、はなはだ奇妙としかいいようがないのだが、仮にそうだとすると左翼(レフト)の位置がセンター方面にズーット移動し、彼らはグランドを離れたライト観覧席あたりで気勢をあげていることになる。

 右とか左という選択ではない。これからは、どれだけ真剣に日本の将来を心配するかという「真の愛国者」が指導者として選ばれる。菅さんの評価はそれで決まる。

 右翼観覧席の右隅に20人ほどが集まり何やら相談している。「創生日本」と称して安倍晋三元総理がそのまん中にいる。「たちあがれ日本」の平沼赳夫や、「日本創新党」山田宏などと選挙で連携しようという相談だが、右翼の気概さえない彼らがグランドに立てる日はまずこないだろう。

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2010年6月 9日 (水)

米高官の露骨な干渉

 まず、昨日同じ案件を報じた2つの外電読み比べていただきたい。最初が「毎日jp」、後のものは「47NEWS」による。

【ワシントン古本陽荘】米国家安全保障会議(NSC)のベーダー・アジア上級部長は7日、ワシントンで講演し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題について、「地方政治がすべてではない」と述べ、地元・沖縄の理解が得られない場合でも、日米合意に従って移設を実行するよう促した。そのうえで、「日米双方に普天間飛行場は現在のままでは維持できないとの広い合意がある」として、住宅密集地域からの早期移設が不可欠との考えを強調した。

 さらに、「菅直人首相は現在の日米合意は、政府間の合意であると明確にした。重要な要素の検討は残っているが基本的枠組みは整理されている」と語った。(毎日新聞 2010年6月8日 13時34分)

【ワシントン共同】ベーダー米国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長は7日、ワシントンのシンクタンクで鳩山政権下での日米関係について講演し「日本政府を代表して発言しているのが誰なのかを把握するのに苦労した」などと振り返りながら鳩山外交の混乱ぶりを批判した。

 オバマ政権高官が公然と日本の外交手腕に苦言を呈するのは異例。ベーダー氏は一方で、米軍普天間飛行場の移設先を沖縄県名護市辺野古崎とした日米共同声明を基に対応することで菅直人新首相との電話会談で一致したオバマ大統領が「非常に満足していた」と語り、新政権への期待感を示した。

 鳩山由紀夫首相が提唱した「東アジア共同体」構想が「米国抜き」に見えたことや、海上自衛隊によるインド洋での給油活動終了などで、オバマ政権内に「少なからぬ心配や激しい懸念が生じた」と指摘。米国が鳩山政権を不安視していたことを認めた。(2010/06/08 12:36   【共同通信】)

 両者の違いは、後者がこれまでにあった過去の日本外交について感想を述べたということであり、前者は、これからの日本がとるべき方向を指示したようにとられる表現になっていることである。現場で講演を聞いたわけではなく正確なところはわからない。

 しかし、同じニュースの内容としては断然前者がが優れている。報道時間に1時間の差があるが、後者が発言が終わらないうちに打電したしたとても、過去のこととこれからでは、全くニュースの価値が違ってくる。新内閣発足の新メンバー紹介と悪魔扱いしている小沢との距離などに関心の的を置き、紙面でもこういった記事の扱いは小さい。

 それにしても、イラク侵攻当時のブッシュ政権下に多発した米高官による恫喝と全く変わりがないではないか。「地元・沖縄の理解が得られない場合でも、日米合意に従って移設を実行するよう促した」など、どういう権限に基づいて言える言葉か。

 内政干渉であり民主主義の否定そのものである。日本政府は調査の上、ただちに不快感を示すべきであろう。そういったことがないから、米国民や大統領は沖縄県民の苦悩や日本国民の心情を知らず、一国の内閣を崩壊させたという意識も薄い。

 言うべき事を言い、日本の意向を明確に示すことで日米関係がギクシャクするならギクシャクした方がいい。そこから、真の信頼関係と友好が生まれるのだ。後者の報道でオバマ政権内に「少なからぬ心配や激しい懸念が生じた」というのは、それがなかったからではないか。

 日米の外交・防衛高級官僚によく味わっておいてもらいたい。

 「俺とおめえは違う人間に決まっているじゃあねえか。早え話が、おめえがイモ食ったって、俺のケツから屁が出るか!」
     (男はつらいよ=渥美清)

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2010年6月 8日 (火)

「武」のつく天皇

 初代天皇・神武以来「神」のつく天皇に、崇神・(神功皇后)・応神があります。それに続く何代かをそれぞれ崇神王朝、応神王朝などと名付け、自民から民主ではないが、なにがしかの政権交替のようなことがあったと考える人がいます。

 それはともかく、一つの時代の区切りになっていることは確かのようです。続けて時代の区切り目の天皇として、後継者がなく応神5代目の孫として担ぎ出された継体天皇、次に天武天皇、以上をこのブログの「歴史」カテゴリで取り上げてきました。天武まできたのは、強大豪族との連立によらない、天皇神格視、皇国史観を打ち上げた最初の天皇だったからです。

 そのあとは律令国家としての体裁が整い、奈良時代・平安時代と移っていきますが、豪族にかわって藤原氏など天皇家との姻戚関係を深めた貴族が政治を動かすようになります。平安末期、鎌倉時代になると源平など武力による勝者が政治権力を握り、天皇は単なる儀礼的存在になりました。

 古代に比べて、天皇の事績といえるものが極端に減っていきます。天皇親政の建武の中興を目指した後醍醐天皇は失敗に終わり、明治維新も天皇の事績とするわけにいかないでしょう。強いて言えば昭和天皇の「終戦の決断」は日本の時代の区切りとして光っているかもしれません。

 このテーマも天武でやめようとと思ったのですが、最初を神武の「神」のつく天皇で始めたので、神武の「武」がつく天皇を挙げておくことにしましょう。天武のあとに文武天皇、聖武天皇、そして桓武天皇と3人います。なぜか奈良の都を企画した文武と奈良を捨てた桓武、そして、その中間で大仏を作るなど仏教立国を目指した聖武など、比較的自発的意志に基ずく事績の多い天皇です。ちなみに、桓武天皇の母親は先祖が百済からの帰化人だったことが知られています。

 桓武による遷都で平安時代に入ったあと「神」や「武」のつく天皇はなくなり、文学的・平和的なみやびな命名が主流になります。森喜朗元首相が言った「日本は天皇中心の神の国」は、一体いつ頃のことなのか聞いてみたい気がします。最初から最後まで「象徴天皇」であったとしても、天皇制は世界に誇るべき文化遺産ではあることに変わりはないでしょう。

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2010年6月 7日 (月)

日本の軍事力?

      米国 中国 仏国 英国 ロシア日本 北朝鮮
軍事費  
 億$  6610 1000 639    583    533    510   -
陸上兵力
  万人  54     160    -       -        40    13.8  100
人口
日本比倍 2.5   10.6  0.5     0.5      1.1     1      0.2   
国土面積
日本比倍 24.8  25.4   1.4     0.6     45.1      1      0.3
                                                                                                    

・軍事費はストックホルム国際平和研究所(SIPRI)09年調査、米国の軍事費は世界全体の軍事費の43%を占める。日本はロシアに続いて第6位。北朝鮮は不明。
・北朝鮮の陸上兵力は、中国・インド(110万人)に次いで世界第3位。韓国は米国と同じ54万人。仏・英は世界15位以下。
・人口と国土面積は日本を1とした各国の倍数。
・人口は国連、国土面積はCIAデータから算出。その他は国防白書による。

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2010年6月 6日 (日)

菅内閣の人事

 金・土とパソコンに向き合う余裕がなかく、新首相誕生にもふれていなかったので通例にしている日曜の休みをなしにし、これまで報じられている閣僚人事などについて感想を書いておく。

 まず、仙石官房長官。これまで福田さんをのぞいて、あまりにも幼児っぽい首相が続いたので、菅首相には是非大人の政治をしてもらいたいと思う。官房長官といえば首相と一心同体になれるようなお友達人選が行われがちだ。その点適当な距離感を持ちながらアドバイスができる、大人の仙石さんは適任ではないか。

 枝野幹事長。仙石氏と共に前原グループとされている。また、両人ともこれまで公然と小沢批判をしたことのある人だ。前原氏が菅代表支持の第一条件に日米同盟の深化を持ちだしたからと言って、前原氏のように小泉元首相から持ち上げられるような向米軍事オタクとは思えない。

 枝野氏は党の憲法調査会長として、国民投票法案作成に係わったことから、一部改憲派の警戒があるようだが、法案作成にあたっては、国民の意見より確実に反映すよう自民党の改憲促進派の議員と張りあって、論理的に自説を通した。最近の事業仕分けが彼の能力に日を当てたようだ。

 また、両人の起用が小沢グループの反感――週刊誌風にいえば「激怒」を買い、新たな党内抗争に発展するという、いかにもそれを望むかのような論調があるが、これはマスコミにとって小沢が悪者であり続ける方が都合がいいからなのであろうか。

 彼の政治に対する知識や能力は卓絶しており、強引であるにしろ、引退後もなぜそこまで小沢叩きをしたいのかがよくわからない。小・鳩体制はカネと普天間移転の問題で崩壊したが、カネの方はあくまでも導火線となっただけで、民主党員も政治の専門家も本質的原因ではないと思っている。

 仮に今度の参院選で民主党がほどほどの成績をあげるか、または現状維持が果たせれば、菅内閣に致命的失政がない限り小沢の反乱、政界再編劇はおこり得ないし、あっても成功しない。彼の政治目的は2大政党交替論であり、その完成に向けた道筋さえつけば、発言力維持をはかるにしてもこわし屋になる意味がない。

 最後に、岡田外務・北沢防衛・前原沖縄担当3大臣の留任は、鳩山内閣普天間移転先失政を作ったA級戦犯で、当塾来訪の皆様には「怪しからん」とか「がっかりした」というご意見が多いだろうと思う。平野官房長官のように、当然更迭されるべきだが留任の意味はある。

 というのは、9月までに普天間移転先の具体計画を作成する約束をアメリカとしてしまったからである。その責任は副総理であった菅氏にも責任はあるが、日米の外交・防衛の2+2合意で菅氏は直接関与していない。9月までに沖縄県民や徳之島などの合意を得た案が作れるとしたら、どんな案か。

 3大臣が可能と思ったのならその残った困難な宿題を仕上げる責任がある。今、首にしてしまうわけにはいかない。そして菅代表の任期は、鳩山代表の任期残存期間9月に一旦切れ、全国党員などを含む正式な選挙に臨まなければならない。

 普天間問題で、アメリカ、住民双方が賛成する案ができるとは到底思えない。11月には沖縄知事選挙もある。前述の代表選挙で複数候補が出れば、普天間移転問題で3回目の仕切直しをするのか、地元の同意を得ないで強行突破するのか、そこらが深刻な争点になるだろう。

 いずれにしても、鳩山首相の5月結論期限より厳しい判断が求められる。前者であればその時点で3大臣を変え、ゼロからやり直さなければならない。後者であれば自民党にもなかった非民主的強権政治となる。とても、菅政権の絶えられるところではなかろう。
 

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2010年6月 3日 (木)

こうなってしまった

2010_06030002  号外に踊る「首相辞任」。とうとうこうなってしまった。本塾で「あとは内閣総辞職しかない」を記事にしたのは首相が沖縄を訪問した5月4日であった。その中で期待される後任として菅直人の名をあげ、時期は今月の下旬とした。以後、ほとんど連日のように辞任論を展開した。

 辺野古崎周辺とする日米共同声明を発表した先月28日以降は、「こうなればいいなあ」という記事を連続エントリーしたが、評論家でもジャーナリストでもない塾頭は、「願望」として述べるしかなかった。この題にした理由である。

 その願望が、こんなに早く果たせるとは思わなかった。違う点は、その動機が秘書の政治資金管理について小沢氏がいずれ辞任の意向を示し、既に秘書の有罪が確定している鳩山氏に辞任をうながすという、「一蓮托生」の仕掛けが逆になっただけだ。

 とうとう「こうなってしまった」。こんなショッキングなニュースは大東亜戦争突入以来だ、といえば大げさになる。しかし、この先の舵取り次第では日本の将来にかかわる、という点では同じかも知れない。お相手もアメリカである。無謀な戦争ではなく、核軍縮や平和構築を競い合う平等でかけがいのない隣国としてである。

 その重要な任務は、貴公子・近衛文麿から東条英機ではなく、御曹司・鳩山由紀夫から菅直人か?。明日それが決まる。アメリカも、真珠湾、とまではいかないが、今後の対応はこれまでのようにおざなりではいかない。沖縄県民や、日本国民が「ヤンキー・ゴーホーム」にならないようこれまで以上に真剣になってもらわないと困る。

 民主党主体の政権が、あと3年を全うできるかどうか。それは、この8か月の教訓を生かせるかどうかにかかっている。9月までに普天間移転先の細目を決める約束をしてしまったからには、直ちに撤回というわけにはいかない。

 政権離脱した社民党も、何年ぶりかで政局に影響力を行使したのはいい経験になったはずだ。雨後のたけのこ新党との違いを出すために、去年の3党合意に沿った政策が続く限り、準与党として存在価値を高めてほしい。そのためには、潔癖すぎて黴菌に弱いという体質から抜け出すことも必要だろう。

 安保見直し論議に積極的にかかわるためにはどうすればいいか。こんどこそそれが党の存続をかけた宿題になる。民主党にも大勢いる普天間国外移転推進派や沖縄出身議員などを決して見殺しにしないよう、秘策をねってほしい。それも鳩山退陣後の「こうなればいいなあ」のひとつである。

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2010年6月 2日 (水)

総理大臣辞任表明

  本当か!!。両院議員総会は、生方議員が主張していたが……。小沢幹事長から「承っておく」旨の返事があったという。

 10時半、両院議員総会は終わり、総理の意向を伝えた。秘書の政治資金問題をあげ、小沢幹事長も一緒にといって了解を得た。最後には盛んな拍手で終わった。

 後は、後任選出。できれば社民党連立が可能な代表が最善だが、民主党にとっては正念場だ。オバマは、とうとう一国の総理大臣を倒してしまった。国際的影響も計り知れない。

NHKオンライン
6月2日 9時37分

鳩山総理大臣は、沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設問題をめぐって、社民党が連立政権を離脱した事態を踏まえ、政権に対する国民の信頼を損ねた責任を取りたいとして、総理大臣を辞任する意向を民主党の幹部に伝えました。鳩山総理大臣は、民主党の両院議員総会で対応を協議することにしています。

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2010年6月 1日 (火)

国難

 また変な言葉が飛び出してきた。鳩山総理、辞職などせず「国難」に立ち向かうんだそうだ。
元寇の歌
 ♪四百余洲を挙る 十万余騎の敵
  国難ここに見る 弘安四年夏の頃

 こういう時、使う言葉だ。わかっていない。国民や外国の信用をなくし、沖縄の心を裏切ってなお首相の座にしがみつく、こんな宰相を持つった日本は、国難といえば国難だけど――。

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