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2010年5月 1日 (土)

普天間、退路は断たれた

 首相は来週火曜日(みどりの日)に沖縄訪問する予定だ。普天間移設問題について主要各新聞社(朝・毎・日経・産経・沖縄タイムス・琉球新報)が出そろった。なぜか読売は、先月18日徳之島で大規模反対集会が開かれた後社説で取り上げていない。

 各社に共通しているのは、「これまで何をしてきたのか」という政治不信の原因を招いた経緯である。特に、沖縄タイムスの1996年の返還合意から「14年間、翻弄(ほんろう)され続けた県民が再び、普天間問題で翻弄されるようなことがあってはならないのだ」という悲痛な叫びを、どれほど本土の人が理解できるだろうか。

 毎日の結論は「残り1か月。首相は「5月末決着」に「職を賭す覚悟」を明言している。決着には移設先地元の合意が不可欠だ。沖縄訪問時には、その覚悟の中身を示してもらいたい」である。朝日も同様で「自らの考えを明確に伝えなければいけない」としている。

 ただし朝日は、「本格的な解は、時間と大変な労力をかけてでも『本土』を探ることにあるのではないか」としているのは、当塾が紹介した、<毎日・記者の目>の「ごめんなさい論」に相通じる。日経も首相の信念を明らかにすべきだという主旨だが、「首相はなぜ在日米軍が必要なのかを説明し、自分の責任で説得に全力を傾けるべきだ」とする点、言外に県内移設を主張しているところが前記の2紙と違う。

 その点、産経ははっきりしている。政府案が自民時代の「現行案」に近づいたことでキャンベル氏訪日が実現したように書き、「現行計画にまさる案はない」とした上「日本の国益と安全を守り、同盟深化をめざすためにも迷走を断ち切ってもらいたい」で結んでいる。

 対極にあるのが琉球新報だ。各紙が辺野古修正案提示を既定事実化している中で、首相の「信念」に一縷(いちる)の望みを託し、最後の絶叫を上げているように見える。首相がこの「沖縄の心」を理解せず政治決着を優先させるようなら、当塾も内閣打倒に転換せざるを得ない。その方が日米関係を安定させ、国家百年の計に結びつくからだ。

「最低でも県外」とあおりながら「実は県内」と詭弁(きべん)を弄(ろう)すなら、県民への背信行為というほかない。
 だが、県民は鳩山首相になお望みを託している。普天間県外移設や、野党時代とは言え「常時駐留なき安保」を主張したリーダーは、首相経験者では異例だからだ。

 この国では政治家やメディアが米国の心証を害する鳩山首相を異端扱いしている。閣僚や官僚の抵抗を前にたじろく首相を「リーダーシップが欠如」と批判し、普天間の「5月末決着」が実現しなければ退陣を迫るありさまだ。

 「日米同盟」を金科玉条のものとして過大評価せず、外交・安全保障政策の選択肢の一つと相対化して見る感覚、長期にわたり外国軍隊が常時駐留することに疑念を挟む感覚のどこがいけないのか。

 首相に民意否定を促す官僚群。政権内の「辺野古回帰」は紛れもない民意の封殺であり、主権在民の否定、民主主義国家の自殺行為だ。こんな乱暴は断じて許せない。

 (中略)「県内移設」を強行すれば、鳩山、オバマ両政権とも世論に背を向けた非民主的な政権として歴史に刻まれるだろう。鳩山首相は自国の民主主義、国民の人権を犠牲にして成立する外交、安全保障政策の異常さに気づき、今こそ民主政治の真価を指し示す時だ。

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コメント

鳩山さんは自分が言ってしまった、『沖縄の海兵隊は抑止力』なる呪縛に身動きが取れなくなってるようですが、
これに関連して中国軍の沖縄宮古水道通過での潜水艦浮上航行が、さも日本への挑発であるとか、海自の艦への中国軍ヘリの異常接近などが報じられ、テレビなどでは中国脅威論が語られる。
マスコミで大事件として宣伝されている、海自の護衛艦(駆逐艦)に中国軍のヘリの異常接近ニュースですが、
実態はその正反対で公海上(其れも上海沖)にいる中国艦隊に日本側の駆逐艦二艘とP3C対潜哨戒機が異常接近していたらしいのですよ。
この問題の海自の駆逐艦すずなみは、2006年に就役の4,600トン級最新艦でテロ対策特別措置法に基づき昨年年末の極最近までインド洋に海外派遣されていたものですが、
指揮官が国外での危険な任務に慣れっこになっていたようです。
両者の距離はたったの4000メートルですよ。
外国の艦隊の行動を監視する目的にしては異常な距離です。
ピッタリ張り付いて嫌がらせをしていたのでしょうか。?
最近の読売の報道によりと、中国軍ヘリは自国軍艦隊の『日本側の艦に接近するな』の管制警告を無視してパイロットの独断で接近してきたとのこと。
中国としてはなるべく日本側 を刺激したくなかったようです。
中国艦など外国船でも領海内であっても無害航行権があり安全な航行が自由に行う権利がある。
ただ潜水艦には領海通過時は船籍を明らかにする為の浮上義務があるのですが宮古水道は公海で、本当は浮上義務はないが日本側のマスコミなどを慮って中国軍の潜水艦が浮上航行になったようです。
ところがそのことを捉えて『国旗をなびかせて浮上して示威行動を行った』と正反対に描いている。
自衛隊幹部が鳩山首相の外交姿勢を批判したりする専守防衛の自衛隊の任務を忘れた、異常な事例が続いているが、この中国艦と自衛隊との異常接近も偶然ではなく緊張感を高めて米軍抑止力を宣伝する目的で、意図して行っていると考えた方が正しいのではないでしょうか。?
危険な火遊びですね。
何事もなく、事故無くすんで本当に良かったですね

投稿: 逝きし世の面影 | 2010年5月 1日 (土) 12時43分

逝きし世の面影 さま
コメントありがとうございます。

このニュース、丹念に追っていませんが、大本営発表ならぬ防衛省のリークと情報操作の典型のような気がします。

報道を見るとき「誰が一番得をするか」に神経をとがらさなければならないわけですが、ようやく外洋に展開できる海軍を持った中国が公海の海峡を通過するのは当たり前で、ニュースにはなりません。

それをいかにも威圧や誇示の行為があったかのように報じてますが、そんなことをして得をするのが誰か、考えればすぐにわかります。

沖縄や奄美で住民の基地反対集会が行われているとき、中国の脅威をかき立てるようなことを中国がするわけがありません。

自衛隊が挑発したのならわかります。「だから抑止力が必要だ」にしたかったのでしょう。あまりミエミエなので上の読売記事を追加リークし、末端の仕業にして緩和を図ったのではありませんか。 

投稿: ましま | 2010年5月 1日 (土) 17時26分

沖縄は独立すればよい。
独立し、アメリカと直接交渉せよ。
本土を巻き込むな。

対中国の防衛は自力で行え。
中国人は沖縄は奪還すべき領土と思っているが、チベット人のようになりたくなければ、日米安保に協力するか、独立して、沖縄自衛軍を持つべきである。

今回の件では、鳩山は、沖縄は防衛できないというべきであったのだ。自衛隊は九州までしか防衛しないと、沖縄県民に明言すべきだったのだ。
日本の防衛に協力しない沖縄県民など、外国人とすべきなのだ。日本人としての利益を確保しながら、国防に協力しないなどという虫のいい話があるだろうか。そのような人間たちしかいない沖縄は米兵と自衛隊隊員の骨の一つに値しない。

アメリカ人とて、好き好んで沖縄にいるわけではない!独裁国家が対岸にあるのだから、仕方が無いではないか!!!
それとも、チベット人のようになりたいのか?
台湾の次は沖縄であることがわからないのだろうか。
沖縄が中国の一部となれば、自由も民主主義もへったくりもないことが沖縄人にはわからないのだろうか。
自由は口先でなく、自らの血でしか得られないことを沖縄人は知るべきである。

投稿: c-ROM | 2010年5月 5日 (水) 05時06分

君たちは、中国軍はまるで、正義の軍隊で、国際法を遵守していて、何の脅威でもなく、むしろ、自国の自衛隊や友軍の米軍のほうが脅威であるかのごとく語っているが、はっきり言って頭がおかしいとしか思えない。

口では、民主主義、護憲などといっていても、心中では、自由反対、民主主義反対、独裁万歳ということなのだろう。日本人でありながら、中国軍に自衛隊と米軍を駆逐してもらいたいと思っているのでは?

日本から、自衛隊と米軍がいなくなったら、よりより日本と世界が実現するとでもおもっているのだろうか。
自国民にすら、自由を与えることができない人民解放軍を率いる中国共産党が存在すら否定したい日本人の諸権利を認めるわけがないでしょうに。

投稿: c-ROM | 2010年5月 5日 (水) 05時15分

c-ROM さま
 あなたに言われなくても琉球独立を主張する泡沫政党が沖縄にはあります。琉球王国の歴史を調べることをお勧めします。

「正義」と言う言葉を聞くだけで、その内容にいぶかしさを感じます。世界中の軍隊は、すべて正義のために戦うことになっています。

「自由」とか「民主主義」も同じです。アメリカの一手販売ではありません。中国流、イスラム流それぞれ違うものがあるのです。

中国が日本に攻め込むメリットは何でしょう。また攻めてきても水際で守れないような自衛隊ならないほうがいいですね。

投稿: ましま | 2010年5月 5日 (水) 09時59分

中国の脅威を演出するために自衛隊がディスインフォメーションを展開しているとは、斬新な発想です。これが事実ならむしろ頼もしいほどと感じます。なにがしかの特別なソースからの情報であれば失礼しましたが。
ただ、この場合は物事を素直に見た方が真実に近いような気がします。中国調査船がEEZ内に=海保に測量中止要求したということも起こりましたし、単純に中国軍の示威行動が拡大してるいるのではないでしょうか。
中国が日本に攻め込む、全面戦争などが起こる可能性は限りなく低い気もしますが、領土問題を抱える国同士でもあります。互いにさまざまな思惑をもっているのは間違いないでしょう。
また、中国流の自由や民主主義?(この場合は共産党流でしょう)について、中国の方達が選択したものに何も言う気はありませんが、私自身としては我が国には必要ないものと考えます。個人的にも一党独裁の中での自由は勘弁していただきたいと思います。

投稿: herosu | 2010年5月 5日 (水) 17時54分

herosu さま
まずマスコミに流す軍情報ですが、報道の鉄則5W1Hが機密を理由に明かされないことが多いこと、一般的には軍事予算増額に資する情報が優先されること、これはどの国でも常識ですね。
また、この時期に中国が米軍基地維持増強に手を貸すような示威活動を故意に行うとはチョット思えません。
もう共産主義とは縁もゆかりもなくなりましだが残っているのが一党独裁のシステム、これが多くの矛盾を露呈し、汚職天国・貧富格差など限界に近づいていることは幹部も気づいているでしょう。
しかし、そのシステムで建国し、そのシステムの中で出世した幹部です。中国史に運命付けられている「革命」を経ないで、懸命に次の近代化を模索しているのが現在の姿ではないでしょうか。

投稿: ましま | 2010年5月 5日 (水) 21時29分

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