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2010年5月15日 (土)

韓国艦沈没と日本の政局

 今日15日、日中韓外相会談が韓国慶州市で開かれ岡田克也外相が出席する。もともと今月下旬の日中韓首脳会談に向けた環境整備を目的としていた。しかし、各紙は昨日あたりから「韓米両国当局が、哨戒艦「天安」沈没の原因は北朝鮮による魚雷攻撃だという結論を下したことが分かった」と報じ、急遽この問題が会談の焦点となる様相を呈してきた。

 さらに韓国紙によると、22日ごろ韓国国防部が調査結果を発表、大統領が対処の仕方について国民に訴えることになっており、これに合わせ、25日には米国からはヒラリー・クリントン国務長官が来韓し、韓米協調をアピールする段取りがあるらしい。

 韓国では、「今回の事件で、12年に予定された韓米戦時作戦統制権の返還の延期の必要性が浮上した。16年まで延期することで、政府関係者がすでに方向を定めている(東亜日報)」という主張がなされているようで、日本の「普天間基地移転問題」がこれらに連動する可能性は充分ある。現に岡田外相は7日の記者会見で「結果によっては6カ国協議どころの話ではない」と述べ、早期再開を求めていた従来の姿勢を軌道修正している(西日本新聞)。

 もっとも、中国はこの問題を大きくして6カ国協議への道を閉ざすのは賢明でないと考えるだろうし、アメリカにも共通した考えがある。韓国世論は、大手各紙を中心に軍事的圧迫を含め制裁を強めるべしという強硬論が主流になってきた。その一方で野党・民主党系からは、座礁後米韓との衝突論や、漁網で韓国製機雷を引っかけた論など北の攻撃否定観測が公然と語られている。

 大韓航空機爆破事件でさえ、いまだに韓国政府謀略論が幅をきかしている現状がある。李明博(イ・ミョンバク)大統領が国内世論のまたさき状態をできるだけ回避する方向で「北の攻撃の疑いが強いが決定的な証拠がない」というような結論を発表し、抜き差しならぬ対立を回避するだろうという観測は当塾でもしていた。

 この件で、もっとも緊張感を高めたいのが日本政府だ。普天間問題決着の今月末期限と一致する。辺野古さきパイプ滑走路、徳之島をはじめ訓練場の全国分散など、支離滅裂になって解決の目途が立たない政府案をかかえたまま、北の脅威を際立たせ結論を棚上げにする。

 そして、緊張感を高めたまま抑止論を手元に引きつけ、公約違反追求と内閣支持率低下に歯止めをかけて参院選を乗り切ろうとするだろう。私ならそうする。果たしてマスコミがこれをどうさばくか、国民の監視が必要な時である。

 

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コメント

大韓航空機爆破事件で日本ではソウルオリンピックの妨害との金賢姫発言を疑う人はいないが韓国で逆に信じている人はいない。
自称日本名蜂谷真由美・韓国名金賢姫(キム・ヒョンヒ)が衝撃的な猿轡姿でソウル入りする日は韓国大統領選挙投票日の前日で、当時のテレビでは大統領選と金賢姫の映像が交互に流されていた。
下手人は北であるかも知れないが動機(目的)はオリンピックではなく大統領選挙です。
昔から韓国では大事な選挙の直前には『北風が吹く』といわれていたが、今回も6月2日の統一地方選の直前です。
これに今回は日本の普天間まで絡んできているからややこしい。
沈没事件を政治的に利用しようとする勢力は日本にもアメリカにも韓国にも存在している。
与党ハンナラ党支持の韓国三大新聞は『米韓両政府は北の犯行を確信』と報道しているが、疑わしい。
スタインバーグ米国務副長官は『朝鮮半島の状況が危険であることを際立たせた』『回り回って、北朝鮮への対応に影響を与えることになる』と語っています。


投稿: 逝きし世の面影 | 2010年5月15日 (土) 17時19分

この手のきなくさい話は、関東軍もよく使った。ほとんどは自作自演のやらせで、あとになってばれている。
今回はどうですかね。アメリカの仕掛け、韓国の仕掛け、その共同作戦、北の仕業、偶発事故、その5つのうちどれでしょう。
日本は仕掛けないのに、その果実を一番ほしがっているいるように見えます。

投稿: ましま | 2010年5月15日 (土) 18時42分

日本ではテレビなどの映像メディアや新聞記事とか政府や軍の発表のような公的なマスコミ報道に対する市民の信用度は大変高いのが特徴ですが、韓国市民では低いように思われる。
理由は長らく軍事政権だった関係で光州事件での金大中の暴動首謀説での死刑判決など政治的偏向報道や情報操作が蔓延していた影響が大きいのと、
韓国の三大新聞は与党ハンナラ党支持で同じですが、日本のように系列化とクロスオナーシップと記者クラブ制度の影響での横並び記事での、報道機関の全てが行う単一の同一報道と違い映像メディアと新聞報道とが違う為らしいのです。
今の日本人が『マスコミ報道は正しい』と信じている根拠は例の全員一致の検察審査会の小沢一郎起訴相当に見られるように、『全員が同じことを言っているから正しいだろう』なのです。
日本では全てのマスコミが小沢疑惑を報道していたのです。
今回の沈没事件ですが、軍の最初の発表や初動が信用されていません。
事件当時別の哨戒艦が76mm艦砲を鳥の群れに対して警告射撃したと発表、後に打撃射撃であったと修正していますが、鳥に大口径の艦砲射撃とは・・、
初動でも軍の高速艇が現場にいち早く到着しているのですが、実際に乗員を救助したのは70分後の水上警察なのです。信じろといわれてもこれでは
今頃になって政府や軍から北の魚雷説が出ているのですが事件当時にはレーダーにも音響探査でも赤外線暗視装置にも何の反応も無いと発表していたのです。
常時人工衛星などで監視していると見られるアメリカも早々と北朝鮮関与説を否定していた。
事件当時、保守派からの北朝鮮介入説に米国側が素早く反応して、スタインバーグ国務部副長官は、『天安号の事故にそのどの国も介入したと信じる根拠はない』
クロールリ国務部公報担当次官補も『私たちは船体自らの外からの他の要因があったという事実を把握したと考えない』と語っているのです。
最近の保守紙の北朝鮮攻撃説の論調は、しばらく収まっていた韓国名物の『選挙になれば北風が吹く』が始まった可能性が一番濃厚でしょう。

投稿: 逝きし世の面影 | 2010年5月16日 (日) 12時46分

なんとも不思議な事件ですね。これで利益を得られると思える国が、抑止力効果を高めたい日本の保守は別として存在しないからです。北が中国に対して、駄々っ子のように親の注意を引きたいため、という推測があるが、それなら北側の海域で自国船を爆破するでしょう。

韓国地方選は大統領声明のあとになり、声明はどちらかというと対立激化を回避する方向へ向くと思っているので、それを国民がどう評価するかにかかってくると思います。

したがって、最初からその思惑「北風期待」があっての策動にしては、不思議なことが多すぎます。ただ、日米韓の軍当局が予算獲得にはずみをつけたい、というのならわかりますがね。

投稿: ましま | 2010年5月16日 (日) 14時44分

15日の日中韓三国外相会議で岡田外務大臣はもしも北の関与が明らかになれば6カ国協議に影響する(再開に反対)との立場を鮮明にしているのですが、
これは根本的な外交オンチ以上の大間違いですよ。
北の関与が濃厚なら、日本の岡田外相の主張とは反対に、
北の核問題を話し合う6カ国協議の重要性はよりまします。
元々6カ国協議が2年前の08年に頓挫した原因は日本国の自民党政府ですよ。
未確認の飛翔体なる新語を使って北朝鮮のロケット打ち上げを安保理の制裁決議に狂奔したのは日本です。
98年のテポドン騒動時とは違い北は人工衛星であるとして打ち上げを事前に予告していたし宇宙条約にも加盟して、『もしも制裁決議が可決されれば6カ国協議には応じない』とも明確に態度を表明していた。
あの当時、制裁に積極的だったのは日本だけだったのです。
ミサイルの打ち上げは世界中で行っており北だけ制裁では安保理の権威の為にも、6カ国協議のためにも行うべきではないし、日本側の言い分には十分な根拠があるとは言えません。
何しろ政府の発表でもミサイルとは断定せず何とも胡散臭い『飛翔体』ですよ。

投稿: 逝きし世の面影 | 2010年5月16日 (日) 17時17分

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