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2010年5月

2010年5月31日 (月)

続・こうなればいいなあ

 一昨日のエントリー「こうなればいいなあ」で書いたこと、①社民党の常任幹事会、、全国幹事長会議が開かれ、「連立離脱」になるだろう。②そこへ海外出張から帰ってきた辻元国交副大臣が内閣に辞表を提出する。多分マスコミが格好な材料にするから、かつての彼女らしく歯切れのいいコメントを披瀝する。

 ここまではその通りになった。③のコンマ以下に左右される同党の支持率は、これで多分上向く。は、昨日・一昨日の世論調査では報道の時間差もあり、一部の社ではアップを伝えるもののまだ顕著な数字になっていない。今の雰囲気が続く限り、おたか節の「山は動いた」にはならないにしても、今後に期待が持てそうだ。

 また、内閣支持率は続落、10%台の調査が多くなった。これもまだ低下するだろう。とても政権を維持できる数字ではない。各世論調査を見ても普天間移転の政策をNOとする意見が圧倒的なので、自民当時の安倍・福田・麻生当時の人気低落とは違い深刻なはずだ。この世論を民主党はどう受け止めるのか。

 さてその後の想定は、野党が出す内閣不信任案、首相問責決議案だが、福島党首はTV出演で「賛否は機関決定に従う」という回答ながら、理屈としては、公約に反する閣議決定を連立与党の閣僚を罷免した内閣を信任するというのはどうかな、というような顔つきだった。

 これは、自発的にやめない鳩山首相への仕掛け花火のつもりだったが、ちょっと訂正が必要だ。というのは、本当は、小・鳩コンビのままで選挙戦を戦いたいのが自民党の本音だ。不信任案を出さないか、ギリギリ引き延ばして新代表選出の余裕を与えないか、または党内不一致の混乱を招く戦術に転換する可能性がある。

 そこで、民主党が自主的に前向きの姿を示す切り札がひとつある。それは、小沢幹事長に対する政治倫理審査会が開かれ、当然小沢は約束通り出席する。検察が攻めきれなかった問題で野党議員が手柄をあげるのは無理だろう。いきおい「秘書が2人も逮捕・起訴された道義的責任はどう取るのだ」という詰問に向かうしかない。

 こう答えればいい。「彼らは判決があるまで推定無罪でございます。有罪が決まれば、その時点で当然政治家としての責任を負う覚悟がございます」と。これは、鳩山首相に対する間接的な辞職勧告になる。なぜならば、鳩山首相の元公設第1秘書・勝場啓二被告は、微罪とはいえ先月22日に有罪判決が出て決定しているからである。

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2010年5月29日 (土)

こうなればいいなあ

 30日、社民党の常任幹事会、、全国幹事長会議が開かれる。ここではいろいろな議論は出ても、地方の支持者の声が反映するとなると、参院選が目の前にあり結論は「連立離脱」だろう。そこへ海外出張から帰ってきた辻元国交副大臣が内閣に辞表を提出する。多分マスコミが格好な材料にするから、かつての彼女らしく歯切れのいいコメントを披瀝する。

 コンマ以下に左右される同党の支持率は、これで多分上向く。今後党の方針を政策にどう反映させるかだが、民主党が参院の議席を減らし、社民党がすこしでも増やすことに成功すれば「連立離脱」の方がいい。連立から抜けても、閣外協力でゆけばいいのだからますます重用される。

 野党や雨後の竹の子新党はそろって反民主で結集、内閣不信任案をだすらしい。参院は首相問責決議案だ。社民が抜けたから代わりに入ろうという党は、さすがにないだろう。これに賛成するかどうかだが、最低限欠席・棄権する。党首を罷免した内閣だから信任しなくても当然だ。

 同調者の出方によっては、ことによるとことによる。内閣支持率が揃って10%台にでもなれば民主党内にも我慢しきれない議員がでてくるだろう。参院選前に鳩山辞職、数日から10日以内に繰り上げ代表選を行い新代表で選挙戦を戦う。

 大変な政治の混乱で、外交面特にアメリカの前で大失態を演じ国の信用を失う。また、辺野古移転再撤回となれば今度こそ日米関係が悪化するかも知れない。また、普天間移転が何年か遅れるかも知れない。しかし、今回の合意案が、以前にもました地元住民の反対で実現しなければ同じ事だ。

 すべて鳩山内閣が招いた失政だ。この政府を選んだ責任は国民にもある。対米関係の悪化は覚悟せざるを得なくなるだろう。しかし、基本的な日米関係や安保のあり方を見直すことなく、このまま惰性にまかせるのでは、両国の友好関係はますますよそよそしいものになる。

 新指導者のもと、民主党を立て直すしかない。そこでは鳩山失政のもとを作った閣僚数名は当然新内閣からは排除される。降ってわいたような韓国軍艦沈没事件を、これ幸いとばかり結果に結びつけようという動きがあるが、さすがにこれにすぐ乗るような軽率な国民はなさそうだ。

 こういった困難と屈折を経ながら、長い目で見た日本の安全保障、平和のあるべき姿が見えるようになる。そうなればいいなあというのが今日の心境である。

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2010年5月28日 (金)

雲行き

2010_05270002  アサヒ・コム より

 日米の外務・防衛担当4閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)は28日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先を同県名護市の「辺野古崎」周辺とする共同声明を発表した。訓練の移転先として、鹿児島県徳之島を例示。辺野古の滑走路の具体的な位置や工法は「いかなる場合でも8月末までに完了させる」としている。

 滑走路の長さは現行案と同じく「オーバーランを含み1800メートル」とした。位置も現行案とほぼ同じで「キャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域」とした。滑走路の本数などには触れておらず、工法も明記していない。

 沖縄の負担軽減策として、鳩山由紀夫首相が27日の全国知事会議で要請した訓練移転は「米軍の活動の沖縄県外への移転を拡充」を明記。鹿児島県・徳之島は「適切な施設が整備されることを条件」に「活用が検討される」とした。グアムなど国外への訓練移転の検討も盛り込んだ。

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2010年5月27日 (木)

社民・原理主義に賛成

 明日28日は、普天間問題の行方と鳩山内閣の存亡を占う重大な節目となる日になるだろう。政府方針を固める閣議と日米共同声明の発表が予定されている。閣議決定では「辺野古」という固有名詞を抜きにして、連立与党の福島瑞穂消費者・少子化担当大臣の署名を得ようと画策しているようだが、福島氏は、日米声明と二枚舌になるような文書の署名には応じない、と明言した。

 かっこよかった。当然である。沖縄の住民はもっと怒っている「断腸の思いで辺野古にお願いしなければならなくなった」という首相の発言は、全国民がはっきり聞いている。当塾で何度も繰り返すように、またもや「言霊」への冒涜である。

 もう、毎度のことで鳩山バッシングはあきた。今回は、ひさびさに社民党に注文をだしたい。これまで社民党が憲法擁護、自衛隊縮小など原理・原則にこだわり、政治に影響力をもたらせず、選挙のたびごとに党勢が細っていくことに苦言を呈してきた。

 中には、全く反対に村山委員長が自民党と連立し、首相となって原理・原則を捨てたため衰退したという意見があるが、その分共産党がふえたというわけでもなく、浮動票が逃げたということであろう。同党の中では又市元書記長や辻元国交副大臣が他党議員との接触も多く、原則より実を取る政治活動に前向きだと聞いている。

 そのためか前回の党大会では、党の要職からはずされたとも取りざたされているが、今回も連立離脱には消極的のようだ。これまで、かげながら両氏の立場を支持していたものだが、今回は別だ。社民党が原則を貫き通すことで、民主党内のすくなくない護憲勢力やリベラル志向の議員を勇気づけることになる。

 鳩山政権の支持率低下は行き着くところまで行くだろう。なにもそれに付き合うことはない。毅然とした態度で、党勢挽回を狙うめったにない機会だ。また、福島氏が罷免されても民主党との選挙協力や閣外協力はできる。この際党勢をのばすことのほうが、将来の政治的影響力強化に有利なのではないか。

 また、選挙後の政界再編にそなえて何らかのフリーハンドを残すことも考慮しなければならない。連立離脱は奨励しないが、この件については、社民の原理主義に賛成したい。

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2010年5月26日 (水)

鳩山「友愛」の散華

 鳩山内閣発足当時、首相がモットーとする「友愛」について、本人はもとより、メディアでも盛んに取り上げていた。しかし、やがて首相の記者へのサービス精神や、「沖縄県民の《思い》を大切に」とか「誠心誠意ご理解をいただけるよう」といった、彼独特の言い回しもあって、ついには、彼自身の資質に結びつけ、軟弱な「お友達意識」や「仲良しクラブ」的な意味合いで批判的に使われることが多くなった。

 知られているように、「友愛」は祖父の鳩山一郎氏が、オーストリアの貴族・クーデンホーフ・カレルギー伯の『Totaler Staat, totaler Mensch』英訳版を翻訳し、そこから得た政治理念に共鳴して唱えたものだ。オーストリアは、西欧の長い歴史の中で2回の大戦を含み戦争に翻弄され続けてきた国である。

 「友愛」について、フランス革命の「自由・平等・博愛」の博愛に根源をさぐる意見があるが、伯は自由と平等は相反する理念であり、ちょうど今どきの、新自由主義が貧富の格差拡大を招いているような現象を指摘し、批判的だったという。「友愛」は現実離れした甘いキャッチフレーズではなかったのである。

 それは、ファシズムでもマルキシズムでもない、ヨーロッパから戦争の原因をとりのぞき平和を構築する共通の要諦として取り上げたものである。それが第2次大戦後、現在のEUを生み出す上で大きな影響をもたらしたことから、当塾は、鳩山外交政策に「東アジア共同体」構想と、日米安保60年の抜本的再構築を指向するものとして過大な期待をしてしまった。

 しかし、首相の「学べば学ぶほど抑止力」発言には愕然としてしまった。カレルギー伯と縁もゆかりもなく、そこからは何も学んでいないといっているのに等しいからだ。それ以後当塾は、あまりにも軽い総理の発言・行動に愛想をつかし、鳩山辞職論を展開していることはご覧のとおりである。小屋修一『欧州連合論』から次の一文を引用しておく。

 伯爵はその主著「パン・ヨーロッパ」のなかで欧州諸民族の結合、とくに仏独両国の和解によって、戦争の根源を絶つこと②欧州統合により、ソ連の欧州征服を阻止すること③共同市場を創設し、経済的競争力において、米国に対抗できる欧州を建設すること、を呼びかけていた。

 汎欧州運動の創始者で、汎欧州同盟の総裁でもあった伯爵はまた、『6カ国の欧州の記録』の発刊にあたって、以下のように指摘した。

 自由な欧州諸国民を打って一丸とした「欧州連合」のみが、われわれの大陸を米国、ソ連と新生中国に対し、平等かつ友好的な世界国家に変容させるだろう。それのみが、世界を脅かしている最悪の破局――核戦争――から世界を救うことのできる「世界連邦」の創設を可能にするものだと考える。

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2010年5月25日 (火)

教訓を守れぬ首相

(教訓)

鳩山由紀夫内閣総理大臣 殿

○改めて益(やく)なき事は、改めぬをよしとするなり。

        『徒然草』第百二十七段 吉田兼好

○探検家は、まず第一に、やるかやらないかという決心をする前に調査するよりも、やるという決心をしてから調査をします。決心をしてから後にやる調査というのは、いかに失敗のリスクを減らすかということに専心することになるわけです。

        『石橋を叩けば渡れない』西堀栄三郎
                     (南極越冬隊長)

○「政治家の行動については『善からは善だけが生まれる』というのは正しくなく、その反対に『善からは悪が生まれる』ことが多い……これを知らない人は政治の世界では幼児のようなものです」

        ドイツの社会学者 マックスウェーバー 
                 (by毎日新聞5/25余録)

○しき島の日本(やまと)の国は言霊
   (ことだま)のさきはふ国ぞまさきくありこそ

        『万葉集』       柿本人麻呂
              (解釈は「言霊のさきはふ国」)
*注
 鳩山首相は、23日の沖縄訪問で次のように言いました。

私自身の言葉、できる限り県外だということ、この言葉を守れなかったということ、その結論に至るまで、その過程の中で、県内の皆さま方に大変混乱を招いてしまいたしたことに対して、心からおわびを申し上げたいと思っております。

 昨年7月に言った言葉は「できるだけ県外」ではなく、「最低でも県外」です。ふたつの日本語は明らかに意味が違います。「できるだけ」なら「できなければ県内」でもいいわけで、「最低でも」なら県内をきっぱり否定し、国外を目ざすという意味です。

 マスコミはこの違いに触れません。「できるだけ県民の負担軽減を」などと「最低でも」から「できるだけ」に、巧妙にスリ変えてしまいました。首相は、また美しい日本語の「霊(ことだま)」を冒涜し、悔いることを知りません。

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2010年5月24日 (月)

反戦塾乗・10/5/24

 朝の民放ワイドショウは、昨日の首相の沖縄訪問の映像を繰り返し背景を説明する。当塾は、いさぎよい首相の退陣しか打開の道がないと書いた。「怒」で抗議する市民、県知事・市長の固い表情、これまでの経緯・背景。どうみても支持率ダウン促進に一役買うだろう。国辱ものの首相の顔はもう見たくない。

2010_05240001  もう一つは明るい話題、塾頭ごひいきの魁皇関1000勝である。魁皇は、過去2回取り上げたことがある(リンクは下)ので、昨日の千秋楽の快挙も触れることにした。満身創痍といわれる故障をかばいながら次々と記録更新を続ける。もういつ引退してもおかしくない体だ。

http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/808-d24f.html
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-2c6b.html

 本当は、今場所999勝で勝ち越せば上出来で、昨日の琴欧州戦に負けても、楽しみを来場所につなげるので無理せずともと思っていた。それが、怒濤のような声援に答え、今場所はじめて自分の型に持ち込んでの堂々たる勝利。もういうことはない。この方は退陣しないでよかった。

 首相は今日、北沢俊美防衛相らを呼び、自衛隊による(対北朝鮮)警戒監視活動に万全を期して情報収集を強化するよう指示した (共同→中央日報)。次の時事ドットコムニュースとテンポが合っている。

【ソウル時事】韓国の李明博大統領は24日、哨戒艦沈没事件について談話を出し、北朝鮮に対して「断固たる措置を取る」と強調し、国連安保理に提起する考えを示した。その上で韓国独自制裁として、北朝鮮船舶に韓国海域での海上通行を認めない考えを明らかにした。さらに、開城工業団地などを除く南北の貿易・交流の中断を表明した。

 大統領はこの中で、事件について「北朝鮮の奇襲攻撃で沈没した。韓国に対する軍事挑発だ」と言明。謝罪と関係者の処罰を要求した。また、「北朝鮮が韓国領土を再度侵犯したら、即刻自衛権を発動する」と警告した。(2010/05/24-10:55)

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2010年5月23日 (日)

再び「総理は辞任を」

 「あとは内閣総辞職だけ」というエントリーをあげたのは、前回総理が沖縄訪問をした今月4日だった。今日さらに何の新味のない(むしろ前回よりさらに後退した)案を持って仲井間知事に会いに行った。同じことを繰り返すだけで往復の専用機代を無駄遣いしただけだ。

 前回とどこが違うかというと、辺野古滑走路の作り方や徳之島利用にアメリカが賛成しないので、その点までアメリカの言いなりになったことだ。発言のブレや内閣不一致で、完全に足下をみられアメリカを強気にさせて国益を損じた。さらに今回は、案の定朝鮮艦沈没事件を抑止力にからめて政治利用している。

 実に浅はかな判断だ。食言、背信、変節、欺瞞……、こんな最悪な2字熟語が続々とあてはまるような首相は、あれほど評判の悪かった自民党時代ですらなかった。今の政府案なるものは、沖縄県民を「怒」らせ、国民の納得はおろかアメリカでさえ完全に同意したものではない。

 誰が見ても、あれだけ固執していた5月決着の公約はふっとんだ。残る国会会期内でも責任を問う厳しい追及にさらされるだろう。また、辺野古付近での基地増設に住民が賛成するはずはなく、閣議決定も連立与党閣僚の反対で見通しが立たない。このままでは、参院選の惨敗が目に見えている。

 この事態を招いたのは、首相と官房長官、外務・防衛・沖縄担当の4大臣である。とりわけ当初の首相の意向を相手に伝えられなかった岡田外務大臣の責任は大きい。その他の閣僚はカヤの外に置かれた。福島・亀井大臣のほかに一人でも民主党出身閣僚の不同意がでれば、総辞職せざるを得ないだろう。

 民主党議員で、沖縄出身議員をはじめこの普天間処理に反対している議員は多いはずだ。それらの声が全然政策に反映せずにいることもまたおかしい。参院選への劣勢挽回を図るには、総理が辞任して新しい党代表のもと筋道を通せる内閣を作るしかない。党員の奮起を期待したい。

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2010年5月22日 (土)

古代の官僚

 前回の「天武天皇」では、継体天皇から天武に至までの約1世紀半、この間に日本の「国」らしいものができあがったといいました。その半ばを過ぎる頃、早くも官僚制の悪弊が出現しています。『日本書紀』を塾頭風に訳してご紹介しましょう。

 舒明天皇八年(636)秋七月の己丑の一日に、大派王(敏達天皇三男)、豊浦大臣に語りて曰く「まえつきみ(群卿)及びつかさつかさ(百寮)、みかどまいり(朝参=出勤)することすでに怠れり。今より以後、卯の時(午前6時)の始めに参りて巳の時(午前10時)を過ぎて退庁させる。鐘で合図するようにせよ」しいう。然るに大臣従わず。

 孝徳天皇大化二年三月19日、東国の国司(地方派遣首長)達を集めて天皇自ら訓辞をした。「官の権威をもって公金や税金を私してはいけない。食事代や交通費は自弁とすること。もし違反すれば次官以上は降格させ、判官以下収賄をすればその2倍の科料に処す。罪科は罪の軽重にそって行う」

 いつになっても、同じようなことをやっていますね。

 

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2010年5月21日 (金)

天武天皇

 あまりとぎれとぎれなので、シリーズの体をなしていません。一応これまで掲げてきた天皇を列記してみましょう。

 神武天皇。崇神天皇。応神天皇。継体天皇。

  そうです、一応歴史的に区切りとなるような王朝の始祖をあげたような結果になっています。神武以降の8代は「欠史の時代」といわれ、各天皇の事績が明らかになっていません。崇神天皇以降を崇神王朝または三輪王朝、応神以降を応神王朝といったりします。

 すると、継体以降は継体王朝ということになりますが、それがいつまでなのかよくわかりません。継体は、皇位が断絶しそうになったので、北陸地方から探し出されて天皇になったという以外に、あまり事績を挙げていないということを前回書きました。

 今回は、天武天皇ですがその間に欽明、敏達、推古(女帝で摂政に聖徳太子)、孝徳、斉明(女帝)、天智など、一時代をなす有力な事績を残す天皇が大勢います。私は、日本が本当の「国」らしい姿になったのはこの間だと思っています。つまり、外交問題が主要な課題になった時機ともいえましょう。

 対馬と朝鮮半島の海峡が「国境」と認識され、不法入国者や漂着者などの出入力管理が開始され、「今来の伎人(いまきのてひと)」などの言葉ができるなど帰化の時機や職業などが意識されるようになりました。また、応神天皇の時代に海外から大勢の移住があったことを書きました。

 たしかに移住者ですが、極端にいうと四国の人が大勢九州に移住したというのと大して違わない感覚だったのではないでしょうか。日本人というのはこの列島の中で自然発生したわけではありません。早い遅いの差はあるものの、すべて海をわたってやってきたのです。

 国境がないからビザもない、どこへ行こうと勝手なわけです。前にも書いたことがありますが、朝鮮半島南部には有史以前から「倭人」が住んでいた形跡があります。彼らは当然得意な海上交通手段で相当広い範囲を往き来していました。

 混血が進んでいるから○○人といって差別する意味は全然ありません。それどころか、鉄の貿易や中国の新知識をよりどころに日本のトップクラスの豪族になっています。古くは天皇家、新しくは蘇我家などその可能性は極めて高いと見ています。

 前置きが長くなりましたが、この時期の詳細をシリーズ「異説・天智天皇」で書いていますので興味のある方はご覧ください(右帯・インデックス参照)。そしてそのあとに躍り出たのが天武天皇です。天智天皇の死後、この嫡子と皇位を争い、壬申の乱のクーデターで、それまでの王制をすっかりすっかり変化させました。

 神武天皇、万世一系をクローズアップし、天皇神格化を推進した始めての天皇で、豪族の補佐を排し天皇親政に徹したのは、後世を見てもこの天皇だけではないか、と思うわけです。この天皇には、天智天皇の弟とされているが実は異父の年上の兄だとか、最初から政権簒奪の意図があったという説があります。

 しかし俗説や誤伝を排し、正しい国史を作ろうと言いだした天武です。『日本書紀』が完成した頃には亡くなっていましたが、まだ天武と同世代の生存者が大勢いて、大幅な歴史改ざんがあればわかるわけです。だから天武の祖父の代、すなわち聖徳太子の頃以降に大きなうそが書いてあるとは思えません。

 さらに、大化改新いらいの懸案であった律令制度を完成させることにも尽力し、いわゆる律令時代を切り開きます。ある高名な歴史学の先生が彼の事績のトップに「国号・天皇号の成立」を挙げていました。しかしこれはひいきのひきだおしで、間違いでしょう。

 国号とは、従来「倭」と称していたわが国の国号が「日本」と改められた、といってますが、「わ」といっていたのは中国人で、日本人は「やまと」と言っていました。漢字では大和と書いて「やまと」、遣唐使が「倭」の字を「日本」に変えてくれと中国側にいったのは彼の死後16年もあとのことですが、日本人は「日本」と書いても、やはりそれを「やまと」と読んでいたことは万葉集を見ればわかります。

 同じ万葉集ですが「天皇号」についてもそうです。天武の神格化を詠んだ大伴御行の歌、

 大君は神にしませば赤駒の
 腹這う田居を京師(みやこ)と成しつ

 で、当時「皇」という字や「すめらみこと」という日本語はあったが、一般的には大君→おおきみ→大王だったのではないでしょうか。証拠を一つだけ持ってきて「だからこうだ」と決めつけてしまう、はなはだ危険な例ではないかと思います。

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2010年5月20日 (木)

韓米調査団、北の魚雷攻撃と結論

NHKオンラインより

 ことし3月末、朝鮮半島沖の黄海で46人の死者を出した韓国の哨戒艦の沈没原因を調査していた韓国軍に、アメリカの専門家が加わった合同調査団は20日午前10時、調査結果を発表しました。それによりますと、今回の沈没は哨戒艦の船底に近い水中で魚雷が爆発し、その衝撃で哨戒艦が2つに割れたものだったとしています。

 そのうえで、現場海域から発見された魚雷の破片に「1番」とハングルで記されていたほか、北朝鮮が海外に輸出する目的で配布している設計図に書かれている魚雷の大きさや形態と一致しているということです。さらに、哨戒艦が沈没する2、3日前に黄海に面する北朝鮮の海軍基地から、小型潜水艦とこれを支援する艦船が出航し、攻撃の2、3日後に基地に戻っていたことも確認されたということです。こうしたことから、合同調査団は「北朝鮮製の魚雷による外部爆発の結果、沈没したものだ。この魚雷は北朝鮮の小型潜水艦から発射されたこと以外に説明することができない」として、沈没は北朝鮮の攻撃によるものだったと結論づけました。

 これはえらいことになった。ことの真偽はともかく韓・米両国がそう結論づけたということが大切だ。すでに主要各国にはこの事が伝えられているだろう。もちろん国連安保理が取り上げる。金正日の訪中、6カ国協議などすべて北に何のメリットもなく白紙になる。核実験強行よりインパクトは大きい。

 まず、北の反応が問題だ。①改めて事実を認める。この場合停戦協定を破棄するのかどうか。②米・韓の謀略として事実を認めない。③軍の暴発はあり得るが、それを認めることは即金王朝の崩壊を意味するので隠す。④黙視する。

 いずれにしてもたいした違いはない。韓・米・日の軍部は臨戦態勢を強めることになるだろう。日本では、韓国の邦人救出という在沖縄海兵隊の任務も現実味を帯びて語られるだろう。これが鳩山内閣にとって神風になるかどうかは全く国民の判断による。

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2010年5月18日 (火)

抑止力で聞きたいこと

 普天間基地移転問題解決への道筋は混迷を深めるだけで、キャンプシュワブ沿岸にくい打ち方式の滑走路を設け、徳之島その他全国各地に訓練基地を分散するなど、政府案は沖縄も徳之島もも米国も連立与党もみんな反対。あと半月足らずで針の穴にロープを通せるとと思っているのは鳩山さんただ一人。もう滑稽と言うより国自体がおかしくなっている。

 そこで聞きたいこと。くい打ち方式では滑走路下にテロリストから爆弾を仕掛けられたり、ミサイル攻撃を受けると滑走路が変形し修理に時間を要すということでアメリカ側が反対しているという。防衛庁・自衛隊はそんな心配を全くしなかったのだろうか。

 アメリカ海兵隊の存在で抑止力がはたらき、ミサイルなど飛んでこない、というなら理屈は成り立つ。しかし米側は心配しているのだ。駐車場を作るのとは違うと。それならば自民政権当時のV字型埋め立て方式の滑走路ならば抑止力が利いて安全なのか。

 もうアメリカがばらしてしまったので、そんな詭弁は通らない。敵のミサイル攻撃は一発だけではない。バカスカ打ち込まれたらどんな滑走路でも使えなくなる。基地が存在するということはそれほど危険なのだ。周辺民家は騒音とか環境破壊とかそんな生やさしいことではない。巻き添えの覚悟をしておく必要がある。

 それでも、国防上どうしても基地が必要というのなら自衛隊専用の基地にすればいい。自衛隊は、米軍海兵隊と違って9条があるから外国へ殴り込みになど行かない。そんな基地にどうして中国や北朝鮮がミサイル攻撃をしてくるだろうか。

 ネットウヨ氏はいうだろう。「中国には沖縄を侵略する野心がある」と。いっておくが、鹿児島藩やアメリカが沖縄を侵略したことはあっても、中国から侵略を受けたことは一度もない。かりにそうだとしても、世界の5指に入るという予算を使いながら、それを防げないような自衛隊ならば、事業仕分けの対象にした方がいいのではないか。

 社民党の福島さん。連立離脱もいいけどそのまえに是非、学んだ「抑止力」というのを鳩山さんから聞いておいてください。 

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2010年5月17日 (月)

インドと中国と地政学

 鳩山首相の地政学は誰から学んだのでしょう。アメリカは、太平洋をはさんだ隣国です。日本がペルーの砲艦外交の圧力のもと開国を決意した最初の国です。これが、イギリス、ロシア、フランスだったら相当変わった姿になっていたでしょう。

 新興国アメリカは、日本にそれなりの尊敬と友好的な態度で望んだと思います。また、植民地的利権を狙っていた他の西欧列強を牽制する役割を果たしたと思います。そして、もう一つの隣国である中国・朝鮮、そしてイギリスの植民地であったインドなどを残して早く先進国入りができました。

 もちろん、明治維新を断行し、欧米から多くのものを学び取って近代化を成し遂げたわれわれの先祖の力が大きかったことは、いうまでもありません。維新の原動力は、最初が尊王攘夷で徳川幕府を倒すことに成功したものの、攘夷の方はすばやく開国に転換してしまったのです。

 そして、いつしか隣国の中国やインドを見下す癖がついてしまいました。いまだにそのあとを引きずっていないと言いきれる人が、果たして何人いるでしょうか。しかしその中国やインドは、今や経済発展で世界を牽引する希望の星のようにいわれています。

 地政学はあくまでも日本を中心に考えなくてはなりません。アメリカ側から見たものは、日本というよりアメリカの地政学です。中国とインド、これも日本にとって縁の深い国です。維新のはるか前から、日本人の精神構造の中にはインドと中国がありました。

 地政学とは、日本が位置する地理的な現実とともに、歴史・文化・民族・宗教なども合わせて判断されるべきです。半年にたりない「学び」で、一国の指導者の考えが180度転換してしまうなど軽いものでしょうか。鎌倉時代の宗教家は、飛鳥時代にもたらされた仏教を、苦労の末日本独自の見方、体系づけに成功しました。

 最後に、親鸞が両国の文化に接することができた満身のよろこびを、「教行信証」はしがきの中で、次のように表現していることを掲げておきましょう。

 よろこばしきかな、西蕃月支(さいばんがっし=インド)の聖典、東夏日域(中国・日本)の師釈(宗教指導者)、あいがたくして今あうことをえたり。聞きがたくしてすでに聞くことをえたり。真宗の教・行・証を敬信して、ここに如来の恩徳のふかきことを知んぬ。ここをもって聞くことをよろこび、うるところを嘆ずるなり。

 

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2010年5月15日 (土)

韓国艦沈没と日本の政局

 今日15日、日中韓外相会談が韓国慶州市で開かれ岡田克也外相が出席する。もともと今月下旬の日中韓首脳会談に向けた環境整備を目的としていた。しかし、各紙は昨日あたりから「韓米両国当局が、哨戒艦「天安」沈没の原因は北朝鮮による魚雷攻撃だという結論を下したことが分かった」と報じ、急遽この問題が会談の焦点となる様相を呈してきた。

 さらに韓国紙によると、22日ごろ韓国国防部が調査結果を発表、大統領が対処の仕方について国民に訴えることになっており、これに合わせ、25日には米国からはヒラリー・クリントン国務長官が来韓し、韓米協調をアピールする段取りがあるらしい。

 韓国では、「今回の事件で、12年に予定された韓米戦時作戦統制権の返還の延期の必要性が浮上した。16年まで延期することで、政府関係者がすでに方向を定めている(東亜日報)」という主張がなされているようで、日本の「普天間基地移転問題」がこれらに連動する可能性は充分ある。現に岡田外相は7日の記者会見で「結果によっては6カ国協議どころの話ではない」と述べ、早期再開を求めていた従来の姿勢を軌道修正している(西日本新聞)。

 もっとも、中国はこの問題を大きくして6カ国協議への道を閉ざすのは賢明でないと考えるだろうし、アメリカにも共通した考えがある。韓国世論は、大手各紙を中心に軍事的圧迫を含め制裁を強めるべしという強硬論が主流になってきた。その一方で野党・民主党系からは、座礁後米韓との衝突論や、漁網で韓国製機雷を引っかけた論など北の攻撃否定観測が公然と語られている。

 大韓航空機爆破事件でさえ、いまだに韓国政府謀略論が幅をきかしている現状がある。李明博(イ・ミョンバク)大統領が国内世論のまたさき状態をできるだけ回避する方向で「北の攻撃の疑いが強いが決定的な証拠がない」というような結論を発表し、抜き差しならぬ対立を回避するだろうという観測は当塾でもしていた。

 この件で、もっとも緊張感を高めたいのが日本政府だ。普天間問題決着の今月末期限と一致する。辺野古さきパイプ滑走路、徳之島をはじめ訓練場の全国分散など、支離滅裂になって解決の目途が立たない政府案をかかえたまま、北の脅威を際立たせ結論を棚上げにする。

 そして、緊張感を高めたまま抑止論を手元に引きつけ、公約違反追求と内閣支持率低下に歯止めをかけて参院選を乗り切ろうとするだろう。私ならそうする。果たしてマスコミがこれをどうさばくか、国民の監視が必要な時である。

 

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2010年5月14日 (金)

続・官僚叩きもいいが

 「官僚叩きもいいが」というシリーズを2月頃4回にわたって書いた(リンクは文末)が、一応終結させたつもりなので今回はタイトルに「続」をつけた。やはりこの問題は根が深く、一政権、一政党でかたをつけられる問題ではない。昨日、国家公務員法改正案が衆議院を通過したのを機に重複をいとわずなおも続けたい。

 中央や一部地方自治体で続いている政治主導を旗印とした「官僚叩き」は、このところどうやら官僚が盛り返してきているように見える。それをつぶさに感ずるものとして、沖縄基地問題で鳩山首相を変節させた防衛・外務官僚の動きがある。

 かりにそうでないにしても、官僚がトップである首相の意を体して、準備を整えたり米側に接触したという形跡は認められず、「抑止力」の解釈で合意があったという証拠もない。それが、故意のサボタージュなのか、あるいは一部ネット上でささやかれている検察の民主党政権の追い落とし同様、その一環なのか。

 そこまで邪推するつもりはないが、結果的にそれと同じ政治現象がまさに現れようとしている。官僚制を不用意にいじることは非常に危険なのである。日本では、天皇の官僚であった時代の形態をそのまま引き継いでおり、それがGHQの占領政策に活用され、日本の政治風土の中で温存された。

 それは、①公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない(憲法第15条2項)。したがって、特定政党の主張に左右されない。②公務員は厳しい採用試験を経て就任、また争議権、政治運動などさまざまな自由を制限される。③それを支えるべく、公務員特有の特権が付与される。というものである。

 国家公務員法の第一条にどう書いてあるか確認しておこう。

第1条 この法律は、国家公務員たる職員について適用すべき各般の根本基準(職員の福祉及び利益を保護するための適切な措置を含む。)を確立し、職員がその職務の遂行に当たり、最大の能率を発揮し得るように、民主的な方法で、選択され、且つ、指導されるべきことを定め、以て国民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障することを目的とする。
2 この法律は、もつぱら日本国憲法第73条にいう官吏に関する事務を掌理する基準を定めるものである。
(以下略)

 これでわかるように、国家公務員たる職員について適用すべき各般の根本基準として「職員の福祉及び利益」が例示され、それを以て最大の能率、民主的方法による選択、指導、運営が保証されるよう期待している。この法律は戦後の占領中に定められたもので、当然占領行政を円滑ならしめるGHQの要請に沿ったものだった。

 民主的という言葉が2度も出てくるが、主人公「天皇」のかわりに「民主的」を置いたようなもので、終身身分保障の中で知見と経験を蓄積し、政治家のように選挙を気にすることなくエリートとしてのプライドを維持してきたのだ。

 その間の事情を辻清昭著『新版日本官僚制度の研究』は次のように表現している。(太字:塾頭)

 もちろん、国会や政党も、憲法の条文にしたがって、主観的には官僚機構を支配しているつもりであろう。いや、ここでも、「利用するだけで、支持しない」態度をとっているのかもしれない。けれども神経中枢が四肢を動かすことができても、その逆は成り立たない

 明治以来のわが国統治構造の中枢は、占領政策の唯一の代行機関となることによって補強され、あたかも利用されたかのごとき外観の下に、逆に一切の政治勢力を利用できたのである。戦前と同じく、戦後の国会も政党も、華々しい衣裳は纏っていても、けっきょく精緻な官僚機構の舞台で踊っていたといえるであろう。まことに、わが国の官僚機構は、強靱な粘着力の所有者であった。

 13日に衆議院を通過した国家公務員法改正案は、幹部公務員人事を一元化する「内閣人事局」設置を盛り込む、政治支配強化の案だ。官僚は人事をもって官僚の中枢神経に変調をもたらすようなことがあれば、徹底的に抵抗し、上述のような「強靱な粘着力」を発揮するだろう。

 ヒトラーはこの抵抗を排除するため、政権獲得直後「専門官吏復活法」で人事権を完全掌握し、腐敗を理由に抵抗勢力をすべて解職した。こうして「政体と陸軍に続いて、第三のものとして、旧ドイツ国の比類のない官吏団が同盟に加わった」と、『わが闘争』で豪語せしめた。「旧ドイツ国の官吏団」というのはワイマル共和国憲法下の官僚組織をいう。

 公務員制度改革は必要である。しかし、天下り問題や一部の不正・怠慢などに目をうばわれ、「官僚叩き」の一環として人事権をもぎ取ろうという程度の発想では必ず失敗する。これまで言ってきたように、長い歴史の中で、よくも悪くも息を長らえてきた官僚制を改めるためには、国民の意思を尊重しながら慎重かつ万全の準備が必要なのである。

 党派で官僚叩きを競い合い、強行採決で姑息な法改正をするだけでは、国家百年の計に害があっても利益にはならない。これからも長い国民のチェックが必要である。

関連エントリー
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-7ec2.html
官僚叩きもいいが①
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-ee64.html
官僚叩きもいいが②
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-46fa.html
官僚叩きもいいが③
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-5ea3.html
官僚叩きもいいが…番外

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2010年5月13日 (木)

閑 地

 永井荷風『日和下駄』第八 閑地

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 市中の散歩に際して丁度前章に述べた路地と同じような興味を感ぜしむるものが最(も)う一つある。それは閑地(あきち)である。市中繁華なる路地の間に夕顔昼顔露草車前草(おおばこ)なぞいう雑草の花を見る閑地である。

2010_05130001 写真上=白詰草(クローバー)。下=春紫苑(ハルジオン)

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2010年5月12日 (水)

第3金王朝はあるか?

 以下は、5月9日付東京新聞朝刊電子版の記事である。

 【北京=安藤淳】訪中した北朝鮮の金正日総書記に対し、中国ではインターネット上で「また食糧をもらいに来た」「金家王朝は世襲をやめろ」などの非難が集まる一方、受け入れた中国政府に対しても「納税者の金を(北朝鮮への)援助に軽々しく使うな」と批判の矛先が向けられている。このためか、大手ネット掲示板サイトでは金総書記関連の書き込みが削除されている。

 あるネット利用者は「金総書記が泊まった遼寧省大連のホテルの一日の宿泊料一万二千八百五十八元(約十八万円)は、北朝鮮の一人当たりの年間国民所得(約十万円)より多い」と指摘。「(土産の)米や小麦は特別列車十七両に入りきらないだろう」など皮肉交じりの意見もあった。

 これを見て、1994年金日成主席の死から16年続いた金世襲王朝が、3代目の正銀氏へ順調に受け継がれるかどうか、はなはだ疑問になってきた。というのは、中国政府の公式の立場は別として、初代金日正の時代との違いがあまりにも大きいことに気がついたからである。

 金日正が死ぬ22日前の94年6月16日には、カーター元米大統領と会談しており、7月末には金泳三韓国大統領との会談も予定されていた。核開発は進んでいたが、国際原子力機関の査察も受け入れており、北の国際環境は最も安定していた時機だったといえよう。

 中国は、天安門事件を経験し、ソ連もすでに解体してエリツィンの時代に入っていたが、金日正将軍が日本からの独立を勝ち取り、朝鮮戦争では中国の人民義勇軍の助けを得て劣勢を38度線まで押し返した「血の盟友」の関係と、中・ソの手厚い戦後復興支援が記憶として残っている時代である。

 金日正の葬儀当日、TV画像で正装した女性の群衆が手放しで大げさに泣き叫ぶ画面を記憶している人は多いだろう。もっとも朝鮮では「泣き女」という職業が成立するほど派手に泣くのが風習だというが、金正日にもしものことがあって、果たして同じ風景が再現するだろうか。現状でははなはだ疑問だ。

 金正銀を後継者とする噂はあっても、前代のような国際的な認知も、国民的英雄としての実績づくりも進んでいないようだ。仮に順調に世襲が実現したとしても、初代、2代よりさらに弱体化すねことは避けられないだろう。先軍政治といっても、核やミサイルなどの切り札にはどれほどの効果もなく、孤立を深めただけのことを朝鮮人民も気づいている。

 北朝鮮の脅威はすでにない。ただ暴発と瓦解に基づく混乱を恐れるだけである。

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2010年5月10日 (月)

抑止力を学ぶ

 鳩山首相の「学ぶにつけ」発言で議論の最先端に飛び出してきたのが「抑止力」です。首相の変節の軽さが批判されていますが、これをきっかけとして、国民の中にひろく「抑止力を学ぶ」気運が生まれたことは、けがの功名かも知れません。

 最初に抑止力を分けて考えてみましょう。海兵隊の抑止力、核抑止力、総合したすべての軍事力の3つです。さらにそれが「どこに向けられた抑止力」か、「その目的は何か」に分かれます。それをゴッチャにして議論したり学んだりするからまとまらないのです。

 まず総合力ですが、戦争を考える上で聖典扱いされている、プロシア(ドイツ)の軍人・クラゼヴィッツが書いた『戦争論』という本があります。そこには「戦争は政治におけるとは異なる手段をもってする政治の継続にほかならない」という有名なくだりがあります。

 クラゼヴィッツは、なんとナポレオンのいた時代の人ですが、強い軍事力を持つことによって外交の駆け引きを優位に進めることができるという発想を、現代にまで通用させました。もちろん、弱肉強食の中世ヨーロッパや帝国主義植民地競争の時代ではあるまいし、否定的な意見も多いのですが、冷戦や、その後のパスク・アメリカーナ(米国一国主義)のなかでクラゼヴィッツ理論が生き続けてきました。

 拓殖大学の森本教授もTV番組に出て「抑止力」をそのように解説しています。教授だけではなく、アメリカの力に頼り切っている外務・防衛官僚のほとんどが、信仰といってもいいほどその考えを持ち続けています。しかし、虎の威をかりる狐では限界がありますね。

 世界は変わりました。アメリカは一国主義から多国間主義へ、核兵器活用から核廃絶へ、つい10年ほど前まで「国連とはアメリカのことだ」と豪語していたのに、最近はアフリカ勢の多数の力もあって「国連重視」へ方向転換しました。これは、オバマの力というより、そうせざるを得なくなってきたのです。

 かといって、私は「抑止力」否定するわけでもなく、アメリカもすべてを放棄したわけではありません。アメリカは今テロ防止のことで頭がいっぱいです。世界各地で古典的な国民国家間の戦争がおきるなどには関心がなく、日本と北朝鮮、中国と台湾などそれぞれの紛争ががあったらその国同士で話し合って解決してくれ、という態度です。

 そして、米軍はそれぞれ世界各地の別個の問題に展開するのではなく、冒頭に書いた軍事力をできるだけ統合・集中して効率と機動性を高めようとするのがいわゆる「米軍再編」で、地球の東半分をグアムに集中するねらいがあったのです。

 抑止力にはいろいろあります。まず核抑止力ですが米ソはお互いに競争しあって数万発も核弾頭を作ってしまい、もう抑止力どころではなく実際に使えない兵器の処理に困りました。そこでバランスをとりながら数をへらしていくことになったのです。ほかの核保有国も使いようのないことは同じです。アメリカも北朝鮮が自ら核兵器を使うとは思っていません。心配するのは、それがテロリストの手に売り渡されることだけです。

 次ぎに沖縄の海兵隊に移りましょう。まず支離滅裂なのが、米海兵隊がいることで、中国・北朝鮮への抑止力が効くという言い分です。知られているように海兵隊は敵地へのなぐり込み部隊です。たった数千人から1万人ぐらいでなぐり込みをかけても、広大な大陸を持つ中国、100万の精鋭陸軍を持つ北朝鮮にはとても勝てるはずがありません。したがって抑止力にはなりません。

 海兵隊の役割は、せいぜいで一時的・局地的に敵地を制圧し、邦人を救出する程度でしょう。これは、想像を絶した稀有の有事ですが、緊急に駆けつけるために最短距離の沖縄に常駐する必要があるという理屈です。それならば、アメリカが一番必要とするのは、イスラエル、イラン、パキスタン方面で、例えばクエートあたりに海兵隊が常駐していなければならないのに、なぜ日本やグアムから行くことになっているのでしょうか。

 それから、最近軍事力を増強している中国が尖閣諸島に攻めてきたら、とよくいいます。日本の領土を守るのはあくまでも自衛隊の役目で米海兵隊の任務ではありません。抑止力になるのは、憲法9条を確実に守るということと、領土・領海の制空権・制海権を確保して国土を守るという固い国民の決意を持つことです。

 そうすれば、多大な損害を被り、国際的な非難にさらされてまで中国が攻めてくることはありません。ただ、国境問題が未解決という問題はあります。これは、他の外国の例でもあるように交渉で解決するようになってきました。

 鳩山内閣は、公約の東アジア共同体に手つかずですが、私はEUのスタート時の独・仏の石炭・鉄鋼共同体のように、対峙する国の紛争の種になる最も大きな問題を、お互いの利益のため主権を共同体に移譲することから始めるのが最善だと思っています。それが発展すれば相互の戦争はなくなります。

 このような理念を、官僚の仕事を楽にさせるために曲げてしまうのが、もっとも抑止力をなくする理由になります。ここては触れませんが、私は以前シリーズで書いていた日韓併合前の李王朝のあり方に、ついその姿を重ね合わせてしまうのです。

  

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2010年5月 8日 (土)

ゴーヤの日

 2010_05080001 カレンダーを見ると、今日は「世界赤十字デー」、明日は「母の日」とある。というと、今日「ゴーヤの日」(5・8の日)は、誰が決めたか知らないが未公認なのだ。

 本場沖縄はすでに梅雨入りした。収穫するほど育っているかも知れない。ここでは、苗を植えたばかり。連作を避けるため濡れ縁の右端、中央、左端と、たったひと株だけ育てるのがわが家流。

2010_05080003  実はごつくていかついが、必死で上を目指し、か細いツルをのばす苗の姿は可愛い。ひと月さきにはどんな姿になっているやら。収穫は先になってもいい。「たちがれ」だけは避けてもらいたいものだ。

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2010年5月 7日 (金)

澎湃と起きる首相辞任論

 5月に入って当塾が掲げた沖縄基地問題関連の記事は次の通りだ。
1日 普天間、退路は断たれた
4日 あとは内閣総辞職だけ
 これは、後日一部を修正した部分があるが、首相訪縄当日の発言からだ。
5日 グアムより沖縄がいいわけ
6日 言霊のさきはふ国

 そしてこの記事になるが、実は首相の沖縄における発言をとらえたその日に「首相退陣論」を書いた。しかしマスメディアやネットでもあまりそういう主張が見られず、すこし早まったかな、と思いながら書いたのが昨日の記事だ。

 沖縄の県紙は別として、昨日あたりから中央紙にもちらほらし始めたようだが、掲載に時間を要する雑誌の反応の方が厳しい。創価学会系の月刊誌『潮』=「絶体絶命の」鳩山政権、『週刊現代』=まもなく退陣表明・かくて鳩山政権は終わった、とある。

 以上は、新聞広告に載ったタイトルだけで中味を読んだわけではない。いずれも与党に好意的な感触があった雑誌だ。産経など自民を代弁する紙誌は、きっと鳩山・小沢退陣に反対するのではないか。選挙を考えると攻める手に困るだろう。その中で今すぐ見れるダイヤモンド・オンラインが圧巻だ。

 鳩山首相と平野長官に「退場」を求めるジャーナリスト・上杉隆、
http://diamond.jp/articles/-/8044?page=3
 同じく、マッチ・ポンプ流で信用を失ったとする田中秀征、
http://diamond.jp/articles/-/8057

 それに絶対見逃せないのが、元CIA顧問の大物政治学者チャルマーズ・ジョンソン 日本政策研究所(JPRI)所長へのインタビュー記事・「米軍に普天間基地の代替施設は必要ない!日本は結束して無条件の閉鎖を求めよ」である。
http://diamond.jp/articles/-/8060

 首相の「学べば学ぶにつけ」の虚構を見事にくつがえす内容だ。「どうです、首相!。もっと学んでみますか。あなたの放った『言霊』は、もう戻ってこれないところへ行ってしまったのです」。

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2010年5月 6日 (木)

言霊のさきはふ国

 前々回、鳩山首相は総辞職すべきだと書いた。すこし先走っているとのご指摘も受けたが、首相が乱発する「思い」ならそうなる。これは、現地沖縄の「思い」でもある。

 万策尽き、米国に物言えぬ非力な内閣なら、知恵と力を備えた次の内閣に解決を委ねる時です。(3/4琉球新報社説)

 首相は「重い」という言葉もあちこちで使う。同じ「オモい」だけど、さっぱり重くないのである。初の沖縄訪問で、「最低でも県外」は公約でなく「県民の皆様にもご負担いただく」にかわり、「アメリカの言いなり」にならないはずが「学ぶにつけ抑止力が必要とわかった」になる。

 要するに言葉に魂がこもっていないのである。古代日本人が受け継いできたもの、即ち言葉には「霊」があり、使い方ひとつで幸せにも不幸にもなるという考えだ。その美しい日本語を大切にせず、ないがしろにする首相が、これからウルトラCの大演技を見せたところで、もはや放たれた言霊はもどってこない。塾頭の辞職論はそこからでている。
 
万葉集(『新訓万葉集下巻』岩波文庫より)
<当用漢字・ルビを変更>
----------------------------
3253 柿本朝臣人麻呂の歌集の歌に曰く

葦原の 瑞穂の国は 神ながら 言挙せぬ国
しかれども 言挙ぞわがする 言幸(さき)く
まさきくませと つつみなく さきくいまさば
荒磯(ありそ)波 ありても 見むと 百重波
千重波にしき 言挙す吾は 言挙す吾は

 反歌

しき島の日本(やまと)の国は言霊
(ことだま)のさきはふ国ぞまさきくありこそ
------------------------------
 
塾頭異訳
 
この豊で美しい国は、神代から言い張ることをしない国でした。しかし私は思ったことをつつみかくさず発言します。それが幸せにつながると信じているからです。その力がある言葉を私は何度でも発し続けます。

 反歌

 日本という国は言葉に魂がある国です。それを大切にすることで幸せになれるはずです。

         (終わり)

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2010年5月 5日 (水)

グアムより沖縄がいいわけ

元沖縄県知事大田昌秀氏談
「60年代後半、米軍には、キャンプシュワブに巨大基地を造る構想があった。米国の財政上の問題で放置されたが、今回は日本の金で造る。米国が『シュワブ移転が最善』とこだわるのは当然」(5/5毎日)

駐留米軍負担金(02年現在)
・同盟27カ国合計  83億9700万㌦(100%)
 うち日本の負担額 44億1100万㌦(52.5)
   ドイツ    15億6400万㌦(18.6)
   韓国     8億4300万㌦(10.0)
   イタリア   3億6700万㌦(4.7)
   英国     2億3800万㌦(2.8)
・米兵1人あたり負担額
 在日米軍      10万6000㌦    
 その他の国おおむね 2万㌦程度
(米国防省「共同防衛に対する同盟国の貢献度報告-2004年」by日本共産党)

塾頭注:アフガンへの出撃基地のあるウズベキスタンは、逆に2300万㌦の基地使用料をアメリカから徴収、増額要求に応じないということで撤退を要求しました。キルギスでも同様なことが起きています。日本の基地は本国に置くより安上がりで、基地や兵器のメンテナンスにたずさわる日本人従業員の質が高く不安がすくない。またインフラ整備が進んでおり治安も良いので、家族が生活するには最高の環境にあると言われています。

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2010年5月 4日 (火)

あとは内閣総辞職だけ

 もう決まりだ。通常国会会期(来月下旬)をもって、鳩山内閣は総辞職するしかない。理由は、普天間基地移転でついに政権交替以前にまで後退させたことと、国民・沖縄県民を愚弄するウソをつきまくったことだ。内閣支持率を急降下させた責任もある。

 前々回、各紙の社説を比較紹介したが、県内移転を含む案を持って臆面もなく沖縄を訪問した4日、事前に首相の本意を知った県内2紙は社説でこういっている。

 追いつめられた鳩山首相が日米合意を優先し、地元がのめないような県内移設案を強行すれば、この間の騒ぎは一体何だったのかということになる。地元の期待を裏切り、日米関係を混乱させただけの首相として、歴史に汚名を残すほかないだろう。(3/4沖縄タイムス)

 万策尽き、米国に物言えぬ非力な内閣なら、知恵と力を備えた次の内閣に解決を委ねる時です。(3/4琉球新報)

 またもや1年もたたず総理大臣交代、世界に向ける顔がない。これで鳩山氏がそもそも宰相の器でない人だったことがわかった。国民にとってこんな不幸なことはない。ただし、解散総選挙の必要はない。なぜなら、国民は8か月前に民主党など与党の政策を評価して今の議員を選んだのだ。掲げた政策の変更を求めているわけではない。

 もし、政策面で党内に違う意見や修正を求める声があれば、党代表選を繰り上げ実施し国民に見えるようにすればいい。基本的には、前回総選挙のマニュアルを踏襲し、鳩山ではなしえなかった課題に取り組むことを、党副代表で副総理を兼ねる菅直人財務相が宣言すべきだ。沖縄県民も今月中に決着を着けてくれ、と言ったわけでない。

 そうすると鳩山路線が気に入らず、対米依存、排外主義など自民やそこから脱落した右翼勢力の誘いで参院候補者を中心に政界再編のようなことが起きるかもしれない。しかし、この際はっきりけじめを着けた方がいい。また、この半年余で党内のねじれ現象にさまざまな教訓を得たはずだ。

 菅氏が、その経験を生かしてどっしりしたこれまでになかった指導力を見せれば、かつて若手と称された中堅幹部もその能力を十分発揮する場ができるだろう。民主党のもう一極、小沢幹事長も交替の一つのタイミングである。小沢への疑念は過去のことはともかく検察への疑念の方が最近は高まっている。

 菅氏は、小沢氏を排除することでなく取り込んでゆくべきで、適切な指導力を持つことにより小沢氏が検察との戦いで不利なることは防げる。また、参院選で過半数を割るようなことがあっても、公明党の協力を得る上で小沢氏の存在は大きいだろう。困るのはうやむやの政治が続くことだ。

 当塾は鳩山内閣発足当時、かつてない歓迎の意を表した。それだけに裏切られた怒りは大きい。鳩山さん、あなたに最後に残された仕事はいさぎよく辞職して、与党の態勢を立て直すことしかない。その上で参院選を堂々と戦ってほしい。

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2010年5月 3日 (月)

墨東奇観

 2010_05030020 連休の浅草・吾妻橋は、未完のスカイ・ツリー・タワー見物の野次馬でいっぱい。おかげで仲見世周辺も正月以上のにぎわいである。タワーのちょうど真下、対岸の森のあたりに、向島の名物長命寺の桜餅を売る店があった。なお左へ進むとこれも有名、言問団子が味わえる。

 工事中のタワーまで人波は続くが、ビール会社の屋上金のウンコは知っていても、かつて甘党の文人墨客が杖を曳いたこの方面に関心を持っている見物客はなかったようだ。

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2010年5月 1日 (土)

普天間、退路は断たれた

 首相は来週火曜日(みどりの日)に沖縄訪問する予定だ。普天間移設問題について主要各新聞社(朝・毎・日経・産経・沖縄タイムス・琉球新報)が出そろった。なぜか読売は、先月18日徳之島で大規模反対集会が開かれた後社説で取り上げていない。

 各社に共通しているのは、「これまで何をしてきたのか」という政治不信の原因を招いた経緯である。特に、沖縄タイムスの1996年の返還合意から「14年間、翻弄(ほんろう)され続けた県民が再び、普天間問題で翻弄されるようなことがあってはならないのだ」という悲痛な叫びを、どれほど本土の人が理解できるだろうか。

 毎日の結論は「残り1か月。首相は「5月末決着」に「職を賭す覚悟」を明言している。決着には移設先地元の合意が不可欠だ。沖縄訪問時には、その覚悟の中身を示してもらいたい」である。朝日も同様で「自らの考えを明確に伝えなければいけない」としている。

 ただし朝日は、「本格的な解は、時間と大変な労力をかけてでも『本土』を探ることにあるのではないか」としているのは、当塾が紹介した、<毎日・記者の目>の「ごめんなさい論」に相通じる。日経も首相の信念を明らかにすべきだという主旨だが、「首相はなぜ在日米軍が必要なのかを説明し、自分の責任で説得に全力を傾けるべきだ」とする点、言外に県内移設を主張しているところが前記の2紙と違う。

 その点、産経ははっきりしている。政府案が自民時代の「現行案」に近づいたことでキャンベル氏訪日が実現したように書き、「現行計画にまさる案はない」とした上「日本の国益と安全を守り、同盟深化をめざすためにも迷走を断ち切ってもらいたい」で結んでいる。

 対極にあるのが琉球新報だ。各紙が辺野古修正案提示を既定事実化している中で、首相の「信念」に一縷(いちる)の望みを託し、最後の絶叫を上げているように見える。首相がこの「沖縄の心」を理解せず政治決着を優先させるようなら、当塾も内閣打倒に転換せざるを得ない。その方が日米関係を安定させ、国家百年の計に結びつくからだ。

「最低でも県外」とあおりながら「実は県内」と詭弁(きべん)を弄(ろう)すなら、県民への背信行為というほかない。
 だが、県民は鳩山首相になお望みを託している。普天間県外移設や、野党時代とは言え「常時駐留なき安保」を主張したリーダーは、首相経験者では異例だからだ。

 この国では政治家やメディアが米国の心証を害する鳩山首相を異端扱いしている。閣僚や官僚の抵抗を前にたじろく首相を「リーダーシップが欠如」と批判し、普天間の「5月末決着」が実現しなければ退陣を迫るありさまだ。

 「日米同盟」を金科玉条のものとして過大評価せず、外交・安全保障政策の選択肢の一つと相対化して見る感覚、長期にわたり外国軍隊が常時駐留することに疑念を挟む感覚のどこがいけないのか。

 首相に民意否定を促す官僚群。政権内の「辺野古回帰」は紛れもない民意の封殺であり、主権在民の否定、民主主義国家の自殺行為だ。こんな乱暴は断じて許せない。

 (中略)「県内移設」を強行すれば、鳩山、オバマ両政権とも世論に背を向けた非民主的な政権として歴史に刻まれるだろう。鳩山首相は自国の民主主義、国民の人権を犠牲にして成立する外交、安全保障政策の異常さに気づき、今こそ民主政治の真価を指し示す時だ。

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