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2010年4月 1日 (木)

米軍、抑止力を否定

 沖縄基地移転問題に関して、沖縄の海兵隊の存在理由が抑止力であるという日米両国政府の説明に対し、米太平洋海兵隊のキース・スタルダー司令官が、駐留の意義は、北朝鮮崩壊の際核兵器を回収するためだという本音を語っていたことが毎日新聞(4/1)の報道でわかった。

 2月17日、赤坂の米大使館で開かれた両国防衛当局幹部の会合で、「実は沖縄の海兵隊の対象は北朝鮮だ。もはや南北の衝突より金正日体制の崩壊の可能性の方が高い。その時、北朝鮮の核兵器を速やかに除去するのが重要任務だ」と言ったという。

 現に3月8日から展開していた米韓合同軍事演習には「核兵器など北朝鮮の大量破壊兵器の捜索・確保・除去」を任務とする米特殊部隊の輸送が含まれており、米国会にも報告されている。これについて、マイケル・グリーン元米国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長は、そうすることで中国への間接的な抑止力になるというが、いかにも苦しい。

 防衛庁の情報中枢も、台・中の問題にアメリカはできるだけかかわりたくないという意向のあることをつかんでおり、中国への抑止力という説明は完全に破綻している。また、北朝鮮対策なら沖縄より本土からの方が近いし、すでに合同訓練をしている韓国ならもっと近い。

 しかし、当塾でかねて主張しているように海兵隊を北朝鮮に展開するのは極めて難しく、現実にはあり得ないことだろう。海兵隊が出動するということは、相当の抵抗を排除し、一定の地域を完全に制圧するということだ。100万の正規軍があり、山岳地帯とトンネルで要塞化したところへ1~2万の海兵隊が行くには、膨大な損害を覚悟しなければならない。

 イラクでは大量破壊兵器の発見に失敗し、アフガンでは原始的な装備しかないタリバンに手こずっている。第一、国境を接する中国にとって、アメリカ軍の侵攻は決して無視し得ない国家安全上の大問題だ。人民解放軍が国境を越えて予防線を張るようならば、第2次朝鮮戦争の再開になるだろう。

 誰が考えても、アメリカがそのようなことをするはずがない。「なぜ沖縄に」という疑問は、日本よりむいろ米国内の方に多いという。ここらの事情を同紙は1面と3面を使って詳述しているが、一つは日米同盟をより深化させるため、日本の北朝鮮脅威論を利用しない手はないということと、沖縄がいかに「居心地がいい」かということに尽きるのではないか。

当塾の関連記事
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http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/post-c8e5.html
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安保」カテゴリの記事

コメント

陸軍のような防衛も出来る軍隊ではなく、殴り込み専門部隊である海兵隊の任務(使い道)としては今回のキース・スタルダー米太平洋海兵隊司令官発言は、『なるほど』と思う日本人は多いと思いますが、実際問題としては朝鮮戦争停戦以来半世紀、
アメリカ軍の侵攻をずっと待ち続けて、準備している北朝鮮に対して海兵隊が侵攻することは、塾頭のお考えどうり米軍としてあり得ない選択肢で、単に日本の世論(北朝鮮脅威論)の悪乗りした『方便』ですね。実現性は限りなくゼロでしょう。
それにしてもグアム移転する8000人に対して北沢防衛相は現実に沖縄にいる海兵隊実数は4~5千人と話している。数字が合わない。
普天間のある宜野湾市長は前から、海兵隊が全数をグアムの移転する米軍資料を示して、マスコミや政府外務省の主張の間違いを指摘しています。

投稿: 逝きし世の面影 | 2010年4月 1日 (木) 14時13分

コメントありがとうございます。

海兵隊の数字が合わないのは、定員が12400だというが架空の数字で、いつもいるのはその1/3程度、イラク、アフガンなどに行っていたりグァムやタイ、フィリピン、オーストラリア、韓国などに演習の名目で往来しているので、グァム移転の8000人も意味のない架空の数字でしょう。

演習場は多いにこしたことはないし、留守家族は住みやすいし、基地経費は持ってくれるしで、居心地がいいから出ていきたくないのです。

投稿: ましま | 2010年4月 1日 (木) 17時38分

この毎日の記事を紹介した朝鮮日報の記事が面白い。

日本の安保専門家の相当数は、在沖縄米軍の一部を構成する海兵隊の任務について、地上投入兵力が約2000人である点を挙げ、
『有事の際に韓国にいる米国人を脱出させるという役割に限定している』と解釈している。

と書いてあるのです。『なるほど』、この解釈の方が米海兵隊の長い歴史から推察すれば納得がいく解釈です。
今までの沖縄の立地条件が『近いから最善なのだ』の説明だったのですが海兵隊の航続距離の短い回転翼機では『北』は遠過ぎて日本本土の方が最適ですが、南(韓国)なら沖縄でも十分到達可能範囲で、海兵隊基地がいざと言う時の米兵や米国市民の脱出用の配備であると考えるとアメリカ(ゲーツ国防長官)がグアムではなく沖縄に拘る理由も納得できるでしょう。

投稿: 逝きし世の面影 | 2010年4月 2日 (金) 09時58分

私もそれを考えたのですが、核兵器回収の任務でなく市民救出が目的なら、在韓米軍や在日空軍、第7艦隊などで十分です。

北が国境を越え、電撃作戦で韓国北部を制圧すれば殴り込み部隊も必要ですが、朝鮮戦争当時と違って韓国の防御態勢により、逃げ出す間もなく制圧されてしまうとは考えられません。

それならば在韓米軍の大幅削減はしないと思います。いずれにしても矛盾だらけ。シュミレーションゲームならゲームオーバーです。

投稿: ましま | 2010年4月 2日 (金) 13時30分

駐韓米軍の有事の意味ですが、北の侵攻(本格的な戦争)の意味ではなくイランでのアメリカ大使館人質事件のようなもの(反米感情が爆発した韓国に拘束される)ではないでしょうか。?
70年代前のプエブロ号事件で82名が拘束されても一切軍事的なオプションは取らずアメリカ側(ジョンソン大統領)が謝罪して穏便に済ましている。
プエブロ号の翌年に米軍偵察機を撃墜されて30人以上の死者がでてもアメリカのニクソン大統領は同じ態度でしたよ。
民主党のクリントン大統領は電力不足に苦しむ北朝鮮に対して無料で原子力発電所を建設する約束までしていました。
冷戦を過激にエスカレートさせすぎて相手のソ連をゲームオーバーで崩壊さしたレーガン以外の歴代のアメリカ大統領は、皆がみな、冷戦ゲームとは敵対する相手があってこそ成り立つゲームだと言う大事な点を踏み外す事はなかった。

投稿: 逝きし世の面影 | 2010年4月 2日 (金) 14時23分

詳しくはないのですが、「特殊部隊」と「海兵隊」は別組織ではないのでしょうか。
それとも、海兵隊の一部門にそれがあるのか?。

投稿: ましま | 2010年4月 2日 (金) 16時12分

沖縄の米軍の任務が日本防衛でも抑止力でも無く『韓国の米人保護である』との見方は韓国紙に書かれているので、韓国では常識であるのでしょうが、
ただ現実問題としての可能性としては、今回言い出した北の核除去の話と全く同じで、ほぼゼロでしょう。
今回は、『多くの日本側防衛関係者の意見』とあるところが興味深いですね。
そんな事は日本のマスコミには決して載らない種類の話です。
米軍が沖縄にいる理由は唯一つ。
反戦塾塾頭のご意見『基地経費は持ってくれるしで、居心地がいいから出ていきたくない』に尽きるでしょう。

ただ普天間基地のある宜野湾市長の国家へ提出した資料をよく読むと、元々米軍の世界的再編の為に米軍は大分前からグアムに海兵隊の全員移転は決まりごとで、居残るとのマスコミ報道の方が間違いであるようです。
ただアメリカ軍がマスコミ等で居残るように装っているのは、日本からの思いやり予算を今までどうりに日本政府から出させる思惑がある。本当の真実を語ったら日本から金が引き出せなくなる。

アメリカ軍は作戦地域と、ベースとなる攻撃基地の策源地とは安全上必ず2000キロメートルの距離を離すのは決まりごとらしく、日本攻略にはサイパン島が重要な意味があったように、
ソ連極東地域(ウラジオストック)には沖縄基地が絶妙な位置関係にあり、冷戦時は絶対に必要で米軍の要石だったのです。
ところが冷戦自体が崩壊するし、航空機などの軍事技術が向上した今ではもっと遠くても良くなっているので沖縄の意味がなくなっている。
グアムならその点理想的で日本列島、朝鮮半島、台湾、フィリッピンなどと2000キロメートルのちょうど良い程度に離れた距離で、しかもアメリカ領なので何時でも不用に為れば本土に撤収も可能です
海兵隊は現在は三つの遠征軍を持っているが、将来は経費節減の為に本土の二つの遠征軍に整理統合する予定であるらしい。

投稿: 逝きし世の面影 | 2010年4月 2日 (金) 17時35分

今日4月3日の毎日朝刊『沖縄に海兵隊は必要か』で防衛庁審議官から、小泉政権時から5年以上軍事問題の内閣官房副長官補をしていた柳沢協二氏が、
『海兵隊の抑止力は、非常に疑問だ。』と発言しているのです。
今までの日本政府の軍事問題の専門家である柳沢氏は紙上で、『沖縄の一個大隊規模(1200人程度か)の海兵隊が、この地域の抑止力としてどれだけ不可欠なのか非常に疑問だ。』と主張しているのです。
今までの公称海兵隊人数である18000人は大風呂敷に近く、
北沢防衛大臣の4~5000人も可也も水増しで、
韓国の朝鮮日報の記事中の2000人でも多すぎて
小泉政権の日本側防衛問題責任者の柳沢説では員数はたったの1200人足らずですよ。
海兵隊の編成ですが、調べると
海兵隊遠征隊(MEU)は、増強された海兵隊歩兵大隊を基幹として、混成ヘリコプター飛行中隊、兵站部隊、そして司令部部隊より編成されている。指揮官は海兵隊大佐、総兵員は約2200名です。
これが、朝鮮日報の2000人の数字の根拠でしょう。

海兵隊遠征隊Marine Expeditionary Unit、(MEU)は通常2200人規模ですが主力の戦闘部隊は一個大大隊規模なので1200人です。
米国本土 西海岸の海兵隊遠征隊はカリフォルニア州キャンプ・ペンデルトンに第11、第13、第15海兵隊遠征隊の三個MEUを持っていて一つの遠征軍を組織している。
米国本土 東海岸の海兵隊遠征隊はノースカロライナ州キャンプ・レジューンに第22、第24、第26海兵隊遠征隊の矢張り三個のMENで編成されているのです。
ところが日本駐屯の海兵隊遠征隊は沖縄県キャンプ・ハンセンの第31海兵隊遠征隊だけで、唯一つMEUなのです。

柳沢協二の一個大隊1200人との説が一番正確な数字のようです。


投稿: 逝きし世の面影 | 2010年4月 3日 (土) 13時25分

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