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2010年3月26日 (金)

イスラエル批判の高まり

 ついに日本の新聞もイスラエルの横暴、アメリカの不公平なイスラエルえこひいきを公然と批判するようになった。26日付毎日新聞社説にそれが現れる。

 米・イスラエル関係が冷え込んでいる。イスラエルのネタニヤフ首相が、同国への「無条件の支持」をうたう米国にやってきた。なのにホワイトハウスは、オバマ大統領との握手の場面を記者団に撮影させなかった。尋常ならざる事態である。

 その主たる責任はイスラエル側にあるだろう。同国は67年の第3次中東戦争以降、占領したヨルダン川西岸や東エルサレムなどにユダヤ人入植地を造り続けた。入植地といえば小さな集落を連想しがちだが、人口数万人の大規模団地もある。

 これについて日本は「基本的にジュネーブ条約違反」(外務省高官)との立場だ。戦争捕虜や占領地の扱いなどを定めた同条約は、占領地への自国民移住などを禁じている。歴代米政権も入植地を「和平の障害」と憂慮してきた。

 さらに、国際司法裁判所が「国際法違反」と断じた占領地の「分離壁」や、国連総会は壁の撤去を求める決議に対して、入植地問題と同様、壁の解消を図る動きは米国内でもほとんど見えないと断じ、「米国のネオコン(新保守主義派)や共和党の支持」または「ユダヤ票への思惑」など、これまでネット論壇では常識化している言葉を駆使して次の結論に導く。

 テロを防ぐには不合理の解消も必要だ。多数の犠牲者を生むイスラエルの軍事行動を擁護し、同国に不利な国連安保理決議案は何度でも拒否権で葬る。それが近年の米国の常だが、あからさまな不合理や不条理を放置すればテロ根絶は難しかろう。

 遅きに失した感があるが正論である。なぜこれまで遠慮がちにしかものが言えなかったのか。それは、ブッシュ政権のもと、すっかり自信をつけてしまったイスラエルのネタニヤフ首相が、アメリカの肝いりで始めた代理仲介工作を妨害するような言動を続発、アメリカ当局をすっかり怒らせてしまった(末記・注)ので、言いやすくなったのか。

 また、ドバイで1月に起きたハマス幹部の暗殺事件で逮捕された実行犯グループが、イギリス、フランス、オーストラリアなどの偽造旅券を所持しており、それらにイスラエルの在外大使館や国家情報機関の手によるものだという疑惑が暴露されて、国際的な反イスラエル気運が出てきたことによるのか。

 本プログは、国連のイラン経済制裁に積極的協力を言う前に、「かけはしになる」といった鳩山外交指針がどこかに置き忘れられていないか、ということを書いた。日本も、「イラン経済制裁に賛成しますが、ヤミ核兵器所有国イスラエルもこの際一緒に経済制裁しましょう」と言えれば本物なのだが……。

-----------------(注)
 【ワシントン共同】クリントン米国務長官は12日、イスラエルのネタニヤフ首相に電話し、バイデン米副大統領が和平仲介のため中東を訪問している最中にイスラエルが入植活動拡大を発表したことについて「理解できない」と強く批判した。米国と緊密な関係にあるイスラエルの首相に国務長官が直接不満をぶつけるのは異例だ。

 クローリー国務次官補(広報担当)が同日の記者会見で明らかにした。イスラエルは米国仲介によるパレスチナ自治政府との間接和平交渉を始めることに合意しながら、バイデン氏がイスラエルを訪れていた9日に占領地東エルサレムでの宅地開発計画を発表。パレスチナ側を刺激し、仲介役の米国はメンツをつぶされた格好となっている。

 クリントン長官は電話で、計画発表は米国とイスラエルとの関係に悪影響を与え、和平プロセスへの信頼も傷つけると訴え、具体的な行動で和平推進への積極姿勢を見せるようネタニヤフ首相に求めたという。

 ネタニヤフ首相は10日、計画発表が不適切な時期だったとして、バイデン氏に遺憾の意を伝えている。
------------(北海道新聞)

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