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2010年3月14日 (日)

すべての高校を無償化に

 前回のエントリー「差別ということ」に対し、shuueiさまからコメントをいただきました。その内容が、美しく心温まるばかりでなく、ネットでは見られない「言葉の美しさ」「整った文章」にも感激しました。中学で国語の先生をされているとのこと、さすがです。

 日曜は、原則休塾の日ですが、コメント欄では見落とされることもあるので、以下に全文を転載させていただきます。

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 卒業する生徒から、「先生、これからも言葉の美しさを生徒に伝えていってください」というお礼の手紙をもらったことがあります。それは、在日三世の朝鮮の女子生徒からでした。私は彼女が朝鮮人だということを知りませんでした。在日朝鮮人であるという事実も、その手紙に書かれてあったのです。私は中学校で国語を教えていますので、彼女が「言葉の美しさ」に触れてくれたことはとてもうれしく感じました。しかしそれ以上に、彼女が朝鮮人であることを卒業の手紙で教えてくれたことがショックでした。そして朝鮮人であることを隠しながらこの日本に生きていて、日の丸や君が代を前に日本の学校を卒業することはどんな気持ちだったのだろうと、複雑な気持ちにさせられたものです。

 また、中国人の生徒も受け持ったこともあります。ある日の技術家庭科の授業で、その生徒はエプロンを忘れてきてしまいました。その日は調理実習の授業だったので、全員がエプロンと三角巾を持ってくることになっていたのですが、それを忘れたときのペナルティも決まっていました。五分間ほど正座をして、反省の言葉を言う、というのが技術家庭科の先生が決めたペナルティでした。エプロンと三角巾を忘れたものは数人いましたが、中国人のその生徒もふくめていつものようにそのペナルティを課せられました。ところが、その日の夜、その生徒の父親からクレームの電話が入りました。罰として「正座」をさせたことが問題だというのです。後日、技術家庭科の先生とも会っていただき理解を得ることができましたが、「正座させられた」ことが許せなかったのは、中国人としての憤りなのだろうと思いました。

 国際社会といわれる今、人と情報の行き来はかつてない速さです。二度の大戦を経た20世紀から、21世紀の社会を子どもたちはどう築いていくのでしょうか。

 子どもたちに罪はありません。どこの国籍であろうと、子どもたちが歴史や政治の隘路に陥っていくことは悲しいことです。世界の果実となる子どもたちに対して、国によって差別するような政策を日本が進めるならば、国際社会から支持されることはないと思います。

 最後に中国人の生徒が中学三年生の時に、芭蕉の「夏草や兵どもが夢の跡」について、書いた感想文を載せます。
 
  例えば「夏草や」の「や」の切れ字。夏草をただ想いうかべると、ただの草だけど、その夏草の草原の上をサーと風が通りすぎてゆくと、草の白く反射した部分がきれいに横一列に移っていくのは誰でも見たことはあるはずです。最初に光っていた草もすぐに光を失い、次の草、次の草へと移っていきます。そして、その間の時間はほんの一瞬の出来事です。もしかしたら(本当にもしかしたら)夏草にはこんな意味があったのかもしれません。

 地球から見たら、こんなに小さい草原(夏草)、この長い歴史から見たらこんなに小さい藤原三代の出来事、だけどそのどちらもこんなにも感動を与え、人々を圧倒させる。ただ人の世のはかなさに涙を流したのではなく、この小さな物、事がこんなにも長く、大きく人を感動させていたことに感心し、この句を詠んだのではないだろうかと思います。

(2010.3.13)
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コメント


橋下知事や中井大臣や産経新聞の発言を聞いて思い出したのは、小泉内閣の時自衛隊イラク派兵で日本国内が大論議になっていた同じ時期に運悪く米軍のファルージャ掃討戦に巻き込まれて現地イラク武装勢力に人質になった日本人3人に対する『自己責任論』のバッシングでしょう。
このときはバッシングを日本政府官邸、自民党公明党と産経、読売が連携して行っていた。
今回は少しだけ規模が縮小し読売と公明党が脱落、首相府も及び腰。
ただ誰も差別発言の暴走を率先して止め様としていないので声の大きい産経や橋下、中井の『朝鮮バッシング』だけが目立っている。
この時の日本の人質バッシングですが、記録映画にして海外の映画祭に出品したら、世界の誰も相手にしない。
『そんな馬鹿な事が現実にあるはずが無い』と外国人は誰も『人質バッシング』が事実だとは信じなかったらしいですよ。
人質バッシングと同じで、今回の騒動ですが目先の感情論に流されて『朝鮮高校バッシング』が日本の国益(国の尊厳、名誉)にとってどれ程のマイナスになるかの観点が全く欠落しています。
国の『恥』だとの認識が無い。
余りにも判断力が偏向しているのに、自分が偏っているとの認識がそもそも存在していないのです。


投稿: 逝きし世の面影 | 2010年3月14日 (日) 11時11分

金東星くん、口数すくないが正義漢で喧嘩は強い。
李聖源くん、茫洋としているがみんなに好かれる。
朴某くん、習字がめっぽううまく、先生もかなわぬ。

こんな友達を持てない今の子ども(いや大人かな)を気の毒に思えます。

投稿: ましま | 2010年3月14日 (日) 14時09分

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