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2010年2月24日 (水)

中南米、共同体へ

 メキシコで開かれていた中南米・カリブ海諸国の32カ国による「統一首脳会議」は23日、同地域の新らたな機構を創設する方針を再確認する宣言を採択して閉会した。11年7月のベネズエラ会議で基本合意を目指し、12年チリ会議で新機構の名称などを決める方針になっている。

 米大陸には、1948年に結成された米国とカナダを含む米州機構(OAS)がある。反共を意識した米主導の組織で、革命を起こしたキューバは除名されている。今回の会議は、米・加両国抜きで欧州連合(EU)のような機構に発展させる機運を受けたものである。

 毎日新聞(2/24東京夕)によると、ボリビアのモラレス大統領は会議後の会見で、「OASは米国に支配されている。人民のためではなく、帝国(米国)のためのものだ」と述べ、「米国抜き」の新機構の重要性を強調したという。

 新機構が左派のモラレス大統領のいうような反米色の強いものになるとは限らないが、アメリカの庭先で起きていることは「脱アメリカ」を目指すという各国の共通認識である。アメリカにとって、のど元にささったキューバ革命以上の大転換にさしかかっているといってもいい。

 中南米の近代史は、文末年表に示すようにアメリカによる陰謀・侵略・支配・収奪の歴史といえよう。その政策は、中東・アジアなどでも応用され、現在も姿を変えて続いているといっても過言ではない。

 ベネズエラ、ブラジルをはじめ中南米に左翼政権が続出しているのは、アメリカが推進してきた新自由主義経済が格差拡大を促進していることに無関係ではない。南米有力国間ですでに貿易・経済協力が進んでいるが、OASはいずれ解体の運命をたどることになるだろう。

 EUにも、もともとアメリカの1国支配に対抗する意図があった。前回のエントリーでも述べたが、地域機構に属さない主要国は、米・加と日本だけということにもなりかねない。東アジア共同体を含め、日本の向かうべき国際的な位置づけ、戦略を早急に打ち立てなくてはならない時期が迫っている。

アメリカ――中南米関係年表
1835年 ペルー 革命の動き。米海兵隊、権益擁護のためリマ等を占領
1848年 メキシコ 米墨戦争に敗れたメキシコ、国土の半分を割譲     
1852年 アルゼンチン 政変に際して米海兵隊、権益擁護のため上陸、首都に駐留
1855年 ウルグアイ 政変に際して権益擁護のため米軍上陸
1856年 ニクウグラ アメリカ人が内戦に乗じて大統領に就任
1858年 ウルグアイ 政変に際して権益擁護のため米軍上陸
1865年 コロンビア パナマに革命の動き。アメリカ市民と財産を守るとして米軍が上陸
1867年 ドミニカ共和国 アメリカがドミニカの併合を図り失敗。サマナ湾を租借
1868年 ウルグアイ 暴動に際して権益擁護のため米軍出動
1873年 コロンビア パナマ地域の権益をめぐり米軍が出動
1885年 コロンビア パナマ鉄道が運ぶアメリカ製品の免税化を要求し米軍が上陸
1891年 ハイチ 米海軍艦艇がハイチ沿岸を封鎖、湾の譲渡を迫る
1894年 ブラジル 通商とアメリカの船舶を守ると称して米海軍がリオデジャネイロに上陸
    ニカラグア 革命に際して権益擁護のため米軍出動
1895年 コロンビア 武装集団の襲撃に対して権益擁護のため米軍出動
1896年 ニカラグア 政変に際して権益擁護のため米軍出動
1898年 プエルトリコ 米海軍が占領
1899年 ホンジュラス  米英海軍がカリブ海沿岸に上陸、1か月駐留
1900年 プエルトリコ アメリカの領土に編入
1903年 コロンビア パナマ政権成立の動きに際して米軍が出動
    ホンジュラス 政変に際して権益擁護のため米海兵隊が上陸
    ドミニカ共和国 政変に際して権益擁護のため米海兵隊が上陸
    ドミニカ共和国 独立。運河地帯の永久租借権獲得めざし米海兵隊が出動
1904年 ドミニカ共和国 革命の動きにドミニカ共和国
    パナマ 反乱の動きに米軍が出動
1906年 キューバ 革命の動きに米軍が出動
1907年 ホンジュラス ニカラグアと戦争。米軍が出動し要地を占領
1909年 ニカラグア ニカラグア左派の伸びを警戒して米海兵隊が上陸
1910年 ニカラグア 内戦に際し権益擁護のため米軍が出動
1911年 ホンジュラス 内戦に際して権益擁護のため米軍が出動
1912年 キューバ 権益擁護のため米海兵隊が出動
    ニカラグア 内乱の発生で米海兵隊がニカラグア占領
    ホンジュラス 権益擁護のため米海兵隊が上陸
1914年 ハイチ 暴動に際して米軍が出動
    ドミニカ共和国 反乱の動きに米海軍が出動
    メキシコ 米海兵隊がペラクルスを占領
1915年 ハイチ 米海兵隊が占領支配。1934年まで
1916年 ドミニカ共和国 反乱の動きに米軍が出動、24年まで駐留
1917年 キューバ アメリカの権益保護のため米軍が出動、22年まで駐留
1919年 ホンジュラス 革命の動きに権益擁護のため米軍が出動
1920年 グアテマラ 内乱に際し権益保護のため米軍が出動
1925年 パナマ ストに際して米軍が出動、多くの都市を占拠
1926年 ニカラグア 反政府暴動への弾圧を援助するため米海兵隊が上陸
1933年 ニカラグア 米海兵隊が上陸し革命運動を鎮圧
1946年 パナマ アメリカのスパイ・工作員養成学校スクール・オブ・アメリカ設立
1954年 グアテマラ アルベンス政権がアメリカ支援の反政府軍侵攻(CIA工作)で崩壊
1959年 キューバ 革命成功
1960年 キューバ アメリカが禁輸を発表、翌年国交断絶
    ドミニカ共和国 アメリカが経済制裁
1962年 キューバ ミサイル危機。アメリカが海上封鎖。
1965年 ドミニカ共和国 革命の動きに際して米海兵隊4万人が出動、占領
1981年 ニカラグア アメリカが支援する反政府右派ゲリラにより内戦開始
1982年 アルゼンチン フォークランド戦争。アメリカは同国に経済制裁
1983年 グレナダ 米軍が侵攻
1989年 パナマ 米軍が侵攻。ノリエガ将軍を拉致
1994年 ハイチ 無秩序状態となり権益保護のため米軍が出動
(伊藤千尋『反米大陸』集英社新書ほかで作成) 

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