小沢叩きもいいが…
関東地方はここ数日、曇か雨で暗くつめたい日が続く。内外のニュースもつらくうんざりするようなものが多い。いきおいブログにも興がわかない。昨日まで「官僚たたきもいいが…」というシリーズにしたが、マスコミの「小沢たたき」も一向におとろえを見せない。
おかげで、去年前半までその金権体質やこわし屋渡り鳥政治家の小沢一郎が嫌いだったが、あまのじゃくの塾頭は小沢ファンになって応援したくなった。マスコミも民主党内も、ただ小沢たたきの幻影に踊らされている。
「暴君」「罵倒」「僭主」「傲慢」考えつく言葉を総動員(毎日2/17夕刊・牧太郎専門編集委員)して、新聞紙面を悪人イメージで覆う。昨今のマスコミはどう見ても異状としかいいようがない。なかには独裁者・ヒトラーにたとえようとする論調まで現れている。
小泉元首相が参院のねじれ現象に業をにやし、特権を行使してお門違いの衆議院を解散した。そして郵政民営化に反対する自民党候補のところへ情け容赦なく刺客をねじこみ、圧勝したことは記憶に新しい。当塾は当時、いわゆるB層を標的とした宣伝手法などを含め、小泉流をヒトラーに擬したことがある。
しかし、その当時は小泉改革礼賛一本槍で、ヒトラーとくらべてみたマスコミなど見たことがなかった。小沢バッシングはまさか顔が嫌いというのではないだろう。小泉ヒトラーに比べれば可愛いものだ。金権体質も自民・保守から引きずった過去の体質で、現在、またはこれからの問題ではない。
法的に糾弾できないのなら、残すところ好き嫌いだけではないか。剛腕というが政治を力強く引っぱっていく能力がある数少ない政治家だ。彼のやっていることが気に入らなくても、考えてみて道理に反する言動はしていない。むしろ政府閣内にある優柔不断、言行不一致、政策決定できない迷走ぶりの方に批判を向けるべきだ。
昨年決定されるはずだった「防衛計画の大綱」は、政権交代で決定が1年延期され、鳩山政権らしい防衛政策が打ち出されるものと期待していたが、このほどその基礎となる「新たな時代の安全保障と防衛計画に関する懇談会」のメンバーが決まった。
その中には、集団的自衛権容認に向けて走った麻生内閣で委員を務めた中西寛・京大大学院教授や、加藤良三前駐米大使が再任され、改憲を打ち上げた安倍元首相のブレーン、岩間陽子・政策研究大学院教授も入る。
座長は、平野官房長官のお友達・京阪電鉄最高経営責任者の佐藤茂雄氏である。ほかに5人の委員と防衛官僚関係者2名が加わるが、私の乏しい経験によるとこういった会合は、どうしても過去から参加しているベテランと事務局が用意したデータに引きずられ、最初から決まっている結論へ持って行かれる。
普天間基地の移転問題は、当初の鳩山首相の意気込みとは裏腹に、連立各党の案はまとまらず、5月決定なら、今頃最大の交渉当事者であるアメリカと地元での折衝が始まっていなければならないのに、まだ方向すら決まっていない。
マスコミの小沢立件予測ははずれたが、「政府は、辺野古沖修正案で押しきろうとしている」という観測記事を流し始めた。たしかにそういった周辺情報は多い。5月決定がその通りになったら、参院選に向けて「結局自民と同じじゃないか」ということになり、社民党の離反を招いて、小沢選挙戦術は大きく後退することになる。
小沢幹事長としては、決して黙視できないことである。そこで党内世論を政策に反映させようとすれば、「強引・強権」の小沢叩きに一段と火を注ぐことになるだろう。塾頭は、去年のように選挙前の小沢優退も考えたが、ますますあとに引けない状況になる可能性も強い。「小沢たたきもいいが…」である。
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