反小沢キャンペーンの質
ニュースが一つの事柄に集中し、嵐のように吹きすさぶ状況の下ではブログを書きにくい。何をいっても蟷螂の斧、当たり前のことが非常識になってしまい「流れに棹さす」勢いに勝てなくなる。そういったさなかに世論調査をする読売新聞も読売新聞だが、小沢幹事長は辞任すべきだとする意見が70%にのぼったとする。
この質問が「小沢氏は議員を辞職すべきだ」だったにしても、そう変わらない数字が出ただろう。これはまさに恐ろしいことだ。戦前、斎藤隆夫の反軍演説が軍部の圧力のもと除名処分を招いたように、法的根拠のないまま民意だと言って議員辞職に追い込むようなことは決してあってはならない。
こういった雰囲気を醸成することにマスメディアは、どれだけ自戒の念を持っているだろうか。これまで民主党応援団のようだった毎日新聞が、一転、小沢バッシングの先頭に立っている。このブログでもこれまでに小沢氏に関する記事を書いてきたが、小沢氏の金権体質はぬぐいようがなく、その政治的信条や政治手法からみても代表は辞任すべきだと書いたことがある。そこで、毎日新聞の記事(1/18・東京朝刊)を見ていただきたい。
しかし、小沢氏は石川知裕衆院議員らの捜査を通じて、東京地検特捜部が再び自らの周辺にひたひたと迫っていることを鋭敏に感じ取り、心穏やかではなかったようだ。「小沢支配」構築は、検察との「全面戦争」を射程に置いた布石だった。
昨年12月に約140人の国会議員を含む総勢600人を引き連れて訪中したり、元日に私邸へ166人の国会議員を招いたりしたのも、「やれるものならやってみろという権力の示威行為」(自民党幹事長経験者)にほかならない。羽毛田長官批判もその一環と見ることができる。
団体による訪中や私邸の年賀行事は毎年行われる定例行事だということは、新聞にも書いてある。たまたま民主党員が多数当選し、定例行事への参加希望者が増えただけだ。また、羽毛田長官批判は小沢氏固有の意見ではない。私は小沢さんの発言以前に「天皇政治利用をめぐる醜態」というエントリーを上げていた。あとで「小沢さんの意見とおなじになりましたね」といったコメントもいただいた。
これらが「全面戦争」とどこに関連があるのだろう。記事全般を見ても「関係者」という怪しいニュース源が頻繁にでてくる。こういう書き方が多かったのは産経新聞だと思っていたが、とうとうそのレベルにまで落ちてしまったようだ。
この記事は「読む政治」という特集で1面と3面にあり、大見出しが踊っている。解説記事だろうがそれにしては、憶測、仮説、牽強付会が多い。そして、不思議なことに他の記事には必ずついている執筆記者の名がない。おそらく論説委員以上の実力者がかかわっており、社説なみなのであろう。
毎日新聞は、「記者の目」コラムが好評を得ているように、比較的記者によって多様な意見・観察が誌面に反映されるところが魅力だった。それならば、この所の急激な小沢バッシング(読者にはそう見える)について、検察リークや関係者ソースだけでなく、読者に納得のいく説明責任が新聞社にも必要なのではないか。
(注)「関係者」「産経新聞」などについて昨年12月、毎日新聞の金子秀敏専門編集委員がおもしろいコラムを書いています。この方も是非ご覧ください。
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/post-8540.html
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コメント
金木犀 さま
Runner さま
コメントありがとうございます。やはり一番気になるのは毎日の豹変です。私の観測によると社内に「関係者(全く誰かわからない)」取材、検察リークの扱いで社内に論争があり、検察権力にマスコミが迎合しているような民主党の主張を払拭しなければならない、つまり産経新聞的取材であっても無冠の帝王たる権威だけは維持しなければならないという上の方針があったのだと思います。
さらに、経営上地方支局のかわりに地方紙や共同通信を起用せざるをえなかった事情、そのぶん対抗上中央の取材力強化をアピールしなければならない事情、そんなこともあったのでしょう。以上は、立派な憶測です。
投稿: ましま | 2010年1月19日 (火) 10時31分
自民党の鳩山邦男議員の元秘書で現在フリージャーナリストの上杉隆さんが興味深いことを言っています。
記者クラブ問題の歴史を調べてみたところ、どうやら、日本で最初に記者クラブ開放をやったのは、自民党幹事長時代の小沢さんだったのだそうです。
そして、その直後から、マスコミの間でとたんに小沢バッシングが始まり今日に至っているとのことです。
投稿: Runner | 2010年1月19日 (火) 02時12分
マスコミの世論誘導に関して、菅さんが民主党党首の時の、年金未納疑惑を思い出します。
結局、未納ではなくて、社保庁のミスであったのに、TBSではみのもんた、読売テレビでは小栗泉、テレ朝では、田原総一郎と古舘伊知郎が、菅さんの話も聞かず、いつ辞めるのか、やめるんですか辞めないんですか、とばかり詰め寄った。
結局、完全にシロだったのに、菅さんは代表を辞めざるを得なくなりました。
しかも、シロだった菅さんに、あのあと一言も謝らなかったマスコミ。今でも未納だったの信じている安藤優子。
今回も、テレビを見ているとあからさまな情報誘導があるように感じます。
マスコミこそ異様ではないかと思います。
毎日新聞もそうですが、系列TBSの後藤という人も、ひどいです。
マスコミ全体の今の論調は、郵政選挙の報道の仕方や、イラク人質事件の人質批判を思い出してしまいます。
意図的に世論を誘導しようとしているのを、とても感じます。
投稿: 金木犀 | 2010年1月18日 (月) 23時16分
逝きし世の面影 さま
「関係者周辺」ですか。驚きましたね。12月25日に《「関係者」という亡霊》というブログをあげましたが、上の記事との対比が面白いので、改めてリンクさせることにしました。
毎日の良心的執筆者に改めてエールを送ります。
投稿: ましま | 2010年1月18日 (月) 13時59分
nessko さま
いらっしゃいませ。
文書によるアンケートでも適当する解答がない場合が多いですよね。まして、議員辞職か幹事長辞職か、「小沢幹事長は辞職すべきだと思いますか」と電話で問われ、確認や聞き直す人はすくないと思います。
マスコミで問題がヒートアップしている(させた)最中、あるいは捜査が進行して結果のでないうちに世論調査をし発表することは、司法判断や政治に予断をあたえることになり非常にまずいことだと思います。
しかし、それをねらったのならば、何をかいわんや。
投稿: ましま | 2010年1月18日 (月) 13時46分
今日の毎日新聞朝刊には『関係者』よりも、もっと曖昧な表現の『関係者周辺』からの情報であると書いてある。
元々この『関係者』ですが、検察は全員が公務員であるから個人的に知り得た情報をマスコミに流せば公務員法の守秘義務に違反する犯罪行為。
それでニュースソースを曖昧にするために『関係者』なる便利な言葉が報道機関では常用されるが、今回はそれに『周辺』までが付いて来た。
昔学生運動華やかなりしころの話ですが学長を学内集会で学生が吊るし上げるものだから嫌気がさして直ぐ辞める。
学長や学部長が代理となるが、其れも辞めるので代理代行になる。代理代行も辞めるので学長代理代行事務取り扱いなんで凄い長い名前の役職になってしまったが、
マスコミでもそのうちに関係者周辺の代理の代行の手伝いの
なんて話になりかねない。
それにしても今のような匿名報道が許されているのは日本だけだとの指摘がある。
ネットがマスコミに比べ信用度が低いのは匿名だからなのですが、今の『関係者』なる匿名報道では日本のマスコミは我々ネット記事を五十歩百歩の存在ですよ。
投稿: 逝きし世の面影 | 2010年1月18日 (月) 13時26分
世論調査は、以前はこんなに頻繁にやってなかったよう記憶します。
私も、家の電話にかかってきた選挙に関するアンケートに答えたことがありますが、質問にしろ、用意されている選択できる回答にしろ、限られていて、これでいったいなにがわかるのだろうと思いました。
結果を数値で表されると、一見確からしい印象を与えられるというのがあるんでしょうかね。データを集めるといっても、質問の仕方や、回答結果の解釈の仕方で、いかようにでも操作できるのではないかと疑いたくなります。
投稿: nessko | 2010年1月18日 (月) 12時55分