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2010年1月13日 (水)

外国人参政権の問題

 政府は、「永住外国人に地方選挙権を付与する法案」を今度の通常国会に提出する方針を決めた。これまでこの問題を当ブログで取り上げたことはないが、民主党内に根強い反対論があると同時に、社民が賛成、国民新党は反対という、安保などの取り扱いと似たようなところがある。

 野党になった自民は、もうひとつはっきりしていない。しかし、安倍晋三氏や外野にいる平沼赳夫氏が反対の旗を振っており、反対で一致できるかどうか、場合によれば政界再編劇のひとこまになるかも知れない。一方、公明党は積極推進派で今国会実現を目ざしているし、共産も賛成するようだ。

 このように、非常に複雑で微妙な問題を抱えているせいか、マスコミでもあまり正面から取り上げようとしない。しかし、ネットの上では「反日」「売国」「工作員」「日本が日本でなくなる」などの常套語が飛び交い、激しい反対論が圧倒している。

 当ブログにも「伊豆諸島のような島嶼の自治体が危ない」といったようなトラックバックを頂戴していているが、「対馬が韓国に乗っ取られる」などと同様に、まともに取り上げることすらはばかられるような非現実的議論になっている。

 だからといって、議論がなくてもいいとは言えない。その理由は、上述のような思慮のない言論を政治が利用し、国の運命をあらぬ方向へ導いたことが過去にあったからである。その典型がナチズムだといってもいいだろう。

 議論にのせなくてはならないのは、1.これからの日本の将来を考える上で、確立していかなければならないアイディンティティー。2.レイシズム(人種差別主義)、排外主義など島国根性の克服。3.国民と住民、人権と規制といった異なる価値基準の調和。といったことであろうか。

 さらに、憲法15条で定める「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」という規定である。地方議会の外国人選挙権付与は、違憲ではないという裁判所の判断はすでにあるが、これに対しても国民的合意が必要であろう。

 ただし、自衛隊や安保問題で解釈改憲の手垢のついた安倍氏など、自民党政治推進者にこれをいう資格はない。また、反対論者のいう外国人とは、50万余人いるという在日韓国人を指しているようで、彼らの代弁者(被選挙権は与えられない)が地方議会で専権をふるい、議会が支配されるようなことをいう。

 そして、さかんに北朝鮮の脅威を例としてあげるが、同国の代弁者とされる朝鮮総連はこの法律に反対している。その理由は、日本の反対論者と全く逆で、権利を得ることで義務と責任を負い、日本への同化政策に引き込まれることを警戒しているのだという。

 大韓国居留民団は、永住者の権利拡大に反対はしていないが、3世、4世となると日本人化は避けられず、やはり同様な憂慮が内部にあるようだ。そこまで考えなくても、この法律が地方自治に有利か不利か、国際親善や国益に役立つかどうかだけを考えれば、答えは自ずから明らかになるはずである。

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コメント

数日前に『外国人参政権法案で乗っ取られる日本』なるプリンターで印刷されたA4のビラが我が家の郵便受けに入っていたのですが、ネット上で運動しているグループがあるようです。
まあしかし、ものは考えよう。
田母神のように航空自衛隊の最高幹部という大量破壊兵器を使って日々大量殺人を訓練している人物の中にも自分の妄想と目の前の現実の区別が出来ない人が存在していたのですから、ネット中毒で昼と夜が逆転しているような若者ならリアルな現実世界とバーチャルの空想世界が逆転するのも仕方がないでしょう。

投稿: 逝きし世の面影 | 2010年1月14日 (木) 10時37分

こういったことは国際的な潮流の中で考える必要がありますね。
だいたい、日本人だって海外に居住しているわけですから、居住先では逆の立場でこの問題を考えることになるのですが、どうも、日本人にはそういう視点が欠如しているようです。。
野茂投手が大リーグへ行った際、米国の記者たちから「米国の市民権は取得しますか?」との質問を受け、「???」と答えられませんでした。それもそのはず、日本にはこの「市民権」という概念がないからです。そんな日本でも「外国人に人権はない」などと考える人はいないでしょう。

たとえば、日本人が別の自治体へ転居した場合の地方参政権はどうなるのかと考えると、やはり、現在は住んでもいない自治体に対して参政権があるというよりは、参政権というのは住民の権利だと考える方が無難ではないかという考えになります。
そんなわけで、国政への参政権はその人の国籍に対して存在するが、自治体への参政権はその人の住んでいる自治体に対して存在するという考え方に落ち着くと思います。

しかし、憲法の条文については、確かにひっかかりますね。
「国民」の定義に「永住外国人」も含むというふうに解釈するのでしょうか。
やはり、「外国籍市民」という概念がないことが問題のように思います。

投稿: Runner | 2010年1月15日 (金) 17時38分

逝きし世の面影 さま
 自民党はやはり反対に回るようです。この問題の複雑さは、良識派と思えるような人の中にも人種的偏見で反対に引きずられている向きがあることです。
 私も機が熟さないのにどうしても今国会で、というほど積極論ではありません。気がかりなのは、差別や排外主義をたしなめることをしない、大人になりきれない安倍、田母神のような輩が、依然として大手を振っている現状です。
 外国といえば。アメリカにだけしか目が向かない識者といわれる人物もまだまだ減っていません。やはり戦争に向かいやすい体質です。

投稿: ましま | 2010年1月15日 (金) 20時10分

Runner さま
 明治はじめには盛んに用いられていた「人民=People」は帝国憲法ですべて「臣民」に統一されました。「平民」「市民」「住民」など豊富な使い分けがあるのに使われず、「臣民」を「国民」と置きかえたのが現憲法です。

 だから今あるのは「国民」のほかは「何人」と「文民」などで、やはり帝国憲法のDNAを残した閉鎖的な性格はまぬがれません。

 こういった点は、改憲派です。(^o^)

投稿: ましま | 2010年1月15日 (金) 20時48分

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» 一阿のことば 24 [ガラス瓶に手紙を入れて]
軍隊に対する考えもタシ算ヒキ算で行きたいものです。ところがどうでしょう今軍隊というと市民と称する人達は身震いするほど嫌います。 [続きを読む]

受信: 2010年1月13日 (水) 22時44分

» 「地球は全人類の物」と言う<友愛論>と、主権国家における<参政権の理論>とを混同してはならない [晴れのち曇り、時々パリ]
>民主党の山岡賢次国会対策委員長に10日から警護官(SP)が随行することになった。 >与党時代の自民党国対委員長にはSPはついておらず、異例の待遇だ。 >山岡氏が先週、永住外国人に地方選挙権を付与する法案を今国会に提出する考えを表明したところ、事務所に抗議の電話が殺到。警視庁が「警護が必要」と判断したという。山岡氏は「発言に対する反発が大きかった」と周囲に語っている。 【毎日新聞電子版】 私は、運転中以外は<気が長い>方だと思っております。 特に、大切な事に関しては、10年でも20年でも待... [続きを読む]

受信: 2010年1月14日 (木) 06時45分

» ◆強く拡散希望!! 文例 「外国人参政権法案反対決議」の要望書5  エキスパートVer.  *利用、改変、転載可* [【日本を】『日本解体法案』反対請願.com【守ろう】]
◆本日の文例は、外国人入国在留手続の専門家に取材をして書きました。すると、参政権付与対象である「永住者」に関し驚愕の事実判明内容の概略: ●「永住者」の在留資格は来日からごく短期間で            容易に与えられているケース多数 ●その「永住者」を頼りに来日する外国人が増え、           「移民」状態は始まっている ●不法入国・滞在者にも、日本語の読み書きのできない者に�... [続きを読む]

受信: 2010年1月23日 (土) 11時33分

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