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2009年12月17日 (木)

海兵隊が抑止力?

 普天間飛行場移転問題は先送りされた。これまでの報道からすると、今頃はアメリカの怒りを買って、日米同盟に修復不可能な亀裂を生じていなければならないはずであった。断片的なニュースを拾ってみると、アメリカの中では決してそのような空気に満ちているとは言えないようだ。

 ただし鳩山首相は、沖縄県民のためにはっきりした方針を来年前半にも決定し、アメリカへもこれを伝えなければならない。当塾は、これまでのあいまいさを、外交上許されるテクニックとして見逃してきた。しかし参院選終了まで引っぱるということになると、明らかに首相の指導力が問われることになる。

 それがかねて懸念されていた党内の防衛政策の不一致によるものだとすると、相当の摩擦を覚悟してでも方向性を明確に国民の前に示し、参院選で民意を問う手続きが必要だ。しかし戦後60年、平和憲法と対米依存に守られてきた日本国民は、軍事や安保の議論に慣れていない。

 そのためには、ごく素朴な疑問から取り上げ、ていねいな説明がなくてはならない。
1.日本になぜ米軍基地が必要か。
2.両国の権利と義務は何か。
3.なぜ沖縄だけに基地を集中(本島は面積の1/5が基地)するのか。
4.日本は米軍の行動や編成・任務・装備にどこまで注文がつけられるのか。

 そして、日米合意促進派は、なぜ普天間飛行場の移転先として辺野古沖合がいいのか、また海兵隊を置かなければならないかの説明が必要である。13年間もかけて2転3転、やっとここまでこぎつけて合意したのだから、というのは説明にならない。この点、マスコミも鳩山内閣の迷走ぶりにだけを報じ、本質的な説明を避けている。もっといい方法があればそちらに向けることこそ進歩であり、政治の知恵である。

 そういった中、沖縄、海兵隊、一体化、抑止力といったひそかな声が、自民党の中だけではなく、民主党内からも聞こえてくる。「北朝鮮の脅威に対して米海兵隊の存在が抑止力となる……」こんな奇妙な黄門の印籠(もちろんアメリカには通用しない)まがいの詭弁を使いたがる手合いがいまだに多い。

 まず断っておくが、「抑止力」とは、憲法9条の「武力による威嚇」と紙一重の言葉だ。日本国憲法では自衛隊であろうと駐留軍であろうと、武力行使と共に放棄していることを認識しなければならない。海兵隊は北朝鮮などに行かない、行くとすれば自衛隊と共同作戦だが憲法がある自衛隊は参加しない。拉致被害者を救出するため日本が頼んで海兵隊を派遣、大きな犠牲を払って国土を制圧し連れ戻す。アメリカはそんなお人好しではない。

 北朝鮮からの上陸を阻止してくれる?。それは自衛隊の役目で、敵地殴り込みを得意とする海兵隊の任務ではない。ただ、敵に占領された島を自衛隊と共同して奪還するということならあるだろう。しかし世界第2位の哨戒能力を持つ自衛隊が領土の島をみすみす見逃すようでは、事業仕分けの対象になる。

 要するにナンセンスなのだ。アメリカに迎合するため勝手に仕組んだできの悪い繰り言にしか過ぎない。このような冷戦構造意識から抜けきれない化石人間に、日本の安全をゆだねては100年の禍根を残す。ここは鳩山内閣にじっくり最善の方途をさぐってもらいたいものだ。

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安保」カテゴリの記事

コメント

初めまして。
通りすがりですが、御ブログの方向性に共感致しました。
故有ってフランスに長く暮らしており、祖国の酷い有り様にブログで愚痴っております。
内容が重複する私のブログを、2つ程トラックバックさせて頂きました。
公開して頂ければ幸いです。
拙ブログにも、お越下さい。
『晴れのち曇り、時々パリ』

投稿: 晴れのち曇り、時々パリ | 2009年12月28日 (月) 05時08分

時々パリ(省略ごめん!)さま

ようこそ、海外へはほとんど行く機会がないので「時々」教えてください。

今後ともよろしく。

投稿: ましま | 2009年12月28日 (月) 11時44分

お断りもせず、またご趣旨とは異なる文脈での引用であったかも知れず・・重ねてご寛恕ください。

鳩山さんが背水の陣で仕掛けての事ですから・・詰まんない誰がやっても変わりようのない総辞職云々「政局」にしてしまうより・・まじめに海兵隊の抑止力・・安保のあり方・・最新の極東の軍事政治情勢評価対策・・をきちんとまじめに国会やマスメディアが取り上げる好機だ(今なら視聴率も取れるでしょうに)と思うのですが・・ぜひその方向で・・

投稿: raccoon21jp | 2010年5月 8日 (土) 13時19分

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貨幣に支配される奴隷 のつづきです。 [すみちゃん] 「確かにそうなんですが、紙幣がそのように帝国内部で発生した前例があるでしょうか? 残念ながら経済史の知識も乏しいので良くわかりません。 思考実験であるとすると、もちろんローマ帝国の紙幣など他共同体の手工業者が受け取るわけはありません。 紙幣の起源は、帝王が度量衡を定め、帝国内での流通を保証した貨幣ではなく、貨幣あるいは金銀の預かり証とか、決済用の信用状ではないとか思いますが。」 人気blogランキング 社会保障政策の本質投稿者 あっし... [続きを読む]

受信: 2009年12月17日 (木) 16時18分

» 【普天間】宦官ジミン政権時代の密約を暴くことこそ日本外交への信頼感を取り戻す近道だ【日米密約】 [ステイメンの雑記帖 ]
 共産支那の習副主席に対する「特例謁見」問題にすっかり話題の的を奪われた感があるが、沖縄駐留海兵隊の普天間基地移転問題は相変わらず売国宦官勢力による鳩山政権バッシングの材料となっている。  そして今度は、 惨経の「恥辱の殿堂」こと古森編集特別委員兼論説委員 が、アメリカの保守系シンクタンクであるヘリテージ財団が米政府に提言を提出したなどという愚にもつかない記事を出している。  それによるとこのヘリテージ財団なるものは、   (1)日本政府に普天間飛行場の県内移設など、あくまで合意通りの実施を求める ... [続きを読む]

受信: 2009年12月18日 (金) 01時01分

» 普天間問題〜何も決めないから問題なのではない〜 [虎哲徒然日記]
鳩山政権が発足して3ヶ月が過ぎて、随分がたついているのが 米軍普天間基地問題だ。 そもそも1996年に返還が合意されたものの、これまで13年放置されていた。ロードマップで沖縄県名護市の辺野古に、海上基地を建設することとあわせて2014年の返還ということ....... [続きを読む]

受信: 2009年12月23日 (水) 10時59分

» ノラリクラリ大いに結構 これからが総理の意地の見せ所ですゾ。 [晴れのち曇り、時々パリ]
日米合意「イエスで済ますのは簡単」(見出し) 【朝日新聞】 >11日の鳩山首相 >(記者)先ほど首相は解決について、相手のある話でアメリカがどのように理解してくれるのかが時間がかかると言ったが、日米合意を検証した結果をそのまま継続するということなら、アメリカの理解は必要なくそのまま受け入れられると思うが、ということは日米合意をそのまま継続するのではなくて、さらなる負担軽減を求める考えということか。 >(首相)「日米合意をそのまま国民の皆さんといっしょにですね、この日本の政府がわか... [続きを読む]

受信: 2009年12月28日 (月) 05時00分

» 「在日米軍の必要性を強調するなら、その負担は全国で分かち合おうと呼び掛けるのが筋」/地方紙に注目! [晴れのち曇り、時々パリ]
まるで、<アメリカ政府広報紙>としか思えない視点での論調を繰り返し、新政権の足を引っ張る事しかしない、<全国紙/大手マスコミ(全国ネットのキー局TVも含めて)は、もはや祖国に害毒を垂れ流す存在に成り果ててしまった、と思っていました。 ところが、意外な事に<地方紙>が健全で有る事に気が付かされた。 以下、順次引用させて頂く。 日本人の心のありようを問う国内問題【長崎新聞のコラム】  >…鳩山由紀夫首相の胸の内が見えないから、どんな最終結論に至るのか、見当が付かないが、沖縄の心情... [続きを読む]

受信: 2009年12月28日 (月) 05時02分

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