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2009年12月 4日 (金)

こんにゃく問答

 【落語】こくにゃく屋の六兵衛がとある禅寺で和尚になりすます。そこへ旅の雲水・択善がやってきて問答を申し入れる。六兵衛、体よく断りたかったが逃げられず受けなくてはならない羽目に……。

択「大和尚。法華経の五字の説法は八遍に閉ず。松風の二道は、松に声あるや、松また声を生むや。この儀いかん」

六「…………」
択「しからば、有無の二道は禅家悟道の要諦にして、いずれが理なりや非なりや」
六「…………」

択「しからば、東海に魚あり。頭もなく尾もなく、なかの支骨を絶つ。この儀いかん」
六「…………」

択「書するときは方、画するときは円。この儀いかん」

 にわか和尚の六兵衛、問われても答えられない。択善、さては無言の行の最中か、とさとった。それではと、手話に切りかえた。

 それからしばらくして、択善が両手をつき「おそれいってございます。なかなかわれらの及ぶところではありません。ご免!」と叫んで、方丈をあとに玄関へ駆け戻った。八五郎という寺男がそこにいて、驚いてわけを聞いた。

八「どうなさった?」
択「愚僧が負けました」
八「エッ、お前さんが負けた?」

択「はい。大和尚にはじめ二、三問いかけましたるところ、お答えがござらぬ」
八「うんうん。その答えねえところにネウチがあるんだ。それがどうした」

択「さては無言の行かと心得、最初親指と人差し指で輪をつくり、日の本はと問いかけましたるところ、大和尚は両手をあげて輪を作り、大海の如しとのお答え。そこで両手の指で十方世界はと申しますると、片手で、五戒で保つとの仰せ。そして指三本をお示しし三尊の弥陀はと問いますと、目の下にありと答えられました。なかなか愚僧の如きの及ぶところではございません。よろしくお伝えのほどを」

  といって一目散に寺から飛び出した。八五郎、早速問答僧が逃げ去ったことを六兵衛に伝えに行くと、

六「俺の前にきやかって、いろいろのことを言いやがる。こっちはニセものだから黙っていた。するとあいつめ、おれの商(あきねえ)を知ってやがるじゃねえか。俺の面、ジロリと見やがって、やいやい、てめえんとこのこんにゃくはこれっぱかりだろうと言うんだ。

 そこで癪にさわるから、バカァいえ、こんなに大きいと言ったんだ。すると十丁でいくらだってえから、五百だってったんだ。ところがしみったれ坊主じゃねえか。三百にまけろと言うから、アカンベをしてやった」

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