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2009年12月21日 (月)

護憲派遍歴

 このブログを「護憲派ブログ」と呼ぶ人がいる。抵抗はしないがなにか違和感を覚えてしまう。人や思想を分類するのは便利だが、することもされることもあまり好きではない。なぜならば、そういうレッテルを貼り、貼られるほど有能でもなければ知識があるわけではないからだ。

 人生は長くやっているが、当然時により考えも主張も変わってくる。生まれつきの護憲派ならば、「帝国憲法」を擁護し復活させなければならないわけである。昔の記憶は断片的で筋道が立たないが、情景としてしっかり残っている部分もある。

 昭和21年(1946)春頃から、憲法改正の報道が多くなった。終戦後のラジオの政治番組として「真相はこうだ」はよく聞いた。占領軍による洗脳工作といわれるが、そういう感じはあまり持たなかった。またもう一つ戦中にはなかったのが、国民の声を直接聞く「街頭録音」だ。

 技術的にどういう仕掛けをしたのかよくわからなかったが、現場には中継車のような大型バスがついた。地方の田舎都市までやってきて、選挙権の年齢すれすれの叔父が意見開陳したことを自慢していた。今のように「○○について一言……」の感想ではなく、演説調で短い議論もする。

 憲法の争点として多かったのは、天皇制存続の是非だった。戦後一時に人気の高まった共産党が主張したのは、天皇制廃止だ。戦争放棄は、「それでいいのかなあ……」という気持ちがあったが、占領中だし戦争に負けたのだから仕方ないと割り切っていたように思う。

 ということは、必要があればいずれは変わる――と考えていたのだろう。今ではちょっと信じられないが、講和条約後で自衛隊の発足した1954年、人権闘争に立ち上がった証券取引所労組の人たちに、9条ではなくいきなり「徴兵制反対」の署名をもらいに行ったことがある。

 朝鮮戦争は終わったものの、ことと次第によれば憲法改正があるかも知れない、しかし徴兵制だけはご免こうむりたいと感じていたのだろう。しかしそうにはならなかった。「保守・反動」の吉田茂や岸信介が選んだ道であり、55年体制のおかげである。したがって、日本人は押しつけ憲法に意見も言えず歯を食いしばって我慢したわけではない。

 それから数十年、生活に追われるだけで憲法を考えることなど稀であった。「反戦」の名のつくブログをはじめ、地域9条の会発足に協力するようになったのは、小泉純一郎・安倍晋三のおかげである。また、現行憲法がいかに現実にあったすばらしいものであるかがわかったのは、桝添要一らが作った自民党新憲法草案のおかげである。

 だから、改憲絶対反対でもなく、非武装でもなく、中立でもない。「反戦」をどう実現させるていくのか、この先も柔軟に考える余地を十分に残し、最善の道を模索する自由を確保しておきたい。

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コメント

昨晩、夜中にNHKでものすごい番組をやってましたね。
第二次大戦の白黒映像をフランスがデジタル技術でカラー化したのだそうですが、これが今まで見慣れた映像のはずなのに、まったく別のものかのごとく見えました。
緊迫感が伝わるというか、とても、昔話には感じられませんでした。
今晩も深夜0時半から第三回があるそうです。
もちろん、日本の様子も出てきますよ。

投稿: Runner | 2009年12月23日 (水) 13時37分

見ました。人間がここまで愚劣になれるのかの見本です。2度と見たくはないが若い人には見てほしい。

投稿: ましま | 2009年12月24日 (木) 10時18分

その番組のタイトルはなんというのですか?
映像の20世紀のカラー版ですか?

投稿: カーク | 2009年12月25日 (金) 21時11分

私が見たのは、24日0時30分
「カラーでよみがえる第二次世界大戦③敗戦と終戦」でした。
<人間が愚劣に……>と書きましたが、<国家が……>がその前にくるのか後ろにくるのか、考えさせられました。

投稿: ましま | 2009年12月25日 (金) 21時38分

「よみがえる第二次世界大戦~カラー化された白黒フィルム~」という番組です。
今年、BSで放送されたものの再放送らしいですが、今回、番組欄では「BS世界のドキュメンタリー」としか載ってなかったです。
ユダヤ人の虐殺シーンなどは白黒のままでしたね。生々し過ぎると判断したのか、それとも、ユダヤ人から承諾が得られなかったのか。

投稿: Runner | 2009年12月26日 (土) 02時00分

ましまさん、Runnerさん、ありがとうございます。再放送かNHKオンデマンドで見れたらいいなあと思っています。

投稿: カーク | 2009年12月26日 (土) 13時11分

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