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2009年12月14日 (月)

天皇政治利用をめぐる醜態

 宮内庁の羽毛田信吾長官が、天皇の政治利用に当たる懸念がある、として深い憂慮の念を示したことにつき、各紙はそれに同調する記事をそれぞれかかげている。天皇、習副主席の会見当日は、さぞかしお互いに気まずい初対面の場となるであろう。

 天皇の政治利用について、認識の甘い官邸筋の失態はまぬがれず、当然非難されるべきだ。しかし、天皇の尊厳とその仕事(国事行為)を支える重要な地位にいる宮内庁長官が、皇室と政府双方をおとしめる発言をするなど、この上ない「不忠」について難詰する論調はない。もっともこの長官の不用意発言が日頃マスコミのメシの種になっている面はあるようだが……。

 羽毛田長官には選択肢として次の4つがあった。

1.ルール違反を理由に職を賭してでも断りきる。
2.やむを得ず会見をセットして、内情は秘密にしておく。
3.2と同じだが天皇会見終了後内情を暴露し、再発を戒める意味で辞表を提出する。
4.今回とった行動。

 1は、事情を説明すれば中国側も納得するはずだ。外務省もそのつもりでいたという。習氏にはまだ次の機会がある。天皇の政治利用を制限するのは、戦前の愚を繰り返さないためだ。したがって2と共に両国友好促進上最善の道であった。

 3はそれに次ぐが4は最悪。日中両国に後味の悪さを残すマイナスだけで得るところがない。官僚としての職責を放棄した暴挙である。小泉元総理の信任を得て就任以来出過ぎた言動が多く、宮内庁長官をつとめられるような人材かどうか甚だ疑問である。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

それにしても民主党新政権は政治改革で『官僚政治の打破』と『政治の優位』のために各省庁の官僚トップである事務次官の定例記者会見を禁止した筈で、今度の宮内庁長官(官僚)の政府批判の『政治発言』は、官僚主導だった自民党時代でも本来許されるものではない。
今度の発言は、自分たち『官僚』が『政治』の風下におかれ様としている『動き』に対する明確な意思表示でしょう。
日本国は『官僚』が指導するのか。?それとも『政治』(政府)が主導権を握って動かすのか。?
散々公務員バッシングをやっていたマスコミが、今回自分の主張と同じだからといって、突然手のひらを返して『官僚』主導の政府(政治)批判を擁護するとは手前味噌にも程がある。

投稿: 逝きし世の面影 | 2009年12月14日 (月) 09時35分

この件はパスしようと思っていたのですが、元・皇民として黙しがたく……(笑)。

投稿: ましま | 2009年12月14日 (月) 10時19分

上の人は官僚による政治主導が叩かれていたのであって
まして天皇の政治関与などとの話とは全く次元が違うと理解できないんですかね
政治的関与させようとしたのは
小沢と内閣であり本末転倒
こんな暴挙の政治利用に警鐘鳴らすのは
マスコミも分からなければまず宮内庁の官僚以外で誰がするんですか

投稿: ルート77 | 2009年12月14日 (月) 19時53分

この話は反戦塾の深慮とは逆の方向の『大事』に発展しそうな、
あるいはみのもんたや安倍晋三。平沼赳夫など『大事』に発展させたい思惑の人々が色めきたって色々と発言している。
帰国した小沢一郎が『辞表を書いてから喋れ』と、この記事の趣旨と同じ事を、ましまさんより明け透けに(下品に)語っているが、そろぞれその人の品性が伺えて実に面白いですね。

それにしても我が国独自の珍現象なのでしょうか?、天皇に遠いものほど敬意を持っており逆に天皇の近い物ほど反対になる。
一番不敬なのが宮内庁長官だとの認識が当人に無い。
30日ルールなどと天皇をモノ扱いで、本当にお体が心配なら1ヶ月先の話ではなく朝起きたときの体調こそが一番大事なので1日ルールに変更するべきであろう。
それにしても皇室典範問題でも明らかになったが、天皇制を擁護するふりをして、天皇制に仇名す輩が多すぎる。
皇室典範今のまま放置(女性天皇を認めなければ)すれば20年後には皇位継承者は間違いなく1人しかいなくなり日本の天皇制は自動的に滅んでいく事をまわりのみんなは理解しているのだろうか。?実に不思議だ。

投稿: 逝きし世の面影 | 2009年12月15日 (火) 10時44分

 この件は本当にパスしたかった。その理由は、政治問題化に火を注ぐようなことをしたくなかったから、だが「果たせるかな」ですね。

 火事はもう起きちゃいましたね、ひろがるのやらおさまるのやら。天皇を利用した火付犯は、誰あろうほかでもない「羽毛田長官」その人。もう高見の見物ではいけないようです。

 選択肢を4つあげましたが、第5の「辞任の気なし」選択までは考えなかった。こうなれば高所放水車の出番です。

 

投稿: ましま | 2009年12月15日 (火) 21時13分

初めまして。「天皇の政治利用」をググっていて、ここにたどり着きました。

私もましまさんと同じことを考えていました。

従来政権よりも左寄りの現政権、中国への傾倒、「政治主導」の名のもとに進行する独裁化の懸念、小沢の院生・・・といった文脈の中で批判につながっているような気がしますが、実はこの宮内庁長官の言動が一番の問題です。

陛下の体調を考慮した「1か月ルール」。
陛下のためのルールです(いやもちろん建前でしょうが)。

しかし、
外務省「2週間前だけど・・頼む」
→宮内庁「1か月切ってるからダメです」
→内閣「いいから入れろ」
→宮内庁しぶしぶ了承&暴露。
この経過には、陛下への慮りが微塵も感じられません。この「暴露」が最悪。きっと陛下は辛い思いをされていると思います。

慣例という既得権を守る、保身行為としか思えません。

羽毛田長官はひょっとしたら「陛下のためを思って戦ってる」とかホントに思い込んでいるかもしれませんが・・・だとしたら、このズレは、かなり深刻です・・・

投稿: 桑江蛇巳郎 | 2009年12月15日 (火) 22時38分

民主党は政権を奪取し、官僚政治打破を宣言したにもかかわらず、官僚人事をいじらなかった。
それがいたるところで問題を起こしていると言わざるを得ませんね。
自業自得ともいえるでしょうね。

投稿: Runner | 2009年12月15日 (火) 23時59分

一ヶ月ルールを作ったのは、自社さ連立内閣であって、宮内庁ではありませんよ。その時の新党さきがけの代表が鳩山現総理です。

私は宮内庁長官の今回の選択がもっとも正しかったと思います。なぜなら、会見前に国民に知らせる必要があるから。会見後に事実を国民に知らせても、「そんなことは会見前に言わなければ批判できないだろう」と国民に言われてしまいますよね。

国民は政府を監視しなければなりませんし、自分が「これは間違っている」と思うことにはどしどし抗議すべきですし、「政府の好き勝手にさせないぞ」という意思表明をすることは「前」でなければならず、「後」では無意味です。政府への反対表明の自由の確立。それが民主主義の基本ではないでしょうか。

その視点が管理人さんには欠けているように思えてなりません。政府の好きにさせることは民主主義ではなく独裁専制です。

投稿: 一ヶ月ルールについて | 2009年12月16日 (水) 14時39分

桑江さま、Runnerさま
いろいろ書き込みありがとうございます。
最後の方にだけちょっと。
私は、長官がルールに基づいて会見を自信をもって拒否することを選択の1位にあげています。よく読んでいただいていないようです。
今回のように習副主席などに特別感謝されるような結果を生んだのは、わずかながら天皇会見の政治利用になりますね。あまりみっともいい話ではありません。

投稿: ましま | 2009年12月16日 (水) 17時42分

社民、共産は羽毛田長官寄りみたいですね。
一方、右翼の山崎行太郎さんは下記のように論じています。

http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/

投稿: Runner | 2009年12月16日 (水) 22時36分

Runner さま
 石原都知事が、「(宮内庁が)皇室の行事を仕切ることで自分の権威を持たそうとするのは、ちゃんちゃらおかしいと思うね」と言った(毎日)そうです。年格好は似ていても全く意見の合わない1日も早く引退してほしい人ですが、奇妙に波長が合う時もあるのです。

 山崎さんにも似通っているとすると、私は「右翼」なのでしょうか(笑)。そういえば共産党志井さんの、副主席や大統領の接遇は、大使・公使でないから「国事行為」には当たらないという一部学者の意見を借りてきた見解は、天皇制反対を党是とする同党との整合性がなく全く評価しません。

投稿: ましま | 2009年12月17日 (木) 11時09分

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