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2009年12月18日 (金)

PAC3

 PAC3、地上配備型迎撃ミサイルのことである。愛称はパトリオット(愛国者)である。もはや旧聞に属するが、北朝鮮がテポドンを打ち上げたとき、落ちてくるミサイルを地上から発射する迎撃ミサイルで打ち落とすという、トレーラーの荷台に四角の砲身並べて置いたような映像がよく出てきたアレである。

 このPAC3追加配備を盛った防衛費予算が見送りとなった。報道では、福島瑞穂社民党党首が「無駄を省く方向で検討してほしい」と注文をつけていることなどが影響しているという解説である。この財政の苦しい中、無駄を省くのは当然である。

 自衛隊の段階的縮小を看板に掲げる社民党が、数ある防衛費の中でPAC3配備が最も無駄だと思ったのなら少々異議ありだ。好戦派がいう核開発やテポドン実験が北朝鮮の脅威ではない。核開発は今が外交のカードとして使える山場で、核弾頭ができてしまっても使いようがないし、テポドンは近すぎて日本には不向きだ。

 こわいのは200基(その半分以下という説もある)もあるという中距離ミサイル・ノドンだ。テポドンのようにボディーを遠くから運んだり発射台に据えたり、時間をかけて燃料注入したりして何日も前から発射準備が偵察衛星にバレバレになるのとは違い、トラックに積んだノドンは地下トンネルからいきなり出てきて即発射できる。数ある地下トンネル出入り口にはダミーもありなかなかとらえられない。

 運良く衛星でキャッチしたりイージス艦で軌跡が追跡できれぱ、着地点でPAC3が待ちかまえて落下の途中を爆破する。ただしPAC3の守備範囲は20㎞以内に限られている。したがって都心地区を守るだけでも数基が必要ということになる。現在は都心とか基地周辺とかに配備されているだけで日本全土がカバーされているわけではない。

 1発だけならともかく、位置を変えた連続発射などがあれは撃ち漏らしを防げず、命中させたとしても放射能や化学・生物物質をまき散らすことになれば被害甚大だ。要は結果として「防げない」ということである。

 軍事常識からすると、日本も対抗上同等以上のミサイル持ち、軍縮交渉で数を減らしていくということになる。しかし、憲法上日本は攻撃用兵器を持てない。その分をアメリカに依存している形になるが、格が違いすぎる米朝では、軍縮交渉が成り立つとは思えない。となると、PAC3の性能を上げ配備を増やし、北朝鮮にノドン増設しても無駄だと思わせるしかない。北朝鮮脅威論が本当であり、もし備えが必要ならPAC3配備に最優先順位を与えなくてはならない。

 防衛費の削減は大賛成である。私が言いたいのは、その前にどれほど真剣に国防や安全保障について考えているかということである。アメリカと自民党の間で進んでいた防衛大綱の改定と「中期防衛力整備計画」(中期防)策定が、政権交代でとりあえず1年先送りされた。

 つまり、それに変わるべきビジョンが見えてこないということである。民主党は内部調整に手間取るであろう。また、極右の平沼新党などの動きもあり、自民党で落ち目のネオコン・ネオリベが復活の機会をねらっている。

 社民党が生き延びるためには、これまでの「非武装中立」のDNAを神棚に置いて、民主党以上に外交に乗りだして平和への実績を高め、現実味のある安全保障の新理念をかかげることしかない。無理な注文かも知れないが、そんな社民党なら次は社民党に投票することにしたい。

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» *〔しーたろう〕の意見書文例 :“外務省の抗議要請”に応じた意見書* [ガラス瓶に手紙を入れて]
◆◇本日のエントリの主旨◇◆12月15日の天皇陛下と中国副主席とのいわゆる「特例会見」の件、遠藤健太郎オフィシャルブログさま「外務省『抗議してほしい』」によりますと、なんと、外務省側があからさまに「抗議して下さい」とおっしゃっているというので、ここに文例をアップいたします!!... [続きを読む]

受信: 2009年12月18日 (金) 21時35分

» 役者だねぇ~ [雑感]
  昨日、つまり(2009年1月17日)の 23:23 と 23:39 に配信をされた記事を読み直して、「 産経は民主党を応援をしているのではないか? 」とさえおもった。配信記事は下に転記をしておいた。両方の記事を並べ、そして入れ替えると非常にわかりやすい。 つまり、16日に民主党・小沢幹事長が、官邸で鳩山首相に民主党として、 陳情の事案をとりまとめて渡した。 その時には、衆院選マニフェスト( 政権公約)違反の項目も含まれ ていたのだが、 財源捻出(ねんしゅつ)のめどが立ち予算編成は楽になる。 その... [続きを読む]

受信: 2009年12月18日 (金) 21時43分

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