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2009年12月

2009年12月31日 (木)

2010・元旦

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2009年12月29日 (火)

米軍基地と抑止力

 政府・与党は昨28日午後、首相官邸で「沖縄基地問題検討委員会」(委員長・平野博文官房長官)の初会合を開いた。2010年5月をめどに普天間基地移転先について結論を得るというが、委員は外務・防衛の副大臣クラスと社民・国民新党の政策担当者クラスとなっている。
 
 鳩山首相は、来年にかけたて最大の重要案件と位置づけているようだが、閣僚の意見はばらばら、首相はその都度いうことが違い、閣内に県外・国外移転を譲らない社民・国民新党首がいる。自民党が13年間かかって決定できなかった問題を、このような委員会でどこまで突きつめられるのか心許ない。

 マスコミでは、盛んに「抑止力」に対する議論を表面化するように主張し始めた。鳩山首相が言い始めたことだが、これこそ最高の「国家戦略」にかかわることである。防衛・外務の専門家をバックにした政府側委員と社民・国民新党が議論しても、羅針盤もなく大海に放り出された小舟のようなもので、漂流か沈没かが目に見えている。似かよった過去を振り返ってみよう。

 自民を野党に追いやった細川政権は1994年2月、「防衛計画の大綱」を18年ぶりに見直す方針を立て、首相の構想する軍縮を念頭に私的懇談会「防衛問題研究会」を設けた。メンバーは経済界、自衛官を含む元官僚、大学教授など9名という構成である。

 これに危機感を抱いた防衛庁は、ただちに現職長官、次官、幕僚長など中枢幹部8名をメンバーとする「防衛の在り方検討会」を設けて対抗した。結局上記「懇談会」はこの「検討会」からデータ・資料などを提供され、自ずからのリードを奪われる。

 細川内閣が短命だったこともあり、細川首相の目論見は日を見ることがなかった。その当時の防衛庁や自民党の抑止力論議が15年たった今、全く変化していないことが当時発表された論考でわかる。『軍縮問題資料』(1994/6)に掲載された、元・防衛庁防衛研究所第一研究室長・前田寿夫氏によるもので、以下にその一部を紹介する。

(前略)
 一つは、神通力が薄れた「ソ連脅威論」の代わりに、北朝鮮を「新たな脅威」として浮かび上がらせていることです。米国は北朝鮮に対して核兵器開発の疑惑をかけ、それを中止させようと軍事的圧力を強めている。在韓米軍はもとより、在日米軍、第七艦隊を総動員して、いつでも「北」に対して軍事介入できる態勢をととのえている。それに連動しての「北朝鮮脅威論」です。(中略)

 しかし危険なのは北朝鮮よりも、むしろ日本列島を基地として戦争すれすれの瀬戸際戦略を展開している米軍です。米国は、「第二次朝鮮戦争」が発生した場合、日本の基地から海兵隊、空母機動部隊、戦闘爆撃機などを大挙して朝鮮半島に出撃させる計画です。

 そうなれば、日本はいやおうなく戦争に巻き込まれる。もし北朝鮮に攻撃能力があれば、在日米軍基地だけでなく、日本全土が目標にされること請け合いです。米国に追随する日本に対して、「北」は次第に悪感情をつのらせているからです。(中略)

 新しい防衛計画を作成する場合、なによりも先ず当局者に銘記してもらわねばならないのは、日本国憲法にうたわれている平和主義、戦争放棄、交戦権否認、戦力不保持などの諸原則は、単なる理想ではなく、日本の現状にマッチした、きわめて現実的な指針であり、選択だということです。(中略)

 第二に、日本自体は、周辺諸国との間に、軍事力で争わねばならない問題はなく、また四面を海に囲まれているため、周辺諸国の軍事的影響力は著しく緩和される。そのうえ、日本は東アジア地域の経済で中心的役割を果たしています。

 日本が他国の軍事紛争にチョッカイを出さない限り、日本に対して軍事的攻撃が行われる恐れは全くといってよいほどないからです。

 これが書かれたのは、アメリカの同時多発テロやイラク戦争よりずっと前だ。民主党クリントン大統領時代ではあるが、オバマ大統領の出現など想像もできなかった。また、アメリカが「北」と対話路線をとろうとしている時、全く発想の転換ができてこなかったことを証明するものだ。

 またこの当時、現・小沢一郎民主党幹事長は、与党を取り仕切っていた新進党の代表幹事をつとめ、同時に金丸信自民党副総裁から引き継いだ「日本戦略研究センター」の会長役でもあった。ここには、自衛隊将官OBや防衛官僚OBで兵器・装備関係に縁の深いメンバーや防衛産業幹部が集まっており、防衛政策に影響を持つ利権組織だったと見られる。

 したがって小沢氏は防衛問題について決して素人ではない。冒頭に書いた基地などの検討委員会や官邸の意見が暗礁に乗り上げた場合、「国民の意見」の助け船を買って出るかもしれない。それがどんな船か予断を許さないが、鳩山首相の指導力が完全に幻想だったことを証明することにはなるだろう。

 

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2009年12月26日 (土)

公園と自然

2009_12260004  このあたり、自然が売り物です。

 下の広場には、かつて釣り鐘型の回転遊具と対面ベンチ型ブランコがあったがいずれも撤去。蜘蛛の巣だらけで放置されていたコンクリート製パイプが今では人気。やはりオソマツ君の時代がいいようで。

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2009_12260012  少し前まで、水辺で幼児が与えるパンくずに水 面が見えないほど鴨が集まったが、看板でこのところ個体数も激減。生態系が云々、水質汚染が云々と理由が書いてあるが、どうやら責任を鴨に押しつけたいのカモ

 かわりに鴨の方で陸に上がって遊んであげている。2009_12260001  

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2009年12月25日 (金)

「関係者」という亡霊

 3日前に、「マスコミの変調」と題して、最近、情景描写まで加えて「見てきたようなウソを言う」報道がふえたことを記事にした。民主党や鳩山首相を標的にしたいわば「為にする」内容が多い。大げさにいえば情報操作にもなり得る。

 本ブログでは「まるで電話を盗聴したか、官邸に隠しカメラがあるようなはしゃぎぶり」と表現した。ところが、マスコミの一角を担う毎日新聞のコラム「早い話が」(24日・東京夕刊)に、産経新聞という特定の社名をあげ、

 ――関係者によると(ルース大使が)穏やかな語り口を一変させた。「いつも温厚」(防衛省筋)で知られるルース氏は、岡田克也外相と北沢俊美防衛相を前に顔を真っ赤にして大声を張り上げ、年内決着を先送りにする方針を伝えた日本側に怒りをあらわにした、という――

 という記事に対し、岡田外相の「(真っ赤な顔など)全くの創作です」という証言や会議場に岡田、北沢防衛相、ルース米駐日大使、通訳だけしかいなかったことなどをあげ、あり得ない話であることを検証した。

 一方でクリントン米国務大臣に藤崎駐米大使が、普天間飛行場移転について「異例な呼び出しを受けた」という各紙の報道が、うそっぱちらしいということも天木直人のブログで表面化している。

 毎日新聞の金子秀敏専門編集委員は、最後を次のように締めくくっている。

 それにつけても、だれだろうね、よく新聞に出てくる「関係者」とは。

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2009年12月24日 (木)

しっかりしろよ!民主党

 まず今日の毎日新聞朝刊の記事をそのまま引用する。

 政府は23日、10年度の防衛予算で、海上自衛隊最大となる新型護衛艦の建造費と、新型戦車の整備費を計上する方針を固めた。事業仕分けでは、装備品に関して「政治判断を待つ」と結論を先送りしていた。

  護衛艦の建造費は巨額に上ることから、連立与党の社民党から異論が出る可能性もある。新型護衛艦は広大な甲板を持つ空母型で、ヘリコプター9機の同時運用が可能。全長248メートル、基準排水量1万9500トンで、約1200億円を計上する見込み。災害派遣や国連平和維持活動(PKO)の洋上拠点として活用する方針。

 新型戦車は74式戦車の老朽化に伴い代替として導入する。防衛省は16両(約150億円)の導入を求めているが、台数はまだ決まっていない。

 防衛省幹部は同日、「防衛・財務省間では計上でほぼまとまった。ただ、社民党が受け入れるかどうかは確定していない」と語った。【仙石恭】

 政治判断の先送り、その最たるものが防衛関係予算だ。普天間飛行場移転が決まらないから自民党当時の移転関係予算をそのまま計上とか、防衛大綱の見直しを来年に持ち越すからとか、事業仕分けでも「政治判断が必要」と防衛問題から逃げまくっている。

 ここで新型戦車の話が出たので、当塾の過去の関連記事をたぐってみた。その戦車は相模原の自衛隊基地でマスコミに得々として公開した(「怒!高いおもちゃ」08/2/14)ものだ。開発費48億円、1台7億円。

 次の記事(「高いおもちゃ、国会質問」09/3/17)は自民党が組んだ本年度予算に対し、前川清成民主党参議院議員が行った国会質問の内容である。不合理というより滑稽な予算付けであることを的確に指摘している。まさに当塾が指摘してきたことである。

 その戦車を導入する予算を民主党内閣がつけるというのである。自民党は、議会で前川質問をそっくりそのまましてみたらどうだろ。公約違反というより裏切りに近い予算付けだ。しかも、最初の公表価格が1台7億円、本年度予算では8億円、来年度予算を単純計算すると9.5億円、まさにデフレ宣言の逆をゆく。

 さらにもうひとことつけ加えておこう。記事にいう「護衛艦の建造費は巨額に上ることから、連立与党の社民党から異論が出る可能性も」である。主婦の総菜の買い物ではない。本当に必要なものなら国民の命と安全を守るためだ、バンとはり込めばいい。そうでない、あやしげな予算付けをやり玉にあげるのが社民党であってほしい。同様の趣旨は18日の「PAC3」でも述べておいた。

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2009年12月23日 (水)

象徴天皇の明日

 全く違うネタを考えていた。ところが今日は天皇誕生日。早速検索があったのでよく見たら10月20日の記事に「皇后陛下の誕生日」とあるところへ行っている。それで、皇后陛下だけをとりあげるのでは不公平かな、という気がしてこれにした。

 先日の羽毛田宮内庁長官関連で「天皇政治利用」問題があったばかりである。今日も陛下の健康に配慮して恒例の「おことば」も会見によらず文書だけだ。当ブログは昨年10月、「即位礼20年を祝日に?」という記事を書いた。

 要旨は、即位なら皇室典範第4条で1989年1月7日である。翌年11月に即位礼が行われたのは、平安時代に唐から導入された儀式に沿った神事によるもので、いわば私的な祭祀である。これを休日にしようと企んだのは、「日本は天皇を中心とする神の国」といった森元首相が中心の「天皇陛下御即位二十年奉祝国会議員連盟 」だった。

 前記事でも言及したが、こんな例は明治から昭和まで聞いたことがない。改憲が遠のいたために仕組まれた政治利用と思われても仕方がないだろう。幸い政権交代の大波の中で「休日法案」は審議未了になったため実現しなかった。今回の天皇のコメントの中に次のようにある。

 本年は、私の即位から20年、私どもの結婚から50年という節目の年に当たりますが、4月の結婚50年に際して、また、11月の即位20年に際して、多くの人々から祝意を寄せられたことに深く感謝の意を表します。

 天皇の健康を気遣わなければならない年に、こんな盛りだくさんなイベントを考えたのは誰か、天皇だけではなく皇族がたの健康を害するような「商業利用」を執拗に繰り返したメディアはどこか。答えはもう出ているだろう。このような国民に、なお気遣わなければならない陛下は、お痛ましい限りである。誕生日を祝し、長寿を全うしていただきたい。

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2009年12月22日 (火)

マスコミの変調

 最近気になることは、マスコミが政権交代ブームから一転政府与党バッシングに変わったことだ。もともとマスコミは反権力でなければならないと思っているので、その限りでは憂慮することではない。ところがその変化があまりにも急なことと、攻撃が政策内容ではなく、小沢氏や鳩山氏の性格や語調から政変心待ちのような論調、いや論調ではない、枝葉末節のあら探しに奔走しているいことである。

 「党高政低」という比喩は、別に当塾の発明ではないが、今月2日付けの記事の題名に使った。わずか20日前にはほとんど使われなかったので、まずその解説からはじめている。 

 まもなく西高東低の冬型気圧配置になる。政権与党の気圧配置は、党(民主党)高・政(政府)低の気圧配置が定着しそうである。政権交代を願い、新内閣の好調なすべりだしに多少のことには目をつぶってきたが、この気圧配置は大荒れに発達するのではないかという心配がでてきた。

 党高気圧の中心は、小沢幹事長。当初言われていた権力の二重構造にはならない、という私の観測は当たっていると思う。「生き続けるためには変わらなくてはならない」という彼のモットーは捨ててはいないが、心にもないことを言ったり言わされたりするのが大嫌いで、直情径行に走りやすい性質はそのままのようだ。

 ところが、この数日で「権力の2重構造」とともに「党高政低」はすっかり流行語になった。小沢幹事長の予算に対する政策提言は、「待っていました」と言わんばかりである。小沢強要、鳩山変節、そして「小沢激怒」「内閣右往左往」など、まるで電話を盗聴したか、官邸に隠しカメラがあるようなはしゃぎぶりだ。また、このエントリーの後半で次のようにも言っている。

 たしかに、これまで放置された官僚による悪弊は大掃除をする必要がある。しかし「坊主にくけりゃ」の官僚バッシングは目に余る。官僚はあくまでも「法」に基づき「法」に従って仕事をする職業で、政治家に支配されて法をまげることは許されない。法制局長官による法解釈答弁を法律で禁止するのは筋違いだと思う。

 これは、14日付けエントリー「天皇政治利用の醜態」の伏線になる私見である。羽毛田宮内庁長官のいう30日ルールは法律ではない。仮に法律またはそれに準ずるものであれると思うのであれば、あくまでも官僚としての良心を曲げるべきではなかった。

 そういったことをわかりやすく、悪く言えば端的に、露骨に言うのが小沢発言で、筋道として間違ったことを言っていない。「米軍は第7艦隊だけでいい」といった発言も一面の真理をついており、責め立てられるような内容ではない。

 このところ低調だった右翼好みの週刊誌は、鳩山年内に退陣とか、来年の同時選挙で小沢内閣だとか、民主党混乱をあおりたて始めている。しかし民主党支持の皆さんご安心あれ。小沢さんは口べたで上のような発言しかできない、首相には向いていないことを知っている人だ。

 マスコミの変調が情緒的内容に頼るものだけなので、この喧噪はやがて消える運命にある。経済政策の失敗による深刻な2番底を招くとか、新たな汚職事件が発覚し内閣を直撃するようなことがない限り、民主党にとって輝かしい2010年の新年を迎えられることになるだろう。

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2009年12月21日 (月)

護憲派遍歴

 このブログを「護憲派ブログ」と呼ぶ人がいる。抵抗はしないがなにか違和感を覚えてしまう。人や思想を分類するのは便利だが、することもされることもあまり好きではない。なぜならば、そういうレッテルを貼り、貼られるほど有能でもなければ知識があるわけではないからだ。

 人生は長くやっているが、当然時により考えも主張も変わってくる。生まれつきの護憲派ならば、「帝国憲法」を擁護し復活させなければならないわけである。昔の記憶は断片的で筋道が立たないが、情景としてしっかり残っている部分もある。

 昭和21年(1946)春頃から、憲法改正の報道が多くなった。終戦後のラジオの政治番組として「真相はこうだ」はよく聞いた。占領軍による洗脳工作といわれるが、そういう感じはあまり持たなかった。またもう一つ戦中にはなかったのが、国民の声を直接聞く「街頭録音」だ。

 技術的にどういう仕掛けをしたのかよくわからなかったが、現場には中継車のような大型バスがついた。地方の田舎都市までやってきて、選挙権の年齢すれすれの叔父が意見開陳したことを自慢していた。今のように「○○について一言……」の感想ではなく、演説調で短い議論もする。

 憲法の争点として多かったのは、天皇制存続の是非だった。戦後一時に人気の高まった共産党が主張したのは、天皇制廃止だ。戦争放棄は、「それでいいのかなあ……」という気持ちがあったが、占領中だし戦争に負けたのだから仕方ないと割り切っていたように思う。

 ということは、必要があればいずれは変わる――と考えていたのだろう。今ではちょっと信じられないが、講和条約後で自衛隊の発足した1954年、人権闘争に立ち上がった証券取引所労組の人たちに、9条ではなくいきなり「徴兵制反対」の署名をもらいに行ったことがある。

 朝鮮戦争は終わったものの、ことと次第によれば憲法改正があるかも知れない、しかし徴兵制だけはご免こうむりたいと感じていたのだろう。しかしそうにはならなかった。「保守・反動」の吉田茂や岸信介が選んだ道であり、55年体制のおかげである。したがって、日本人は押しつけ憲法に意見も言えず歯を食いしばって我慢したわけではない。

 それから数十年、生活に追われるだけで憲法を考えることなど稀であった。「反戦」の名のつくブログをはじめ、地域9条の会発足に協力するようになったのは、小泉純一郎・安倍晋三のおかげである。また、現行憲法がいかに現実にあったすばらしいものであるかがわかったのは、桝添要一らが作った自民党新憲法草案のおかげである。

 だから、改憲絶対反対でもなく、非武装でもなく、中立でもない。「反戦」をどう実現させるていくのか、この先も柔軟に考える余地を十分に残し、最善の道を模索する自由を確保しておきたい。

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2009年12月19日 (土)

墨子と鳩山

 2009_1219鳩山首相のお祖母さん、つまり元首相・鳩山一郎さんの奥様は薫子(カオルコ)さんといいました。タイトルの墨子と似てますが間違って「スミコ」にしたのではありません。「ボクシ」と読んでください。中国の孔子・孟子と同時代の偉大な思想家をとりあげたかったのです。

 それがどうして鳩山さんと関係があるのか、というのは最後にしましょう。孔子より若いとされていますが紀元前4,5百年前、春秋戦国時代の人です。孔孟の教えは「儒教」となり、中国から朝鮮そして日本でも長い間道徳規範として尊重され、文化にも大きな影響を与えました。

 しかし、墨子にはそんな知名度がありません。その原因は、孔子がもっぱら王侯貴族を対象とした行政アドバイザーとして権力者の目線で語ることが多く、バイブルとなった儒教は科挙、つまり任官テストに欠かせないものとなったのです。

 それに反し墨子は、庶民の感覚・目線で説かれており、権力者に迎合することなく孔子とも鋭く対立していました。孔孟ややはり同時代の孫子のように、書物にとりあげられることもすくなく、どちらかと言えば埋もれた存在だったと言えましょう。

 孔子との対立点は、孔子が国家の秩序を保つ上で重視したのが礼法と音楽つまり「礼楽」で、墨子は「礼」のために宮廷の冗費が増え、人民はその負担に苦しんでいると批判しています。これに対し、墨子の思想の中心は「非攻」と「兼愛」の二つです。

 「非攻」は、戦争が有害無益であること、そして「兼愛」は自分を愛するように人も愛さなければいけないということで、これを駒田信二著『墨子を読む』では、次のように関連づけています。

 墨子はまず幸福な生活の根源は人々が互いにひとしく愛しあうことにあるとした。兼愛の説がそれである。愛の普遍を求めるならば当然平和を求める。そこから、侵略者を非とする非攻が主張された。兼愛の根拠として、墨子は主宰者としての天を認め、神の存在を認めた。そして、万物の主宰者として天があるように万民の主宰者としての君主を認め、天が万物を平等に育成するように君主が万民にひとしく福利をあたえることが、天の意志であり、神の心にそうことであると説いた。

 兼愛→博愛→友愛。そっくりというより同じなのですね。鳩山さんは『墨子』を見て言ったわけではありません。祖父一郎さんがオーストリア・ハンガリー帝国の貴族で日本人の血も入っているクーデンホフ・カレルギー伯の著書『自由と人生』を読み、その中の「友愛革命」の精神に感銘したことがもとです。

 鳩山首相の「友愛」を、中味のない甘っちょろいお坊ちゃん趣味などとけなす人が、いまだ有力者の中にもいます。残念ながら勉強が足りない人です。カレルギー伯は、第一次大戦、第二次大戦と欧州でもっとも悲惨な戦争を体験してきた人です。

 そもそもヨーロッパは何世紀にもわたって戦争の惨禍を繰り返し、どうして戦争を断ち切るかに悩んできたところです。カレルギー伯の提案が現在のEUに発展してきたことは、このブログのカテゴリ「東アジア共同体」でも書いてきました。甘さではなく厳しさからなのです。

 墨子も周が滅んでから300年も続いた群雄割拠の戦国時代の人です。甘っちょろくないから到達した信念でしょう。鳩山総理の心の中までのぞけませんが、こういった古典から学べることは少なくありません。中国では魯迅が取り上げた前例がありますが、現在こそ、中国人も日本人も墨子をより深く研究すべきだと思います。

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2009年12月18日 (金)

PAC3

 PAC3、地上配備型迎撃ミサイルのことである。愛称はパトリオット(愛国者)である。もはや旧聞に属するが、北朝鮮がテポドンを打ち上げたとき、落ちてくるミサイルを地上から発射する迎撃ミサイルで打ち落とすという、トレーラーの荷台に四角の砲身並べて置いたような映像がよく出てきたアレである。

 このPAC3追加配備を盛った防衛費予算が見送りとなった。報道では、福島瑞穂社民党党首が「無駄を省く方向で検討してほしい」と注文をつけていることなどが影響しているという解説である。この財政の苦しい中、無駄を省くのは当然である。

 自衛隊の段階的縮小を看板に掲げる社民党が、数ある防衛費の中でPAC3配備が最も無駄だと思ったのなら少々異議ありだ。好戦派がいう核開発やテポドン実験が北朝鮮の脅威ではない。核開発は今が外交のカードとして使える山場で、核弾頭ができてしまっても使いようがないし、テポドンは近すぎて日本には不向きだ。

 こわいのは200基(その半分以下という説もある)もあるという中距離ミサイル・ノドンだ。テポドンのようにボディーを遠くから運んだり発射台に据えたり、時間をかけて燃料注入したりして何日も前から発射準備が偵察衛星にバレバレになるのとは違い、トラックに積んだノドンは地下トンネルからいきなり出てきて即発射できる。数ある地下トンネル出入り口にはダミーもありなかなかとらえられない。

 運良く衛星でキャッチしたりイージス艦で軌跡が追跡できれぱ、着地点でPAC3が待ちかまえて落下の途中を爆破する。ただしPAC3の守備範囲は20㎞以内に限られている。したがって都心地区を守るだけでも数基が必要ということになる。現在は都心とか基地周辺とかに配備されているだけで日本全土がカバーされているわけではない。

 1発だけならともかく、位置を変えた連続発射などがあれは撃ち漏らしを防げず、命中させたとしても放射能や化学・生物物質をまき散らすことになれば被害甚大だ。要は結果として「防げない」ということである。

 軍事常識からすると、日本も対抗上同等以上のミサイル持ち、軍縮交渉で数を減らしていくということになる。しかし、憲法上日本は攻撃用兵器を持てない。その分をアメリカに依存している形になるが、格が違いすぎる米朝では、軍縮交渉が成り立つとは思えない。となると、PAC3の性能を上げ配備を増やし、北朝鮮にノドン増設しても無駄だと思わせるしかない。北朝鮮脅威論が本当であり、もし備えが必要ならPAC3配備に最優先順位を与えなくてはならない。

 防衛費の削減は大賛成である。私が言いたいのは、その前にどれほど真剣に国防や安全保障について考えているかということである。アメリカと自民党の間で進んでいた防衛大綱の改定と「中期防衛力整備計画」(中期防)策定が、政権交代でとりあえず1年先送りされた。

 つまり、それに変わるべきビジョンが見えてこないということである。民主党は内部調整に手間取るであろう。また、極右の平沼新党などの動きもあり、自民党で落ち目のネオコン・ネオリベが復活の機会をねらっている。

 社民党が生き延びるためには、これまでの「非武装中立」のDNAを神棚に置いて、民主党以上に外交に乗りだして平和への実績を高め、現実味のある安全保障の新理念をかかげることしかない。無理な注文かも知れないが、そんな社民党なら次は社民党に投票することにしたい。

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2009年12月17日 (木)

海兵隊が抑止力?

 普天間飛行場移転問題は先送りされた。これまでの報道からすると、今頃はアメリカの怒りを買って、日米同盟に修復不可能な亀裂を生じていなければならないはずであった。断片的なニュースを拾ってみると、アメリカの中では決してそのような空気に満ちているとは言えないようだ。

 ただし鳩山首相は、沖縄県民のためにはっきりした方針を来年前半にも決定し、アメリカへもこれを伝えなければならない。当塾は、これまでのあいまいさを、外交上許されるテクニックとして見逃してきた。しかし参院選終了まで引っぱるということになると、明らかに首相の指導力が問われることになる。

 それがかねて懸念されていた党内の防衛政策の不一致によるものだとすると、相当の摩擦を覚悟してでも方向性を明確に国民の前に示し、参院選で民意を問う手続きが必要だ。しかし戦後60年、平和憲法と対米依存に守られてきた日本国民は、軍事や安保の議論に慣れていない。

 そのためには、ごく素朴な疑問から取り上げ、ていねいな説明がなくてはならない。
1.日本になぜ米軍基地が必要か。
2.両国の権利と義務は何か。
3.なぜ沖縄だけに基地を集中(本島は面積の1/5が基地)するのか。
4.日本は米軍の行動や編成・任務・装備にどこまで注文がつけられるのか。

 そして、日米合意促進派は、なぜ普天間飛行場の移転先として辺野古沖合がいいのか、また海兵隊を置かなければならないかの説明が必要である。13年間もかけて2転3転、やっとここまでこぎつけて合意したのだから、というのは説明にならない。この点、マスコミも鳩山内閣の迷走ぶりにだけを報じ、本質的な説明を避けている。もっといい方法があればそちらに向けることこそ進歩であり、政治の知恵である。

 そういった中、沖縄、海兵隊、一体化、抑止力といったひそかな声が、自民党の中だけではなく、民主党内からも聞こえてくる。「北朝鮮の脅威に対して米海兵隊の存在が抑止力となる……」こんな奇妙な黄門の印籠(もちろんアメリカには通用しない)まがいの詭弁を使いたがる手合いがいまだに多い。

 まず断っておくが、「抑止力」とは、憲法9条の「武力による威嚇」と紙一重の言葉だ。日本国憲法では自衛隊であろうと駐留軍であろうと、武力行使と共に放棄していることを認識しなければならない。海兵隊は北朝鮮などに行かない、行くとすれば自衛隊と共同作戦だが憲法がある自衛隊は参加しない。拉致被害者を救出するため日本が頼んで海兵隊を派遣、大きな犠牲を払って国土を制圧し連れ戻す。アメリカはそんなお人好しではない。

 北朝鮮からの上陸を阻止してくれる?。それは自衛隊の役目で、敵地殴り込みを得意とする海兵隊の任務ではない。ただ、敵に占領された島を自衛隊と共同して奪還するということならあるだろう。しかし世界第2位の哨戒能力を持つ自衛隊が領土の島をみすみす見逃すようでは、事業仕分けの対象になる。

 要するにナンセンスなのだ。アメリカに迎合するため勝手に仕組んだできの悪い繰り言にしか過ぎない。このような冷戦構造意識から抜けきれない化石人間に、日本の安全をゆだねては100年の禍根を残す。ここは鳩山内閣にじっくり最善の方途をさぐってもらいたいものだ。

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2009年12月16日 (水)

こども/小学生/戦争

2009_12120002  当塾で検索が非常に多い「戦争 子供 こども 小学生 本」をキーワードとするページを組んでみました。以前のエントリーページ、小学生の検索1位「戦争」、子供のための戦争の本、などの組み直し再録です。

 なお、各地の図書館では右の写真のような「特設コーナー」を設けているところも多いので、是非見に行ってください。(写真は千葉県市川市立中央図書館)

 2014年8月現在でぜひおすすめしたいのが、現状から見てタイムリーとみられるマガジンハウス社刊の「戦争のつくりかた」です。9月初旬に同社から改訂版がでます。

①「日本児童文学者協会」には「新しい戦争児童文学委員会」があって、さまざまな角度から、小学生・子供向けの戦争に関連する作品をとりまとめています。

 「おはなしのピースウオーク」は、公募作品と、あさのあつこさん・那須正幹さん・川北亮司さんら作家による短編や詩など40編6巻として08年1月に完結しました。また、女優の中嶋朋子さんらが朗読した8作品のCD(3枚組み)もあります。

 本とCDの申し込み・問い合わせ先  

傘の舞った日 (おはなしのピースウォーク) Book 傘の舞った日 (おはなしのピースウォーク)

販売元:新日本出版社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

おはなしのピースウオーク
  日本児童文学者協会電話番号
    03-3268-0691

②「子供の本・9条の会」は昨春に設立され、▽「ちいさいモモちゃん」などで知られる作家の松谷みよ子さん▽「くまの子ウーフ」の神沢利子さん▽「おしいれのぼうけん」の古田足日さんらが代表をつとめています。

 このたび(09/7/15)、同会が企画した

 かるた 9ゾウくんげんきかるた かるた 9ゾウくんげんきかるた
販売元:セブンネットショッピング(旧セブンアンドワイ)
セブンネットショッピング(旧セブンアンドワイ)で詳細を確認する

が発売されました。読み札は大勢から寄せられたものの中から選び、絵札も絵本作家45に依頼しました。絵本のように楽しめるそうです。

かるたの問い合わせ
 ポプラ社
電話番号 03-3357-2212

③国際的選書・ハロー・ディア・エネミー作品

 「ハロー・ディア・エネミー」は「こんにちは、敵さん」という意味で、ドイツのミュンヘン国際青少年図書館が選書した80作品です。

日本の作品

絵で読む 広島の原爆 (かがくのほん) Book 絵で読む 広島の原爆 (かがくのほん)

著者:那須 正幹
販売元:福音館書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

サニーのおねがい 地雷ではなく花をください Book サニーのおねがい 地雷ではなく花をください

著者:柳瀬 房子
販売元:自由国民社
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・「二度と」(紙芝居、松井エイコ脚本・絵、童心社)など7作品

日本原作で海外で出版されたもの(米国)

伸ちゃんのさんりんしゃ (絵本・こどものひろば) Book 伸ちゃんのさんりんしゃ (絵本・こどものひろば)

著者:児玉 辰春
販売元:童心社
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かわいそうなぞう かわいそうなぞう

アーティスト:秋山ちえ子,シンディ・ローパー
販売元:エピックレコードジャパン
発売日:2008/08/13
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(カナダ)

・広島で被爆した少女サダコの物語(インド、オーストラリア)

海外の作品
・「

ハロー・ディア・エネミー!―こんにちは敵さん さよなら戦争 Book ハロー・ディア・エネミー!―こんにちは敵さん さよなら戦争

著者:グードルン パウゼバンク
販売元:くもん出版
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インゲ・シュタイネケ絵、グードルン・パウゼバンク文、桑田冨三子訳、くもん出版)☆川をはさんで青軍と赤軍がにらみあっていた。軍服を脱いだ両軍の兵士が川で出会うと、誰が敵か分からない。

バスラの図書館員―イラクで本当にあった話 Book バスラの図書館員―イラクで本当にあった話

著者:ジャネット・ウィンター
販売元:晶文社
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(ジャネット・ウィンター絵・文、長田弘訳、晶文社)☆イラクの図書館員は戦火から本を守ろうと、3万冊を友人の家やレストランなどにこっそり移動させた。

 ちいさなへいたい ちいさなへいたい
販売元:セブンネットショッピング(旧セブンアンドワイ)
セブンネットショッピング(旧セブンアンドワイ)で詳細を確認する

」(パウル・ヴェルレプト絵と文、野坂悦子訳、朔北社)☆ある日、戦争は始まり、ぼくは軍隊にかりだされた。仲間は次々に死に、ぼくは恐ろしい出来事をたくさん見た。

ゆらゆらばしのうえで (日本傑作絵本シリーズ) Book ゆらゆらばしのうえで (日本傑作絵本シリーズ)

著者:きむら ゆういち
販売元:福音館書店
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「ゆらゆらばしのうえで」(はたこうしろう絵、きむらゆういち文、福音館書店)☆ウサギを追うキツネ。2匹ともシーソーのように揺れる橋に乗ってしまう。揺れる橋の上で2匹は力を合わせる。

巡回作品展については、次のページをご覧下さい。
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-1fab.html

お問い合わせ先
JBBY(日本国際児童図書評議会)事務局
(電話03・5228・0051
、メールinfo@jbby.org

④コメントをいただいた方のご推薦です。
Kさんから――
こんにちは。私が子供のための反戦の本で思いつくのは、「かわいそうなぞう」です。
http://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=140

小2の時、小学館の「小学2年生」の読み物として、「ぞうのトンキー」というタイトルで、上野動物園で起こった実話が掲載されていたのですが、初めて読んで、涙が止まりませんでした。
「かわいそうなぞう」として単行本が出たのは、もう少し大きくなってからですが、思い出しても泣けてくるので、もう一度読めといわれても読めないかもしれませんが・・・。
でも、一度は親子で読んでほしい本です。

Tさんから――
私が子供の頃読んで感動したのは、
「ゼロ戦~坂井中尉の記録」という本でした。
勇敢に戦った日本の将兵の真実を子供に
教えることは非常に重要だと思います。

是非、「新しい戦争児童文学委員会」には
この本を加えて欲しいものです。

⑤トラックバックをいただいた[虹色オリハルコン]さまからのご推薦です。

せかいいちうつくしいぼくの村 (えほんはともだち) Book せかいいちうつくしいぼくの村 (えほんはともだち)

著者:小林 豊
販売元:ポプラ社
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私達日本人は、アフガニスタンというと、どんなイメージを持つでしょうか。荒涼としたほこりっぽい茶色の大地。武装した兵士たち。テレビで見るアフガンは、そんな負のイメージしか、わきません。しかし、もともと、アフガニスタンは緑も多く作物もたくさん採れた豊かな国だったのです。度重なるクーデターや、旧ソ連の進攻などによって、国土は荒廃し、食糧事情も悪化。内戦は全土に広がっていました。息子が幼いころいっしょに読んだ本です。.. [続きを読む]

ロバート・ウェストールの本3冊[虹色オリハルコン]

猫の帰還 Book 猫の帰還

著者:ロバート ウェストール
販売元:徳間書店
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海辺の王国 Book 海辺の王国

著者:ロバート ウェストール
販売元:徳間書店
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 弟の戦争 弟の戦争
販売元:セブンネットショッピング(旧セブンアンドワイ)
セブンネットショッピング(旧セブンアンドワイ)で詳細を確認する

http://blog.goo.ne.jp/hanamiduki87/e/07a742d3bd6ae2cf0227edb7ee5944e6」 この3冊は上のリンクで飛んでいただくと本の内容、解説、表紙の写真などがご覧になれます。

⑥近刊その他気がついたもの

 

 井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法 井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法
販売元:セブンネットショッピング(旧セブンアンドワイ)
セブンネットショッピング(旧セブンアンドワイ)で詳細を確認する

(絵いわさきちひろ、講談社、日本図書館協会選定図書)

13歳からの平和教室 Book 13歳からの平和教室

著者:浅井 基文
販売元:かもがわ出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する

(浅井基文、かもがわ出版¥1680)

おりづるにのって―サダコと子どもたちの物語 Book おりづるにのって―サダコと子どもたちの物語

著者:ドン ヘス,中村 里美
販売元:ミューズの里
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(中村里見、ほんの木、¥1050)

・昭和二十年八さいの日記

著者:佐々木 隆三、黒田征太郎
発行:石風社

⑦毎日新聞(10/8/25)より転写

 日本の戦争は65年前に終わったが、世界ではいまも戦闘が続き、傷ついている子どもたちがいる。戦争や平和を考えるきっかけとなる絵本を紹介する。ぜひ親子で読んでみたい。【木村葉子】

 ◇

キンコンカンせんそう (講談社の翻訳絵本) Book キンコンカンせんそう (講談社の翻訳絵本)

著者:ジャンニ・ロダーリ,ペフ
販売元:講談社
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(ジャンニ・ロダーリ作、ペフ絵、アーサー・ビナード訳、講談社)
 イタリアを代表する児童文学作家ロダーリ(80年没)の反戦絵本。長い戦争が続き、ついに大砲を作る金属がなくなる。大将は学校や教会など国じゅうの時計台から鐘を集め、巨大な大砲を作った。

 ◇「やめて!」(デイビッド・マクフェイル作・絵、柳田邦男訳、徳間書店)
 男の子は一通の手紙を書き終え、ポストに出しに行く。上空には戦闘機が飛び、街には戦車が走って爆発が起きる。恐ろしい兵士も見るが、男の子は黙々と歩き続ける。ポストの前で、いきなり少年に胸ぐらをつかまれた男の子は、大きな声で叫ぶ。ほとんど文字のない場面が続く絵本。

 ◇

約束―「無言館」への坂をのぼって Book 約束―「無言館」への坂をのぼって

著者:窪島 誠一郎
販売元:アリス館
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(窪島誠一郎作、アリス館)
 戦争で亡くなった画学生の遺作を集め、長野県上田市に戦没画学生慰霊美術館「無言館」を開館した館主が、自身の半生と美術館設立までの道程を振り返った。

 ◇

海をわたった折り鶴 (えほんひろば) Book 海をわたった折り鶴 (えほんひろば)

著者:石倉 欣二
販売元:小峰書店
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(石倉欣二作、小峰書店)
 広島で2歳のときに被爆した佐々木禎子さんは12歳で白血病を発症。回復を信じ、病床で薬の包み紙などで鶴を折り続けたが、8カ月後に亡くなった。この折り鶴の一つが、ニューヨークにある米同時多発テロの資料館に飾られている。

 ◇

ばあちゃんのしべとろ―わたしのふるさとは「北方領土」 Book ばあちゃんのしべとろ―わたしのふるさとは「北方領土」

著者:みふね しよこ
販売元:瑞雲舎
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(みふねしよこぶん、はやしまきこえ、瑞雲舎)
 択捉(えとろふ)島・蘂取(しべとろ)で生まれ小3まで暮らした作者が、漁業で栄える町や、川や海、山で遊んだ幼い日々をたどる。懐かしい故郷へ自由に行けない思いとともに、北方領土問題を問いかける。

日中韓競作「平和絵本」 (毎日新聞11/8/5)

へいわって どんなこと? (日・中・韓 平和絵本) へいわって どんなこと? (日・中・韓 平和絵本)

著者:浜田 桂子
販売元:童心社
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日・中・韓平和絵本 第1期(全3巻) Book

日・中・韓平和絵本 第1期(全3巻)

『京劇がきえた日』
著者:中国・姚 紅
『非武装地帯に春がくると』
著者:韓国・イ・オクベ

販売元:童心社
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8月6日のこと Book 8月6日のこと

著者:中川 ひろたか
販売元:河出書房新社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 

毎日新聞社説(14/12/30)で推薦されたマンガによる戦争の本。

「若い世代のなじみやすい表現だが、人の心を深く描いていて、戦争を胸の奥で実感できる」と評されている。

-------------------------
こうの史代(46歳)『夕凪の街桜の国』広島の原爆
こうの史代『この世界の片隅に』戦時中の呉市
今日マチ子(34歳)『COCOONコクーン』沖縄戦
今日マチ子『アノネ、』 アンネの日記から多彩の着想   
今日マチ子『いちご戦争』少女が見た戦争の夢
おざわゆき(50歳)、題名不明、父母の戦争体験

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2009年12月14日 (月)

天皇政治利用をめぐる醜態

 宮内庁の羽毛田信吾長官が、天皇の政治利用に当たる懸念がある、として深い憂慮の念を示したことにつき、各紙はそれに同調する記事をそれぞれかかげている。天皇、習副主席の会見当日は、さぞかしお互いに気まずい初対面の場となるであろう。

 天皇の政治利用について、認識の甘い官邸筋の失態はまぬがれず、当然非難されるべきだ。しかし、天皇の尊厳とその仕事(国事行為)を支える重要な地位にいる宮内庁長官が、皇室と政府双方をおとしめる発言をするなど、この上ない「不忠」について難詰する論調はない。もっともこの長官の不用意発言が日頃マスコミのメシの種になっている面はあるようだが……。

 羽毛田長官には選択肢として次の4つがあった。

1.ルール違反を理由に職を賭してでも断りきる。
2.やむを得ず会見をセットして、内情は秘密にしておく。
3.2と同じだが天皇会見終了後内情を暴露し、再発を戒める意味で辞表を提出する。
4.今回とった行動。

 1は、事情を説明すれば中国側も納得するはずだ。外務省もそのつもりでいたという。習氏にはまだ次の機会がある。天皇の政治利用を制限するのは、戦前の愚を繰り返さないためだ。したがって2と共に両国友好促進上最善の道であった。

 3はそれに次ぐが4は最悪。日中両国に後味の悪さを残すマイナスだけで得るところがない。官僚としての職責を放棄した暴挙である。小泉元総理の信任を得て就任以来出過ぎた言動が多く、宮内庁長官をつとめられるような人材かどうか甚だ疑問である。

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2009年12月12日 (土)

米国とオバマの限界

 オバマ米大統領は12月11日、ノーベル平和賞受賞式で演説をした。その内容は、これまでの世界に向けた演説の中で最も言い訳がましく、格調を欠くものだった。マーチン・ルーサー・キングやガンジーの非暴力主義を評価しながら、「しかし」と次につなぐ。

 しかし国民を守り保護することを誓った国家のトップとして、彼らの例だけに導かれるわけにはいかない。私は現実の世界に対峙し、米国民に向けられた脅威の前で手をこまねくわけにいかない。誤解のないようにいえば、世界に悪は存在する。

  非暴力運動はヒトラーの軍隊を止められなかった。交渉では、アルカイダの指導者たちに武器を放棄させられない。時に武力が必要であるということは、皮肉ではない。人間の欠陥や理性の限界という歴史を認識することだ。

 ブッシュのそれと全く変わらない。イラク戦争の反省もない。増派を決定したアフガンにはアルカイダの指導者もいない。それどころか、タリバンとの和解や武器引き渡しを困難にし、新たな民間人殺傷の機会を増やそうとしているのだ。

 同じ1987年のノーベル平和賞受賞式で、アメリカの足もとで軍隊を廃止した中米コスタリカのオスカル・アリアス・サンチェス大統領は次のように演説した。

 平和は平和的手段でのみ達成できるのです。平和的手段とは、対話、理解、寛容、自由、そして民主主義です。……中米の将来は中米の手にまかせて欲しい。

 中南米の中では最も親米的で、米州機構の傘のもとにあるとはいえ、長年の中米各国に対する大国の干渉や内戦にさらされてきた同国が、暗にアメリカの「正義感」に懸念を示したともいえる。それに対してオバマの次の一句は、オバマとアメリカの一国主義を抜けきれない限界を示したものといえるだろう。

 第2次大戦後の安定をもたらしたのは国際機関や条約、宣言だけではない。いかに過ちを犯したとしても、その国民の血と力で60年以上にわたり、世界の安全保障を支えてきたのは米国なのだ。

(演説内容は共同通信および小出五郎『戦争する国、平和する国』による)

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2009年12月11日 (金)

正式国名考

 麻生前総理の外交方針の中に「価値観を共にする」という発想があった。価値観とは、アメリカが主導する自由と民主主義のことであろう。この中には中国や北朝鮮は入っていない。民主主義国ではないという判断だろう。

 ところが中国は「人民共和国」、北朝鮮はごていねいに「民主主義人民共和国」というのが、正式国名に加わる。だいたい「共和国」というのは、Republic、公民が話し合って選挙で代表を決める政体を示しているから、それだけで民主主義的という意味だ。

 世界の圧倒的多数、ことに新興国は○○共和国がほとんどだ。その「共和国」の前に、人民だとか、社会主義だとか民主をつけたすのは、中味に自信がないからなのだろうか。冷戦中の新興国に多いようだ。また、イスラムを国教とするパキスタン、アフガン、イランは「イスラム共和国」である。

 北朝鮮は、フルネームが長すぎるので、韓国と区別する意味からか自らを「共和国」と略称する。ところが、大韓民国の英文表記は、Republic of Korea で北朝鮮の Democratic People's がないと全く同じ、つまり「民国」は「共和国」の意味だから区別にはならない。

 中国の場合は、国民党政権時代の「中華民国」に遅れて成立した共産党政権が区別するため「中華人民共和国」と「人民」をわざわざ入れたのだろうか。中国の正統政府を主張するなら入れなかった方がよかったのに、と思う。

 共和国の次ぎに多いのが日本のように、何もつけないそのものずばりの正式国名である。また、連邦、連合、合衆国とつくものもある。王国や公国なども20カ国以上ある。その最大のものは、「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」という長ったらしい正式名のイギリスである。

 さすがに「帝国」を名乗る国はひとつもなくなった。イギリスをのぞくベネルックス3国、ノルウェー、デンマーク、スウェーデンなどの王公国は、概して平和主導先進国である。石原都知事がネット上で日本の正式国名を募集したところ、「日本皇国」、「大日本帝国」が1位、2位に入ったといって悦に入っている。こういう際に使うのが「品格」という言葉である。

 

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2009年12月10日 (木)

大統領が会ってくれない?

 北澤防衛大臣などが普天間移転先は辺野古以外にない、とか早急に決着しないとアメリカが怒る、などと楽をしようと思っている。また、民主党の弱体化心待ちの一部マスコミが、懸命にこれに味付けをする。日本の安全につていて、どこまで真剣かつ命がけの仕事をしているといえるだろうか。

 日本独立から8年、まだ国際的地位が低かった60年安保当時にくらべ、政治家も国民も外交センスは軟弱になっているようだ。デンマークで開かれるCOP15で、首相がオバマに会ってもらえなさそうにないといって騒いでいる。60年安保の際は、訪日が決まっていた米大統領に日本が待ったをかけている。当時の年表を見るとつくづく隔世の感がする。

 1958年(昭和33)
 10月8日 警察官職務執行法の改正案が突如として国会に提出される。当時の岸首相は「この法案は、安保条約に対する反対運動をあくまでも押しきる、そのためには秩序を維持する必要があるという考えで準備された」と回想している。

 11月4日 自民党の同法案強行採決の動きに社会党は審議拒否をしていたが、会期切れを免れるために突然押された会議開会のベルを合図に与党議員が入場、同時に副議長が会期30日延長の宣言をした。その暴挙に抗議する労働組合などのデモが激化し、結局改正案は審議未了となる。

 1959年
 6月2日
 参議院選に自民勝利(自民71、社会38、緑風6、共産1、無所属・諸派11←創価学会6を含む)。
 6月18日 内閣改造。これまでの間、自民党内の反主流をおさえるため、有力財界人2人と右翼の大物1人を立会保証人に加え後継首相を密約、証文を交わすなどどろどろの権力抗争が与党内にあった。

 1960年
 1月19日 
改定安保、ワシントンで調印。
 5月19日 この日までに衆議院で条約を批准すれば、参院の議決がなくてもアイゼンハワー大統領の訪日予定日までに自然成立する。そこで同日10時過ぎに前と同様に野党不在の間に開会の予鈴を鳴らし、与党だけの安保特別委員会、そして警官を導入した本会議場で議案が可決された。

 6月10日 米大統領秘書官ハガチー、大統領訪日の打ち合わせで来日、羽田空港から都心に向かう途中デモ隊に取り囲まれ、乗用車ごと揺さぶられ投石も受けた。警官隊の排除とヘリコプターで脱出。5月26日の17万人、6月19日の33万人など、空前の国会デモも続いた。

 6月16日 前日、デモ隊の混乱で東大学生・樺美智子死亡。臨時閣議により米大統領招請延期をアメリカに要請する決定。
 6月19日 安保自然成立。岸首相退陣を表明。

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2009年12月 9日 (水)

反戦塾乗・09/12/9

■12/7 パキスタン東部ラホールの市場・自爆と仕掛け爆弾が30分間隔で爆発49人死亡、約100人が負傷。
■12/7 パキスタン北西部ペシャワル、裁判所前で自爆テロ、10人死亡、40人以上が負傷。

■12/8 パキスタン・パンジャブ州・ムルタン郊外で武装集団が治安部隊の検問所を自動小銃やロケット砲で襲撃、爆薬を積んだ乗用車が軍事務所に突っ込んで大爆発、15人が死亡40人以上が負傷。
■12/8 イラク・バグダッドで政府機関などを標的にしたとみられる連続5件の爆弾テロ発生。少なくとも127人が死亡、448人が負傷した。首都での大規模テロは8月と10月に発生している。

 ★これはもうテロリストの仕業という段階ではない。その組織的計画性、規模から見ても内乱である。アフガンにアメリカなどが3、4万人軍を送って治安が回復しても、パキスタンまで回復するわけではない。また、イラクは結局回復していないことがわかったので、再度増派を検討するつもりか。いたちごっこで増派は根本的解決に役立たない。

 パキスタンは、政府軍が米国の圧力を背景に10月にアフガン国境の武装勢力・パキスタン・タリバン運動(TTP)の掃討作戦を開始して以来、爆破テロや襲撃事件がほぼ連日起きている。アフガン戦争が飛び火した有様はベトナム戦争のカンボジア、ラオスを思い起こすが、それよりひどくなりそうだ。

 中国・インドと仲良くしたいアメリカがパキスタンを見限る日、それは、地域的核戦争の恐怖にまで世界を追い込むことを意味する。そうならないようにするためには、周辺国であるイラン・パキスタン・ウズベキスタンなど旧ソ連圏隣接国、それに中国・インドまで加えた包括的な解決策でなければならない。そうしないと火種はいつまでも残る。

 侵略や謀略で手のよごれた遠い国の軍隊は手を引くべきだ。イラクとアフガンの共通点は、アメリカ軍が前政権を戦争で倒し、そのあとに作った傀儡政権が国民に信用されていないことと、イスラム教徒である住民が他国軍の支配を歓迎していないことだ。一時的に混乱があっても、自らの手で平和を構築するのを待つしかない。そこで日本の国際貢献は、何ができるかを考える時期に来ている。   

 

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2009年12月 8日 (火)

眺望

 今日は大詔奉戴日である。辞書に出ていないので解説をする。1941年の今日、帝国陸海軍は米英と戦争を開始した。その日、天皇の詔勅が発せられ「億兆一心國家ノ總力ヲ擧ケテ征戰ノ目的ヲ達成スルニ遺算ナカラムコトヲ期セヨ」という大命降下があった。

 朝、開戦の第一報では「勝てるのか」という不安が大きく、先の「眺望」は何もなかった。その後の大本営の戦果発表に驚喜したものの4年後には被占領国になっていた。戦中は毎月8日を大詔奉戴日とし、学校では神社参拝、隣組(町内会)では金属回収、大日本婦人会では、出征兵士に贈るおまじないの千人針を作るなど、さまざまな聖戦支援のキャンペーンをした。2009_12040043

  さて、超高層ビルが林立し、携帯電話が行き渡った現今の「眺望」やいかに。昭和の半ばまで見られなかった光景である。

 多くは語るまい。

2009_12070001_2  縄文時代の「眺望」の方が、現今よりはるかに平和で豊で楽しい「眺望」が見られたに違いない。

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2009年12月 7日 (月)

日米安保50年へ

 前回エントリー「地政学」にコメントとトラックバックをいただいた。それにお答えする意味で返信を考えたが、長くなりそうなのであらためて記事にすることにした。まずコメントの転載から。

ていわです。------------
 日米安保、第10条は来年の6月23日に行使できるのでしょうか。普天間の現状も、思いやり予算も、核兵器廃絶の流をバックアップするとは思えません。さて、塾頭のお考えはいかがですか。

ていわ さま  ようこそ。----
 安保条約は、1970年までが10年契約で、その後は1年前の事前通告で解除できる仕組みのはずです。だから10年据置き以後1年自動更新ともいえます。たまたま来年が50年という節目だということから、鳩山首相が見直し作業をする提案をオバマ大統領に申し入れ了承されたものです。

 したがって来年6月23日は、条約発効から丁度50年目というだけで、当事国のいずれかが解除の正式通告をすれば、それからの1年間は現条約有効ということになります。また、日米合意の改定なら新条約発効の日をもって旧条約解除となるでしょう。来年6月23日にこだわる意味はあまりないと思います。

 岸・元総理は、それまで無期限だった条約に期限を設けました。アメリカは当初反対で、「ウン」と言わせるために大変な外交努力を払ったと伝えられています。私は、現条約が厳格に守られている限り、安保条約はけっこうまく出来ていると思います。

 問題は、アメリカの圧力に屈した「地位協定」であり、「密約」であり、その後の「ガイドライン」など安保条約の解釈をアメリカ主導でねじ曲げた自民党政治につきると思います。そういったことをせめて他の先進各国並みにしたい――というのが「対等な関係」づくりではないでしょうか。

 その意味で沖縄の海兵隊移転問題は、日本にとって大変重要だと思います。鳩山首相がどれくらい腹をくくっているかわかりません。前回書いたように、アメリカの地政学上の問題などではなく、米軍基地をいかに安く日本国内に維持できるか、という米国内の手柄争いと日本国内にある抑止力信仰や基地建設利権などがからんで、海兵隊移転が遅れに遅れたのが実情でしょう。

 「ペガサス・ブログ版」さんから、米軍はもともと海兵隊の全面グァム移転を考えていた、という趣旨のトラックバックをいただきました。また「とくらBlog」さんからも同様のトラックバックを頂戴しています。そしてマスコミがそれを伝えないことのへの不満もつけ加えられています。

 前から断片的な情報はありましたが、ついに『週刊朝日』12月11日号でその詳しい内情が暴露されました。結論は、「お金」の問題と断じています。インド洋給油もアメリカにとって経済的メリットは減少し、あれほど「日米関係に決定的亀裂」などと騒ぎ立てたのに、いつの間にかあっさりアフガン支援金の話に切り替わってしまったではありませんか。

 別にそれが悪いとは言いません。国益のために一歩も引かないというギリギリの駆け引きをするのが外交です。社民党の福島党首強硬論や時間稼ぎ戦術もその線で考えるべきだと思います。ただ、日米同盟のあり方を抜本的に見直す二度とないチャンスなので、結論を迫られてウロチョロするのは最悪です。国家百年の計を誤らないようにデンと構える方がいいと思います。

 最後に、核廃絶を訴えながらアフガンに3万人増派を発表したオバマ大統領の真意ですが、そこまでわかりません。ただ、国内政治情勢からそう発表せざるを得なかった、また、撤退時期も繰り上げが可能だと考えているふしもあるように思えます。それには、日本を含む各国の世論も含めたバックアップが重要な鍵になると信じているのではないでしょうか。オバマにとっては、辺野古移転など小さな問題です。話の通じない相手ではないと思います。

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2009年12月 5日 (土)

地政学

 新聞記事の中に、普天間移転先について関西空港が取りざたされていることに関し、政府内に「地政学上、米軍にとってメリットがない」と書いてある部分があった。あげあしをとるつもりは全くないが、日本の安全保障は日本の「地政学」をまっ先に考えるべきで、冷戦当時から続いているアメリカ隷属体制の防衛意識から一歩もでていないことを証明した。

 「地政学」にはいろいろな定義があるようだが、要は、その国の置かれている地理的条件が、政治・経済・防衛、ことに軍事上どのような影響があるかを考える学問だろう。そもそも米軍には、厳密な意味での「地政学」などというものはない。

 なぜならば2001年に打ち出された「不安定な弧」などという、全世界をにらんだユニラテラリズム(一国主義)で米軍再編を構想している。それが、台湾海峡の安定化やオバマ政権の世界戦略の変化から再見直しの時期にきており、日米間の辺野古か関空かなどは地政学上の問題ではなく、あくまでも「おかね」の問題ではないか。

 日本の地政学なら、安保条約にもうたわれているとおり、当然「極東の範囲」が対象である。そして右派がいうように中国・北朝鮮が脅威であれば、国内のどこに基地があるかというのは、たしかに日本の「地政学」上の問題である。

 日本国民が「辺野古に必要」と判断し、沖縄県民もそれを望めば必要であろう。しかし、敵地(中国・北朝鮮)に殴り込みをかけるのが目的のアメリカ海兵隊などはいらない。国土防衛上どうしても必要なら自衛隊を配備すればいいのだ。

 米軍基地と自衛隊基地の差は、そこから他国攻撃に行けるかどうかの違いである。よく、基地の存在=騒音・治安悪化・事故発生で沖縄県民の負担軽減などというが、敵国を先制攻撃しかねない国の軍基地があるということは、その敵国から先制攻撃を受ける可能性もあるということである。その精神的負担については周辺住民にしかわからない。

 米軍の地政学上沖縄がいいというのは、日本を守るためというより、アメリカのために「沖縄は犠牲になれ」というに等しい。まさ戦中・戦後の、沖縄切り捨て論ではないか。県内には「独立」を叫ぶ人さえいる。沖縄県民の痛みや苦衷を本当に理解していれば、決して言えることではない。

 

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2009年12月 4日 (金)

こんにゃく問答

 【落語】こくにゃく屋の六兵衛がとある禅寺で和尚になりすます。そこへ旅の雲水・択善がやってきて問答を申し入れる。六兵衛、体よく断りたかったが逃げられず受けなくてはならない羽目に……。

択「大和尚。法華経の五字の説法は八遍に閉ず。松風の二道は、松に声あるや、松また声を生むや。この儀いかん」

六「…………」
択「しからば、有無の二道は禅家悟道の要諦にして、いずれが理なりや非なりや」
六「…………」

択「しからば、東海に魚あり。頭もなく尾もなく、なかの支骨を絶つ。この儀いかん」
六「…………」

択「書するときは方、画するときは円。この儀いかん」

 にわか和尚の六兵衛、問われても答えられない。択善、さては無言の行の最中か、とさとった。それではと、手話に切りかえた。

 それからしばらくして、択善が両手をつき「おそれいってございます。なかなかわれらの及ぶところではありません。ご免!」と叫んで、方丈をあとに玄関へ駆け戻った。八五郎という寺男がそこにいて、驚いてわけを聞いた。

八「どうなさった?」
択「愚僧が負けました」
八「エッ、お前さんが負けた?」

択「はい。大和尚にはじめ二、三問いかけましたるところ、お答えがござらぬ」
八「うんうん。その答えねえところにネウチがあるんだ。それがどうした」

択「さては無言の行かと心得、最初親指と人差し指で輪をつくり、日の本はと問いかけましたるところ、大和尚は両手をあげて輪を作り、大海の如しとのお答え。そこで両手の指で十方世界はと申しますると、片手で、五戒で保つとの仰せ。そして指三本をお示しし三尊の弥陀はと問いますと、目の下にありと答えられました。なかなか愚僧の如きの及ぶところではございません。よろしくお伝えのほどを」

  といって一目散に寺から飛び出した。八五郎、早速問答僧が逃げ去ったことを六兵衛に伝えに行くと、

六「俺の前にきやかって、いろいろのことを言いやがる。こっちはニセものだから黙っていた。するとあいつめ、おれの商(あきねえ)を知ってやがるじゃねえか。俺の面、ジロリと見やがって、やいやい、てめえんとこのこんにゃくはこれっぱかりだろうと言うんだ。

 そこで癪にさわるから、バカァいえ、こんなに大きいと言ったんだ。すると十丁でいくらだってえから、五百だってったんだ。ところがしみったれ坊主じゃねえか。三百にまけろと言うから、アカンベをしてやった」

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2009年12月 3日 (木)

反戦塾乗・09/12/3

 昨日の快晴と打ってかわって早朝から冷雨である。配達された新聞の中味もうっとうしい。その一方、記憶にとどめておきたい内容もすくなくない。こういう時はかつては切り抜いてスクラップにした。このスクラップ、人はどうか知らないが、まず後で活用したためしがない。

 もうひとつ、なにか物を書くのに、直近または過去数年の年表に適当なものがなく不自由することが多い。そこで思いついたのがこの「反戦塾乗」である。切り抜きがわりのメモランダムで、日記ではないが日記風の原稿をテキスト・ファイルにしておけばあとで項目の検索もできるし年表がわりにも使えそうだ。ただし続くかどうかは保証の限りではない。

■12/1 オバマ大統領が演説の中で、アフガンに3万人の米軍増派をすると発表した。4万人が3万人になっても変わりはない。即時撤退のプログラムでない限り、ベトナム化を避ける確実な保証はない。敵は一体誰なのか。タリバンはもともとテロリストではない。アメリカが敵視するから敵になったまでだ。

 オサマビンラディンか?。アフガンにいないようだ。それに生きているのか死んでいるのかCIAもつかめてない。アフガンにはいないはずのないビンラディン一人に、14万人(ISAF=国際治安支援部隊、米35000、43カ国66000+5000)+(米軍単独33000+30000)を投入するアホらしさ。

 アルカイダは、たしかに国際テロ集団であるようだ。しかし誰がアルカイダか、指揮をとる組織があるのか、どこにいるのか誰も確認できてない。だから住民の無差別殺傷になってしまうのだ。治安?、治安維持はその国と住民の責任だ。住民から望まれてもいないのに外国部隊をつぎ込むことはない。

 アメリカは、始めてしまった「正義」の戦争を勝たなければならないのだろう。増派には年間300億ドルかかる。それも勝利の証とするための必要な経費か。米兵の戦時神経障害患者が30万人発生すると推計されるこの戦争を、「戦う価値がない」とする米国民は52%にのぼる(ワシントン・ポスト世論調査)。とにかく落胆した。

■12/2 平山郁夫さんが亡くなった。79歳。広島で被爆経験を持つ。また、昭和のあかしがひとつ消えた。「あこがれのハワイ航路」はすぐに消えたが、平山さんが描き出すシルクロードの画風は、ずーとあこがれの的で夢の世界だった。

■12/3 福島社民党党首は、米軍普天間飛行場の移設問題について、鳩山内閣が2006年の日米合意通り辺野古に移設することを決めれば、連立政権からの離脱も辞さない考えをあらためて示した。鳩山首相は、例により「重く受け止める」。米軍合意も「重く受け止める」、その他いくつ「重く受け止め」たやら。そんなにたくさん 受け止めたらつぶれてなくなるよ。
 

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2009年12月 2日 (水)

党高政低の民主

 まもなく西高東低の冬型気圧配置になる。政権与党の気圧配置は、党(民主党)高・政(政府)低の気圧配置が定着しそうである。政権交代を願い、新内閣の好調なすべりだしに多少のことには目をつぶってきたが、この気圧配置は大荒れに発達するのではないかという心配がでてきた。

 党高気圧の中心は、小沢幹事長。当初言われていた権力の二重構造にはならない、という私の観測は当たっていると思う。「生き続けるためには変わらなくてはならない」という彼のモットーは捨ててはいないが、心にもないことを言ったり言わされたりするのが大嫌いで、直情径行に走りやすい性質はそのままのようだ。

 例えば、官僚の国会答弁を禁止する法案、こんなことは議会の運営でやればいいのに、なぜ法律にしなければならないのか。それでなくても官僚は法律でいろいろな基本的人権を制限されている。いちいち例を挙げないが、労働基本権、言論の自由などがそれである。

 たしかに、これまで放置された官僚による悪弊は大掃除をする必要がある。しかし「坊主にくけりゃ」の官僚バッシングは目に余る。官僚はあくまでも「法」に基づき「法」に従って仕事をする職業で、政治家に支配されて法をまげることは許されない。法制局長官による法解釈答弁を法律で禁止するのは筋違いだと思う。

 そのほか、一年生議員の一方的支配、議員連盟参加の制限、議員立法の制限など共産党や公明党でも見られないような議員しめつけをすれば、いずれほころびを生ずるに違いない。薬害エイズ問題で名をあげ、どちらかといえば民主党よりだと思われた川田龍平参議院議員が、それを嫌ってみんなの党に入ったのは深刻だと思う。

 次ぎに「政低」のほうだが、鳩山首相が就任早々国連やASEAN首脳会議て打ち上げた演説は、胸のすくようなものがあった。内政でも選任された閣僚は多士済々で、それぞれ発言に不一致があっても「開かれた議論のもとで」という新鮮さが、逆に評価されるという幸運もあった。まさにしばらくは秋晴れの高気圧のようにも見えた。

 しかし、このところ首相の発言の迷走ぶりが問題にされている。特に沖縄普天間飛行場の処置について、その決定時期や、移転先が県内なのか県外かについてその都度ころころ変わっている。国民は「最後は私が決めます」に期待を抱いている。自分の意見と違っても「鳩山首相がきめたことなら」という、国民の納得が得られそうな恵まれた人気の上に立っていた。

 そうした中で、天気模様は急速に変化しつつある。そのひとつが政治資金問題である。これは「捜査の結論を見た結果で身を処す」という発言である。国民の多くは、自分の金の管理不十分ということで、これまでは大目に見るような所があった。

 どうしてそんなことになったか、桁外れの大金持ちの気分にはなれないが、その金額・内容から見て、とんでもない無能力者か、詐欺犯に近いような人に金をまかせてしまったとしか思えない。疑獄や収賄などに全く無関係であったにしても、そういった人を雇い入れてまかせきりにするような、身辺に甘さのある人を首相にしておくのがいいのか、という疑問は当然起きてくる。

 自民党の大敗は、選挙前の「民主が勝っても党内の意見不一致から遠からず内部分裂を起こす」という自民の希望的観測ははずれたようだ。上述のような大荒れがやってきても「解散総選挙」という事態にはならない。しかし参院選の結果はわからない。いかに小沢幹事長の采配があろうとも獲得議席が前回に達しないこともあり得る。

 問題はその後である。自民党のような手練手管に長けていない民主党にとって本当の危機がやってくる。そうならないようにするには、政権交代による強引さの手綱をゆるめ、幹部、特に党代表経験者が一致団結して事に当たるしかない。 

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2009年12月 1日 (火)

軍事オタク

 「軍事オタク」といえば、自民党は石破茂、民主党・前原誠司とたちどころに名があがる。社民党では聞いたことがない。「護憲・自衛隊縮小だからいるわけがない」、「いたら除名にする」?。とんでもない、願ってもない宝物なのに。

 国民新党のように事業仕分け人は買って出る。米軍基地や思いやり予算にどんどんメスを入れる。自衛隊装備を聖域にする理由をただし、仕分けの対象にさせる。「専守防衛にこの装備は必要ですか」「どういう時に使うのですか」「なぜ最新式でなくてはいけないのですか」と突っ込む。

 「ソーリ!、ソーリ!」の辻元清美などどうだろう。「軍事オタクになりたい」といえば、前原国交大臣の副大臣でもある、必ず協力してくれるはずだ。いや、おちょくっているわけではない。外務委員もやっているから、防衛に縁がないわけではない。本当にそう願っているのだ。

 それがないから、守屋元事務次官のような腐敗官僚がいつまでも跋扈する。また、「米軍基地がなくなると不安が残るので、ここの自衛隊予算は増額した方がいい」ぐらいのことだって言っていい。そうすれば安全保障に対する国民の知識・関心が高まり、社民党への信頼度・支持率のアップににもつながるだろう。

 亀井金融大臣を見てほしい。あれは「亀」でなく「スッポン」だ。念願のポストに食いついたからにはとことん離さない。宿願の郵政関係では、有無をいわせず社長の首を切り、政府株売却禁止の法案を出して突進する。「普天間の県外移設でなければ、連立も見直します……」との差は歴然としている。

 結果はわかっていそうなのに、政務の間をぬって平沼赳夫グループに接近し、ゆさぶりをかける。参院選後の政界再編をにらんでの陽動作戦だろう。政治的果実を手にするためには「毒くわば皿まで」の精神である。

 そこまで真似しろとまでは言わないが、スローガンだけでは、社民党の退潮に歯止めがかからない。民主党に埋もれた方がいいのか、共産党に埋もれた方がいいのか、無為無策のままでは、社民党の選ぶべき道が狭まる一方だ。

 

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