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2009年11月17日 (火)

鳩山イニシャティブ

 鳩山首相は15日、シンガポールで太平洋経済協力(APEC)首脳会議が開かれた際演説をおこなった。オバマ演説は核廃絶、イスラムとの融和などで世界に大きな波紋を投げかけているが、鳩山演説もこれまでの日本の首相にはなかった大きな意味合いを持つ。

 鳩山イニシャティブというと、国連演説の温暖化ガス25%削減を言うようだが、シンガポール演説のほとんどを占める「東アジア共同体」もそれに劣らぬイニシャティブを示したものだといえよう。ところがオバマ演説もそのようだが、国内では必ずしも共感をもって迎えられているとは言いがたい。

 シンガポール演説についてもマスコミの扱いは小さく、依然として「具体性がない、抽象的である」あるいは「アメリカの反発を買う」とか、「中国との主導権争いだ」などという過小評価が多い。また「対象国に体制の違う国がある」とか、「言語宗教が多様である」など、ネット右翼の発想かと思ったら、自民党内閣御用達で自衛隊出身の森本敏拓大教授までが、そのようなことをNHKの番組で言っていた。

 そういった半端なことでなく、首相の真意をそのまま表明したのは、私の知る限りこれが初めてである。以下該当部分を外務省仮約で引用する。

(前略) 私の東アジア共同体構想の思想的源流をたどれば、私自身が大切にしている「友愛(yu-ai)」思想に行き着きます。「友愛」は「博愛(fraternity)」と訳されることもありますが、自分の自由と自分の人格の尊厳を尊重すると同時に、他人の自由と他人の人格の尊厳をも尊重する考え方のことです。「自立と共生」の思想と言ってもよいでしょう。

 私は政治家になって以来、「日本と他のアジア諸国、より広くはアジア・太平洋諸国相互の間に、友愛の絆をつくりあげることはできないものか」と考えてきました。と言うのも、この地域では、ほかならぬ日本が、多くの国々、とりわけこの地域では、ほかならぬ日本が、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた後、60年以上がたった今もなお、真の和解が達成されたとは必ずしも考えられていないからです。

 目を欧州に転じれば、悲惨な二度の大戦を経て、それまで憎みあっていた独仏両国は、石炭や鉄鋼の共同管理をはじめとした協力を積み重ねました。さらに国民相互間の交流を深めた結果、事実上の不戦共同体が成立したのです。独仏を中心にした動きは紆余曲折を経ながらその後も続き、今日のEUへと連なりました。この欧州での和解と協力の経験こそが、私の構想の原型になっています。(後略)

 そして最後をこのように締めくくっている。

 いかがでしょうか、皆さん? 本日、私の説明を聞いてなお、「鳩山構想の中では、誰が共同体のメンバーになるのか」と質問されますか?

 私の答は--、理想と夢を共にする人々--です。

 当塾では過去ずっーとEC/EEC/EUの生い立ちを含め、カテゴリ「東アジア共同体」を設けて取り上げてきた。それは、「反戦」がスタートであり、究極の目標であるからである。上述のような無関心や反対論はEUのたどった過去と努力に関する無知、無関心から来ていると言えるだろう。

 例えば、過去の侵略に対する反省も「村山談話」を確認しただけととらえられ、欧州統合を経済目的のブロック統合としか見ていないということに尽きる。EUの60年にわたる発展過程をつぶさに見れば、将来あるべき姿や参加国の範囲などを、当初から想定しないことが成功の鍵であることをさとるはずだ。

 そして軸となったのは、有史以来犬猿の仲だったドイツとフランスである。東アジアの場合は2千年前後の歴史の中で、日中が争ったのは、元寇などの一時期をのぞき、わずかここ100年に満たない。朝鮮を含め相互の関係は極めて緊密で高いものかある。ここを軸として動かなければ、永遠の平和も相互の経済発展も望めないだろう。

 当ブログの願いは、ヨーロッパを正しく認識するためマスコミ・言論界・教育研究機関が連動して動き、鳩山イニシャティブを後押しする国民世論を高めることだ。そして、NGOなど多くの組織がこれに加わり、個人の資格で動ける有力な鳩山サポーターを出現させなればならない。

 鳩山イニシャティブに対し、平和が党是となっているはずの公明党・社民党・共産党の動きがにぶいというか具体策がさっぱり見えてこないのはどうしたことか。それにくらべれば首相の方がよほど現実的である。ヨーロッパでは、首脳というより、NGOや政府高官などが共同体誕生に大きく貢献したことを知るべきであろう。

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東アジア共同体」カテゴリの記事

コメント

こんにちは、同じ目線で鳩山外交を見る人がいるのは嬉しいことです。
鳩山イニシアティブを理解できる人?国内ではマスメディアは当然のこと、民主党政権内にあっても、鳩山総理の心根を知る人はあまりいないでしょう。
彼は他人のいうことを良く聞きますが、彼自身としては、過去も今も多くを語らずに来ています。
ですので、彼の胸の内を真に知る人がいるのかどうか?政務三役でも、米国追従論者ばかりが目に付きます。ただ一人、小沢幹事長が理解してくれれば良いとは思うのですが。
小沢側近には、妬み、自身の野望で小沢を利用することや、狭量な視野でしか物事を判断出来ず、ただ目先の政権保持目的のみの人がいるようですし、その側近達の「チクリ」「ご注進」?により間違った情報が入り、判断を誤らせる事が、ままあるようですので、それが心配です。

実は、宇宙的視野での世界に発信するメッセージは、鳩山総理一人にしか出来ないことだと思っています。
フリーメイソンをご存知ですか?他の方々には理解出来ないでしょうが、鳩山総理は何度も何度も「友愛」を大きく掲げる事によって、世界中の多くのフリーメイソンの同胞に呼びかけているように見えます。
世界中の同胞に「世界平和の為に立ち上がれ&協力」を求めて。
フリーメイソンの真髄である、(自由、平等、博愛)が、鳩山総理の友愛・相互扶助と同じものであるのは疑いようもありません。まさに彼は命を賭けて日本を真の独立国へ導こうとしていると私は見ています。
一年をかけて日米安全保障条約を完全見直し、基地撤収に持ち込むこと、そして今後の安全保障で言えば、米軍撤退後の国際緊急警察隊の国連設置と沖縄への本部&訓練設備設置を考えていることは知られていることです。

実際、鳩山総理の望んでいることは、声を上げることではないでしょうか?
普天間問題でも、私達は「米軍は出て行け!」と沖縄基地反対の声を上げなければなりません。
反対の声が高まれば高まるほど基地問題での日本の発言力は大きくなり、その声を背景に鳩山総理は強い立場を持って交渉に取り掛かれます。
東アジアに関しても、鳩山総理の壮大な理想(東アジア連携→東アジア共同体→非核地帯構想実現→東アジア平和実現)への第一歩を踏み出せるかどうか?国民の平和への本気度に関わってくるものと考えております。長々と喋って(苦笑)申し訳ありません。

投稿: ヨウ | 2009年11月17日 (火) 14時31分

ヨウ さま
まず、フリーメーソンのことは関心がなくよく知りません。
鳩山さんが本当のスタートラインに立てるのかどうかは、この3か月が勝負でしょう。オバマさんのことを考えればもっと長い忍耐が必要かも知れませんが、国民世論のトレンド次第だと思います。

政界では、民主党内部の小沢チルドレンなどと揶揄される新人と復活当選したベテラン議員が鳩山推進力になれるかどうか。本文に書いた社・公・共その他の与野党からどれほど支持者が現れるかに注目しています。

共同体の手始めは、もっとも厳しく対立している問題で「それはいいアイディアだ」と各国が手を打ってくれるよう提案をしめすこだと思います。

果断さが必要で、「安易な問題から」では成功しないことが欧州の例でもわかります。朝野の要人の頻繁な接触も必要でしょう。 

投稿: ましま | 2009年11月18日 (水) 10時39分

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 アメリカ経済のニュースを見ていると、恐ろしさを覚える。  失業率が急激に上がり、それなのに小売販売が徐々に上がり、クリスマス商戦も若干明るさを見せているという。そして、株価が年初来高値を連日更新している。  オバマ政策である健康保険制度に反対する人たちが何と多いことだ。  失業者が増え、病院だけでなく食費にお金をかけられない人が急増しているそうだ。  このギャップが平然と進んでいるアメリカ社会に唖然とする。  日本も同じ方向に動こうとしているのか。  そうだとすると、国家とは何かを考えさせられる... [続きを読む]

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