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2009年10月 6日 (火)

日米対等の意味

 「日米対等な関係」をうたった民主党のマニフェストが発表され、鳩山論文がアメリカの一部マスコミで批判的に見られたことから、民主党の政権運営の不安感を煽ろうとする動きがあった。しかし、鳩山訪米などにより、それらの目論見は失敗した。洋上給油問題や基地移転問題で日米関係にひびが入る、そんな頼りない同盟ならばない方がましだ。

 これまでの属国視扱いがあまりひどかったので、独立国、独立民族として当たり前のレベルにもどそうという、ごく常識的な話だ。ブッシュや小泉・安倍時代につかりこみすぎた政官界・財界・マスコミが、惰性で関係悪化を言っているに過ぎない。

 やや古いが『世界』2000年9月号に、板垣雄三(中東・イスラーム研究学者)のインタービュー記事がある。日本人の世界観が歴史的にどういう経過をたどったについて興味ある発言をしている。それによるとまず最初、日本社会が形成され国家が意識され始めてから近世に至るまで、伝統的な対外意識は、本朝・唐・天竺という三要素で世界を見る「三国」の認識枠組みだった。「三国一の花嫁」の「三国」である。

 それが一六世紀、鉄砲伝来の頃からこれに南蛮・紅毛の西洋が加わり幕末に至る。維新により鎖国から解き放されると国民の目は当然広く世界各地域に及ぶ。イスラム圏では、1880年にペルシャ(イラン)カージャール朝のテヘランに民権運動ゆかりの吉田正春を長とする政府使節団を派遣し、一九世紀末にはオスマン帝国(トルコ)の軍艦が串本沖で沈んでのを見舞う義捐金が全国津々浦々から寄せられ、それを茶道宗偏流の家元・山田寅次郎がイスタンブルに届けに行って、そのままで改宗し日本人最初のムスリムになった。

 しかし、時を接して日本はヨーロッパのオリエンタリズムに同化、東洋対西洋の二分法に基づき、「脱亜かアジア主義か」が二者択一の選択肢と思いこむ風潮が蔓延する。そしてそれがついに今日にまで及ぶと説く。当ブログでも福沢諭吉の脱亜論や右翼が唱えるアジア主義などを記事として取り上げたことがある。

 現在の(最も近視眼的な)二者択一の選択肢は、日米同盟か中国・北朝鮮かである。それは、世界どころかアメリカからでさえ通用しそうもない思いこみであろう。われわれが、終戦後復興すへき日本の姿をどう描いたか、また目標とすべき国を考えたかも触れておく必要がある。

 占領国アメリカからは多くの文化を受け取った。しかし敗戦国が強大国アメリカを目指せるわけがない。新憲法と前後して、永世中立国を目指した「東洋のスイスに」という声が大きかった。また、あこがれの文化は、アメリカというよりフランスだった。

 一方、革命後計画経済進展に自信を見せ、人民解放を唱えるソ連に対する強い憧憬もあった。それに恐れをなした占領軍と政府はレッドパージを強行する。このように、国際問題を多角的に考えることが普通だったのに、いつのまにかまた二者択一に戻った。

 対等な関係というのは、国として国益を考えごく普通な選択肢を持つということである。イスラムとキリスト・ユダヤ教との間は、1つの神を互いに奪い合うような関係がある。中東の戦乱を欧米との宗教紛争と解したくないが、ここに二者択一を持ち込んで「ムスリム イコール テロリスト」にくみするような愚を決しておかしてはならない。

 日本人が本来持っているはずのバランスある国際感覚、それを取り戻すのが「対等」の本来の意味であり、「友愛」を生かす道でもあろう。

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