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2009年10月14日 (水)

モラトリアム

 亀井金融新法がTVワイドショーで話題になっている。モラトリアム(支払い猶予令)という言葉はなぜか評判が悪く、出演する円くなった(顔が?)亀井さんも防戦一方である。モラトリアムがそんなに悪いのか、金融に弱いのでどうもよくわからない。

 多分、かつて見舞われたことのある恐慌で使われ、それが禍根を残して傷を深めたというイメージが強いからだろう。ところがその恐慌やモラトリアム自体、個別の原因と結果があり一概に評価するのは無理であるような気がする。

 第一、恐慌の名称がわかりにくい。その最たるものが「昭和恐慌」だ。次ぎに示す恐慌のうち、あとの二つは昭和になってからだが、③の「昭和金融恐慌」は、大正時代から尾をひいたものだ。最後の④は、アメリカ発の世界恐慌に起因するが、両方を合わせて昭和大恐慌などというから混乱する。

① 戦後(第1次世界大戦)恐慌 
 ・1920年(大正9)春から2年弱、以後中間景気

② 震災(関東大震災)恐慌
 ・1923年(大正12)9月1日震災発生
 ・9月7日から「震災手形」に1か月のモラトリアム
 ・翌年から復興景気ブームとなる

③ (昭和)金融恐慌
 ・1927年(昭和2)3月15日、震災手形法案をめぐる片岡蔵相の不用意発言がきっかけで、渡辺銀行に取り付き騒ぎ。以後連鎖反応金融不安が拡大、大型倒産や弱小銀行の整理が進んだ。
 ・4月22日から緊急勅令で21日間のモラトリアム
 ・5月には沈静化したが不況から抜け出せず慢性化した。

④ 世界恐慌
 ・1929年(昭和4)10月24日、ニューヨーク株式取引所大暴落、暗黒の木曜日。
 ・金解禁のタイミングの悪さもあり、影響を受けた日本は、以後4年弱不景気のどん底が続く。
 ・満州事変とともに軍需景気がおき、不景気は解消する。

 この間、モラトリアムは2回あるが、いずれも突発緊急措置で期間も1月以内と短い。次ぎに抜粋引用する『銀行業務改善隻語』は、株式会社三十四銀行副頭取一条粂吉が昭和2年の金融恐慌の嵐の中で書き上げた金融業のバイブル的警句集で、今なお味わい深いものがある。

三九、無謀なる経営者に対しては、数年間の計画を以て救済せんよりは、寧ろ数年間の計画を以て、徐に処分するに如かずと説くものあり。

四〇、なる程破綻するものは破綻し、縮小するものは縮小せざれば、財界の刷新立ち直りは行なわれず。もし弥縫を以て生命を延長せば、不健全の持越となる。しかしこれは程度の問題なるべし。

一〇五、ひとり中小商工業者に限らず、借りたる金は必ず返済する道徳観念は、総てを解決するの前提たり。もしこの前提を忘れんか、も早万事休するの外なく、如何なる卓説明暗も何等実際に即する作用をなすに足らざるなり。

一三三、銀行は貸出の求めに応ずれば謳歌せられ、若し之を拒絶せば忽ち悪声に包まるるを常例とす。銀行は是等に頓着せず、宜しく預金者より賞賛を受くるに至らんことを要す。

一四二、借金は不愉快のものなり、絶えず気に懸り、頭を押さえらるるの心地をなす、断じて借金すべからずと説くものあり。又借金は排すべきものに非ず、これあるがために、これを済し崩す目的を以て、発憤努力し、人一倍勤労となり、義務を果たし、光明ある生活に入るを得べしと言うものあり。

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コメント

この件では、右翼の山崎行太郎さんの指摘が的確だと思います。

http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/

亀井バッシングは、今の日本において、いかに、金融資本の政治力が強いかを物語っていますね。

投稿: Runner | 2009年10月14日 (水) 22時27分

Runner さま おはようございます。
早速山崎さんのところへ行ってみました。

是非の判断はつきませんが、新聞記者などが「自分の頭で考えない」悪弊ここに至れり、の感がします。
その意味で「毎日」の「記者の目」欄は評価しています。

目も足も持たないわれわれは、見抜く力を養うのが一番です。

投稿: ましま | 2009年10月15日 (木) 09時17分

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