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2009年10月 9日 (金)

早すぎるノーベル平和賞

 オバマ大統領へのノーベル平和賞授与が決定した。平和賞以外は、綿密な実績の審査を経て賞が決まるが、平和賞は往々にして「宣言」だけで賞が決まる。オバマ授賞にケチをつける気はないが、核廃絶プラハ演説はもちろん、他の平和政策もこの先どれだけ実効をあげられるか、不安視されている。

 特に、アフガンでは昨日(8日)も首都カブールで大規模な爆弾テロが発生し、100人近くが死傷している。インド大使館の近くだというから、インドと抗争の絶えないパキスタン発の過激派の仕業かも知れない。

 アメリカの現地司令部は、国防省を通じてさらに数万人の軍増派を大統領に要請した。表向きはアフガンの治安強化だが、パキスタン対策に違いない。今、まさに新たな火の手が上がりかねないのだ。パキスタンは非公認の核保有国である。従ってアメリカは、まずパキスタンの核の手をしばらなくてはならない。

 これは、パキスタン、ことに同国の軍部は猛反発するだろう。インドに対抗しての核だから、インドの方はお構いなしでは、いかに援助を多くもらっても我慢できるものでない。その前に、イスラム国から見て、イランの核開発に制裁強化はするが、ヤミ保有国イスラエルには全く知らぬ顔。そういった二重基準を平気で押し通す、こういったアメリカの態度がすっかり信用をなくしているのだ。

 遠い先の核廃絶願望宣言をするなら、まずここから手を付けなければならない。軍の増派は平和賞にならない。それより、イスラエル対策や包括的核実験停止条約批准などを妨害する米上院の説得が先ではないか。そうして核廃絶に役立つ政策を前進させることた。ノーベル賞はそれからでいい。

 佐藤栄作元総理は核三原則宣言でノーベル平和賞をもらった。ところが、「核兵器持ち込ませず」には、これを無効にする密約があったことがばれ、核の傘を差してくれるようアメリカに頼んでいたこともわかった。

 これですっかりノーベル平和賞の権威を落としたが、金大中元大統領の太陽政策に5億ドルの裏金が動いたことなど、あとでケチがつくケースが続発している。政治家への平和賞授賞には数年以上間をおいた方がいいのではないか。
 

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反戦・軍縮」カテゴリの記事

コメント

まあ、ノーベル平和賞というのは、実質、「ノーベル政治賞」ですからね(^^。
我々の方で、平和賞とは呼ばず政治賞と呼んでしまえばいいのですよ。

投稿: Runner | 2009年10月10日 (土) 01時01分

 政治賞でも、佐藤栄作と一緒にされるのでは、オバマが可哀想です。あげるなら「特別政治賞(ショー)」で、大穴に鳩山をもってきてもいい。

 だけど大金持ちに1億ウン千万、個人収入になるのか国家収入になるのか、寄付は公選法で禁止されるのか?。

 持たざる者の余計な心配です。(*ノv`)

投稿: ましま | 2009年10月10日 (土) 09時38分

二番手はある意味気楽かも知れないが『誰もやらなかった』事側を成すことは非常に困難です。
核廃絶は、『言っただけで、まだ何もしていない』との意見も在るが、実際に核兵器を2回も使用したアメリカの大統領として誰一人も発言していない『プラハ演説』を成し遂げたと、(それだけでも歴史的偉業)であると、今回は素直に祝福したいと思います。
そういう意味で誰一人も先例が無い南北会談を成し遂げた近大中はやはり『歴史的偉業』でノーベル平和賞の値打ちがある。
佐藤栄作のインチキ非核三原則も、裏の対米密約が無く三原則が本物であったなら・・・・値打ちがあった。

オバマの訪日時の(護憲平和勢力の)広島訪問を望む話ですが、これは世界最初の被爆地ヒロシマではなく、この場合には現状では世界最後の被爆地であるナガサキが相応しいのではないでしょうか。?
オバマのプラハ核廃絶演説の骨子はナガサキの次の3度目の核の悲劇を人類(アメリカ政府)が何とか防がなくてはならない、との考え方から出ていると思います。
それなら最初のヒロシマより最後の被爆地ナガサキが相応しいでしょう。

投稿: 逝きし世の面影 | 2009年10月10日 (土) 12時05分

オバマが広島・長崎に来てくれれば願ってもないことですが、もしこなかったらネオコンのブーイングを恐れてのことでしょう。

健康保険改革も、「密入国者まで助けてやるのか」というネガティブキャンペーンが結構利いているようです。

核廃絶も「アメリカの軍事的優位を売り渡す売国奴」という機会をたんたんとネオコンはうかがっているでしょう。

演説が米本国でなく、どうしてプラハだったのか、いまだにわかりません。  

投稿: ましま | 2009年10月10日 (土) 13時03分

アメリカ国内では、日本への原爆投下で100万人の米兵の命を救ったとのメードイン・アメリカの神話(迷信)が今でも生きているのでしょう。
怖い話ですが『正義のアメリカ』の神話を作るための必須アイテムが『100万人の米兵の命』なのです。
この神話は、沖縄戦で一万人以上の米兵が死んだ事を単純に日本全土に適応すれば自動的にこの数字が出てきます。
アメリカ兵は100万人死ぬなら、沖縄では4人に一人(日本側20万人)が死んだので本土の人口8000万人の四分の一、日本人の2000万人が死ぬ計算です。
この計算を認めるか認めないかが、原爆神話を認めるか認めないかになる。
この原爆神話は、日本人の一人として認めてはいけないし、全人類の為にも世界の平和の為にも認めてはいけないと思います。
戦争の勝敗にかかわらず原爆投下や都市住民に対する無差別殺戮は『戦争犯罪』としないと本当の正義はかなえられません。

投稿: 逝きし世の面影 | 2009年10月11日 (日) 11時09分

認める、認めないや正義、不正義の二者択一を責めるのは建設的ではないと思います。ただし議論をして結論を求めるのはいいと思います。

国際裁判もいいのですが、必ずしも公平ではありません。遠い過去のことを現在の問題として提起することではなく、歴史の評価にゆだねるべきです。

オバマが言える限界は「唯一の原爆使用国の責任として……」まてでしょう。

そうです。諸悪の根元はセンソウです。(^^)

投稿: ましま | 2009年10月11日 (日) 12時49分

正義不正義は絶対的なものではなく、あくまでも相対的で、第二次世界大戦では連合国側(アメリカ)に正義はあった。
しかし、だからといってアメリカ軍の行動の全部が正義であった事にはならないが、ところがアメリカ人は『自分は絶対正義である』と思いたがる困った傾向がある。
第二次世界大戦時のアメリカの不正義の最たるものは原爆投下に尽きると思いますが、アメリカがこの事に気付かないと世界の平和は危機に曝される。
01年に始めたブッシュのアフガン戦争の最初の作戦名は『無限の正義』「Operation Infinite Justice」だったが、余りに対イスラムの宗教的な作戦名だったので不朽の自由作戦(Operation Enduring Freedom)に変えた経緯がある。

今度のオバマのノーベル平和賞ですが全くサプライズではなく既定の路線というか順当な選択であると思います。
何故なら前回のアメリカ大統領の受賞者はカーターですが、彼は報復戦争にアメリカ歴代大統領の中では一番慎重だった。
カーターが受賞した日付はブッシュが戦争を始めた翌年の02年ですが、この事は偶然ではなく意識的に選ばれたのでしょう。

投稿: 逝きし世の面影 | 2009年10月11日 (日) 13時57分

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