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2009年9月15日 (火)

アフガンの出口を作れ

 オバマはアフガンで岐路に立っている。国内問題でも国民皆保険や景気回復をめぐり、反対勢力からの猛攻を受けると、70%近くあった支持率も50%に限りなく近づく可能性がある。オバマの公約は、イラクからの撤兵を急ぎ、アフガンへは治安回復優先のため増派するというものだった。

 日本では大きな記事になっていないが、ウサマビンラディンが9月か10月になると恒例的に出すとされる「声明」が報道されている。アメリカのいわゆる「テロとの戦い」の本質を突くものであるが、軍事的解決しか頭にない各国からは無視されている。

 アフガンに世界一の軍事力をつぎ込み、NATOからも協力を得、さらにCIAという優秀な?諜報機関がありながら、8年経ってもまだビンラディン1人を確保できずに戦い続けている。彼の指揮下にあるアルカイダが敵だという。しかしその正体はつかみきれていない。

 また、当初アフガン国内で彼をかばって引き渡さなかったという理由でアフガンに侵攻、その当時の政権タリバンを倒しカルザイ政権を擁立した。だからタリバンも敵だというが、宗教的指導者のオマルもまだどこかで生きており、隠然とした勢力を保っている。

 タリバンはアフガン国内でも健在で、《戦闘が止まなければ、「かつてソビエト連邦を崩壊に追い込んだように、あらゆる手段を用いて、あなた方(米国民)に対し消耗戦を続ける」ということになるだろう》という、ビンラディンの警告は真実味を帯びている。

 ビンラディンの声明は、米国民に呼びかける形になっている。そして、一般にオバマに対する挑戦のようにとられているが、これまでのブッシュ政策やネオコンの存在と対比して批判する形をとっており、政策の変更こそ解決への道であることを示唆している。

 当初の米軍増派の理由とされたアフガンの大統領選挙は終わった。皮肉なことに国内の7、8割を実質支配しているタリバンとの融和を説き、外国軍隊の撤退を主張するカルザイ氏が留任することは、ほぼ確実だ。

 アフガンに駐留する外国軍の立場はますます苦境に立つことになる。駐留を続ける理由は、撤退すると治安が悪化するということである。それはあり得るだろう。イラクがまさにそこから抜け出せない。

  それでもアメリカはオバマの方針を貫いた。 その分をアフガンに増派、ということになったのは、「アメリカはテロとの戦いに負けた」ということには絶対したくないからだ。アメリカ国民がそれを許さないし、オバマもそれでは選挙に勝てない。 ヨーロッパ諸国もそれは同じだが、現実の厳しさからだんだん撤退論に傾いている。

 さて日本だが、選挙に勝った民主党は、「テロの温床を除去するために、アフガニスタンの実態を踏まえた支援策を検討し“貧困の根絶”と“国家の再建”に主体的役割を果たす(3党連立合意)」としている。

 「インド洋の給油活動の延長はせず」の代替として、国際治安支援部隊(ISAF)への協力などを安易に持ち出す前に日本にはすることがある。それは、カルザイ政権、タリバン良識派、パキスタンなどと話し合い、アフガン戦争の出口をさぐることである。

 オバマの苦境を救い、ECから感謝され、日本が国際社会に外交で存在感をしめすのにはこれしかない。海上給油は別として派兵当事国でなく、過去アフガンに覇権を競った歴史もなく、タリバンと戦ったソ連や国内にイスラムの火種をかかえる中国にはできず、宗教上の確執もない。

 平和憲法を堅持し、アメリカと役割分担し対等なパートナーシップを築くことをモットーに政権交代をした日本、今こそ絶好の外交一流国へのチャンスである。外交の継続はブッシュ・小泉体制をだらだらと続けることではない。重ねていう。「アフガン戦争の出口を作ること」、民生支援はそのあとでいい。

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コメント

インド洋(アラビア海)での自衛隊の給油活動ですが、今年は3月に1回した後は米艦には半年以上実績がないのに8月に入ったらばたばたと(選挙目当ての)実績つくりで何回も繰り返している。
自衛隊にしか出来ない活動とのフレコミですが、無理やりの海上自衛隊海外活動の為の実績作りで全く無駄な行為です。
実体は、パキスタンに5000億円の援助の約束など日本は金だけを期待されているのでしょう。
給油する燃料は現地の(シェブロンと関係が深い)バーレーン精製所産でわざわざ危険な上給油しなくても港に入って落ち着いてやれば船員も休養でき関係者全員が喜ぶ。
何やら陸自の高級ミネラルウオーター以上に高くついた給水活動の海自版ですね。
来年の満期まで(アメリカに遠慮して)続けるようですが即時撤退の方が結局日本のためにもアメリカの為になる。
伊勢崎さんによると日本は『欧米諸国と違い』先進国で唯一武力介入していないとの『美しい誤解』が未だにあるようです。
アメリカにもNATO諸国にも出来ないこと(イスラム教徒からのあつい信頼)が日本には可能なのですから、これを『貴重なスタンス』として利用しない手はありません。

投稿: 逝きし世の面影 | 2009年9月15日 (火) 15時52分

おっしゃるとおりですね。
日米金たかり同盟だからタダの油がもらえる。しかも湾岸のアメリカのイキのかかった会社から自衛隊が買った油です。
アメリカは二重にもうかる。
それがないと活動に支障が生ずるとは、現場の米軍も思ってないようです。
アメリカが欲しいのは日本も作戦に協力している仲間だよ、という見栄をはりたいことだけでしょう。

投稿: ましま | 2009年9月15日 (火) 18時17分

ご無沙汰しています。
アフガンの出口を日本が探るというのは賛成です。先週、イスラム圏とかかわってきた者の一人として、国家戦略局に渡してほしいとロードマップを民主に提案してあります。
基本は、アフガン人のアフガン人による復興プロジェクトを、イスラム圏の力を借りて実行していくことです。日本は善き理解者として技術支援をしていくことです。下手な政治よりも技術支援をした方が、アフガンの部族長も真意を理解して受け入れてくれます。
キーワードは「アフガン人のアフガン人による」ということです。そして、結果として「アフガン人の為になれば」が見える復興プロジェクトです。
その前に非常に複雑な思いですが、いまのアフガン政権が崩壊しないことを願うばかりです。

投稿: ていわ | 2009年9月16日 (水) 09時25分

ていわ さま こんにちは。
 イランでご活躍の貴兄から賛意をいただいて、わが意を強くしました。また前向きなご活躍に敬意を表します。
 過去、石油関係の仕事をしていたので海外情報には関心があるのですが、日本ひきこもり状態で、しかも国内では少数意見と思われる記事を書いています。
 したがって、今後も見方に誤りがあるなど、お気づきの点があれば、どうかご教示ください。
 ありがとうございました。

投稿: ましま | 2009年9月16日 (水) 10時07分

カルザイに大量の不正票ありとか。大統領選もかなりキナクサイ様子。武力介入しても受け皿の安定政権がつくれず泥沼化するのはベトナム戦争と同じだね。

投稿: 親ソ派 | 2009年9月16日 (水) 11時36分

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