節目の終戦記念日
64回目の終戦記念日である。昭和16年12月8日午前7時、いつものようにつけっぱなしのラジオが叫んだ。
「臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申上げます。大本営陸海軍部午前6時発表。帝国陸海軍部隊は本八日未明、西太平洋においてアメリカ、イギリス軍と戦闘状態に入れり」。
それから終戦の玉音放送を聞くまで、3年9カ月余り、1096日間。わが人生でその後の64年にくらべると長いようで短い。しかしその前、満州事変からの連続を考えると15年戦時下にあったわけだから、やはりとんでもない戦争を起こしたわけだ。
さて、今年の終戦記念日を迎えるに当たって、なにかこれまでと違うような感じがする。テレビでは、NHKはもとより、これまで消極的だったように思える民放まで、戦時体験などの関連特番が多くなったように見える。明らかにトレンドの変化である。そのきっかけは何だったのだろう。
① 米オバマ大統領の出現で、対立・抗争から和平・協調路線に世界の風向きが変わった。
② 麻生失政もあり、小泉靖国参拝、安倍改憲路線が急に色あせた。
③ 寡黙だった戦時体験者が、ここのところ急に口を開くようになった(当ブログは4年以上もやっているが《笑》)。
④ 選挙の月で、64年のほとんどを支配してきた政権が変わろうとしている。
以上のうち④は、メディアが自民の圧力を気にしなくてもよくなるという解釈もできるが、政界自体を見わたすとどうも怪しくなる。ちなみに、去年の今日付のエントリー「終戦記念日と各党」に書いた声明などと、今回各党が発表したマニフェストとの比較では、ほとんど進歩のあとがない。むしろ自民党の方に変化があった。集団的自衛権の解釈変更である。
「同盟国である米国に向かうミサイルの迎撃をや弾道ミサイル防衛で連携する米国艦艇の防護などが可能となるよう、必要な安全保障上の手当をする」という部分で、北朝鮮を敵国に見立てたこの筋書きが笑止千万であることは、すでにこのブログで言及した。
11日の各党首討論会で、社民党の福島党首が集団的自衛権の問題を取り上げ、麻生首相にただした。麻生は、同盟国の艦船が攻撃を受けた場合、そばにいる日本の自衛官が防護するのは当然、といった趣旨の答えをしたように思うが、これはまさに、「日本国海上自衛隊は、本○日○時、日本海において北朝鮮軍と戦闘状態に入れり」ということにならないか。こっちでそう思わなくても相手はそう思う。
福島党首は、どうして「では自衛隊はアメリカと一緒に戦争するんですね」と突っ込んでくれなかったのか。マスメディアが小政党の発言を封ずることは承知しているが、言いっぱなし聞きっぱなしでは物足りない。それは自民党側から、「では、どうして日本の安全を守っていくのか」という反論に、具体的にかみ合う答えの用意がないからではないか。
世界は大きく変化を遂げようとしている。また、日本もかすかながら新しい時代を模索しつつある。野党各党にとって、今年こそ平和・安全保障問題の新しい旗を掲げる絶好のチャンスだったはずである。特に社民・共産は、これまでの日米同盟解消、自衛隊縮小などの55年体制以来の教条主義を精算し、民主・自民の外交・防衛族と同じ舞台で渡りあえる具体策を用意、「憲法擁護・軍縮先導」の党是に命を吹き込むようにしてほしかった。まさに両党の「本気度」がためされているのである。
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