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2009年8月12日 (水)

「イクサ」の意味

 前回、《「由来」の危うさ》を書いたら、テーマの連鎖反応が起きてしまった。書棚の中に大野晋著『日本語をさかのぼる』という岩波新書が見つかったのだ。原稿を書き、公表してしまってから参考になる資料が見つかるということはよくあることだ。

 きっと、書いたことでそこに関心が集中し、関連する事柄が目につきやすくなる、または、より突っ込んでみたいという潜在的意識がそうさせるのだろうか。前回は、コシノクニの「越」と中国古代の国「越」に関係があるかどうかだった。

 今回は、わが反戦塾の「戦」、イクサについてである。例によって『日本書紀』をめくると、神武東征の1、2頁だけで次のように多くの漢字が当てられている。
 兵→イクサ 介冑→イクサ 軍→イクサ
 師→イクサ 卒→イクサ
 
 ところが「戦」は、タタカい、タタカうには使うがイクサは見あたらない。前掲書はこういう。
「イクサという語がある。現代では戦争の意にこれを使う。しかし、イクサという語は、本来戦争の意を表すものではなかった」と。

 続けて、イクサはイクとサに分かれると解説する。イク(生)とは、生命力の盛んなことをたたえる接頭語で、サは朝鮮語のsalを取り入れた「矢」の意味だという。つまり勢いのあるするどい矢をを意味する。今ならミサイルそのものだ。

 それが『書紀』の持統3年になると「射(イクサ)習ふ所を築かしむ」とか、「射(イクサ)を観たまふ」と射→イクサに発展する。つまり、射撃という行動までを意味するのだ。さらに鎌倉時代に入ると、完全に合戦そのものを「イクサ」というようになる。

 現在のイクサは、広辞苑で見ると「軍」「戦」「兵」「射」とあらゆる意味をとりこんだ言葉になっている。さて、ややこしいことになったが、わが反戦塾は、専守防衛の自衛隊とその装備は認めているので、広義の「イクサ反対」ではなく、狭義の「たたき合い=戦い反対」ということになるのだろうか。

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