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2009年8月24日 (月)

中国は脅威か

 前回の「仮想敵国」で、北朝鮮は思われているほど脅威ではない、と言いました。それはわが国が海で囲まれた島国だから言えることで、国境を接している韓国、中国にとってはやはり厄介な存在です。というのは、陸上兵力がずば抜けて強いからです。

 北朝鮮にとっての脅威はアメリカです。韓国、日本に基地を持ち、ハイテク兵器でピンポイント攻撃をかけられたらひとたまりもありません。しかし総人口の5%近く、約100万人の訓練を積んだ陸上兵力があります。本土決戦になればアフガンのタリバン以上の能力を発揮するでしょう。

 人口倍以上の韓国は兵力56万人、そのまた倍以上の日本の13.8万人と比べたらわかります。山間部や民衆にまぎれて徹底抗戦すれば勝てると考えているはずです。兵役適齢者だけをみれば文字通り国民皆兵の態勢です。現在も150日戦争とかいって、国民総動員の号令をかけています。韓国やアメリカはそのことをよく知っているのです。

 さて、中国の方です。最近は台湾との関係が雪解けムードで、米中間も日本が気をもむほど親密になったせいか、以前ほど脅威を言わなくなりました。領土問題も武力が解決するような問題ではありません。一方、軍事費の伸びが連続2桁だとか航空母艦を持とうとしているとかを問題視しています。

 しかし、最近は「中華人民共和国国防部ウェブサイト」が20日から試験運用を開始するなど、徐々に透明度をましています(アドレスはwww.mod.gov.cnで英文か華文)。そして旧式の装備を国力にそった近代化更新をするとか、台湾への他国介入を防止するとかの意図も理解され始めました。

 こういうと中国の代弁者のようですが、ミリタリー・バランスの分析については専門家の領域で、文民はそれが正しいかどうかを判断する能力を持たなければなりません。そうでないと、前回も述べていますが軍事費予算獲得の材料に使われるだけです。

 中国は公認された核兵器保有国で、すでに大陸間弾道ミサイルなど完成した運搬手段を持っています。日本も対抗上核武装したいと考えている人がいます。あり得ないことですが、仮に核戦争になっても日本に勝ち目はありません。

 なぜならば、どう考えても国土が広く人口の多い方が有利なのです。なにしろ中国は日本の25、6倍の面積があり、日本の10倍で世界の5分の1にあた13億の人がいるのですから日本の方がはるかに早く滅亡します。しかし実際には今や核兵器は持っても使えない厄介な存在になっています。 

 ここで、全く違う角度から中国を眺めてみましょう。私が中国を訪問したのはオリンピック前でしたが、街角で見かける人々、都市の喧噪や大破汚染、交通ルールなどの無政府状態など、日本のオリンピック前の1960年代そのもののように感じました。

 本年中にGDPが日本をこえ世界第2位になるといって、それまで脅威の材料にしようという幼児以下(某マスコミを含め)の人がいますが、中国もようやく日本の40年前に近づいたといえましょう。中国はこれまで経済を中心にさまざまな開放改革をし、また現在もしています。その中で最も遅れているのが党改革である、と別の記事で書いたことがあります。 

 最後にこんなエピソードをつけ加えておきましょう。これは「DAIAMONDonlin」08/20、姫田小夏氏のレポート要約したものです。

 「姿が見えないと思ったら、ソファに座って寝ているんです。ちょっと暇になるといつもこれで……」

 上海の日系企業経営者の話で、何度注意しても改善されないので彼女をクビにした。これは珍しいことではなく、どんな職場でも職務遂行に熱意を持たない一定の階層がいる。これは「80后(パーシーホウ)」つまり80年代生まれ、と称されるらしい。日曜・祭日でもない真っ昼間から四川料理店の鍋を囲む彼らから、こんな会話が聞こえてきたという。

 「俺、こないだ面接したんだ。『月5000元はくれ』って言ったんだけど」
 「お前の学歴で5000元かよ」

 名門大学卒の初任給がおよそ3000元、却下承知でふっかけているのだ。いよいよ「一人っ子政策」のつけが回ってきたらしい。都市における高齢化社会の進行、労働力の不足とともにモラルの崩壊にまでつながっている。

 一人っ子は、兄弟の面倒見や家事の手伝いから解放され、親は、その子に狂気に近い程の期待をかける。有名校への受験や点数稼ぎのために必要なのは、何をおいてもまずカネ、カネ、それに隣近所とのステータス競争だ。

 自然、子どもは鍵っ子か老人に預けっぱなし。子どもへのご褒美もまたカネとなる。これでは健全な徳育が育つはずがない。昨年北京オリンピックブームにあやかって結婚したカップルの離婚は、この1年の離婚件数の9割を占めるという。理由はやはり自己チュウということらしい。

 なにか、日本のことのように思えませんか。まさかこんな共通な悩みもかかえているとは知りませんでした。日本と中国は対立するより協力し合わなければならない案件の方がはるかに多いと思えます。日本の安全を考えるという選挙の議論も、最後の一週間でようやく現・与党の方からでてきました。

 これが、票目当てでプラスになるかは大いに疑問ですが、隣国、中国・朝鮮について脅威、反日、嫌韓などというレベルを抜けた新時代の議論を巻き起こすよう、秋には誕生する新政権に期待したいものです。

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