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2009年7月15日 (水)

中国に必要なのは党改革

 国内政局の大波乱のなかで、中国ウイグル自治区騒乱関係など海外ニュースは、すっかり影をひそめてしまった感じだ。チベットで動乱のあった時は、即刻「無視」したという2チャンネルその他の連鎖反応が当ブログなどにあって、膨大なアクセス書き込みが殺到し、いわゆる「炎上」の様相を呈したことがある。

 今回は、そういったことが全くなく、いわゆる「ネットウヨ」の方が「無視」しているようにも見える。それはともかく、さみだれ的、断片的に続く続報や関連記事で、報道管制があったとしてもだんだん中国の実態に近いものが浮かんできたように見える。

 胡錦濤国家主席は、イタリアのサミットを中座して急遽帰国した。中国にとってそれほど緊急を要する大問題であったことがわかる。ウイグル騒動については、そもそもの発端が広東省の玩具工場での集団就業者と漢族従業員との抗争だという。また、政権筋からはウイグル人亡命者による海外からの扇動だという宣伝もある。どっちに比重がかかるのだろう。

 中には操作されたものもあるだろうが、そういった複数の各種情報が交錯する中で徐々に真相が見えて来るものだ。それらを総合すると、イスラム原理組織の独立運動などというのとはちょっと違うな、という気がするし、一部があおるような少数民族の差別・弾圧政策でもないように思う。

 これに関連して、前記事、「治安と経済」では貧困と治安について述べたが、改革政策による都市と地方の経済格差、宗教・民族・言語などから生ずる格差、そういったことが暴発の根にあることは間違いなさそうだ。

 さらに、地方の権力基盤がすべて官僚的・独裁的共産党員で支配され、不公平や腐敗に対するチェックが利かなくなっていることが加わる――というより、それが主因かも知れない。これは、この1、2年各地で頻発している官憲の不正に対する抗議のデモや衝突の多さと、それがほぼ全国的に及んでいる事実の方に注目すべきだ。例の「毒餃子事件」なども、捜査がいいところまで行っていそうで肝心なところでストップしてしまう。これなども法令を上回る“権力の壁”に邪魔されているのではないかと思えて仕方ない。

 中国の長い歴史は革命でいろどられる。そのほとんどは、地方から起きた貧民の蜂起が巨大王朝を転覆させる構図になっている。現在国を支配している共産党幹部かそれを知らないわけがない。したがって、反乱の組織化や指導者を厳重に監視することを対策の第一とする。 

 日本と同じで、最高決議機関の国会にあたる「全人大」があり、中央・地方に行政や司法を受け持つ官僚組織、システムが存在する。一方で、それに平行する形で共産党大会や、共産党の組織があって上層部は、ほとんど共産党員が兼務する形になっている。表面上はともかく、実態は共産党一党独裁体制が堅持されていることになる。

 その根本は、中国憲法前文にある党の優位性である。「中国共産党は、労働者・農民の党である 中国の各民族人民は引き続き中国共産党の領導の下」におかれているのである。私は、ここに大きな矛盾を感じざるを得ない。

 日本と違って憲法はたびたび変えられる。ただ前文で見られるように共産主義革命の歴史や毛沢東をはじめ有力指導者の政治理念がつぎつぎに引き継がれるような形になっており、これで権力の正当性を維持・担保している。したがって、前段の「党の領導」は根本的なこととして手をつけずにいる。

 毛沢東などが農民・労働者を指導教育し、人民解放軍を組織して革命を達成させた。それが今日の中国のはじまりである。労働者・農民は党の主体であると同時に、指導される客体でもあったのである。それが革命後60年もたった今でもそのまま変わらず残されている。

 現在の幹部も、胡錦濤国家主席以下すべてそういった地位、体験を経てきた党のエリート達である。末端の疲弊、腐敗を知っていても、党の生命維持装置をこわさずにどうやって手術、改善をはかるかるのか、手を付けかねているのではなかろうか。

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