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2009年7月

2009年7月31日 (金)

アフガン、敵は誰?

 オバマの話し合い和平路線をよそに、アフガンには治安部隊を倍増させる計画がある(文末引用参照)。イギリスも、犠牲者急増と裏腹に増派の方向で、世論はこれに賛成しているという。なぜ、そういうことになるのだろう。

 来月行われる選挙を前に治安回復をはかるというが、それは当面の口実で、選挙後に撤兵ができることを保証していない。というのは、米英にとってまだ「敵」に勝っていないからだ。ブッシュのはじめたイラク戦争で撤兵を決めたのは、アフガンにその分をまわすという前提つきだった。

 そうしないと、「敵」を打ちのめすこともできない「腰抜け」、「卑怯者」ということになるのだ。大統領もそういったアメリカ人の好みに反する行動はとれない。もう一つ、テロ被害者意識と、従軍して戦死した人の遺族、さらには命がけで戦った退役・在郷軍人などの存在だ。

 後半の部分は、米英に限らない。そういった人たちの無念は晴らせない、犬死にだったのかというという声と、「愛国者」とか「売国奴」などという殺し文句が乱れ飛ぶ。しかし相手方にもそれと同じかそれ以上の論理があることを忘れてはならない。

 日本の太平洋戦争開戦直前、アメリカから日本軍の中国撤退を含む条件をハル・ノートで突きつけられ、東条が「日本陸軍全体の士気にかかわる、そのようなことができるか」と一蹴し、開戦を決定的にしてしまったことを思い出せばいい。撤退はそれほど難しいことなのだ。

 さて、それでは誰を敵(相手)にして戦っているのだろう。最初は、9.11やロンドンのテロの首謀者であり資金源であるとされるウサマビンラディンと、彼の元にあるテロリスト養成学校と世界的なテロ組織であるアルカイダだったはずだ。

 タリバン勢力は、それをかくまった当時のアフガン政権だったが、身柄を引き渡せというアメリカの圧力に悩んだ末、宗教指導者オマルの判断で、ムスリムの戒律「客人は優遇する」に従って拒否した。これが自衛権をおかすという理由づけで、アメリカに軍事行使をうながすことになった。

 戦闘は瞬く間に終わり、タリバンのかわりに亡命先からカルザイを帰国させ傀儡政権を作った。米軍と有志国軍がアフガン山岳地帯などしらみつぶしにウサマビンラディンとオマルを探したがでてこなかった。もうアフガン国内にはいないと見るべきだ。

 国境を越えたパキスタン側にいるとされているが、パキスタンはアメリカの同盟国で勝手に軍隊を越境させることができない。そこで無人機などを飛ばして隠れ家らしいところを爆撃しているが、効果がなく、多くの民間人を犠牲にしている。

 いまやパキスタンの反米感情は、アフガン以上になろうとしている。そのアフガンでは、タリバンがじわりと復活し、全国の7割がたを支配しているという。敵対していたカルザイでさえ、彼らと妥協をはかるしか安定は得られないと考えるようになっており、米軍の中にもそれを肯定する意見がある。

 アメリカにとって、「敵をかくまった者は敵」で、タリバンもテロリストも一緒にして区別していないかのようだ。たしかに彼らの中にはテロに走る者もいるだろう。しかし、タリバンの標的は戦争の相手である占領軍とその支援者で、世界や民衆を敵にしているわけではない。 

 米英がいう、治安悪化とはそのことを言うのであって、タリバンが民衆の支持を受けている限り、外国軍隊に対するレジスタンスは尽きそうにない。結局ベトナム化が避けられないということになる。ソ連は、1989年に軍隊を撤退させるまでの10年間で1万5000人の犠牲者をだした。当時の司令官は、「アメリカはこの教訓に学ぶべきだ」といっている(共同通信)。

 イラクでもブッシュは盛んに治安維持を言い続けた。そしてバグダッドなどの治安回復を自らの手柄にした。米国内にはそれでも引き揚げを不安視する向きが多かったが、オバマは公約を実現しようとしている。

 治安維持は、一義的に占領軍がするものでなく当該国にゆだねるべきものだ。異教徒である占領軍では、一時的に押さえつけても根本的解決にはならない。イラクも今後いかなる内紛が起きようと、それは自国の責任で解決すべきで、他国の軍事介入がいかに長期にわたり禍根を残すか、歴史が証明している。

 仮にアフガンで治安が回復したとしても、アメリカは「敵」に勝ったことにならない。するとこんどは、パキスタンを「敵」に軍隊を移動させなくてはならなくなるだろう。戦いの敵を見失った悲劇的運命がそこに待ち構えている。

 わが愛するオバマさん。アフガン増派よりもっと先にやることがあるでしょう。役に立たない日本政府のかわりに当塾から忠言します。

 【ワシントン大治朋子】ホルブルック米特別代表(アフガニスタン・パキスタン担当)は29日に会見し、治安の悪化が目立つアフガニスタン情勢について「アフガン軍や警察の増強が必要だ」と指摘、地元の治安部隊の一層の拡充が不可欠との考えを示した。

 現在、アフガンの治安部隊は国軍8万5000人、警察5万人の計13万5000人態勢。米メディアによると、アフガン駐留米軍のマクリスタル司令官は治安部隊を最終的に27万人に倍増することも検討している。(毎日新聞 2009年7月31日 東京朝刊)

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2009年7月30日 (木)

銅葺き四阿

 2009_07300002 市立公園の四阿(あづまや)は三代目である。同じ場所にあった初代は茅葺きで柱の土台は円い天然石だった。その柱が年を経てやや傾き、屋根もくずれかかっていたので「危険・立ち入り禁止」のロープが張られた。

 市はそれを廃棄、取り壊す計画をたてた。ところが市民の反対で柱を補強し、屋根も葺き替えられた。その屋根もわらがばらけだし、再び葺き替えの時期がやってきた。

 足場が組まれブルーシートの養生、取り払われてみると、三代目はなんと金ぴかの銅葺きで、柱はコンクリを張った土台に立っていた。さびを利かした庭師の仕事ではあるまい。

 アカ(銅)は貴重品である。あずまやの屋根にはつりあわない。しかし茅葺きの寿命、葺き替えの人工を考えるとこの方が安いのだろう。「なさけない」とは、このことをいう。

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2009年7月29日 (水)

参院選から2年

 2年前の今日、参院選の投票が行われた。それから安倍首相のレームダックが始まり秋には退陣、福田内閣も去年秋の退陣、そして来月末の総選挙を迎える。

 昨夜から、ネットへの接続が不能となり、接続業者、パソコンメーカーと電話サポートを受け最後は主張サービスを受けるなど、記事を作成する余裕がなかった。複合的原因らしいが、結局外付けモデムを換えてようやく復活、今回は過去記事の再録にする。

 手抜きながら、前回の「民主党・マニフェスト」と合わせると時の流れを実感できるので、これにてご勘弁のほどを。

●参院選直後

 参院選の結果、安倍自民党の凋落を喜んでいる向きは多いと思う。ご同慶の至りと言いたいところだが、わが委員会としては「護憲派の敗北」と評価せざるを得ない。その理由は、護憲を正面にかかげた社民党・共産党が改選議席を確保できず、9条ネットも泡沫扱いの票しかとれなかったことである。

 それに加えて、民主党(推薦を含む)は、わが委員会のカウントによると9条護持、集団的自衛権不可とするハト派議員39人を当選させた一方、安倍一派なみのタカ派議員9名が当選した。態度不明者も9名いるが、ハト派当選者は7割を切り、野党、そして公明党まで含め9条擁護派議員をふやしたことになっていないからである。

 自民惨敗に対する安倍退陣論が盛んである。しかし福島退陣論や志位退陣論を聞かない。長期低落傾向を選挙制度のせいにするのはもう聞き飽きた。わが委員会もたびたび警告を発してきた。しかるに国民が期待する左翼政党回生の処方箋は、なにひとつ描かれていない。

 護憲をいうが、問題は3つある。ひとつは自民改憲案を葬り去る政治戦略やプログラムが何も示されていないこと。2つめは非武装中立や自衛隊縮小をいうだけで、直面する脅威や安全保証に対して説得力ある説明がなされないこと。

 そして最後は、各ブログて盛んに提唱された護憲統一戦線が一顧だにされなかったことである。選挙区で、護憲票が割れて当選に達しなかった例は、幸いにして1、2を数えるだけだった。それほど社・共の得票がすくなかったということである。国民の護憲への願望に応えられなかったことは、犯罪的である、とさえいえる。

 しかし、われわれは叫び続けていかなければならない。もはや過去の政党の殻にとらわれてはいけない。1年以内に解散総選挙、政界再編があることは必至である。これまでの経緯から見て社・共がその主導権を担うのは無理である。民主・自民・公明の動きを注意深く追うとともに、国民的世論の形成をはかることが急務である。

●それから1年半年後 

衆議院立候補予定者アンケート結果
(毎日新聞2009/1/6,9,13)
・回答者=9割強にあたる790人・数字は複数回答、無回答をのぞく%。-は言及なし。

--------------------
★憲法9条
       【全体】【自民】【公明】【民主】【共社】
改正反対    55%  12%  63%  67% 100%
改正賛成    38%  83%  28%  19%  0%

★集団的自衛権行使を禁じた憲法解釈見直し
        【全体】【自民】【公明】【民主】【共社】
必要はない  60%    20% 88%  70%  -
見直すべき  33%  74%   -   -   -

★日本の安全を守るためにより重要なことは
         【全体】【自民】【公明】【民主】【共社】
近隣諸国と
の平和外交    39%      -   -  28% 100%
国連中心    10%       -   -  26%  - 
日米同盟    37%   6%    59%    19%  -
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 解散がだらだらと先送りされています。政界再編もあるようなないような中途半端な状態も続いていま す。その中でのアンケート調査なので、当塾にとって関心の深い調査であるにもかかわらず、なんとなく 緊張感に欠けます。

 ご覧の通り、数字は文章化した記事から拾っているので、空欄になっているところがあります。党別を 見ても、ま反対の意見が同居しているので、選挙民は自分の意見を代弁してくれる候補が誰なのかがわかりません。

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2009年7月28日 (火)

民主党・マニフェスト

不安な方向感覚
 7月27日発表された民主党の政権政策の感想を一口で言うとこういうことになる。ここでは「反戦塾」として、外交・安保を中心とするが、全体として腑に落ちない点もある。あげあしとりであるにしても、素人には素人の思考回路で考えることにしたい。

 まず、「国家戦略局」を新設するという。別にそれが悪いというわけではないが、政権を取ろうという政党なら、まっ先に掲げなければならないのが、国の向かう方向を示す「国家戦略」ではないか。あとで述べるが、外交・安保政策にはそれが欠け落ちている。

 次ぎに「歴史的転換」をいうが、それらはすべて「脱官僚」に集約されているように見える。「国家戦略局」新設を含む政策決定システムの改編から、不足財源の捻出まですべて「脱官僚」の大合唱である。これがなんとなく「郵政民営化反対勢力の一掃」の小泉選挙を思い出させてしまうのである。

 私は、基本的に官僚は政治家より政策にくわしく優秀であり、国民に対して公正公平な感覚を持っていると考えている。例えば、内閣法制局が打ち出した「集団的自衛権の権利はあるが行使は違憲」といった解釈を、自民党政治家が「不都合だから変えさせろ」といったようなことである。

 不正摘発や経済特権廃止は当然であるが、それを越えて官僚のやる気をなくするようなことまでやると日本の政治は成り立たなくなるし、結果として国民に被害を及ぼすようなことにもなる。さて本題の外交・安保政策である。

自民的改憲の否定
 マニフェストとは別建てだが、その文末に「国民の自由闊達な憲法論議を」と題して特記したものがある。その内容は目新しいものではないためか報道されていない。これこそまさに「国家戦略」の一部なので採録しておく。

「憲法とは公権力の行使を制限するために主権者が定める根本規範である」というのが近代立憲主義における憲法の定義です。決して一時の内閣が、その目指すべき社会像やみずからの重視する伝統・価値をうたったり、国民に道徳や義務を課すための規範ではありません。

民主党は、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」という現行憲法の原理は国民の確信によりしっかりと支えられていると考えており、これらを大切にしながら、真に立憲主義を確立し「憲法は国民とともにある」という観点から、現行憲法に足らざる点があれば補い、改めるべき点があれば改めることを国民の皆さんに責任を持って提案していきます。(以下略)

 鳩山代表は、中曽根康弘会長の「新憲法制定議員同盟」の顧問になっている。この会は、現行憲法の改正ではなく「新憲法制定」を名乗っている。引用の最後の部分を見てもわかるように自民党の狙いとは全く違うことを公約にしている。鳩山代表は首相になっても、当然これにしばられる。

ユニラテラリズムかマルチラテラリズムか
 外交は、各論の最後に持ってきている。民主党にとって最も足をすくわれかねない、それだけに重要な項目と言わなければならない。これまでの自民党外交、特に日米安保条約が冷戦後新ガイドラインで変質を来たし、ブッシュ政権の元で従属国化した小泉外交とどこが違うか、それを明らかにすることがまっ先に必要である。

 それには、アメリカのオバマ大統領がブッシュのとったユニラテラリズム(単独行動主義)に決別を告げ、マルチラテラリズム(多国間主義)に転換したことをどう受け止めるか、日本の外交に生かしていくかの観点が欠かせない。

 日本自体はそのどちらをとるのか、また、米国についてさえいればいいというバイラテラリズム(2国間主義)からの脱却は、すでに安倍内閣当時から始まっているがまだ深い影を残したまま残っている。しかし、今回のマニフェストは、その基本的な立場「国家戦略」を避け、懸案事項の網羅だけに終わっている。

 「緊密で対等な日米関係」「アジア外交の強化」「北朝鮮への厳しい態度」「世界平和と核廃絶」、これだけでは、民主党の基本戦略が見えないために自民党との違いが出てこないだろう。一部で言われている、日米地位協定改定を「着手」から「提起」に後退させたなどというのは、どうでもいいことだ。

自民党との違いはどこ?
 相手のある外交問題で、具体的な手順や落としどころなどいちいち明記する必要はない。かといって、項目のタイトルに「東アジア共同体の構築をめざし……」という画期的な戦略目標を書いておきながらその説明が本文中になかったり、東アジア非核化をいいながら、核の傘や日米密約問題に言及がなかったりする。

 また、同日付けで発表された「民主党政策INDEX2009」に「自衛権は、これまでの個別的・集団的といった概念上の論議に拘泥せず、専守防衛の原則に基づき、わが国の平和と安全を直接に脅かす急迫不正の侵害を受けた場合に限って、憲法9条にのっとって行使することとし、それ以外では武力を行使しません」としている。

 これについて、アメリカとの同盟関係をどう調整するのか、例えばブッシュのとった先制攻撃論などをはっきり拒否できるのかどうか、また、地位協定以外に基地問題や防衛予算、通常兵器削減(軍縮)への言及がないことにも不満を感じた。
 

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2009年7月26日 (日)

宇野重吉

2009_07260005  購読している新聞の日曜版をめくっていたら、なんとも懐かしい顔がぱっと目に入ってきた。別に知人ではなく、とりたててファンという程でもない。今から40数年前、たまたま富山行きの同じ飛行機に乗り合わせただけである。

 その時も別に言葉を交わしたわけではないが、なぜか道中のいろいろな光景が思い出されるのである。私の用件は、新聞記者とカメラマンをその頃建設中であった立山の室堂トンネル現場に案内することだった。宇野は単身で、羽田空港待合室の3人前ほどに並んでいた。服装は写真にあるような軽装である。ちょうど今どきの季節だったと思う。

 乗った飛行機は、フレンドシップというフランス製(多分)の高翼(胴体をつり下げるように上部に翼があり前方や下界の見晴らしがまことにいい)機で、ターボジェットエンジンのプロペラがついていたように思う。

 晴天の飛行日和だったが、飛行高度は1万㍍に達しない。上越国境あたりに入道雲が現れると直線コースをはずれて雲塊を迂回する飛び方だった。富山空港はできて間もないひなびた空港である。成願寺川河川敷(今回調べ直したら神通川だった)にあり、着陸態勢に入ると地面近くのすぐ横を大きな石塊が走り過ぎるのでびっくりした。

 着くと田舎の鉄道駅を思わせるターミナルの平屋根屋上に、10人前後の人が手を振って迎えに出ている。迎えを出すという話だったがいやに多いな、と思った。そう、宇野重吉のことはすっかり忘れていたのだ。ただそれだけの話だが、亡くなって21年たつという。

 その後お目にかかるのは、NHK大河ドラマの脇役とかメーデーの会場とかであったが、今の政治屋タレントとは月とすっぽん。新劇で鍛えられた深みのある演技とにじみ出る知性や行動力など、戦後を代表する演劇人だったと思う。

 なお、新聞記事の内容は同じ演劇人である奈良岡朋子の回想談話である。奈良岡とは仕事で短時間話したことがあるが、その中味は覚えていない。多分、TVアニメ「ムーミン」のナレーションのことなどだったかもしれない。 

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2009年7月24日 (金)

挙句の果て

 「麻生首相は解散の時期をのばしにのばし、地方首長選・都議選の敗北を見たあげくの果て、麻生おろしをかわしながら7月21日解散、8月30日総選挙でけりをつけた」

 なんとなく使うフレーズだが、「挙げ句の果て」も「鳧(け)りがつく」も連歌・俳諧からきた言葉だそうだ。ということは、『万葉集』にも「けり」がつく歌があるからその頃すでにあつた言葉だろうか。

 「挙句」は、百韻なら100句目、五十韻なら50句目、歌仙ならば36六句目がそれに当たり、その果てということだから最後の最後という意味になる。辞書ひくと、鳧とはカモのことである。しかしなぜこの字が使われるのかわからない。「けり」は、一首一句の終わりの助動詞としてよく使われる。

 麻生さんは、これまであまり聞いたことのない業界団体巡りなどを始めたそうだ。もうひとつ、和歌からきた言葉をあげておこう。「腰折れ」である。

 和歌の五七五七七の3句目の五音、これを「腰句」といい、4句目の七音にぴったり続かぬ場合、腰の折れた老人に似ているとして「腰折れ」という言い方ををする。

 そこで、麻生総理渾身の努力も「腰折れ」となり、あげくの果て

      麻生さん ○○○○○○○ ○○○けり

という句ができるのだろうか。

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2009年7月23日 (木)

米上院、F22追加生産反対

 そりゃあそうだろう。「F22はレーダーに探知されにくい高度なステルス機能を搭載しているが、1機あたり約1億4千万ドル(約130億円)と高価で、イラクやアフガニスタンにも派遣されていない」(7/22、朝日)。

 冷戦時代に構想されたソ連に対抗するための、いまや使い道のない戦闘機だ。オバマ大統領が計画済みの187機で打ち切りにしようと考えたのは、当然だ。それを日本の防衛筋は最新鋭次期戦闘機として欲しがっていた。

 一方、アメリカ議会は軍需産業の雇用と利益を守ることを優先し、下院はすでに12機の追加生産を決めていた。上院も、米上院軍事委のレビン委員長(民主)と筆頭委員のマケイン上院議員(共和)などが追加の案を持っていたが追加打ち切りにまわった。オバマの拒否権行使が想定されるからという。

 追加分には、当然日本向けが意識されている。米空軍は日本にお勧めしたくない。なぜならば「秘密がばれる心配がある」からだだという。日本向けに性能を落とした別仕様のものを売ったらどうだという案もあったらしい。

 ここまでなめられているのだ。上院は、大統領拒否権よりも、日本が民主党になったらそう簡単には買ってもらえなくなることに気づいたのではないか。この前の最新式戦車にしろ、平気(兵器)で無駄遣いするのはもうやめてもらいたい。

 オバマ大統領のように、「私は時代遅れで不必要な国防計画に納税者の金を無駄遣いする考えはない」(朝日)といいきれるトップに、早く日本も変わってほしい。そんな金があったら地震や洪水で生き埋めになった人を救える最新兵器を開発することだ。

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2009年7月21日 (火)

耳にたこ

 今日午後、待ちくたびれた解散だ。しかし総選挙まで最長期間をとることになった。これまた名付けて「待ちくたびれ選挙」。うんざりする国民の熱中症対策はなんだろう。

 やはり問題は、すっかり蔓延してしまった日本人の「支持政党なし」体質だ。今朝テレビのワイドショーで、東京3区の立候補予定者3人が立ち合い討論会の予行のようなことをやっていた。自民・民主・共産の3人だ。

 全部聞いていたわけではないが、「大企業本位の政策云々」、「官僚の……官僚が……」という言葉が速射砲のようにくり返し聞こえてきた。

 どの政党かはあえて言わない。大企業の社員や身内の人、企業城下町に住む人、大企業のおかげで成り立っている中小企業の人、製品を消費する人、みんな国民だ。地方を含め親身なサービスや公正公平を心がけるまじめな官僚、公務員に接する人にはいつも感謝の気持ちを持っている。

 そういった人々を非難中傷するわけでなくても、耳にたこができるほど言われると、「日本に大企業や官僚はない方がいい」というふうに聞こえてしまう。そうすると政党に対する嫌悪感が先立ち「支持政党なし」になってしまうのではないか。原因の何分の1かは、それにありそうな気がする。

 おそらく立ち止まってじっくり聞くことのない街頭演説でもそういった「逆効果」が出てくるだろう。暑い夏である。不快指数が高まったり、熱中症にならないようにするためにも、候補者にはご一考願いたいことだ。むしろ、クールで静かな選挙になった方が日本のためにいいのではないか。

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2009年7月20日 (月)

核の(やぶれ)傘

 アメリカの核の傘で北朝鮮の核攻撃から守られている、と思うおめでたい人が大勢いる。おそらく日本人の大部分と言ってもいいだろう。今のところ、やぶれ傘でどうにか間に合っているので「ない方がいい」とまでは言わないが、風の吹き方や傘の指し方によっては邪魔になる。

 この前、北朝鮮はテポドンを人工衛星だと言って日本上空を越え、数千キロ離れた太平洋上に打ち込んだ。日本政府は大騒ぎをして「爆破命令」をだした。もしコースをはずれて日本に落下するかも知れない、あるいは破片が飛んでくるかも知れないという口実だった。

 人工衛星やイージス艦の探査で、打ち上げ後直ちにコースがわかり、そのような危険物ではないことがわかる。弾道ミサイルだったとしても、もともとはアメリカを狙いとするものだ。日本を攻撃するならもっと安い1ランク下のノドンで充分。この前の大騒ぎは、アメリカ防衛のために日本が撃墜するMD(ミサイル防衛)システムの実地訓練だったとする説がある。

 一口で言えば、これは現在禁じられている「集団的自衛権行使」に当たる。つまり、北朝鮮の脅威を利用して、憲法解釈に風穴をあけるためのならし運転と思われても仕方がない。北朝鮮が彼らのいう「人工衛星」を打ち上げ、日本がそれを撃墜したら北の「自衛戦争のため」という口実が成り立つ。

 ただちに、200発はあるといわれるノドンを日本向けて打ちまくるだろう。「集団的自衛権」をいうのなら日本も立派な敵だ。核の傘のもとにある日本は果たして安全だろうか。アメリカはミサイル発射基地をピンポイント攻撃し、発射台は直ちに崩壊するだろう。しかし飛んでくるのは、そこからではなく、車台に積んだ移動式発射台や、山中の穴に隠した多数の発射台でいいノドンだ。

 これを沈黙させるまでに、日本は北の誘導技術不足なノドンの無差別爆撃で相当被害を受ける。その場合、なにも装着の難しい核弾頭でなくてもいいのだ。サリンのような生物・化学物質や放射能物質で充分。そこでアメリカの核の傘はどう働くのだろう。

 ありあまる核爆弾のじゅうたん爆撃?。それは絶対にない。死の灰は国境を越えて中国、ロシア、韓国を一瞬にして襲い、全面核戦争の誘因にもなりかねない。北の発射基地が国境に近いところにあるのは、それを意識しているからだとさえ思う。さらにアメリカは、原爆を日本で最初に使っただけでなく、2度目も使う不名誉を被ることになる。どこから見ても国益に反するのだ。

 結局、アメリカの核の傘はやぶれ傘というほかない。日米同盟はいいが、なにがあっても、ブッシュ流の先制攻撃だけはなしにしてほしい。イラクと違って、まっ先に被害を受けるのは、米軍が駐留する日本と韓国なのだ。また、すでに時効になったものは別として、非核3原則に密約があってもいい。何も抑止力となる軍事機密をさらけだす必要はない。

 さて、来月は選挙の年だ。防衛・外交方針で、「核の傘擁護論より、核軍縮(MDを含む)の推進」「単独主義的軍事行動より地域共同防衛の尊重」「憲法厳守・先制攻撃拒否」「日米同盟・地位協定、ガイドライン等の見直し、再検討」等を具体的に盛り込む党があるだろうか。

 ベルギーは、アメリカとの軍事同盟・NATOの一員でありながら、非核3原則に相当する議員立法の準備が進められている。同国内にはアメリカの戦術核兵器が配備されているが、成立すれば撤去を求めることになるだろう。また同じNATOのドイツ・フランスもイラク戦争でアメリカを支える有志国となることを拒否した。

 日本は、そこへ一歩でも近づきたい。アメリカはオバマの政策変更があるものの、中東・アフガンなど他の重要案件の見通しがつくまで日米関係に手をつけたくない心境であろう。民主党のマニフェストも将来を展望するには、どうやら不足のようだ。結局、政界再編で強力な指導者が出現するまで待たなければならないのだろうか。

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2009年7月19日 (日)

子供のための戦争の本

改訂増補版があります。こちらへどうぞ

 http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/post-874c.html

これは昨年8月にエントリーしたタイトルです。ここへヒットする検索が年間を通じて非常に多く、特に夏休みになるとそれが多くなるようです。“塾”にしては、不完全なものですが、毎日新聞記事などを参考に、前回分に加えてご紹介します。

①「日本児童文学者協会には「新しい戦争児童文学委員会」があって、さまざまな角度から、小学生・子供向けの戦争に関連する作品をとりまとめています。

 「おはなしのピースウオーク」は、公募作品と、あさのあつこさん・那須正幹さん・川北亮司さんら作家による短編や詩など40編6巻として08年1月に完結しました。また、女優の中嶋朋子さんらが朗読した8作品のCD(3枚組み)もあります。

 また、自治体によっては「こども図書館」などにそういった「特設コーナー」を設けているところがあると思いますので、照会されるといいと思います。

 本とCDの申し込み・問い合わせ先
  日本児童文学者協会電話番号
    03-3268-0691

②「子供の本・9条の会は昨春に設立され、▽「ちいさいモモちゃん」などで知られる作家の松谷みよ子さん▽「くまの子ウーフ」の神沢利子さん▽「おしいれのぼうけん」の古田足日さんらが代表をつとめています。

 このたび(09/7/15)、同会が企画した「9ゾウくん げんきかるた」¥1260が発売されました。読み札は大勢から寄せられたものの中から選び、絵札も絵本作家45に依頼しました。絵本のように楽しめるそうです。

かるたの問い合わせ
 ポプラ社
電話番号 03-3357-2212

コメントをいただいた方のご推薦です。
Kさんから――
こんにちは。私が子供のための反戦の本で思いつくのは、「かわいそうなぞう」です。
http://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=140

小2の時、小学館の「小学2年生」の読み物として、「ぞうのトンキー」というタイトルで、上野動物園で起こった実話が掲載されていたのですが、初めて読んで、涙が止まりませんでした。
「かわいそうなぞう」として単行本が出たのは、もう少し大きくなってからですが、思い出しても泣けてくるので、もう一度読めといわれても読めないかもしれませんが・・・。
でも、一度は親子で読んでほしい本です。

Tさんから――
私が子供の頃読んで感動したのは、
「ゼロ戦~坂井中尉の記録」という本でした。
勇敢に戦った日本の将兵の真実を子供に
教えることは非常に重要だと思います。

是非、「新しい戦争児童文学委員会」には
この本を加えて欲しいものです。

トラックバックをいただいた方からのご推薦です。
世界一美しいぼくの村 [虹色オリハルコン]

私達日本人は、アフガニスタンというと、どんなイメージを持つでしょうか。荒涼としたほこりっぽい茶色の大地。武装した兵士たち。テレビで見るアフガンは、そんな負のイメージしか、わきません。しかし、もともと、アフガニスタンは緑も多く作物もたくさん採れた豊かな国だったのです。度重なるクーデターや、旧ソ連の進攻などによって、国土は荒廃し、食糧事情も悪化。内戦は全土に広がっていました。 せかいいち うつくしい ぼくの村 この絵本は、息子が幼いころいっしょに読んだ本です。作者の小林豊さんは、戦火... [続きを読む]

ロバート・ウェストールの本3冊[虹色オリハルコン]

「猫の帰還」「海辺の王国」「弟の戦争」http://blog.goo.ne.jp/hanamiduki87/e/07a742d3bd6ae2cf0227edb7ee5944e6」 この3冊は上のリンクで飛んでいただくと本の内容、解説、表紙の写真などがご覧になれます。

国際的選書・ハロー・ディア・エネミー作品

 「ハロー・ディア・エネミー」は「こんにちは、敵さん」という意味で、ドイツのミュンヘン国際青少年図書館が選書した80作品です。

日本の作品
・「絵で読む 広島の原爆」(那須正幹文、西村繁男絵、福音館書店)
・「サニーのおねがい 地雷ではなく花をください」(柳瀬房子文、葉祥明絵、自由国民社)
・「二度と」(紙芝居、松井エイコ脚本・絵、童心社)など7作品

日本原作で海外で出版されたもの
・「伸ちゃんのさんりんしゃ」(米国)
・「かわいそうなぞう」(カナダ)

広島で被爆した少女サダコの物語(インド、オーストラリア)

海外の作品
・「ハロー・ディア・エネミー!」(インゲ・シュタイネケ絵、グードルン・パウゼバンク文、桑田冨三子訳、くもん出版)☆川をはさんで青軍と赤軍がにらみあっていた。軍服を脱いだ両軍の兵士が川で出会うと、誰が敵か分からない。

・バスラの図書館員(ジャネット・ウィンター絵・文、長田弘訳、晶文社)☆イラクの図書館員は戦火から本を守ろうと、3万冊を友人の家やレストランなどにこっそり移動させた。

・ちいさなへいたい(パウル・ヴェルレプト絵と文、野坂悦子訳、朔北社)☆ある日、戦争は始まり、ぼくは軍隊にかりだされた。仲間は次々に死に、ぼくは恐ろしい出来事をたくさん見た。

・ゆらゆらばしのうえで(はたこうしろう絵、きむらゆういち文、福音館書店)☆ウサギを追うキツネ。2匹ともシーソーのように揺れる橋に乗ってしまう。揺れる橋の上で2匹は力を合わせる。

巡回作品展については、次のページをご覧下さい。
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-1fab.html

お問い合わせ先
JBBY(日本国際児童図書評議会)事務局
(電話03・5228・0051、メールinfo@jbby.org

⑥近刊

・13歳からの平和教室(浅井基文、かもがわ出版¥1680)

こちら↓《更新版》もご覧下さい。

http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/post-874c.html

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2009年7月17日 (金)

道と路

 2009_07170003 ミチとミチ、両方あわせると「道路(ドーロ)」。昔、日本人がアメリカを訪問し「英語と日本語では何でも逆になる。英語のロードは日本語でドーロ」。ジョークのつもりで言ったことを、通訳が翻訳できなくて困ったという話がある。

 さて、この両方の漢字、「意味はどう違うんですか?」という小学生の質問に、先生、はたと困ったそうだ。「調べておくから待ってね」。しかし先生は「ごめんなさい。やっぱりわからないの」というしかないだろう。

 国語辞典、漢和辞典、字源いろいろ調べてもよくわからない。「字は違うけど意味は同じなの」では、小学生は納得しないだろう。そこで、独断と偏見で有名な「反戦塾」塾頭は考えてみた。大きなミチと小さな、ミチ。違う。ヒントは「道」の「シンニョウ偏」である。

 ふにゃふにゃと曲がってすう~とカーブを描く。これは「けもの道」だ。つまりA地点から目的地Bへ行く。大木があれば避け、ぬかるみは回り込み、長い間かけて自然にできたミチである。人間の道も太古はそうだっただろう。その名残を持つ道は今や減り続けている。

 奈良の都、京都の都は中国にならって、坊城を碁盤目の通路で刻んだ。都大路でありなんとか小路である。これは「道」ではない。つまり区画整理や耕地整理でできたのが「路」だ。都市化が進めば進むほど「路」が増える。

 そうだ、これにしよう。道→英語ではロード。路→英語ではストリート。漢字でいうと、街道(かいどう)と街路(がいろ)の差、いいかえれば自然発生的か人工的か、都市か田舎かの違いであると。

 世のご両親、先生方。けっしてまともに受けないで下さい。

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2009年7月16日 (木)

唯一の被爆国の責任

 オバマ米大統領は4月5日のプラハ演説で、「米国は核兵器を使用した唯一の核保有国として行動する道義的責任がある」と述べ、核廃絶への一歩を踏み出す宣言を世界に向けて行いました。日本は唯一の被爆国としてどう行動する責任があるのでしょうか。

 来月は、いつものように「原爆忌」がやってきます。オバマ演説後はじめての原爆忌です。例年以上に世界の耳目が広島・長崎に集まるでしょう。本来なら「唯一の被爆国の責任」を国として高らかに宣言し、アメリカの政策を後押しするまたとない機会です。

 それにつけても、これまでのように「原爆反対!」「核実験反対!」だけでいいのでしょうか。もちろんその看板は掲げ続けなければなりません。オバマ大統領も目標への道のりは非常に遠く、生きているうちに達成できるかどうかわからない、といっています。

 しかし、その一歩を踏み出す覚悟を示したのです。日本はそれを2歩、3歩前に進める役割を担わなければなりません。それなのに、日本は(ミゾウユウの)政権党大混乱。総理が出席するとなれば、今日明日にでも総理が辞職表明して28日までに総裁選と国会の次期首班指名をしない限り、麻生さんでしょう。

 それでも、先が見えているよれよれ総理です。とてもオバマさんのような格調高い演説は期待すべくもありません。仮に言えるとすれば、「日本の「非核三原則」やNPT(核拡散防止条約)などの国際条約の完全実施に向けて先頭に立つ」ぐらいのことでしょうか。

 もちろん口先だけのことでは意味がありません。1960年の日米安保条約改定時に両政府が結んだ日本への「核持ち込み」の密約が存在しないなど、今どき誰も信ずる人はいません。与党にいる河野太郎衆院外務委員長でさえ、政府の方針に反し密約存在決議をする、といっています。

 ここらを手始めに日米同盟の見直しから始めることです。それから、すでに存在する東南アジア非核地帯条約、中央アジア非各地帯条約に東アジア・南アジアを加え、アジア非核地帯を目指すなど意欲的な方向づけが必要です。

 そこまでの決意を示せば、東国原効果などをねらうよりよぼと自民党の起死回生につながったでしょう。もっともそれほどの指導力があればこうならなかったわけで、民主党がマニフェストに載せることぐらいは、期待したいと思います。

 さきほど、核持ち込み密約のことに触れました。現在はないにしても、これまでは日常的に持ち込まれていたかも知れない、というのが現実です。これからも「核の傘」を期待している限り、そういった現実を無視することはできません。

 このブログでは、核兵器開発の直前まで研究はしておくべきだという「寸止め論」に触れたことがあります。これはなんと、非核3原則を掲げた佐藤内閣時代の1968年に「外交政策委員会」という非公式な研究会が「わが国の外交政策大綱」という中で述べていたことでした。

 内容は「当面核兵器は保有しない政策はとるが、核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャル(能力)は常に保持するとともに、これに対する掣肘(せいちゅう)を受けないよう配慮する」というもので、極秘扱いでした。

 「怪しからん!!」などといわないでください。これも当時の国際関係の現実の中から生まれたものです。また、日本は原子力発電所から出るプルトニュウムが、すでに組成核爆弾5000発分をこえ、さらに増え続けています。これは世界5指に入る核大国です。核被爆国として被害者ぶる時代ではなくなりました。

 これを安全に処理する合理的な方法はまだ開発されていないにもかかわらず、国民は1次エネルギーの10数%を原子力に頼っています。いいたいことは、本当に核兵器廃絶や原子力エネルギー依存から抜け出すためには、まず現実に向き合いそこから一歩ずつ解決方法を探っていかなければならないということです。

 極秘扱いや密約などをなくし、そのような現実に向き合う意識転換ができれば、日本もオバマチェンジにおとらぬ「国際社会で名誉ある地位を得る」ことが可能になります。だけど、やはり「真夏の夜の夢」でしょうか。shock

 

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2009年7月15日 (水)

中国に必要なのは党改革

 国内政局の大波乱のなかで、中国ウイグル自治区騒乱関係など海外ニュースは、すっかり影をひそめてしまった感じだ。チベットで動乱のあった時は、即刻「無視」したという2チャンネルその他の連鎖反応が当ブログなどにあって、膨大なアクセス書き込みが殺到し、いわゆる「炎上」の様相を呈したことがある。

 今回は、そういったことが全くなく、いわゆる「ネットウヨ」の方が「無視」しているようにも見える。それはともかく、さみだれ的、断片的に続く続報や関連記事で、報道管制があったとしてもだんだん中国の実態に近いものが浮かんできたように見える。

 胡錦濤国家主席は、イタリアのサミットを中座して急遽帰国した。中国にとってそれほど緊急を要する大問題であったことがわかる。ウイグル騒動については、そもそもの発端が広東省の玩具工場での集団就業者と漢族従業員との抗争だという。また、政権筋からはウイグル人亡命者による海外からの扇動だという宣伝もある。どっちに比重がかかるのだろう。

 中には操作されたものもあるだろうが、そういった複数の各種情報が交錯する中で徐々に真相が見えて来るものだ。それらを総合すると、イスラム原理組織の独立運動などというのとはちょっと違うな、という気がするし、一部があおるような少数民族の差別・弾圧政策でもないように思う。

 これに関連して、前記事、「治安と経済」では貧困と治安について述べたが、改革政策による都市と地方の経済格差、宗教・民族・言語などから生ずる格差、そういったことが暴発の根にあることは間違いなさそうだ。

 さらに、地方の権力基盤がすべて官僚的・独裁的共産党員で支配され、不公平や腐敗に対するチェックが利かなくなっていることが加わる――というより、それが主因かも知れない。これは、この1、2年各地で頻発している官憲の不正に対する抗議のデモや衝突の多さと、それがほぼ全国的に及んでいる事実の方に注目すべきだ。例の「毒餃子事件」なども、捜査がいいところまで行っていそうで肝心なところでストップしてしまう。これなども法令を上回る“権力の壁”に邪魔されているのではないかと思えて仕方ない。

 中国の長い歴史は革命でいろどられる。そのほとんどは、地方から起きた貧民の蜂起が巨大王朝を転覆させる構図になっている。現在国を支配している共産党幹部かそれを知らないわけがない。したがって、反乱の組織化や指導者を厳重に監視することを対策の第一とする。 

 日本と同じで、最高決議機関の国会にあたる「全人大」があり、中央・地方に行政や司法を受け持つ官僚組織、システムが存在する。一方で、それに平行する形で共産党大会や、共産党の組織があって上層部は、ほとんど共産党員が兼務する形になっている。表面上はともかく、実態は共産党一党独裁体制が堅持されていることになる。

 その根本は、中国憲法前文にある党の優位性である。「中国共産党は、労働者・農民の党である 中国の各民族人民は引き続き中国共産党の領導の下」におかれているのである。私は、ここに大きな矛盾を感じざるを得ない。

 日本と違って憲法はたびたび変えられる。ただ前文で見られるように共産主義革命の歴史や毛沢東をはじめ有力指導者の政治理念がつぎつぎに引き継がれるような形になっており、これで権力の正当性を維持・担保している。したがって、前段の「党の領導」は根本的なこととして手をつけずにいる。

 毛沢東などが農民・労働者を指導教育し、人民解放軍を組織して革命を達成させた。それが今日の中国のはじまりである。労働者・農民は党の主体であると同時に、指導される客体でもあったのである。それが革命後60年もたった今でもそのまま変わらず残されている。

 現在の幹部も、胡錦濤国家主席以下すべてそういった地位、体験を経てきた党のエリート達である。末端の疲弊、腐敗を知っていても、党の生命維持装置をこわさずにどうやって手術、改善をはかるかるのか、手を付けかねているのではなかろうか。

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2009年7月14日 (火)

都議選と公明・共産

 都議選結果の感想で、昨日の続きである。民主党の躍進は言い尽くされているので他の党を見る。目立つのが23人の全員当選を果たした公明党の善戦と、13人を8人に減らした共産党の惨敗である。この2党は片や護憲、片や平和指向の党として当塾にとって目の離せない存在なのである。

 ところが両党の得票を見ると意外なことに全く逆転する。以下の数字は複数のところから取っており未確認。( )は前回。
     
 公明 743,472(786,292)-42,820 
 共産 707,602(680,200)+27,402 

 まず、得票数そのものは23人と8人という差がでるほど大きな差はない。共産党はほとんどの選挙区に候補者を出し死票が多く、公明党候補のいない選挙区は自民党に票がまわって、数字に出てこないからとも考えられるが、党の固定票の目安となる前回参院比例区の得票が参考になる。

 公明 718,202
 共産 554,601

 つまり、公明の得票数は70万台で安定?しており、今回のように投票率が高まった時に得票数を減らしているのは、政権交代の前哨戦をうたった民主党に票が流れたと可能性のある共産から見ると公明の退潮傾向がはっきりしたのではないか。

 仮に私が東京都民だったらこういう投票行動をとっただろう。前回都議選は、石原知事与党には意地でも入れたくないので共産党に一票。今回は、総選挙を前にせっかく民主党に勢いがついてきたところへ水を差したくなかったので民主候補に一票。

 参院選比例区の55、6万票が共産党の固定票ならば、共産党大躍進という今回の得票数で、『蟹工船』ブームで党員数が増えているというのは本当なのであろう。勝ったのに深刻な顔が去らない太田さんと、くやしそうだがにこにこしている志位さんの差にそれが現れている。

 食らいついたら放さない、つまり「真善美」の「真」のかわりに「利」を置き、「美利善」とする確実な実利に執着する創価学会的政治手法は、選挙戦術でも生かされており、共産・社民ともに参考にしてほしいものだ。ただ、去年の夏、福田首相を見切り、麻生みこしを担いだ頃からそれらが立て続けに裏目となって現れ、太田さんの浮かない顔になったのだろう。 

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2009年7月13日 (月)

都議選と国政

・誰が首相にふさわしいか
 麻生太郎23% 小泉純一郎7% 小沢一郎7%
 小池百合子4% 石原伸晃4% 与謝野馨1%
 石破茂1%
 (国会議員以外)
 石原慎太郎23人 東国原英夫8人 北野武5人
 橋下徹3人

 この調査は、去年9月はじめ福田首相が政権を投げだして間もない頃のものである。毎日新聞が電話番号を無作為抽出するのではなく、全国300の地点を選んでそこで面接という方法を取って調べた。おそらく、よくTVでやっている設問の一覧表にシールを貼らせるのに似たやりかただろう。サンプルは2563人となっている。

 その後、麻生氏は総裁選で総理の座を射止め、小泉氏が引退を声明、小沢氏が民主党代表を辞任した。それ以外、現在でもこの顔ぶれはあまり代わりそうにない。小沢一郎の代わりに鳩山由紀夫、強いてあげれば、桝添厚労相、民主党・長妻氏が加わる程度か。

 選挙結果は、麻生太郎、石原慎太郎といった国政、都政トップの顔を繰り出し、石原伸晃、小池百合子など人気者をでてこ入れしたものの、与党は過半数を割った。東国原現象も自民党には逆効果だった。人気俳優で劇場型選挙をやっても通用しない時代になったのだろうか。反面、政策が選択肢になったとは到底思われず、先を占うことはまだ無理だ。

 その中で、投票率が跳ね上がったことだけは期待が持てる。顔ではなくすくなくとも政党を選ぶ選挙になったのだ。この現象は総選挙でもそのまま続くだろう。すこしでも進歩に向かっているのであれは、この一年、低次元の政治が続いただけにすなおに喜びたい。

 最後に10数年ほど前、定年退職後墨田区で町会役員をつとめ、今は故人となった先輩のぼやきを紹介しておこう。

 都区議会選挙といってもこのあたりでは、政策で投票する人などいない。いつも当選する人は、決まっている。その人はお祭りを取り仕切ったり、寄付を集めたりひごろ愛想よく近所づきあいがいい。政治信条などないも同然、あってもはなはだお粗末だ。

 酒がでる会に呼ばれることもあるが、まるで親分子分固めの盃だ。同席していた人と銭湯で会ったら入れ墨のある人だった。若い人でちゃんとした考えを持っているひともいるが、そういう人はそもそも選挙に行かない。

 それよりは、多分ましになったのであろう。

  

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2009年7月11日 (土)

張鼓峰事件

 今日7月11日は71年前(昭和13年)、張鼓峰事件の発端となった日である。日中戦争のさなかのできごとで、現在ほ、とんど認識されていないと言ってもいいだろう。しかし、その後の戦争処理や太平洋戦争勃発、敗戦に教訓が生かせなかった意味は大きい。

 張鼓峰は、中国(当時満州国)、北朝鮮(当時日本)、ロシア(当時ソ連)の沿海州が接するあたりにあり、国境が一部不明確なところがあった。そこへ約40名のソ連兵が進出し、衝突がはじまったのである。

 参謀本部は、1個師団に限りこれに一撃を加え、局地戦でソ連軍を威嚇する作戦をたてた。この方針は、宇垣外相・湯浅内大臣、そして天皇の反対でいったんは中止された。ところが朝鮮の現地師団長・尾高亀蔵中将は、対ソ一撃を望んでおり、近隣の別の場所にソ連兵が進出したという理由で31日未明、独断で攻撃を開始した。

 あきらかに命令違反である。しかし天皇は、これ以上積極攻撃をしないようにという注意にとどめ、処罰はしなかった。しかしソ連は反撃してきた。8月に入って戦車・重砲など機械化部隊に支援された2個師団を加え、日本はたちまち苦戦におちいった。

 その後の外交交渉で11日に停戦協定が成立したが、戦死526人、負傷941人、死傷率21%という損害を受けた。しかし相手側の損害も大きく、陸軍は限定戦争で効果をあげたとし、この事件の反省はなかった。

 一方、ソ連はこの事件に教訓を得てさらに軍備を増強させ、のちのノモンハン事件で関東軍を完敗させている。なお、日本軍の悲惨な結末を招いたインパール作戦で、インド奥地からの撤退作戦に従わなかった佐藤孝徳師団長は、この時の歩兵第75連隊長であった。

 この事件は、革命後初のソ連軍との大規模軍事衝突であったということ、関東軍がこの時点でも統帥者天皇の命を軽んじ、また天皇にもこれを是正する力がなかったこと、科学的判断より精神論を重視したことなど、のちの日本の運命を象徴的に示した事件であった。

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2009年7月10日 (金)

首脳会議核軍縮声明と年表

 09年7月9日、イタリアのラクイラで開かれた拡大G8サミット(G8、EU、中国、インド、ブラジル、メキシコ、南アフリカ)は、共同宣言を採択した。その核軍縮に関連する部分と、核軍縮関係の年表を以下に採録し、カテゴリ「データ・資料」の一環に加える(太字は管理人、末尾に解説を記載)。

核不拡散要旨(毎日新聞による)
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 ■総論・大量破壊兵器とその運搬手段の拡散が世界的な課題で、国際安全保障への重大な脅威であり続けていることを認識。核拡散防止条約(NPT)、化学兵器禁止条約(CWC)などに未加盟のすべての国に対し、遅滞なく条約に加入するよう求める。

 ■NPT・NPT体制が2010年運用検討会議により強化されるようともに取り組む。

 ■CTBT・核実験全面禁止条約(CTBT)早期発効及び普遍化に向けた努力を強化する。

 ■核軍縮・核兵器のない世界に向けた状況を作ることを約束する。
・戦略核弾頭数を削減するとした7月6日の米露首脳の合意を歓迎する。

 ■FMCT・兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT、カットオフ条約)の交渉早期開始を強く支持する。

 ■北朝鮮・5月の核実験や4月の弾道ミサイル発射を最も強い表現で非難。6カ国協議への早期復帰を含め、対話と協力を要請。すべての核兵器及び既存の核計画の放棄を含め、05年9月19日の共同声明の完全実施の重要性を強調する。
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核兵器関連年表(---内は川崎哲『核拡散』による)
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1945.7 米国がアラモゴルドにて世界最初の核実験
   8 広島・長崎に原爆投下
 49.8 ソ連が最初の核実験
 52.10 英国が最初の核実験
   11 米国が最初の水爆実験
 53.8 ソ連が最初の水爆実験
 54.3 米国がビキニ環礁で水爆実験(第五福竜丸が被爆)
 60.2 フランスが最初の核実験
 62.10 キューバ危機
 63.8 部分的核実験禁止条約(PTBT)採択
 64.10 中国が最初の核実験
 67.2 ラテンアメリカ非核地帯条約署名
 68.7 核拡散防止条約(NPT)署名
 72.5 米ソ、第一次戦略兵器制限条約(SALTⅠ)署名
     弾道ミサイル制限条約(ABM条約)署名
 74.5 インドが地下核実験
 79.6 米ソ、SALTⅡ署名
 85.8 南太平洋非核地帯条約署名
 87.12 米ソ、中距離核戦力(INF)全廃条約署名
 89.12 米ソ首脳会議(マルタ)で冷戦終結宣言
 91.1 湾岸戦争
   7 米ソ、第一次戦略兵器削減条約(STALTⅠ)署名
   12 ソ連崩壊
 92.1 朝鮮半島非核化共同宣言署名
 93.1 米ソ、STALTⅡ署名(発効せず) 
 94.10 米朝枠組み合意
 95.5 NTP無期限延長決定
 96.4 アフリカ非核地帯条約署名
   7 核兵器使用を違法とするICJ勧告的意見
   9 包括的核実験禁止条約(CTBT)署名開始
 97.3 米ロ、STALTⅢ枠組み合意
   5 IAEAモデル追加議定書採択
 98.5 インドが地下核実験、つづいてパキスタンも
   6 新アジェンダ連合発足
 99.10 米国上院、CTBT批准否決
2000.4 第6回NTP再検討会議
 01.9 米国同時多発テロ事件
   12 米国、ABM条約脱退通告
 02.1 米国務省、「核態勢見直し(NPR)」報告文を公表
    米大統領、北朝鮮、イラン、イラクを「悪の枢軸」と批判
   5 米ロ、モスクワ条約署名
   9 日朝平壌宣言
    米大統領、先制攻撃を明記した「国家安全保障戦略」発表
  12 米大統領、「大量破壊兵器と戦う国家戦略」発表
 03.1 北朝鮮、NPT脱退宣言
   3 イラク戦争
   8 北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議
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 05.9 6カ国協議による北朝鮮、核放棄に関する共同声明
   7 北朝鮮、ミサイル発射に対して安保理非難決議
 06.10 北朝鮮、最初の核実験
 07.4 オバマ米大統領候補、核廃絶公約宣言
  09.4 オバマ米大統領、核廃絶に向けたプラハ演説
   7 米ロ首脳、第一次戦略兵器削減条約(STALTⅠ)に代わる新条約で、戦略核弾頭を1500~1675個に削減することに合意
   7 イタリア・ラクイラ拡大サミットで核軍縮に向けた共同宣言
 09.12 START1、失効
 10.4 米、核不拡散を順守する非核保有国に核兵器を使用しない「消極的安全保証」=核態勢見直し(NPR)を発表
 10.4 米露、新核軍縮条約(新STALT)調印→1550個
 10.5 NPT再検討会議開催、米保有核弾頭5113発と発表。過去20年間で75%削減
     
  

用語解説

戦略核
運搬手段→大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、重爆撃機
戦術核
運搬手段→戦術・戦域弾道ミサイル(TBM)、中距離ミサイル(IRBM)

核拡散防止条約NPT)】核拡散および核軍縮の基盤となる枠組み提供。68年署名開始70年発効。米、ロ、仏、英、中を核兵器国、残りの加盟国を非核兵器国とし、核不拡散と核軍縮のため双方が果たすべき義務を定めている。核を保有していて未加入の国は、インド、パキスタン、イスラエルの3国、北朝鮮は脱退した。核兵器国には核軍縮推進を義務づけ、非核兵器国には核の平和利用権利を認めた。

化学兵器禁止条約CWC)】
核実験全面禁止条約CTBT)】
兵器用核分裂性物質生産禁止条約FMCT、カットオフ条約)】

弾道ミサイル制限条約ABM条約)】弾道ミサイル防衛システムの否定
第一次戦略兵器削減条約STALTⅠ)】戦略核弾頭の上限数、米露で6000
非同盟運動NAM)】核兵器国に対して核軍縮を求めてきた中心的勢力。マレーシア、インドネシア、南アフリカなど133カ国

新アジェンダ連合】軍縮に中核となって行動を起こす中堅国家グループ。ブラジル、エジプト、アイルランド、メキシコ、ニュージーランド、南アフリカ、スウェーデンの7カ国
国際原子力機関IAEA)】原子力の平和利用を促進し、軍事転用されないための保障措置の実施をする国連傘下の機関。本部の所在地はオーストリアのウィーン

国際安全保障研究所ISIS)】ワシントンにある民間の研究所
国連監視検証査察委員会UNMOVIC)】イラクでは大量破壊兵器査察をおこなった
核態勢見直しNPR)】米核戦略指針、ブッシュ・ジュニアー時代に核の使用や実験(地中貫通型など)を見直す動きが表面化した。10年4月の発表では、核兵器非保有国への使用はしないとしたが、先制攻撃否定はしなかった。

モスクワ条約】米・ロ、戦略核弾頭数1700~2200個(STALTⅠは6000個以下)
新核軍縮条約】米・ロ、戦略核弾頭数7年以内に1550に制限、有効期間10年、米上院とロシア国会の批准が必要。

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2009年7月 9日 (木)

矮小化される「尼崎脱線」

 05年4月25日、JR西日本福知山線で通勤電車が脱線、ビルに衝突して106人の死者を出した。このブログの前身「反戦老年委員会」をスタートさせて10日目のことである。報道される現場写真は、過去に見たことのない過激かつ悲惨な様相をあらわにしていた。

 今日の各紙は、神戸地裁が事故当時子会社の社長だった現社長が、過去安全対策を担当する同社役員をつとめており、ATS(自動列車停止装置)を現場に付けなかった過失があるとして、過失致死傷罪で在宅起訴したことを伝えている。

 この法的措置に、なにか違和感があるのことを各紙が伝えているが私にもそれがある。そこで、当時のエントリーを確認の意味でCDから取り出してみた。今見ると、記事というより1日1題の短い断片感想文ブログで、2日連続してとりあげている(楽だったなあ(^^))。

005-04-27
職人肌
 職人肌の電車運転士は、ブレーキのショックを感じさせず停止位置の標識どおりにピタッと止める。また腕の立つ職人は、決して同業仲間の悪口をいわなかった。トラックやハイヤーの運転手の職業意識も高かった。「土日は、素人の運転が多いので事故がこわい」といっていたのが、昨今の事故はプロが運転する大型車両ばかり目立つ。

 失われた十年で、こういった職人気質も薄れてしまった。技能労働者の自信とプライドを奪い去ろうとする怪物、それは郵政民営化の中にもすんでいそうな気がする。

2005-04-28
労働組合
 昨日に続きJR西日本の大事故関連。

 労組の委員長がテレビで発言した。「運転士の日勤教育、これは刑務所ですよ、拷問ですよ」。同僚に自殺者を出し裁判沙汰にまでなっているのに、よくぬけぬけといったものだ。

 どうして「乗客の安全、組合員の人権と命をまもるため、ストをかけてでも戦います」といえないのか。こういうセンスも職人気質同様、最近はとんとお目にかからない。インタビュアーの質問もなかった。電車だけでなく世間のバランス感覚も崩れている。

 自分でいうのも気がひけるが、今日の世情からみて的を射た指摘だったと思う。国鉄分割民営化→労組弱体化→小泉改革→競争社会=いわゆる新自由主義が事故原因の背景となっていたことは否めない。しかし、これで国の責任や会社の利益優先労務軽視対策は不問にされる。

 主要各紙は、読売をのぞいて社説を掲げているが、会社の体質を糾弾するだけで国の政策がこのような企業体質を産んだ責任まで言及した社説は一社もなかった。ただ、産経だけが「幹部の過失責任だけではなく、なぜあのような大惨事が起きたかについても真相を究明してほしい」ということを結語に持ってきている。

 この点、珍しく当ブログと同じである。ただし、おそらく当ブログとは別なことを指しているのであろう。

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2009年7月 8日 (水)

IAEAと日本

 国際原子力機関(IAEA)の次期事務局長に、在ウィーン国際機関日本政府代表部の天野之弥(ゆきや)大使が当選した。「日本は唯一の原子力爆弾による被災国である。よって、非核三原則の貫徹はもとより、原子力発電による事故や廃棄物処理などを考えると、日本は核問題から身をひくべきなのに原子力国際機関のトップに人を送るとはゆゆしい問題……」と考える人はさすがにいないだろう。

 しかしそれに心情的には近い人が多いのではないだろうか。たしかに、アメリカの核の傘に関連して、核兵器を積んだ軍艦の日本寄港や海峡の通過などに日米密約があることを政府がいまだに隠していたり、原発立地や廃棄物処理など核についての不安要素が山ほどある。

 その主因は、日本人の「核アレギー」に対する当局の「過剰反応」にあると思われる。俗にいうと「反対運動がうるさいので秘密にしておこう」という発想が、双方の不信感をさらに増幅し、ぎくしゃしゃくした関係を生んでしまったということであろう。

 その結果、核・ミサイル兵器に対する正しい知識なしに、北朝鮮の脅威だけが先行したり、逆に核の傘を信頼しすぎたりする。また、現存する原発や増加し続けるプルトニウムの合理的処理についての議論や対策が進まず、方向感覚を失ったままだ。実は、これが一番こわいことである。

 議論といっても誰にでもできることではない。専門的な知識を持つ科学者の協力がどうしても必要だ。それでなくても技術者不足、理科系教育の不振がいわれているおり、原子力関係に進む人材が払底するとなれば、明らかに国益を損ずることになる。

 その意味からも、天野氏がIAEA事務局長として世界で活躍するというのは、最近にない朗報だ。核軍縮も基本線で米・ロ大統領の一致があり、これからの進展が期待される。核拡散防止でもIAEAの存在価値が高まり、脚光を浴びることになるだろう。

 当塾は、以前から核に関する(兵器を含む)研究・議論を高めるよう主張していた。それが、たとえ自民党の前・中川外相の意見であろうと、久間元・防衛庁長官の発言であろうとその限りにおいては反対ではなかった。

 天野氏の就任で、国際機関への関心が高まり、専門分野を目指す若者の数がふえ、同時に国内での核論議がアレルギーの免疫を得ることになるかも知れない。その結果、日本の軍縮主導や安全なエネルギー確保に議論が向かうという、建設的な効果を生むことができればその意義ははかりしれないものがある。

 国際機関に身を置くということは、国家公務員ではなく国際公務員になるということである。世界の信頼を得るためには、特定の国の利益を代表してはならない。政府にしろ国民にしろ、天野氏の足を引っぱるようなことだけは避けなければならないだろう。

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2009年7月 7日 (火)

治安と経済

 戦後、想い出の一こまである。おそらく終戦の翌年、昭和21年か22年はじめの頃だろう。学校で全校生徒を講堂に集め、民主主義教育の一環として公開討論会が開かれた。議題は「治安維持と経済安定のどちらを優先するか」だったと思う。

 なぜこんなことを思い出したかというと、中国ウイグル自治区大騒乱のニュースである。その前、イランの大統領選挙をめぐる大規模デモ、さらに中米・ホンジュラス、さかのぼってタイなどさまざまな大衆行動や治安の悪化が続発しているが、起因はそれぞれ異なるものの、いずれも背景に経済格差の問題があることである。

 個別に論ずれば長くなるのでここでは省略するが、全体についてのべると、各国はそれぞれの立場から干渉したい理由があっても、基本的には自国民のことは自国民の間で解決すべきで、たとえ虐殺が起きようが、外交交渉を越える手出しは無用であり自制しなければならない。

 それは、アメリカがしばしばやってきたような、支持勢力とか国に対する武器援助についても同様である。それをしたために、アメリカがどれだけ恨みを買い信用を落とし、また自国民の命と財産を損なってきたかはかり知れないものがある。

 また中国については、嫌中陣営からチベット問題とウイグル問題を一緒にして考える傾向が出てくるだろうが、独立の要求や歴史的経緯、国際的な宗教の位置づけなどに根本的な違いがあることと、漢民族間でさえ存在する農村と都市の格差拡大など、国内問題として解決すべき複雑な問題を見逃して議論すべきではない。

 また、イランのラフサンジャニ現大統領、ホンジュラスで国外追放されたセラヤ大統領、同じく国に帰れないタイのタクシン元首相など、地方貧困層への予算ばらまきで選挙の獲得数を増やし、都市住民や中間層の反感を買ったことがデモや混乱を招いた。民主主義とはいっても、一種の衆愚政治が招いたもので、成り行きが注目される。

 さて最初の話に戻ろう。戦後の混乱期、治安は相対的に平穏な状態が保てたとはいうものの、ストの頻発やヤミ取引をめぐるトラブルなどで、一種の無政府状態のような不安があったことはまちがいない。また、先の見えないインフレ昂進は生活破綻直前にまで来ている。すなわち「泣く子も黙る」といわれる超法規的な権限を持つ「経済安定本部(安本=あんぽん)」が組織された頃である。

 そこで校内討論会となる。まずディベートで経済安定優先を受け持った生徒の発言。「それは経済が安定すれば治安もよくなる。経済優先に決まっている。その証拠に“経済安定本部”というのが組織された。安本は何のためにある!」 

 すかさずヤジあり。A「警察は何のためある!」(爆笑・拍手)。会が終わって生徒一同教室に戻る途中、狭い階段で人があふれて大混乱。もまれながら、B「警察は何のためある!」(爆笑)。AかBのいずれか私のようだ。政治を議論するのもヤジを飛ばすのも生まれてはじめての民主主義体験。何でも新鮮で楽しい時代だった。ただそれだけの話である。

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2009年7月 3日 (金)

にほん、にっぽん

 すこし旧聞になるが6月30日、民主党の岩國哲人衆議院議員が提出した「日本」の読み方についての質問書に、「どちらでもよろしい」という答弁書を閣議決定したという報道があった。その質問の一項に1970年の佐藤内閣時代に「にっぽん」に統一したということをあげたことに対し、「そのような閣議決定はない」むねの回答をしている。

 このテーマについて、過去2、3度このブログで取りあげたことがあり、「にっぽん」への統一が取りざたされるのは、1934年(昭和9)国際連盟を脱退して国威発揚に専念した頃、1970年、安保条約を定着させ万博ブームを演出した頃、そして最近では日韓ワールドカップサッカーの共催でニッポン・コールに湧いた年、などと書いている。

 その中で、政府が正式に関与したのは1970年、佐藤内閣の時だとばかり思っていたら、それを真正面から否定されたのだから驚いた。この事は、「7月14日」と日付まで入れて明記した有力出版社の年表があるほか、ネットで調べてもWikipediaなどに多くの記述がある。

 ということは、全く誤まった認識ではなかったはずなのだ。それにもかかわらず、マスコミは今回の回答書をただそのまま報道しただけで、そこらの矛盾を調査したあとが見えない。わたしの書いたブログが誤記だったら、訂正してお詫びしなければならない場面だ。

 たまたまこれについて、教科書を出版している東京書籍のHPを発見、その質疑応答欄で見ると、佐藤首相の意見があったものの、「にほん」もまちがいではないというようなあいまいな結論になって、結局正式な閣議決定に至らなかったらしい。

 マスコミは軽く考えたかも知れないが、やはり歴史の一こまになる事がらである。けっしてうやむやにすませてはならない。普段はなにひとつ評価することのない自公政権だが、今回の「どちらも正しい」の閣議決定は、日本文化をまもるうえで大賛成である。

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2009年7月 2日 (木)

ヒトラーの宣伝と戦争

 戦争はなぜ起こるのだろう、日本が戦争にまき込まれることはあるのか、それを防ぐにはどうしたらいいか。当塾のかかえる究極の課題である。かつて、マルクス主義の国は戦争を起こさないという信仰があった。しかしそれは、革命の輸出のような形でいとも簡単に破られた。

 また、民主主義が完全に行われれば戦争が消滅するようなことも言われた。冷戦が終結し、自由・民主主義の守護神を自認するアメリカの支配が続いた中で、根拠薄弱なイラク戦争が引き起こされ、アフガン・パキスタンでの戦闘はまだ続いている。

 残念ながら民主主義で戦争をふせぐことはできない。それを端的に示してくれたのがヒトラーである。彼はワイマール憲法のもと、ナチス党国会議員の大量当選を果たし、国民投票で「総統」に独占的権限を与えることに成功したのだ。

 その手法は、彼の戦争観、宣伝術として『わが闘争』第6章戦時宣伝に彼独特の露骨さをもって示されている。このシリーズは遂に8編まで続けてしまったが、これらを取り上げたのは、小泉・安倍首相の時代に特に顕著になったわが国の右傾化が、意識はされていないもののナチス・ドイツ時代に一脈共通する点があることである。これを以て本シリーズの結論としたい。

 ヒトラーと「B層」で取り上げたことと重複するが、宣伝についてこのように述べている。

 宣伝はすべて大衆的であるべきであり、その知的水準は、宣伝が目ざすべきものの中で最低級のものがわかる程度に調整すべきである。それゆえ獲得すべき大衆の人数が多くなればなるほど、純粋な知的高度はますます低くしなければならない。

(中略)宣伝の学術的な余計なものが少なければ少ないほど、そしてそれがもっぱら大衆の感情をいっそう考慮すればするほど、効果はますます的確になる。しかしこれが、宣伝の正しいか誤りであるかの最良の証左であり、若干の学者や美学青年を満足させたどうかではない。

 宣伝の技術はまさしく、それが大衆の感情的観念界をつかんで、心理的に正しい形式で大衆の注意をひき、さらにその心の中に入り込むことにある。これを、われわれの知ったかぶりが理解できないというのは、ただかれらの愚鈍さとうぬぼれの証拠である。

 日本の戦時宣伝では、表層的に日中戦争では、「膺懲」など中国人を蔑視するような言葉が使われたが太平洋戦争では「鬼畜米英」となる。ヒトラーは、ドイツやオーストリアで行われた相手を嘲笑するようなマンガ宣伝を排し、後者を支持する。

 イギリス人やアメリカ人の戦時宣伝は心理的に正しかった。かれらは自国の民族にドイツ人を野蛮人、匈奴だと思わせることによって、個々の兵士に前もって宣伝が、恐怖に対する準備をし、幻滅を起こさせないように努力していた。

 このことは、国家的に行われなくても、人殺しの恐怖心をなくし、相手の命をを虫けらのように扱う訓練が、今でも新兵教育として経常的におこなわれているという。

 さらに第一次大戦の戦争責任についてこうのべる。これは田母神論文など日本の歴史修正主義と全く軌を一にする。ヒトラーは意識しながらの主張だが、日本には無知のまま押し出そうとする指導者がいることである。

 宣伝は、それが相手に好都合であるかぎり、大衆に理論的正しさを教えるために、真理を客観的に探求すべきではなく、絶えず自己に役立つものでなければならない。

 戦争の責任について、ただドイツだけがこの破局に責任があるのではない、と論ずることは、この観点からすれば根本的に誤りであった。かえって実際には、ほんとうの経過はそうでなかったにしても、事実そうであったように、この責任をすべて敵に負わすことが正しかったであろう。

このシリーズのバックナンバーはカテゴリ「歴史」をさかのぼってごらんください。09年6月15日「ヒトラーと歴史教育」が第1回です。

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2009年7月 1日 (水)

ヒトラーと逃亡兵

 昨日、ヒトラーと「B層」という記事を正午過ぎに投稿した直後「ココログ」がアクセス不能となり、本日になっても全機能が回復するに至っていない。午前中は予告のメンテを実施しており、アクセスを試みられた方にはほぼ1日ご迷惑をおかけした。この記事とセットで見ていただけばありがたい。

 昨日の記事は、自民党の東国原宮崎県知事の閣僚起用などの動きを意識して書いたものだが、同党内の末期的混乱ぶりから、このまま麻生解散に出れば必ず「逃亡兵」(脱党・無所属出馬)が出るものと予想し、この題を急遽シリーズに加えることにした。

 実は、本題は小泉郵政選挙の際、前身の「反戦老年委員会」で取り上げ、民営化反対議員に刺客を向ける逃亡兵処分のやりかたと対比したものだが、今回の「逃亡兵」は相当おもむきを異にする。解散と同時に脱党宣言をすれば、注目を浴び自民党公認より当選の可能性は高まるだろう。

 ことに、小泉チルドレンなどで落選の色濃い候補者は、落ちてもともと、自民党は刺客の刺客を立てる余裕もなく、もし当選すればいずれ復党もあるだろうし、民主に高く売る手も残せる。政党交付金がこなくても、わたしならそうする。以下は例により『わが闘争』からの引用である。

 逃亡兵に、逃亡というものがまさしく自分が逃れようとしているものを、自分といっしょに運んでいるものだということを知らせることなのだ。前線では人は死ぬかも知れない、だが逃亡兵は死なねばならないのだと。

 逃亡しようとするものには、こういう峻厳な脅迫を試みることによってのみ、個人に対してだけでなく、また全体に対しても警告的な影響をねらうことができるのだと。(中略)あぶなっかしくなってきた徴募新兵は禁固や懲役ぐらいの脅迫ではだめで、ただ仮借なく死刑を適用することによってのみ、支えることができたのだ。

 小泉元総裁は逃亡兵に死刑執行人の刺客を送り込んだ。しかし、麻生総裁にはすでに軍の規律を守る統率力がない。それどころか、前線司令官である党役員の首をすげかえる下心もありそうだという報道もされている。

 この場合、第一次大戦の結果と同じで、ドイツ軍内部の統制が乱れ、ワイマール共和国革命に参画する兵士が続出する教訓に当てはまりそうだ。

 

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